第223回
日本IBM「ThinkPad X40」開発者インタビュー
〜ThinkPadらしさと、軽さ/薄さ



ThinkPad X40

 “なぜ、そんなにユーザーが多いのか?”PC以外のプリンタやスキャナ、メモリベンダーなどのベンダー担当者から、頻繁に質問を受けるのがThinkPad。それほどPC出版業界にはThinkPadのマニアとも言うべき人たちがたくさんいる。特に外出先でPCを使わなければならず、常に携帯しながら記事を書いているWeb速報サイトの記者にファンが多い。

 そんなこの業界においても、先日発表されたThinkPad X40の評価は真っ二つに割れている。これまで、最軽量のThinkPadが発売されるたび、多くの記者(兼ユーザー)が肯定的な反応を示していたが、今回の製品に関しては絶賛する人、否定する人、両極端に分かれるという現象が起きているのだ。

 そこで製品コンセプトの部分を中心に、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)でX40の製品企画・開発を担当した諸氏に対して、率直にX40に対する意見を述べた上で話を伺ってみた。X40の目指したもの、それに併売されるX31の将来について、担当者のコメントを紹介しながら探ってみる。

 インタビューに応えて頂いたのは、マーケティングおよび商品企画を担当した伊山円理氏、エレクトロニクス設計担当の枝沢徹氏、開発側から商品企画に取り組んだ平野幸彦氏、開発全体のリーダーを勤めた田保光雄氏、プロジェクト全体のとりまとめ役を務めた神田洋一郎氏、筐体および機構部の設計を担当した加藤勝利氏と野口弘幸氏、熱設計を担当した福嶋利明氏、BIOSや内部コントローラのソフトウェアを担当した長沢達美氏の9名である。

左から伊山氏、枝沢氏、平野氏、田保氏、神田氏 左から加藤氏、野口氏、長沢氏

●“ThinkPadのルール”を守りながら小型・軽量化を追求

 ごく個人的な感想を述べると、様々な意味でThinkPad Xシリーズの新型は予想とは異なるものだった。確かに次のXは薄く、軽くなると日本IBMは話してはいたが、ここまでコンセプトの異なる製品になるとは思わなかったからだ。

 Xシリーズは当初こそ低電圧版プロセッサを使っていたが、冷却技術や電源管理技術の進歩に対応する形で通常電圧版のモバイルプロセッサを搭載し、現在に至っている。日本IBMへのインタビューでも、XシリーズとTシリーズで同じアーキテクチャを採用するメリットについて語っていたことがあった。両者のメイン基板はもちろん異なるが、利用するコンポーネントや基本的な設計ノウハウは共有されている。

X40(左)とX31のメイン基板

 Tシリーズと同等の機能と性能を、コンパクトなシングルスピンドルフォームファクタで実現した製品というのが、筆者のXシリーズに対するイメージだ。X31は1.6kgを若干超える重量が批判の対象となっていた面もあるが、通常電圧版プロセッサ、簡単に交換可能な2.5インチハードディスク、ストロークが深く縦方向のピッチも十分にとったキーボード、標準で18650×6セルのバッテリパック、2個のメモリスロットなどの要素を考えると、他に比較すべき対象がないユニークな存在だった。

 もっとも、“ユニークな存在”といっても、自らそうなったわけではない。元々は似たような12.1型クラスのノートPCを開発していた他ベンダーが軽/薄へ、あるいは2スピンドル化へと進む中で、日本IBMは機能や性能的な余裕、剛性を追加することを選択した。X30シリーズが先代シリーズに比べ軽くならなかった理由は、そのあたりにあると思う。

 実際、自分でX31を使い始めるまでは、多少、底面積が小さくなったX20の正常進化版程度にしか考えていなかったからだ。ところがユーザーになってみると、様々な部分であらゆる部分が強化されていることを感じる。しかし、それらは“使ってみて初めて解る”ことばかりだ。

 改善点が訴求しにくいその一方で、モバイルPCに対する軽さへの要求は止むことがない。この辺りにX30、X31に関する日本IBMのジレンマがあったのかもしれない。

 「Xシリーズのターゲットユーザーと一言で言っても、様々なタイプのユーザーが考えられます。ただ最近は軽量なPCが増え、軽量化競争が激しくなっています。そうした動向を反映して、より軽く、より小さい製品が欲しいという意見をユーザーの皆様からいただいていていました。しかし、ただ単に小さく、軽い数字を実現するだけならば難しいわけではありません。いかにThinkPad Xシリーズが持っていた特徴を生かしながら、軽くするかがポイントでした」。

