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東芝、パソコン事業計画を再度下方修正
~上期は170億円、通期は210億円の赤字に

笠貞純取締役執行役上席常務

10月24日発表



 株式会社東芝は、2003年度中間期連結決算を発表。パソコン事業が170億円の赤字となったこと明らかにするとともに、パソコン事業に関する売上高などの通期見通しを下方修正した。

 パソコン事業の再建策発表からわずか1カ月での大幅な下方修正は、同社のパソコン事業に対する見通しの甘さを露呈した格好だ。

 パソコン事業の通期見通しは、9月17日時点の発表に比較して120億円減少の7,350億円。損益に関してはマイナス80億円の赤字としていたのが、さらに130億円下方修正し、マイナス210億円とした。また、年間の出荷台数の計画も9月時点で発表した全世界470万台の目標を、国内110万台(前年比10%増)、海外350万台(同19%増)の合計460万台(同16%増)と10万台下方修正した。

 同社の笠貞純取締役執行役上席常務は、「大変申し訳ないことをした。先月の計画そのものの見通しに甘さがあった。ただ、戦略そのものに問題があったとは思わない。東芝にとって、パソコン事業の問題が中心的な課題であることは認識している。今後、中期経営計画を策定するが、そのなかでパソコン事業は中心の議論になることは間違いない」とした。

 また、「パソコン事業は分社化するといった抜本的な改革が必要だという声もあるのは知っているが、そこまで踏み込んだ議論はできていない」とコメントした。

 今回の下方修正の理由として、「LCDパネルやHDDなどの部材が想定通りの歩留まりとならず、需給がひっ迫したことで、想定したコストダウンにまで到達しなかったのが大きな要因」とした。

●パソコンの出荷台数は伸びたがコストダウン戦略の遅れが響く

 一方、全社の上期売上高は、前年同期比1%減の2兆6,083億円、営業損益は、前年同期に比べて148億円減少のマイナス119億円、税引前損益は262億円増加のマイナス176億円、当期純利益が57億円減少のマイナス321億円の赤字となった。

 売上高は微減となったものの、「ブラウン管事業や系統変電事業などの移管に伴う減少分が約900億円含まれており、これを除くと前年同期比2%増となる約650億円の増収になる」とし、事実上の増収であることを訴えた。

 セグメント別の売上高は、デジタルプロダクツ部門が前年同期比4%減の9,568億円、電子デバイス部門が同1%減の6,275億円、社会インフラ部門が4%減の7,300億円、家庭電器部門が2%減の3,135億円。

 損益は、デジタルプロダクツ部門が前年同期から375億円減少のマイナス281億円、電子デバイス部門が同207億円増の265億円、社会インフラ部門が58億円増となったものの、マイナス151億円の赤字。家庭電器部門が72億円減少のマイナス47億円となった。

 デジタルプロダクツ部門の悪化が目立つが、なかでも北米、欧州のパソコン事業の悪化が大きく影響している。

 デジタルプロダクツ部門のうち、デジタメディア部門の売上高は前年同期比433億円減少の6,708億円。そのうちパソコンが240億円減少の3,360億円となった。また、損益では、パソコンおよび周辺機器がマイナス170億円の赤字。

 「国内外ともに、パソコンの出荷台数は増加しているが、単価下落やコストダウン戦略の遅れが影響した」(笠執行役上席常務)という。

 また、デジタルプロダクツ部門では、北米向けのプロジェクションテレビの減少や、国内向けブラウン管テレビの市場縮小の影響が大きいという。携帯電話事業は、国内はカメラ付き携帯電話が伸張したものの、北米向けが減少した。

 上期の携帯電話の売上高は前年同期比7%減の900億円。通期では前年比5%減の2,000億円、出荷台数は前年比11%減の590万台(うち国内が5%増の490億円)としている。

●電子デバイス、液晶事業は好調

 一方、電子デバイス部門は、上期はNAND型フラッシュメモリや携帯電話向けMCPの伸張により、半導体事業が好調。また、高精細ディスプレイの低温ポリシリコンが伸張した液晶事業の収益改善によって増益となった。

 社会インフラ事業は、北米向け火力プラントの減少や事業移管などが影響したものの、e-ソリューション事業の成長などの明るい材料がみえはじめた。家庭電器部門は、個人消費の低迷と冷夏の影響を受けて家庭向けエアコンが不振となり、減収減益となった。

 通期の全社見通しは、売上高は前年並みの5兆6,500億円、営業損益は245億円増の1,400億円、税引前利益は369億円増の900億円と当初予測通りだが、当期純利益に関しては、100億円下方修正し、前年比65億円増の250億円とした。

 セグメント別では、デジタルプロダクツ部門が売上高が前年並の2兆700億円、営業損益が前年比468億円減のマイナス220億円、電子デバイス部門は売上高が前年並の1兆2,800億円、営業損益が前年比431億円増の750億円、社会インフラ部門は売上高が前年比2%減の1兆7,800億円、営業損益が前年比168億円増の560億円、家庭電器部門は売上高が1%増の6,400億円、営業損益が前年比39億円増の80億円とした。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□平成15年度上期決算
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/er200310/japanese/index_j.htm
□関連記事
【9月16日】東芝、パソコン事業を大幅な見直し
~製品数の絞り込み、ローエンド製品の強化など
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0916/toshiba.htm
【7月31日】東芝、第1四半期は413億円の赤字
~PCとTVの価格下落が影響
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0731/toshiba.htm

(2003年10月24日)

[Reported by 大河原克行]


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