笠原一輝のユビキタス情報局

海外でPCの修理が依頼できる「IBM Jサポート」体験記




階段から転げ落ち壊れてしまった筆者のThinkPad。エンターキーが完全にはずれてしまっている

 本誌をよくお読みの読者の方であればご存じだと思うが、筆者の仕事は海外のイベントを取材し記事を書くというものだ。

 そのプロセスは、例えば基調講演を取材する場合、会場にでかけ、PCに講演を録音しつつメモを取り、さらにデジタルカメラで写真を撮影し、それらの素材を基にして記事を執筆して日本に送る、というのが一連の作業だ。つまり、PCとデジタルカメラがなければ全く仕事にならない。

 そんな筆者にとって、PCが壊れて使い物にならないというのは考えられるトラブルの中で最も最悪なものの1つだ。実際、1月にInternational CESに取材に行く際にそうしたトラブルが発生してしまった。さて、どうしよう……。


●油断大敵、思わぬところでトラブル発生

 今年のInternational CESは1月7日から開催されたが、その前にプライベートで香港へ旅行にいった。余談だが、香港は携帯電話のショップが非常に充実しており、GSM方式の携帯電話が非常に安価に販売されている。

 筆者もMicrosoftのSmartPhone 2002をOSとして採用した携帯電話を購入したが、そのほかにも世界中で販売されている様々なGSM携帯電話がいくらでも選択可能だった。もしGSM携帯電話の購入を考えているのであれば、何かのついでにでも香港に寄ってみるときっと楽しいだろう。

 さて、話を元に戻すと、その香港で年末年始を過ごすことになったのだが、1月4日の日曜日にホテルの2階のレストランで食事をしたあと、1階のフロントに用事があり、PCを片手に階段を降りようとした。ところが、起動したまま手に持っていたPCが手から滑り降りてしまい、1階までの階段を転げ落ちてしまったのだ。

 その時のことは頭が真っ白でもうあまり覚えていないのだが、その盛大な音を聞きつけたホテルの関係者が寄ってくるやら、近くにいた中国人の方がびっくりして叫ぶやら、ちょっとした騒ぎになった。そのホテルの階段には絨毯は敷いておらず、ちょうど一階も堅い床であったため、その時点ではもうPCは駄目だろうと思っていた。

 無惨な姿となった筆者のPCは、日本IBMのThinkPad X31なのだが、エンターキーは取れてしまい、液晶のフレームも左右にヒビが入ってしまっている。正直なところ、落ちたときには電源が入っていたので、もっと派手な壊れ方をしているのかと思ったら、意外や意外、電源は入るし、とりあえず中のデータも無事なようだ。こういう事態に備えて、バックアップのPCは常に持っていたので、とりあえずX31のデータを、USBのHDDにバックアップして、バックアップ用PCに移行した。

 当面はこれでなんとかしのぐことにしたが、日々使っているPCが使えないのはやっぱり不便だ。できれば、すぐにでも修理に出したい。ところが、そんな時に限って、筆者の帰国予定は2週間も先だった。

 というのは、香港から直接International CESが開催されるラスベガスへ移動することになっていたからだ。日本に帰ることができれば、修理に出すことも可能だが、日本に帰れないのではそうもいかない。帰国する2週間後まで修理に出せず、修理に出したとしても、1週間程度はかかると考えると、なんと3週間もこのPCが使えないことになる。正直言って3週間もメインマシンが使えないとなると、仕事の能率にも大きな影響がでてしまう。

 そうした時に思い出したのが、故障したThinkPadを海外まで引き取りに来てくれるサービス“Jサポート”だ。最近発売されたThinkPadシリーズには標準で添付されるサービスで、購入後1年間利用できる(対象マシンはこちらで調べることができる)。

液晶の右側のパネルが割れてしまっている 同じく液晶の左側のパネルも完全に割れてしまっている。なお、こんな状態だが電源だけは入ったので、HDDの中のデータは無事に救い出すことができた