 しかしこれまで日本IBMは、ワールドワイドで発売されるThinkPadシリーズの一翼として、携帯性を重視するXシリーズにおいても、機能や性能を落とすことはできないと話していた。ThinkPadシリーズ共通のデザインコンセプトは不変でなければならなかったハズだ。

 「もちろんそうしたスタンスに変わりはありません。しかし、日本市場ではXシリーズの売り上げ比率が特に高かったという実績もあって、日本市場を意識して思い切った製品に仕上げられました。決してThinkPadのデザインコンセプトを捨てているわけではありません」。

ThinkPad X40

●X40におけるIBMの“取捨選択”

 PCを軽くする際の王道とも言える手段は、製品の底面積を小さくすることだ。ノートPCを構成する部品の中でも、外装部品と液晶パネルはかなりの割合を占める。言い換えれば、液晶パネルを小さくし、それに合わせて筐体サイズを小さくすれば軽くなる。バッテリの重量や電子部品の重量などは、PCの基本スペックが同じならば似たようなものだ。

 「X31も、通常電圧版のPentium Mを搭載し、あれだけの機能を実装しようとすると、あれ以上は軽くできないギリギリの重さでした。しかしX40では、そこからさらに全てのコンポーネントで軽量化を果たしています。その手法はやはり、底面積を小さくすることです。新製品では特に奥行き方向のサイズを削り、液晶パネルのサイズ+無線LANのアンテナが通過するギリギリのサイズとなっています。さらにバックライトのインバータ基板を細長いリボン状の設計とし、90度立てて配置することで底面積をギリギリまで詰めています」。

 12.1型で1.23kgという数字は、1.8インチ1プラッタの軽量なハードディスクを採用していることや、その底面積から来るイメージを考えると、決して“軽い”とは思えない。軽さだけであれば、他には2.5インチハードディスクを搭載しながら、もっと軽く仕上がっている機種もあるからだ。

 「ThinkPad基準の丈夫さ、剛性を出せること。また液晶裏のパネルを完全な平面にすること。このふたつは譲れないポイントです。しかし平坦なパネルで剛性を出すためには、他社が採用しているような0.6mm厚のマグネシウム合金では弱すぎます。剛性をキッチリと出すには、0.8mm厚でなければなりません。この数字はX31と同じです。

 また平坦にしなかったとしても、やはり0.6mm厚は使わなかったでしょう。X40ではコンパクトで軽いことはもちろんですが、薄さも狙っていました。ですから、液晶パネル裏に凹凸を作って剛性を上げるといったことは考えませんでした」。

X31(上)とX40のキーボード

 このほかにもキーボードは、譲れなかったところ。X40のキーボードはX31比で15グラム軽量化されているとのことだが、キーボード全体のサイズは変えられていない。X30では、それまでのX20シリーズに比べ、縦方向のキーサイズを増やすことで打ちやすさを出していた。X40も全く同じ縦横比のキーとなっている。このため、底面積比でキーボードの占める割合が非常に大きく、重量面では不利となっている。しかし、X20時代と同じサイズに戻すといったことを行なわなかった。

 もちろん、機能や操作性に拘るばかりでは、重量は落ちない。

 「まずハードディスクで40〜50g減っています。最も大きかったのはバッテリで、標準バッテリの重さは100gほど減りました。しかし液晶パネルは軽量タイプにしていません。ガラス基板を薄くすれば軽量化は可能ですが、その分耐久性が落ちてしまい、ストレスがかかると白濁するなどの悪影響が出ますから、液晶パネルの無理な軽量化は避けています」。

 「お客様の声として、やはり重量が軽いことが一番声として大きかった。その一方でバッテリ駆動時間に関しては、3時間が目処という要求がほとんどです。液晶パネルのサイズやキーボードサイズに関しては、これまでも高評価をいただいていた部分なので、絶対に機能を落としたくありませんし、品質を損ねる可能性がある部品も使いたくない」。

