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東芝、パソコン事業を大幅な見直し
〜製品数の絞り込み、ローエンド製品の強化など

岡村正社長

9月16日 発表

 東芝の岡村正社長は、今年度第1四半期決算において、業績悪化の要因となったパソコン事業に関して、抜本的な事業戦略の見直しを図る方針を示した。

 岡村社長は、「当社のパソコン事業は、欧米での価格下落の影響を受けたことが業績悪化の要因だが、こうした急激な世界の動向に追随できない体質であったことが問題。ここの止血作業を行なうのが早急の課題」として、事業戦略を見直す理由を語った。

 岡村社長が全社規模で推進する中期経営計画では、成長事業としての電子デバイス事業、デジタルプロダクツ事業の2つの柱と、安定事業としての社会インフラ事業の合計3つの事業を軸としていたが、電子デバイス事業、社会インフラ事業が当初計画を上回る実績で推移しているのに対して、デジタルプロダクツ事業はパソコン事業の低迷が大きく影響して、「最初からつまづいた状態」(岡村社長)となっている。

 中期経営計画で掲げた成長路線を維持するためにも、デシダタルプロダクツ事業へのテコ入れが必須となっている。中でもパソコン事業は、その中核を担うだけに、岡村社長自らも「当面、意識して取り組んでいく課題になる」と、今回のパソコン事業戦略の見直しを位置づけた。

 岡村社長によると、パソコン事業が抱える最大の課題は、プラットフォーム数(=筐体、基板)を増やしすぎたことによる開発、調達、生産、販売の効率化の分散および混乱にあるという。「結果としてコストの増加につながり、世界的な価格下落の動向に追随できなかった点を大いに反省している」と語る。

パソコン事業の方向付け パソコンの市場動向 要因分析

東芝デジタルメディアネットワーク社 新田義廣社長
 東芝デジタルメディアネットワーク社の新田義廣社長も、「グローバル競争への対応を目指したことで、機種数を増加させることに目を向けすぎてきた。結果として、リソースが分散・不足するという事態に陥り、これが開発の遅れとなった。また、個人向け需要や中小企業向け需要が拡大しているにも関わらず、大手企業中心の事業構造としていたことで、成長分野への製品供給の遅れといった問題が出た。これに、当初の想定を越えるような売価ダウンの波が大きく影響した」と反省する。

 そこで、同社では具体的な対応策として、

(1)市場変化に対応した販売戦略
(2)収益力改善に向けたコスト削減
(3)商品開発の効率化および安定供給
(4)生産体制の見直し

 の4点に取り組む。

取り組むべき施策 市場変化に対応した販売戦略 収益力改善に向けたコスト削減

 市場変化に対応した販売戦略としては、米国、欧州、中国、日本というようにエリアごとに戦略を見直す。とくに、欧州ではこれまで各国ごとに分かれていた販売体制を欧州を1つのエリアとして捉えた製品戦略と販売戦略に移行するほか、日本では、今年10月時点で、直販部門を東芝情報機器と統合して、より戦略的な企業向け販売を行なえる体制を構築。中小企業および文教市場を重点市場として展開する。また、昨年来、力を注いでいる個人向け販売ルートの強化も継続的にすすめていく考えだ。

 収益力改善に向けたコスト削減策では、販売費および一般管理費を現在の17%から、今年度下期には15%に削減。さらに来年度には12%に引き下げる。「Dellに比べると、まだまだ管理費は高いが、すべての点でDellを目指すのではなく、東芝は東芝のやり方で取り組んでいく」(新田DM社社長)としている。

 また、販売体制の見直しに伴い500人の間接人員の削減、投入製品数の絞り込み、外部リソースの活用による開発コストの削減、部品の共通化および部品の複数商品への応用展開などによる調達コストの削減、生産体制の見直しによる生産コストの削減を図る。