●日本に電話すると、電話の向こうでも呼び出し音がなっていた……

 そんなわけで、さっそく日本アイ・ビー・エムのWebサイトに載っていたJサポートの電話番号にかけてみることにした。Webサイトには、12月31日〜1月3日までお休みで、土日以外は24時間と書いてあった。

 そこで、現地時間1月5日 月曜日の午前1時(日本時間で1月5日 午前2時)に電話をしてみた。すると、担当の男性オペレーターが応対してくれ、こちらの状況を説明すると、すぐに手続きに入ってくれた。説明したのは、

(1)現在の障害の状況
(2)マシンの型番とシリアル番号
(3)現地での連絡先

 などだ。特に今回は、現在は香港にいるが、6日にラスベガスに移動するので、ラスベガスに引き取りに来て欲しいと説明した。すると、日本にはいつ帰るのかを聞かれた。というのも、日本に帰るのがそんなに先ではない場合には、税関での通関の関係でかえって自分で持って帰ってきて修理に出した方が早い場合があるという。

 今回の場合は日本に帰ってくるのが14日前後とかなり先になるし、話の種になるだろうと考えてとりあえず引き取りに来てもらうことにした。

 すると、担当の男性から現在電子メールを読める環境にあるか? と聞かれた。それは、マシンの型番、シリアル番号、日本での連絡先、現地での連絡先などを書き込むフォームを送るためだ。担当の方に確認すると、電子メールを読む環境がその壊れたマシンしか無い場合には、これらの項目を全部電話で確認するという。それはかなり大変そうだ。そうしたことからも、こうした事態に備えてバックアップのマシンが必須だということを再確認した。

 なお、電話の向こうでは別の呼び出し音がしていて、「ああ、ほかにもこのサービスを利用している人がいるんだな」と思ったが、考えてみれば仮にアメリカの東海岸(ニューヨークなど)にいれば、昼間の1時ぐらいであるはずで、年末年始に壊してしまった人が電話をかけてきても不思議ではない。24時間受付って便利だなと妙に感心してしまった次第だ。

●日本から送付用の箱が送られてくる

 送られてきたフォームに必要事項を書き込んで送ったところ、今度は受け取りの担当者という方から、滞在先のホテルへ壊れたマシンを送付するための箱を手配するというメールを朝の11時にもらった。さらに、午後5時には、箱の手配が完了し、ラスベガスに発送したというメールをもらった。

 ラスベガスに到着してから数日すると、日本から箱が届き、ホテルのビジネスセンターで受け取ることができた。箱の中にはさらに箱が入っており、どうやらこれを利用して梱包せよということであるようだ。

 箱の中には梱包に利用する緩衝材、ガムテープなども入っており、すぐに梱包できるようになっている。また、箱の中には通関に必要な書類とその書き方がかかれているマニュアルが同梱されており、その通りに記入していけば簡単に書類を作成できた。書くのは自分の名前や、返送先などで、数分で作業を終了した。

 つまり、ユーザー側でやらないといけないことは

(1)箱の受け取り
(2)箱へのPCの梱包
(3)書類への記入

 の3つで、その後宅配便業者(今回の場合はフェデックスだった)に連絡し、荷物の引き取りをお願いするという手順になる。

 本来であれば業者に直接取りにきてもらった方が防犯の観点からもよいのだが、今回はホテルのビジネスセンターに持って行き、そこから送ってもらうことにした(しかし、ホテルのビジネスセンターから出して荷物が無くなったという友人もいるので、注意したいところだ)。

 なお、Jサポートでは、日本への引き取り費用、通関費用、配送費用などはすべて日本アイ・ビー・エムが負担してくれるので、ユーザーが特に費用を負担をする必要はない。

送られてきた箱 箱の中身、梱包の仕方などがかかれているマニュアルの他、国際宅配便の送り状などが入っていた

箱にはThinkPadを梱包するための緩衝材やガムテープなど一式も同梱されており、それらを利用して梱包することが可能だった

商品の明細などを記入するINVOICE。通関などに必要になる。すでに必要事項は記入されており、ユーザーは署名や日付を入れるだけでよい マニュアルには梱包の方法から書類の書き方まで詳しく書いており、初めての人でもさほどとまどわず作業できるだろう