 そうした中で、IBM的バランス感覚で生み出されたのがX40というわけだ。

 ただし、Xシリーズの新型を待ち望んでいたユーザーにしてみれば、突っ込んで訊いてみたいポイントもいくつかあるはずだ。そして突っ込みたい部分は、おそらく標準バッテリの小ささと20GBしかない1.8インチハードディスクだろう。

●薄さに拘った? X40

 開発陣は表だって強くは言わないものの、X40ではかなり“薄さ”に重点を置いた設計になっているように思う。たとえば液晶パネル。耐久性が低い薄型ガラス基板のパネルを採用したとしても、外圧からのストレスが影響しないよう十分なクリアランスを取っておけば、白濁やシミの原因にはならない。薄くしたかったから、軽量の液晶パネルは使えなかったと言える。

 標準バッテリが容量対重量比に優れた丸形の18650セルではなく、角形セルになっているのも、やはり薄型筐体とのマッチングを考慮してのこととと考えられる。ハードディスクにしても、9.5mm厚までの1.8インチドライブをサポートしていることを考えれば、キーボードとハードディスクを重なる位置に配置することで(言い換えれば、薄さを諦めることで)、2.5インチを採用できただろう。本体を厚くすることで、アンダーシャシーももう少し薄い素材を用いて軽量化を行なうといったことも可能だったかもしれない。また、X40のメイン基板は比較的大きめで、基板自身の重さも不利に働いているハズだ。

 底面積の縮小で軽量化を果たしたと言いつつ、重量面では不利な薄型化もかなり意識して作っているように思えるのだ。

 「キーボードとハードディスクが重なる設計にはしたくありませんでした。軽量化といっても、分厚く不格好になっていいわけではありません。

 メイン基板も左右にコネクタを振り分けると大きくならざるを得ない。もちろん、フレキ(フレキシブル基板)を飛ばすことも可能ですが、信頼性や耐久性に問題が出てくる場合がある。ThinkPadの耐久性、信頼性を実現するためには、1枚基板にすべての電子パーツを集約しなければならないため、これ以上はメイン基板を小さくはできません。

 またアンダーシャシーですが、X40ではキーボードを外さずにすべてのメンテナンスを行なえるように設計しています。このため、ミニPCIカード、メモリ、ハードディスクを交換する孔を開けなければならず、0.6mm厚では剛性を出せなくなります」。

 実際、全体的なサイズが小さくなりながら、外装パーツの材料は同じものが採用されているため、剛性はX31よりもX40の方が高い。元々、X31も高剛性なボディを持っていたが、明らかにそれを上回る感覚だ。実際のテストでも剛性アップが確認されているという。

 標準バッテリによる駆動時間が3.5時間と短くなった上でのX31比400gの軽量化は、評価の分かれるところだが、ThinkPadが捨てられない要素というのも理解できなくはない。またバッテリに関しては、18650×4本分が増える大容量バッテリや、底面後部に取り付ける座布団型の拡張バッテリもあり、重量とバッテリ容量のバランスを柔軟に選択することが可能。このあたりの自由度の高さは、サスガといったところだろうか。

●拘った熱処理

 標準バッテリの容量やハードディスクのサイズに関しては、あまり突っ込んでも水掛け論になってしまう。駆動時間3時間を目安にデザインしたと言われれば、豊富なバッテリオプションも勘案するとそれほど悪くない。ハードディスクにしても、せめて40GBならば……と思っても、まだ供給元の日立グローバルストレージから2プラッタ版が出ていない(東芝製1.8インチハードディスクには40GB版もあるがフォームファクタが異なる)。なおバルク製品がほとんど皆無の1.8インチハードディスクだが、40GBのX40専用ディスクパックがオプションとして発売される予定だとか。

 ここでは話題を変えて、熱設計や製品全体の使い心地についても紹介しておきたい。

 まず薄型化されたにもかかわらず、アンダーシャシーから伝わる熱が減っている。「薄型化で空気の流れが悪くなったため苦労した」とのことだが、X31よりもずっと底面で感じる熱は少ない。

 「プロセッサに関しては超低電圧版に切り替わったおかげで、X31と比べ非常に楽になりました。しかし、メインメモリがPC2100からPC2700に切り替わったことで、メモリの発熱対策が必要になりました。PC2700メモリに対して常に最高速でアクセスすると、触れないぐらいに発熱が発生します。

