笠原一輝のユビキタス情報局

ソニー バイオノート505 EXTREME開発者インタビュー(後編)
〜素材・基板構造の秘密を探る




 前回は、バイオノート505 EXTREMEのマーケティングおよびデザインを中心にお伝えした。今回は最薄部で9.7mmという薄さと、785gという軽さを実現するのに重要な要素となる基板デザインや内部構造などを中心にレポートしていく。

 日本メーカーのお家芸といえる高密度実装、新素材など、X505の特徴である“薄さ”、“軽さ”を実現するために導入された技術について、エンジニア本人の口から語っていただくことにしたい。


●ビルドアップレイヤーを含む10層基板や小型部品の採用でマザーボードのフットプリントは2/3に

Q:今回採用されているマザーボードのフットプリント(設置面積)は、MD並というほど小さくなっています。また、ビルドアップレイヤーを含む10層基板というやや特殊な手法を利用していますね。

ソニー株式会社 IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー ITカンパニー 6部4課 宮野晃宏氏

【宮野】当初、機構設計の担当者からマザーボードに割くフットプリントは、このぐらいだよという指定がありました。実はその指定というのは現在のマザーボードのフットプリントよりもかなり余裕があるものだったので、これまでの技術を利用しても少し機能を削るぐらいでなんとかなるだろうと考えていたのです。

 ところが、製品の開発が進むうちに“あれも入れろー、これも入れろー”という周囲の要望が増えてきて、これは困ったな、と(苦笑)。じゃあ何か考えないといけないなということになって違う手法を検討したというのがスタートです。

【辛島】初期の段階では、もう少し大きな基板になるだろうと予想して、やや大きめのフットプリントをマザーボードに割り当てていました。ですが、実際に設計しているうちに、あれもこれも入れなくちゃ、という話がでてきて、徐々にマザーボードに割り当てられるフットプリントが小さくなっていってしまったんです。

 例えば、当初PCカードは入る予定じゃなくて、そこにはPCカードよりも小さな無線LANのモジュールを入れようかと考えていたんです。ところが、最終的な仕様ではPCカードを入れることになって、“じゃあ悪いけど、もう少し小さくしてね”とお願いしました(笑)。

【福馬】そのあたりのレイアウトを決めるのに結構時間使いましたね。なんども二転三転しました。CAD上でレイアウトを作っては調整し、またひっくり返り、ということの繰り返しでしたね。それでも、そうしたことを積み重ねて、最後には、提案していたフットプリントよりも小さくできました。

Q:通常のPC製品では、どうしてもコストを考慮しないといけないので、層の少ないマザーボードを利用し、なおかつできるだけ小さいフットプリントで、という相反する要求がされています。そうした中で、これだけ高密度のマザーボードを作ることが可能だったんでしょうか?

【宮野】今回最も大きかったのは、コストは考えなくてもよいという指示が当初から出ていたことです。なら、今考えられる限りの技術を利用して、どうやったら高密度にできるだろうというというところからスタートしました。

 X505の基板は、10層基板になっており、表面に部品実装のための層を設けて表面の実装密度を上げています。また、ビア(筆者注:多層プリント配線基板の層間で電気信号をやりとりするための通し穴)が通常は貫通しているのですが、この製品では“ブラインドビア”という、基板を貫通しない穴を開けることで、部品の高密度化を実現しています。

 また、抵抗やコンデンサに関しても、通常は携帯電話で利用されるような超小型のものを利用しており、これも高密度化に貢献しています。どのくらい高密度なのかと言えば、他のバイオノートの基板に対する部品占有率がおよそ40〜70%程度であるのに対して、このX505では約90%の占有率になっています。これにより非常にフットプリントが小さい基板を実現できました。

Q:もし通常の10層基板や8層基板で作った場合、やはりこの小ささは難しいですか?

