[an error occurred while processing the directive]

NuCore、デジカメ専用エンジンの新世代機種を紹介
~京セラがFinecam 2機種に搭載

Rtune搭載の京セラ製デジタルカメラ「Finecam SL300R」

10月23日 発表

 デジタルカメラ用デバイスを開発するNuCORE Technologyは23日、同社の製品であるSiP1260/1270の量産を開始したことを発表した。これに先立ち、同社首脳陣に話を聞く機会を得たのでレポートしたい。

 なお同日、京セラ製のデジタルカメラFinecam S5Rおよび同SL300Rに同社のデバイスが搭載されていることも明かにされている。


●NuCOREのSiP1260/1270のメリット

NuCORE Technologyは、アナログフロントエンドであるNDX-1260、デジタルバックエンドであるSiP-1270を提供
 NuCORE Technologyのデバイスは、デジタルカメラや半導体録画ビデオレコーダなどの主要部分を構成するパーツとして作られている。具体的には、CCDなどの撮像素子からの映像信号をデジタルに変換し、JPEGなどのデータに変換するあたりまでの画像処理と、プレビューやオートフォーカスに必要なデータの提供などである。

 NuCORE Technologyは、これらの機能をハードワイヤードで作り、50MHzという動作周波数ながら、リアルタイム、フルサイズのデータキャプチャを可能にした。従来、デジタルカメラなどでは、画像処理をDSPなどのプロセッサとソフトウェアによる逐次処理として行なっていたため、動画撮影には、取り込んだ画像データをいったんバッファメモリに蓄積し、それを順次処理するものが多かった。このため、バッファメモリのサイズが連続撮影時間の上限を決め、一部のデジタルカメラでは、撮影時間が制限されていたり、あるいは画像サイズを小さくする必要があった。

 しかし、DSPではなく、ハードウェアで画像処理を行なうことで、動画撮影における速度的なボトルネックは、CCDなどの撮像素子からの読み出し速度あるいは記憶メディアの書き込み速度となった。

NuCORE Technologyのデバイスは、画像処理をハードワイヤードで行なうため、連写や動画撮影時に画像をバッファメモリに蓄積する必要がなく、高速で、記憶メディアいっぱいまでの撮影が行なえる

同社の分析によれば、デジタルカメラの画質は、デジタル処理部分およびA/D変換部分の影響が大きいという
 アナログフロントエンドであるNDX-1260は、50MHz(50M Sample/sec)で動作しており、SiP-1270は、20ms/1サイクルでほとんどの画像処理を実現している。JPEGエンコーダは、HDTV(1,920×1,080。約200万画素)クラスの画像を秒30枚処理することが可能となっている。

 実際、京セラの製品では、記憶メディアいっぱいまで、VGAサイズの30fpsの動画、または秒3コマの2,560×1,920ドット静止画の取り込みが可能になっており、その性能が伺える。

 こうした画像処理デバイスは、一部デジタルカメラメーカーでは、すでに採用を始めている。これは、デジタルカメラに必要な機能が明確になったからでもある。デジカメ初期の頃は、どのような機能が必要なのかは手探り状態であったが、デジカメとしての商品スタイルが確定するにつれ、必要な機能を明確に定義することができるようになった。NuCORE Technology最高責任者のジム・チャップマン氏は、「DSPによる画像処理は、アルゴリズムがはっきりわからなかった時期の名残」だという。

 また、NuCORE Technologyは、撮像素子からのアナログデータの段階でのホワイトバランス処理や低ノイズであることは、単に画質の良さだけでなく、生成されるJPEGデータのサイズにも影響するという。JPEGによる圧縮では、画像が細かく変換するところでデータサイズが大きくなるが、たとえば、本来一定の明るさになっているような部分にノイズが出てしまうと、それがファイルサイズに影響を与えることになる。

NECのMPEG-2エンコーダと組み合わせたデモ。リアルタイムのMPEG-2キャプチャが可能 CCTT(Camera Configuration Tuning Tool)は、Windows上のアプリケーションで、各種のパラメータを設定していくことで、デバイス用設定データを生成するもの。ウィンドウ内のグラフをマウスで変型させると、プレビュー画像が変化していく NuCORE TechnologyのPEK(Products Evaluation Kit)に含まれるプロトタイプ(写真左下)。これをPCに接続してCCTTでチューニングを行なっているところ


●デバイスは同じだが、同じ画像になるわけではない

ハードワイヤードで処理を行なうNuCOREのデバイスに比較して、DSPを使ったソフトウェア処理は、時間がかかり、処理速度を上げるためには、クロックをかなり高くしなければならなくなる
 NuCORE Technologyの渡辺誠一郎氏(創業者、最高技術責任者)が説明のなかで強調したのは、同社のデバイスを使ったからといって必ず同じ画像になるのではないということ。同社のデバイスは、基本的な機能は提供するものの、画像処理をどう行なうかは、メーカーがどのようなセッティングを行なうかによる。