 商品開発の効率化では、投入機種の絞り込みによって、筐体、基板などを指す「プラットフォーム」を現在の17種類から12種類へと約30%削減。部品点数も約2,000種類から約1,500種類へと20〜25%程度の削減を目指す。

 また、ローエンドモデルに関しては、外部のODMの開発リソースを活用し、生産比率を現在の約20%から30%にまで拡大する予定で、「事業全体として、バランスのいいコスト構造を確立したい」(新田DM社社長)としている。

 生産体制の見直しでは、フィリピン、中国、青梅の3拠点体制とし、これまでドイツ、米国に設置していた生産・カスタマイズセンターの機能を中国、フィリピンへ移管。青梅は開発・試作センターとしての役割を強化する。

 同社のパソコン事業は、上期は、営業損益面において、前年同期から225億円減のマイナス170億円の赤字となる見通しだが、これらの改革効果によって、下期には90億円の黒字へと転換、通期では80億円の赤字に留めたい考えだ。年間の出荷計画は、全世界で470万台の予定。通期の売上げ計画は7,470億円。

 今回の新戦略発表では、東芝はいくつかの大きな転換を図ったといえる。

 ひとつは、市場が低価格と付加価値路線へと二極分化しているのにあわせて、東芝としてはあまり力を注いでこなかったローエンド製品への対応を積極的に図る姿勢を示したことだ。これまで東芝の製品戦略は、同社の技術力、ブランド力を生かした付加価値戦略が中心だった。これらの製品群は依然として同社の中核を担うことになるが、欧米市場でDellやHPが低価格攻勢をかけていることから、低価格を意識した製品戦略を強化する。

 2つめは、こうしたローエンド製品の増加や、コスト削減を目指して、外部リソースを積極的に活用していく方針を明確にした点だ。

 もともと東芝は、すべてを内製で造り上げるという点に差別化ポイントを見いだしてきた。それが同社製パソコンの先進性であったり、製品の堅牢性の高さであったりといった東芝ならではの評価を支える要因となっていた。だが、今回の新戦略では、中国、フィリピンといったアジア諸国での生産を強化するとともに、外部への生産委託を拡大する。これは、東芝がこだわってきた内製という考え方を根本から変えていくことになる。

商品開発の効率化 生産体制の見直し
特徴ある製品の投入 改善施策の効果

 岡村社長は、「パソコンは、ユビキタス時代の中核製品であり、今後とも当社の主力ドメインであるということに変わりはない。中長期的な方向性を見据えつつ、継続的にパソコン事業を強化していく考えだ」と話す。そして、「今回の新戦略によって、収益力のある事業に生まれ変わることになる」と自信を見せる。

 果たして、東芝のパソコン事業は、岡村社長が指摘するように大きく生まれ変わることができるのか。新たな戦略によって、ブランドイメージが大きく変化する可能性も捨てきれないだろう。

 なお東芝は、第1四半期に続いて、上期においてもパソコン事業が低迷していることなどを受けて、中間期および通期の連結業績の下方修正を発表した。

 今回発表した中間期の売上げ高は2兆6,000億円(前回予想から400億円減)、税引前損益マイナス200億円の赤字(同100億円減)、当期純損益がマイナス250億円(同100億円減)とした。

 また、通期見通しは、売上げ高が5兆6,500億円(前回予想から500億円減)、営業損益が1,400億円(同300億円減)、税引前損益が900億円(変更なし)、当期純損益が350億円(同50億円減)とした。

 「電子デバイス部門、社会インフラ部門は好調であるものの、パソコンをはじめとするデジタルプロダクツ部門の収益悪化をカバーするまでには至らない」(岡村社長)と下方修正の理由を挙げている。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2003_09/pr_j1601.htm
□関連記事
【7月31日】東芝、第1四半期は413億円の赤字
〜PCとTVの価格下落が影響
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0731/toshiba.htm

(2003年9月16日)

[Reported by 大河原克行]


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