【宮野】そうですね、倍まではいかないですが、1.5倍程度にはなると思います。当社の他の製品と比較しても2/3程度にはなっていると思います。

【佐藤】今回のX505の基板では、ビルドアップやブラインドビアなど、これまでPCの基板には採用されなかった技術を利用して、どこまで配線が引けるんだろうということにチャレンジしました。併せてフットプリントが小さい部品を利用することで密度を上げています。最終的には、もう少し部品が入りそうなぐらいまでに到達しています。

【宮野】そうですね、次やればもう少し小さくできますよ(笑

Q:ビルドアップの層をもうけることで、どうしても層数は増加していまいます。これはコスト的なインパクトは大きいと思いますが、いかがでしょうか?

【宮野】そうですね。しかし、数年前に比べると基板製造の技術も向上してきており、今回も思ったほどはコストアップしていません。ただ、今回のX505の場合、基板が単純な長方形や正方形ではないので、カット時に捨てなければいけない部分が多く、それがコストに跳ね返っている面はあります。

Q:コスト的にはどのくらい変わってしまうものなんですか?

【佐藤】答えにくいですね(苦笑

Q:倍までは行かない?

【佐藤】うーん(苦笑)、高いことは高いですが、普通の基板の値段の範疇には収まっています。

マザーボードはMDサイズ ビルドアップ+ブラインドビアを採用した基板の構成 基板に対する部品占有率は90%に達する

●設計時にはIntelが公開するデザインガイドの“裏”を読む

Q:より小型のマザーボードを作る上で重要になってくるのは、配線の引き回しだと思います。今回はどのようにして設計していったのですか?

【宮野】今回、このマザーボードをデザインするにあたり、CPU、チップセット、メモリなどのチップをどのように置いたらフットプリントを小さくできるかを、常に意識しながらレイアウトしていきました。特に、DRAMが部品の配置の中で最も難しいと考え、まずメモリの場所を決定し、それからCPU、ノースブリッジと置いていきました。

 また、今回はフットプリントは小さいながらも10層基板になっているので、基板の内部で配線を遠回しにしていっても引くことができるよね、などということをCADなどでシミュレーションしながらデザインしていったのです。

 ある程度アウトラインが決まった段階で、必要のない部分を落とし、細かい1つ1つの部品を子細に検討し、本当にそこでいいのか、あるいはもっと離れたところに配置しても大丈夫なのか、などを検討していったのです。

Q:今回はCPUにIntelの超低電圧版Pentium M 1GHz、チップセットにはIntel 855GMを採用しています。両チップとも、フットプリントはかなり大きいだけに、配線のレイアウトはかなり大変なのではないでしょうか? 今回層数を増やしただけに、もしチップのフットプリントが小さければ、もっと小さな基板を作ることは可能でしょうか?

【宮野】そうですね、そう思います。

Q:これだけ高密度で層数が多いと、デバッグ作業が不可能じゃないかと思うんですが、どうやってデバックしていくんですか?

【宮野】デバッグはものすごく大変です。内側の層にある信号線には直接触れることができないので、どうしても信号をチェックできないところがでてきてしまうのです。今回は、弊社の製品で同じアーキテクチャを採用したバイオノートTRという、前例がありましたので、その時のデータやノウハウなどを利用してある程度の見切りをつけることができ、なんとかなりました。

Q:要するにTRのマザーボードをより小さくしたという観点でシミュレーションして行った、ということですね。

【宮野】そうですね。

Q:これだけ高密度実装だと、一度できあがってきた基板を修正するのは大変ですね。ジャンパを飛ばすのも不可能に近いと思うのですが。

【宮野】顕微鏡で見ながら手作業でやってます(笑)。人間不思議なもので、一週間ぐらいにらめっこしてやっていたら、出来るようになってくるんです。この基板とはかれこれ数カ月つきあってきましたが、最近では顕微鏡が無くてもできるようになりました(笑)。

