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NEC、中間期連結決算は増収増益
~PC事業も黒字転換、携帯電話好調

NEC 松本滋夫 取締役専務

10月23日 発表



 NECは、2003年度上期連結決算を発表した。

 これによると、売上高は前年同期比5.0%増の2兆2,830億円、営業利益は313億円増の580億円。当期純利益は144億円増の154億円となった。

 セグメント別の売上高は、ITソリューション事業が9,494億円と前年並、エレクトロンデバイス事業が3%減の4,609億円となったものの、ネットワークソリューション事業がモバイルタイーミナルの出荷増によって20%増の8,525億円となった。また、損益では、ITソリューション事業が339億円と前年に比べて40億円の増加、エレクトロンデバイス事業が267億円増加の216億円、ネットワークソリューション事業が128億円増加の250億円と、全事業部門で増益となった。

セグメント状況 全体のサマリー

 松本滋夫取締役専務は、「収益、収支ともに予想を上回る実績を達成し、着実に通期予想達成へ進捗している」と事業が回復基調にあることを強調。今中間期から復配するとともに、「下期は、円高や景気の不透明感などのリスクファクターがあるものの、当期純利益では、当初予測の300億円から400億円に上方修正する」とした。

 パソコン事業に関しては、上期も黒字を維持したことを明らかにし、固定費の削減に加えて、SCMによる生産革新、開発・集中、購買推進などといった原価低減効果によって、採算性が改善していることをあげた。

 しかし、「パソコンは、黒字転換したとはいうものの、利益の水準としてはゼロに近い」という段階。「今後は、SoundVuや水冷といった最先端技術の積極採用とラインアップの拡大によって黒字定着を目指したい」としている。

 上期の国内パソコン出荷実績は前年同期比2%増の131万台。パソコンをはじめとするパーソナルプロダクトの上期売上高は3,247億円。金額ベースでは4%の減少となっているため、「価格下落の影響が6%程度響いている」とした。また、通期のパソコン出荷計画は前年比6%増の275万台。金額ベースでは1%増を見込んでいる。

 ITソリューション事業の内訳は、SI/サービスが3,261億円(前年同期3,163億円)、ソフトウェアが416億円(493億円)、コンピュータ・プラットフォームが2,338億円(2,269億円)、パーソナルソリューションが3,479億円(3,571億円)。

 事業拡大の牽引役となったネットワークソリューション事業については、モバイルターミナル(=携帯電話端末)の貢献が大きい。同社では、携帯電話端末の出荷台数計画を前年比2倍としていたが、上期は計画を上回る770万台(前年同期380万台)に到達。第1四半期は410万台、第2四半期は360万台の出荷実績となった。

 ネットワークソリューション事業の内訳は、モバイルターミナルが3,568億円(前年同期1,854億円)、モバイルインフラが1,588億円(同1,933億円)、ブロードバンドが2,219億円(同2,277億円)、社会インフラが1,150億円(986億円)。

 ネットワークソリューション事業の250億円の利益のうち、約7割をモバイルターミナルが占めているという稼ぎ頭で、国内では、iモード用の売り上げが好調であるとともに、下期はFOMA端末の売れ行き拡大が期待できること、海外では、「通期の目標である前年比5倍増の達成に自信を深めている」とするなど、国内外ともに大幅な伸びを示していることから、通期は前年の940万台の6割増を達成したいと意欲を見せている。

 現在、海外向けの出荷が約3分の1を占め、そのうち第3世代携帯電話が約5割。また、国内外を含むと第3世代携帯電話の出荷比率が3割程度になるという。

 同社では、携帯電話事業のグローバルSCM化に本格的に乗り出す考えも明らかにした。これまでパソコン事業で培った日本での一元管理下における生産委託会社の活用、部品の現地調達、ローカルサポート体制の構築などを、携帯電話事業にも応用するもので、すでに、今年度上期には、ソレクトロンの中国・蘇州の拠点で、第3世代携帯電話の生産委託を開始。上海にもオペレーションセンターを開設して、部品調達および生産支援を行なっている。

 「モバイルターミナル事業においては、欧州、日本、中国の3拠点体制を確立したい」と抱負を語った。

 一方、エレクトロンデバイス事業は、前年割れとなったものの、「想定ペースを下回っているが着実な業績改善を見せている」と自己評価した。

 子会社であるNECエレクトロニクスが上期実績として、売り上げ、税前利益ともに想定を上回った。これによって通期見通しを達成する可能性が高まったことなどのほか、カラー液晶が上期に赤字幅を大幅に削減し、第4四半期には黒字転換を目指す予定であること、プラズマディスプレイが地上デジタル放送の開始などによって、需要拡大が見込めるといったプラス要素があるとしている。

 また、エルピーダに関しても、NEC広島のエルピーダへの完全移管が今年9月1日に完了し、300mmウェハラインが来年1月には月産1万6千個、来年度第1四半期(4~6月)には月産2万2千個体制に増強する計画を示し、「第4四半期には黒字化を目指す」とした。

 今回の上期決算について、松本取締役専務は、「今回の決算は、まだまだ不十分な水準だが、底打ちし、回復軌道に復することができた。懸念材料となっていた財務体質は改善に向かっている」としており、NECエレクトロニクスの上場で得た368億円、NECシステムテクノロジーの上場で得た169億円の上場益や、キャッシュフローの改善、事業損益の改善といった効果が着実に出ていることを訴えた。

 なお、通期計画は売上高4兆8,500億円(前年比3.3%増)、営業利益1,800億円(同3.7%増)、当期純利益400億円(前年比645億円増)を目指す。

各分野の状況と総括

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0310/2301.html
【8月1日】NEC、上期業績予測を上方修正
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0801/nec.htm
【4月25日】NEC、2003年3月期連結決算発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0425/nec.htm

(2003年10月23日)

[Reported by 大河原克行]


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