 こうしたことは、あらかじめCADシミュレーションで判明していたので、一番空気の流れが良く、冷やしやすい場所にメモリを配置するところから設計を始めました。グラフィックスに関しては、Intel 855GMEが思ったよりも省電力でした。発熱する素子をなるべく筐体から離れた場所に置くなどの工夫は施していますが、超低電圧版ならば熱設計的な余裕はかなりあります」。

 個人的には、現在までのIntel製プロセッサを使うならば、冷却ファンは付いていた方がいいと考えている。常に冷却ファンが勢いよく回っているようならばダメだが、かといって負荷が連続でかかっているときに、熱を抑えるためパフォーマンスを落とすというのは、今ひとつ釈然としない部分を感じるからだ。

 しかし、ノートPCを使用している時間の90%以上は、そうした連続負荷とは無縁の利用がされているだろう。ならばファンレス設計の方が、軽量化、信頼性向上の両面で望ましいという考え方もある。

 「冷却ファンは必要だと考えています。ちょっと連続負荷がかかっただけで、ガクンとスピードが落ちる製品をIBMとして作るわけにはいきません。また各部に設置した温度センサーでシステム全体を管理しているため、ファンが壊れた場合でも異常動作となるわけではありませんから、信頼性を損なうこともありません。

 温度管理ではX40で新しいアプローチも取り入れています。X40では筐体内部の温度が上がると、プロセッサだけではなくシステム全体の発熱量を減らす制御を行ないます。内蔵している組込コントローラーが温度を検出し、チップセットに対して温度を下げるための指示を出します。具体的には、メモリクロックを動的に切り替えることで実現しています。もっとも、ビジネスアプリケーションを動かしている限りは動作しません。特別に負荷の高いアプリケーションを、外気温が高い環境下で使わない限り動きません。この先、新しいプロセッサやチップセットに対応するだけの余裕も持っています。筐体からの放熱特性はウルトラベースの装着などで動的に変化しますから、ドッキングなどの構成によっても制御アルゴリズムを変えています」。

●実はBluetoothにも対応?

 一方、筐体サイズを考えるとかなり大きな面積を占めるキーボードの操作性はどうか? これに関しては当然好みもあるわけだが、基本的には従来のXシリーズキーボードを踏襲する使いやすいものに仕上がっていると思う。ただし従来からのThinkPadファンには、多少もの足りないタッチかもしれない。

 X30、X31のキーボードはハッキリとしたクリック感と底突き時の柔らかな感触などで好評だったが、X40のキーボードはクリック感が弱められ、キー自身の反発力も軽くなっている。従来からのキーボードに慣れた人は頼りなさを感じるだろうが、他機種から乗り換えのユーザーは、X40の方がタイプしやすいと感じる人もいるだろう。多少、底を突いた感触が固いが、気になるほどではない。バランスの良いキー配置、キーピッチなどを考えれば、トップクラスの使い心地であることに変わりはない。

 従来からのXシリーズユーザーがもうひとつ気になるのは、CFスロットがなくなり、SDカードスロットに切り替わったことではないだろうか。CF型の通信デバイスを使っているユーザーは、(PCカードスロットに装着すれば良いとはいえ)そのままCFスロットを使いたいというのが本音だろう。

 「SDカード採用の大きな理由として、MicrosoftがSDIOに対応したWindows標準ドライバを今夏にリリースしたことがあります。このため、SDカードスロットに対応したI/OデバイスがPC向けに増加するだろうとの見込みもあって、SDカードスロットに切り替えました。

 SDカードと同様の機能を持つ規格もありますが、特定のベンダーに偏った規格は採用できませんから、SDカードの選択は自然なことでした。ストレージと通信の両方をSDで置き換えることが可能です。当初の見込みよりもカードが出遅れていますが、近い将来、CFとSDカードの主流が入れ替わり、同等の使い勝手になると思います」。

 確かにPHS通信カードはSDIOで発売されているが、CFサイズのものと全く同じパフォーマンスとはいかない。今後、携帯電話側へのBluetooth搭載が見込まれる(一部、採用製品のリリース予定もある)中では、Bluetoothを用いたダイヤルアップというのもソリューションとして欲しいところだ。