Q:こうした高密度の基板は、一般的なPC向けに作られた、Intelのデザインガイドに基づいて作るのは難しいと思います。今回のよなケースでは、メーカーが独自の工夫をするわけですね。

【宮野】そうですね。すでに述べたように、最初はCADなどで配線を引いてみてシミュレーションします。

 CPUメーカーなどから提供されるデザインガイドに関して言えることは、我々エンジニアはデザインガイドに書いてある裏を読む必要があるんです。デザインガイドは、どのレベルの技術力のメーカーでも作れるように、最低値で書いてあるんですね。つまりまだまだマージンがあるわけです。ここはそういうマージンだったんだ、ということを、波形などを見ながら見切っていく。そんな作業を繰り返していって最適値を探っていきました。

 例えばコンデンサや抵抗など、デザインガイドではかなり余裕のあるデザインがされています。ある程度見切れれば、必要のない部品を判断して取り去ることができるようになるわけです。たぶん、他社の方がこのマザーボードを見れば、部品点数の少なさに驚かれると思いますよ。

Q:今回、メインメモリは直接基板に実装されていますね。

【宮野】このマザーボードを設計する上での最重要命題は、とにかく薄く、軽くというものでした。このため、メモリスロットをつけると、それだけ厚く、重くなります。さらにはスロットをつけることで載せ替えの窓をつけないといけないので、ボディの剛性を確保するのが難しくなってきます。このため、今回は最初からメモリスロットを付けない、というのは合意事項でした。

Q:ほかのモデルへ応用できそうな技術はありますか?

【宮野】もちろんありますね。今回得たノウハウは、既存のラインでも生かしていきたいですね。例えば、部品間のスペースを縮める技術などは、他のモデルでも生かしていけると思います。

●熱源を奥側に配置し、できるだけ効率のよい熱設計を行なう

Q:今回のX505ではファンは利用されていない、いわゆるファンレス設計となっています。それに併せてマザーボードの設計で配慮したことはありますか?

【宮野】CPUとノースブリッジ、メモリに関しては当初より熱の問題は懸念していました。機構設計の人間とかなり密接に打ち合わせし、ファンレス化のためには、熱源を拡散させ、密集させないことが最も重要、という結論になりました。

 そこで、CPUはA面(筆者注:PCの表側)、ノースブリッジはB面(同:PCの裏側)に配置し、メモリに関してはそれぞれ両面に分散して配置しました。

【辛島】機構側として、今回熱くなるロジック部分は、全部奥の方に配置するようにしています。このため、手前側のキーボードを打つときには、熱さを感じないようにレイアウトを考えています。

 ファンの有無についてもずいぶん葛藤がありました。入れるべきだ、という意見もあったし、薄さ軽さを実現するにはファンを取らない限り不可能だ、というのもありましたので。

 最終的にこのレイアウトに決定したとき、熱いロジック部分はみんな奥に来ているので、大丈夫だろうということになりました。

Q:熱伝導はどうしているのですか?

【佐藤】グラファイトシートと呼ばれる素材を利用して、ボディに設置させて拡散させています。また、今回は、ソフトウェアによるCPU速度のコントロールもうまくやっていて、BIOSやOSなどからCPUのクロックをコントロールしています。

 具体的には、処理速度が優先されるモードと、温度を優先させるモードの2つを用意しています。CPUの処理能力が必要な場合には前者の設定を、通常利用時の場合には後者を、と設定して頂くことで、より低い温度で利用して頂くことが可能です。

 また、もう1つ別の“熱”問題として、製造時のはんだ付けの問題があります。というのも、今回の製品のマザーボードでは、大きな部品と小さな部品が高密度実装されています。そのため、大きさの異なるそれぞれの部品は、熱許容量(筆者注:はんだ付け時に、そのチップが壊れない温度の仕様)が異なります。

 熱許容量の異なる部品を高密度実装する場合、理想的な温度ではんだを溶融させて、はんだ付けするためには、高い実装技術とノウハウが必要になります。この点を製造工場の実装部門が頑張ってくれました。

グラファイトシートを利用して熱を拡散

●量産の手法などが確立されれば他製品での採用も可能

Q:ボディの素材にカーボンファイバーを採用したのはどうしてですか?