 同社は、開発ツールとしてCCTT(Camera Configuration Tuning Tool)を提供しているが、これは、トーンカーブやエッジ補正の方法などを細かく設定するもの。これが実際には、デバイスの設定となる。そのため、カメラメーカーが、画像に対して要求するものを自らの手で設定することが可能となるわけだ。しかし、このツールでは、さまざまなパラメータを調整することは可能だが、その設定が正しく行なわれなければ、きちんとした画像を得ることができない。

 また、カメラなどで一般に問題となる「記憶色」(たとえば、空の色について人間がそうだと思いこんでいる色)との違いや、それに対する補正などについては、「我々としてはそういう処理を勧めるわけではないが、対応することは可能」だという。SiP-1270には、肌色を検出する機能があり、これを使うことで、スナップ撮影などで人の肌の色を調整することなどが可能になるという。

 実際、京セラの製品には、Rtuneと呼ばれる画像エンジンが搭載されているとカタログなどには記載されているが、これは、NuCORE Technologyと、京セラの映像に対するノウハウを組合せたものとなっている。これを渡辺氏は、「単なる技術の足し算ではなく、我々のデバイスとメーカーの映像ノウハウが一緒になって1つの技術となる」と説明する。

 また、「NuCORE Technologyのデバイスを買えば、いままでカメラを作ったことのないメーカーも高級デジカメが作れるのか?」という質問に対して、「それは不可能だし、我々としてもそういうビジネスをするつもりはない」と答える。デジタルカメラは、レンズなどの光学技術も必要で、「単にデバイスやレンズを買ってきて組み合わせればできるというものではない」という。


●毎年性能を向上

NuCORE Technologyは、毎年、性能を向上させたデバイスを出荷していくという。その性能は、DSPやASICを使ったものを大きく上回ることになるという
 NuCORE Technologyの予測では、今後は、連続撮影が可能なデジカメ、あるいは、フルフレームビデオ撮影が可能なハイブリッドデジタルカメラが主流になっていくという。同社は、そこにフォーカスを合わせ、毎年、デバイスの性能を向上させていくという。つまり、来年には、現在の1260/1270後継のデバイスを登場させる予定だ。

 おそらく、最大解像度での連続撮影の向上や画質の向上、あるいは、USB 2.0インターフェイスやプリンタ接続といった機能が集積されていくと思われる。

 その性能向上は、DSPやASICよりも速く、性能的に追いつかれることはないという。ターゲットとなる製品は、数万円のメインストリーム製品からその上の最高級機種までとしており、低価格な製品向けのデバイスは考えていないという。その点では、「カメラメーカーと同じ考えで、価格だけの競争にしないためにも、性能を向上させ、さまざまな付加価値をつけていく」という。

 ソニーが採用した4色CCDといった方向性については、「CCDメーカーの動向次第。そういうデバイスが広く使われるようになるなら対応する」とのこと。

NuCORE Technologyは、デバイスの提供だけでなく、チューニングツールやファームウェアなどの提供も行なう
 デバイスの価格については公表していないが、京セラの製品が店頭で数万円程度であることから、それほど高いものではなさそうだ。ただ、従来の方式だと、必要なバッファメモリが不要であるため、単純な比較はできない。「我々のチップは、単体で見ると高いかもしれないが、高価なバッファメモリが不要なので、トータルで考えれば安くなる」とのこと。

 実際に京セラが採用したが、すでに設計に入ったメーカーが数社あり、その多くは日本のメーカーであるという。実際、同一のCCDを使う市販機種とNuCORE Technologyのリファレンスモデルとの比較などが行なわれたが、たしかに高画質な部分はある。

 しかし、前述したように、最終的な画質は、メーカーのチューニング如何であり、実機での比較は必要だ。同じNuCORE Technologyのチップを使うからといっても、同じ画質ではないのである。来年にかけていくつかのNuCORE Technology製デバイスを採用したデジカメが登場するようだが、どのような味付けをメーカーがしてくるのかが、ひとつの見所ではあるだろう。

□NuCORE Technologyのホームページ(英文)
http://www.nucoretech.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.nucoretech.com/nu3/30_pr/press/presspr_2003.10.23.html
□関連記事
【5月14日】ニューコアテクノロジー 経営陣インタビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0514/nucore2.htm
【5月14日】ニューコア、デジカメ用イメージプロセッサ「CleanCapture」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0514/nucore1.htm
【9月12日】京セラ、厚さ15mmのレンズ回転式デジカメ「Finecam SL300R」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0912/kyocera.htm

(2003年10月23日)

[Text by 塩田紳二]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.