 「Bluetoothに関しては、これまでの機種と同様、モデムユニットとモデム/Bluetoothコンボユニットの選択で選ぶことが可能です。ただし今回、日本で発表したモデルには採用していません。ユーザーからの要求が現時点であまりないためです。ただし、内部の部品を入れ替えるだけで、いつでもBluetooth対応にはなります」。

 X40には消費電力が大きなUSBデバイスに対し、電源供給を行なう専用コネクタも追加された。何Wぐらいまで取り出せるのか? 今後、電源供給コネクタの標準化は行なっていくつもりなのだろうか?

 「現時点でこのコネクタはIBM独自のものです。USBは5Vしか取り出せませんが、このコネクタからは16Vを出しており電流を下げることが可能になっています。W数に関しては非公開とさせてください。現在の所、標準化の意志は持っていませんが、IBMのシングルスピンドル製品には積極的に採用していきたいと思います」。

●X31とX40、本当に併存することができるのか?

 冒頭に話を伺ったコンセプト部分で解るように、X31とX40は目指しているところが全く異なる製品である。X40のパッケージではパフォーマンスやハードディスク容量などでX31のパッケージには及ばない。しかしその分、軽く、薄くは仕上がっている。バッテリ構成の柔軟性の高さなど、X40の方が機能的な部分も一部にはある。

 現在のX31、あるいは前シリーズのX20系が自分の利用スタイルに合っているという人たちは、X40に対して不満を持つかもしれない。もちろんその逆もあり、ThinkPadは使いたいが、重くて持ち歩く気になれないと思っていた人は、X40の登場を喜んでいるのではないか。

 IBMは当面、この二つを併売するとのことだが、ご存じのようにX31はこの秋のマイナーチェンジ時期、Tシリーズが加速度センサー搭載のT41へと切り替わったのに対して、無線LANやCPUクロック周波数などの変更に留まり、名前も“X32”とはならなかった。

 いくら併売するとはいえ、X31の開発が進められないのであれば、今後は徐々にフェードアウトする以外に道は残されていない。

 「X31の系列、X40の系列は、ともに今後も継続します。その中で、両方を今後も進化させていくのか、あるいはどちらか片方に収斂させるのかは、実際にX40を市場に投入し、ユーザーからの声を実際に拾って決めていくことになるでしょう。

 IBMは、これまでも高いレベルの基準を満たし、ワールドワイドのユーザーニーズを収斂させた製品を作ってきました。そのすべてを満たそうとすると、X31を軽くするといってもたいした違いにはなりません。そこで、現時点で可能な選択肢を洗い直し、それらにプライオリティを付けて再構築したのが今回の製品です。

 1.23kgという数字に関しては、まだ軽い製品があるということは理解していますが、熱処理にしろ、パフォーマンスが100%出るか否かという点にしろ、キーボードにしろ、IBMらしいユニークさは出せていると思います。また重さで言えば、ACアダプタと併せて1.5kg以下に抑えたいというニーズが非常に強く、それに対して応じることができたという点では目標を達成できました」。

 現時点でハッキリと将来について言えない事情はわかるが、かといってそれほど長い間、IBMがふたつのXシリーズを抱え続けられるとも思えない。いつかは収斂されるだろう。ではIBMにとって、“Xシリーズらしい”とはどんなことなのか?

 「“Xシリーズらしい”とは、IBM社内での位置付けはモバイルに特化した製品を意味します。Tシリーズはパフォーマンス、Xはモバイルです。しかし他社の軽い、小さいノートPCに比べると、ハイパフォーマンスなモバイルPCに見えるでしょう。そこでX30、X31では、あえて特徴を生かすためにパフォーマンスの追求を行ないました。

 ただ、ThinkPad共通のデザインコンセプトという強い制限がある中で、どこまで薄く軽い製品を12.1型クラスで作れるのか。X40はその極限を目指しています。モバイルを徹底して追求するという意味では、X31とX40、いずれに対するスタンスも変わっているわけではありません」。

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【12月3日】日本IBM、"ダイエットしたX"「ThinkPad X40」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1203/ibm.htm

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(2003年12月15日)

[Text by 本田雅一]


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