【辛島】カーボンファイバーは、他の素材に比べて比重に対する剛性が強く、ダントツに飛び抜けているからです。実は、X505を設計する以前にも、採用してはどうか、という話が来ていましたが、どうしても量産性を考えると難しいものがありました。そんな時に、X505のプロジェクトが始まったので、それならこれだ、と決定しました。

Q:カーボンファイバーの製造はどのようにやっているのですか?

【辛島】実は、その部分は素材メーカー様の企業秘密になっていて、我々もまだ見せてもらったことがないんですよ。

Q:このカーボンファイバーは重ねて剛性を出していると聞きましたが?

【辛島】カーボンファイバー積層板の1層は約0.1mmの厚さなんです。それ一枚だとぺらぺらですが、今回はこれを6層前後重ねています。カーボンだけで約0.6mmで、実際には接着剤の層などもありますので、だいたい0.7〜0.8mmぐらいです。同じ剛性をマグネシウムで出そうとすると、0.9mmぐらいになってしまいます。

 また、比重も全然違っていて、重量も軽くできます。ただ、コストはマグネシム合金などに比べると圧倒的に高いです。今回は光沢塗装などもやっているので、さらに高価ですね。

 高コストになってしまう最も大きな理由は、製造が手作りに近い状態であるからなんです。前加工(筆者注:原材料から形にすること、この場合はカーボンファイバーの板を製造すること)は機械でできるとしても、その後、層を重ねてカーボンファイバー積層板を作り、プレスで固めてある程度の大きさに切り出す、という加工はかなり人の手が入っているのです。

 さらに、それをデザイン面に沿ってきちっとした形に仕上げないといけないので、どうしても高くついてしまうのです。

【佐藤】今回のカーボンファイバー積層板は、おそらく家電製品やコンシューマ向け製品の外装素材として使用するのは、初めてだと思います。そのため、新しい素材を採用するということだけでなく、素材の質感や美しさを出すことに細心の注意と労力を払いました。

Q:将来的には、マグネシウム合金のように一般的なノートPCでも利用することが可能でしょうか?

【辛島】マグネシム合金も初代505で採用したときには難しいと言われていましたが、今では普通に利用されています。そうした意味では、量産の手法などが確立されていくに従って、将来的には大量生産も不可能ではないと思います。

カーボンファイバー積層板が採用されているボディ

●キートップを前面に配置した独特のデザイン

Q:最薄部9.7mmに近いところにポインティングデバイスとキーボードが来ています。こういう形状だと入力しやすいものにするのは大変ですね。

【辛島】見て頂くとわかるように、キーとキーの間が離れているので、キートップがはずれないかということは心配していました。当初はフランジ(つば)をつけて抜けないようにしようという仕組みを考えていたんですが、そうするとストロークが取れなくなってしまうし、スペースもないということで断念しました。その代わりといっては何ですが、キートップのたち壁がキーボードの下にあるフレームに入るようになっていて、指がかかってもキーボードが取れないようにしています。

 ただ、安っぽいデザインにならないのか、という懸念はあって、正直不安でした。しかし、モックアップを作ってもらって見たときには結構よかったので、これでいこうと決めました。

Q:キーストロークはどうなんでしょう? 1.5mmという数字の割にはストロークがある感じがしますが?