●日本についてしまえば後は通常の修理と一緒

 数日すると、日本から荷物を受け取ったという旨のメールをいただき、無事到着したことがわかった。この後は特に筆者の方からはアクションすることもなく、PCが日本に到着したというメールをもらってから、1週間後に帰国した筆者の手元に帰ってきた。

 なお、今回の筆者の例のように、日本国内の住所に送ってもらうことも可能だし、もう一度海外に送ってもらうことも可能になっている。これは申し込み時に指定すればよいようだ。

 今回の筆者の故障原因は言うまでもなく落下という筆者の過失によるものだが、ThinkPadシリーズの場合には標準で“拡張保守サービス”と呼ばれる1年間有効の保険が添付されており、購入後1年以内であれば、10万円以下の修理代金までは保険でまかなわれることになっている(拡張保守サービスは保証期間内に申し込めば延長可能)。今回の故障では運良く10万円以下の修理代金に収まったとのことで、特に追加で代金を請求されることはなかった。

●東芝もIBMと同様の海外保証サービスを実施

 ThinkPadシリーズのJサポートを利用するには、ユーザー側で特に準備は必要ない。対象となるのは購入から1年間で、出国の前にユーザー登録だけはしておく必要があるので注意したい。基本的にはほとんどの国でこのサービスを利用することが可能だが、一部の国では利用できないので確認しておきたい。

 ちなみに、他のメーカーはどうか、と考えて調べてみたところ、同じようなサービスをやっているところがあることがわかった。

 東芝はILWと呼ばれる海外保証を行なっていて、やはり日本への引き取りサービスが可能であるほか、現地のサービスセンターにPCを持ち込んで修理をしてもらうことなどが可能になっている。

 やはり対象になる地域と対象にならない地域があるので、確認しておきたい。DynaBookユーザーで、よく海外に行くという人であれば、とりあえずILWの登録をしておくといいだろう。

 なお、国際サポートという意味では、ヒューレット・パッカード(hp)デルも国際保証サービスを行なっている(対象モデルとそうでないモデルもあるので購入時に確認したい)。

 前述の2社のように、日本に送り返してもらうサービスではないが、日本で手続きを行なっていけば現地のサポートを受けられるようになる。現地に長期間滞在するのであれば、こうした国際保証を利用するのも手だろう。

●海外に長期滞在するユーザーは利用する価値あり

 運がよいのかどうなのかはわからないが、筆者にとって海外でPCが壊れたというのは今回が初めての経験だった。バックアップマシンを持って行っていたため、仕事には差し支えがなかったのは不幸中の幸いだったが、もしPCが1台しかないという状況であれば、非常にありがたいサービスであると言えるだろう。

 大多数の人にとって保証サービスを利用する機会というのはさほど多くないと思う。だが、災難は忘れた頃にやってくるわけで、“備えあれば憂いなし”の格言の通り、トラブルがあってもこうしたサービスが利用できるのであれば、安心してPCを持って行けるのではないだろうか。

 筆者のようにIT系の仕事をしていれば、バックアップのPCぐらいは持って行っているかもしれないが、一般的には複数台のPCを持ち歩くという例はさほど多くないと考えられる。そうしたユーザーの方が、海外に長期滞在する場合、あるいは留学や海外赴任などをする場合には便利なサービスであり、PC購入時の条件の1つに加えてみるのもいいのではないだろうか。


□Jサポートのホームページ
http://www-6.ibm.com/jp/jpccinfo/pccare/jsp.html
□PCケアのホームページ
http://www-6.ibm.com/jp/pc/service/mainte/

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(2004年3月4日)

[Reported by 笠原一輝]


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