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Microsoft、ハードウェア開発ラボを公開
〜マウスやキーボードの開発過程を明らかに

ラボがあるビルの玄関に飾られた、巨大なオプティカル・マウスのオブジェ

9月3日(現地時間)公開



ラボが入るRed West Bビル

 Microsoftは3日(現地時間)、同社米本社で報道関係者向けに開催したイベント「Innovation in a Wireless World」において、マウス/キーボード製品の開発ラボを公開した。

 同社は米ワシントン州レドモンドの、「キャンパス」と呼ばれる広大な地域に本社ビルを含む多数の施設を持っている。開発ラボは本社があるメインキャンパスのすぐ隣にある、レッド・ウェスト・キャンパスの「Red West B」と呼ばれるビルにある。

●ありとあらゆるアイデアを検討

 ラボは「Reliability Engineering and Electronic Packaging Lab」、「Component Manufacturing Process Engineering and Technology Development Lab」などに分かれており、開発、設計、インダストリアルデザイン、試作、各種テスト、ユーザー調査などが行なわれている。

 ラボでは、新製品の開発工程の始まりを0.0、出荷を1.0とした説明がされた。0.0では新製品のコンセプトが決められる。0.3で製品の全体的な機能、形状が決まり、0.5ではそれらを実現する詳細部分が開発される。0.7でCADによる開発となり、0.8で設計が固まる。

 コンセプト作りや形状開発では、デザイン画やモックアップなどで製品の形状などを検討する。この段階では様々な形状の模型が作られ、ユーザー調査などのフィードバックにより全体が決定されていく。

 “様々な形状”というのは、マウス全体の形状はもとより、幅や局面が微妙に違うもの、ホイールの役割を果たす機構や、その機構の位置が違うもの、ホイールマウスではホイールの幅が違うものなど。またキーボードでは、キートップの幅や形状が違うものも検討される。こうした検討モデルの中から、今回発表されたWireless Optical Desktop Eliteでは、キートップが丸みを帯びたものが採用された。

 こうした製品開発について、Emerging Business and TechnologyのGroup Product PlannerであるJim Cauthorn氏は「我々はイノベーションを起こすのを手伝うことはできるが、それがどんな結果になるのかはわからない」と述べ、ありとあらゆるアイデアをブレーンストーミングなどで出し、検討しているとした。

 また、検討の結果、採用されなかったものは「ゴミ箱行き」となるが、「ゴミ箱に捨てられたものはゴミではない。何か新しい問題が発生したら、まずゴミ箱に行って、過去に出たアイデアを探ってみる」と、開発作業の裏側を明かしてくれた。今回の製品に採用されたチルトホイールやMy Favorites Keysも、過去に一度、アイデアが検討され、ゴミ箱に入ったものだという。「チルトホイールやMy Favorites Keysを過去に検討していた時は、他に優先すべきイノベーションがあり、製品にするには時期的によくなかった」。

新製品の開発工程 コンセプトの説明図
マウスのモックアップ群 丸みや幅など、様々なバリエーションのモデルを作って検討する
チルトホイールが誕生するまでに検討されたスタディモデルたち。左下のものはホイールをトラックボールに、右上のものはパッドにしたものだが、ユーザー調査ではホイールのように操作方向が限定されているほうが好まれたという。上段左と中はスライドパッドにしたもの。左右方向のコントロールが違っているのに注目。右下でスタディモデルたちを持っているのはGroup Product PlannerのJim Cauthorn氏。「ゴミ箱行き」と表現しつつも、視線は愛しげ
キーボードのモックアップ。キートップの丸みや幅、ピッチがそれぞれ違う

●試作も自前で

 アイデアの検討過程では、実際の試作品を作り、それをユーザーに使ってもらうなどしてデータをとる。通常の工業製品では、試作品は外部の業者に委託することが多いが、Microsoftではモデリング・セクションを用意し、自前の工作機械を揃えている。また、パッケージの写真などに使うための、動作しないモデル(フォトモデル)なども作られる。

試作品を作る工作機械のひとつ 高密度ウレタンからさまざまな試作品を作りだす 40倍に拡大したホイール。こんなものも作れる

 できあがったスタディモデルなどは、3Dスキャナにかけられ、立体データを記録される。このデータをもとに、コンピュータ上でパーツの分割のしかたや配置などを検討し、設計を進めていく。

写真左上の右側のモデルを3Dスキャン。コンピュータ上で各パーツの形状や配置を検討する
クリックボタンを機械でクリックし続け、耐久性をテストする

 さらに、「リライアビリティ・テスト」と呼ばれる耐久試験も自社内で行なう。製品が熱や振動などにどの程度耐えられるかを試験するわけだが、コンピュータによるシミュレーション試験のほか、実際に熱や振動などを加える試験も、専用の機械で行われる。ここでは光学センサーのトラッキングの精度やスムースさ、クリックの耐久回数、ケーブルや塗装の強度が試験の対象となる。


□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□Microsoft Hardwareのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/hardware/
□関連記事
【9月5日】Microsoft、新マウスと新キーボードの詳細を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0905/ms.htm
【9月4日】Microsoft、チルトホイールを搭載したワイヤレスマウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0904/ms.htm
【3月7日】Microsoftの人間工学専門家が語る
Microsoftマウス/キーボード開発の裏側
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0307/ms.htm

(2003年9月9日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]


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