【辛島】キーストロークを1.5mmまで踏み込んでいいのか、というのもかなりの議論がありました。ただ、実際に1.5mmストロークの試作キーボードを作ってもらって、実際に社内のテスターなどにレビューをしてもらったのですが、テスターからは割とポジティブな反応がでたので、踏み切りました。

Q:ポインティングデバイスは、他のバイオで採用されているパッドではなく、スティックを採用しています。

【辛島】そうですね、ただ、こういうデザインにする以上スティックしかないだろうというのは最初の段階で共通認識になりましたね。別の案もないわけではなかったのですが、使い勝手を考えるとこれでいいだろうと判断しました。どうしてもスティックは駄目だという方のために、マウスも付属させているのでそちらをお使い頂ければと思います。

キーボードのアップ。下にあるフレームよりも、キートップのたち壁が下に入る形となっており、キートップがはがれないようになっている ポインティングデバイスは、スティック式が採用されている

●すべての通信規格に対応するためにはPCカードの実装は必然だった

Q:基板と同じぐらいのフットプリントをとって、PCカードスロットが実装されています。

【辛島】機構設計の立場から言わせていただけば、正直なところ入れない方がいいんです。しかし、ユーザー様の立場に立って考えれば、PHSなどを利用してどこでも通信するというようなシーンを考えると、どうしても入れなくちゃいけないと考えました。そこで、大きな決断として、PCカードを入れることにしたのです。

 ただ、当初は入るかどうかはわかりませんでしたね。本体のフットプリントを大きくすれば入るかとも思ったのですが、今回は初代505と同じフットプリントを目指していたので、マザーボードなど他の部分を小さくしてもらうことでなんとか入れました。

Q:例えば、PCカードの換わりにCFスロットにしようという案はなかったんですか?

【辛島】ありましたね。

PCカードスロットを採用することで最新の通信カードにも対応可能

【佐藤】なんで落としたかというと、やはりフルサイズのPCカードじゃないと新しい技術に対応できないからなんです。例えば、今回でいえばIEEE 802.11gを入れるためには、フルサイズのPCカードじゃないと難しかったのです。

 また、今回はモデムポートが用意されていませんので、オプションでPCカードモデムを用意しています。“今更モデム?”と最初は思ったんですが、海外出張などで必要になることも考えられますので。おそらく、最後のメーカーじゃないですかね、PCカードモデムのビジネスに参入したのは(苦笑)。

Q:1.8インチHDDですが、容量も20GBとやや厳しいところです。

【辛島】HDDに関しては、現在の技術だと仕方なかったですよね。結局場所がもうなかったというのが正直なところです。

Q:バッテリは3セルで22.2Whとかなり容量を絞ったものになっています。大容量のバッテリをオプションで用意しようという話はなかったのでしょうか?

【加藤】案としてはありました。ただ、この製品としてはデザインの美しさというのも追求しているので、今回は総合的に考えてこのバッテリがベストだと考えました。今後、考えられるかもしれませんが、現時点では未定です。

Q:ACアダプタはバイオノートZやTR、V505などに添付されているのと同じものですが、本体が小さくなったのでやや大きく見えてしまいますね。

【加藤】そこもだいぶ検討したんです。小さく作ろうと思うと、どうしても厚くせざるを得ないんです。そうすると本体に比べてかなり厚くなってしまうので、今回はこのACアダプタを採用することにしました。

【佐藤】ちょうど、進化の狭間だったんですよね。ACアダプタ自体は技術革新があまりなくて、なかなか小さくならないんです。あと1cmぐらいであれば小さくなるかもしれませんが、それで大きな驚きがあるかと言えば、正直そうではないと思うのです。なので、今回は春モデルからバイオシリーズで採用しているこのACアダプタを採用することにしました。

●世界初? の6層基板を採用したメモリースティックスロット内蔵マウス

Q:メモリースティックのスロットを本体に内蔵していないソニーのPCというのは、ここ数年では初めてじゃないかと思うのですが、さすがにこの大きさだと入らなかったのですね。

【佐藤】この薄さ、軽さを出すために割り切った部分であるのは事実です。ただ、最終的に製品として見たときには、これでよかったと考えています。

 メモリースティックに関しては、今回付属の外付けマウスにスロットをつけました。これとメモリースティックを一緒に持ち歩いて頂ければ、USBストレージとしても使えますので、意外と便利なのでぜひ使ってみてください。

Q:このマウスの構造はどうなっているのですか?

ソニー株式会社 IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー ITカンパニー 6部3課 飯田恵子氏

【飯田】まず、マウスの中にはハブ相当のチップが入っていて、メモリースティックのコントローラとマウスに分岐しています。マウスは光学マウスなんですが、光学系の部品は、それだけでそれなりの高さを必要としてしまうんです。そこで、残りのスペースにどうやって、メモリースティックのスロットと周りの基板を入れていくか、というのが大変でしたね。

【佐藤】このマウスの基板、6層基板なんですよ。特に調べていないんですが、きっと世界初の6層基板マウスだと思います(笑)。

Q:マウスなのに、6層基板なんですか。

【飯田】本体が10層なら、マウスも6層なんです(笑)。

 今回、このようにマウスにも力を入れたのは、クオリティの高いものを用意することでマウスを持って歩いて頂きたかったというのがあります。普通のデスクトップPCと違って、ノートPCではマウスがなくても操作できます。しかし、このマウスの場合は、X505専用のマウスですから、モバイル時にも持って行ってもらいたいわけです。

 そこで、本体よりも厚い周辺機器は存在してはならないというルールに従って、本体と同じぐらいコンパクトだけれど、メモリースティックのスロットも付いているという製品に仕上げたかったのです。このため、6層にしてでも基板を押し込めました。

 今回、マウスの左側にはメモリースティックのスロットと基板があって、光学系は右側に置いてあります。

付属のマウス。ホイールがついた3ボタンマウスとなっている 裏側、光学ユニット自体はやや右に寄っている。内部の基板は6層

Q:このマウスも高そうですね。

【佐藤】ええ、決して安くないですよ(笑)。

【飯田】今回コネクタも本体のデザインと併せて起こしてありますし。マウスだけだと、USB 1.1のロースピードモードだけをサポートすればいいんですが、今回はメモリースティックスロットを内蔵している関係で、USB 1.1のフルスピードモードをサポートする必要がありました。ところが、フルスピードモードに対応しようとすると、どうしてもケーブルを太くしないといけないんですね。

 これだけ小さいマウスになったので、もしケーブルが太いと操作性に影響を与えますし、何よりも持ち運ぶのも大変になりますよね。そこで、性能を落とさないで、どこまでケーブルが細くできるかを、何度も検討しました。

Q:なるほど、マウスにまでこんなにこだわっているなんて知りませんでした。

 最後に、今後についてですが、これからも継続してこうした製品を出し続けていけるわけではないと思います。例えば、次にIntelが1.1GHzの超低電圧版Pentium Mを出したから、その対応製品を、というわけにはいかない製品だと思います。そうした点をどうお考えですか?

【加藤】この製品は、弊社にとってもこれまでにないチャレンジングな製品だと考えています。まずこれを出してみて、お客様からどういう反応がでてくるのか、それを見ていきたいんです。これが大きく受け入れられて、作り手がこだわって作ったものが受け入れられるのであれば、次の展開というのも考えられると思います。

 我々としても、そうしたお客様の反応を楽しみにしているところです。

Q:わかりました。本日はどうもありがとうございました。

(文中敬称略)

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【11月13日】【笠原】ソニー バイオノート505 EXTREME開発者インタビュー(前編)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1113/ubiq32.htm
【11月12日】【Hothot】ソニー バイオノート505 EXTREMEレビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1112/hotrev236.htm
【11月12日】ソニー、重量825g、最薄部9.7mmの「バイオノート505 エクストリーム」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1112/sony1.htm
バックナンバー

(2003年11月14日)

[Reported by 笠原一輝]


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