ミノルタ DiMAGE A1


−脱帽もののCCDシフト式手ブレ補正−



 コニカミノルタグループのミノルタから、従来のDiMAGE 7シリーズの後継機種となるDiMAGE A1が登場した。オープンプライスだが、実売価格13万円前後だ。レンズ固定式でEVF(電子ビューファインダー)を使うタイプとしては最上位にあたる。

 20万円を切る一眼レフデジカメが登場している時節柄、それとの棲み分けを意識しなければならないジャンルだが、A1ではボディ側でのCCDシフト方式の手ぶれ補正機構に代表される「こだわり」が、最大の特徴となる。

 レンズは固定式だが、35mmフィルム換算で28〜200mm相当の焦点距離を持つ光学7倍ズームで不足はない。基本はDiMAGE 7シリーズからの継承で、このレンズの優れた光学特性を生かすために、ボディ側での手ぶれ補正が新規に開発されたというほど、メーカー側でも自信を持っているレンズだ。



●操作系は7シリーズを踏襲したが

 デジタルカメラでいちばん大切なのは絵作りだが、その前に操作系がどうかというのが基本。手元にあるDiMAGE 7、DiMAGE 7Hiと比べてみた。基本的には7シリーズ、とくに限定版で高級タイプだった、7Hiを踏襲している。おもな操作部が背面に集中しているので、7シリーズユーザーにはとっつきやすい【写真1】。ただ、いままではメインダイヤルで行なっていた電源のON/OFFが背面に移り、撮影・再生の切り替えも兼用。また、ミノルタ独自のEVFと液晶モニタとの切り替えスイッチも新しくなった。

 側面の操作系はほとんど変わっていない。わかりやすいレイアウトだ。ただ、AFモードがC(連続)とS(ワンショット)に切り替えられるようになったので、その操作部が増えただけだ【写真2】。

【写真1】 裏側におもな操作系が集中している。7シリーズよりも機能が増えたぶん、操作部が多くなって、慣れが必要だ 【写真2】 側面の操作系はほとんど変わらない。AFモードの切り替えが増えたぐらいだ

 液晶モニタは基本的には7Hiなどと同じ低温ポリシリコンTFTだが、メニューはより見やすくなった【写真3】。こういうところで地道に改良を加えているのがいい。

 メインダイヤルは露出モードの選択という銀塩一眼レフカメラと同じような操作感覚になった。ミノルタが銀塩一眼レフで採用している「撮影シーンセレクター」も搭載【写真4】。銀塩カメラユーザーにもとっつきやすくなった。

 全体として操作系はわかりやすい。ただ、普及タイプのレンズ交換式一眼レフのように、使用説明書を読まなくても使えるわけではない。高機能になったぶん、操作部が増えているから、ある程度の慣れは必要だ。

【写真3】 液晶モニタのメニューは7シリーズよりもわかりやすくなった 【写真4】 メインダイアルはフィルム一眼レフに近く、露出モードを選ぶだけ。撮影シーンセレクターが追加された

●レンズ式より効果的? CCDシフト式手ブレ補正

 まず定点観測として、ビルを各焦点距離で撮ってみた。絞りは開放(F2.8〜3.5)で、いちばん厳しい条件だ。同時に7Hiも撮り比べてみた。そうすると、A1は画質がきわめてよく、トーンも豊富。直線が曲がって写る歪曲(ディストーション)も少ない。7Hiの画質よりワンランク以上アップしている【写真A、B】。

以降に掲載する作例は、撮影した画像データをそのものです。拡大すると2,560×1,920ピクセルの画像が別ウィンドウで表示されます
【写真A】 【写真B】
同じ定点観測ポイントをDiMAGE 7Hiで撮ったもの

 次の定点観測は夜景だ。15秒という長時間露出をかけてみた。ノイズリダクションはオンにしてある。そうすると、熱ノイズ(CCDのいわば熱暴走によるノイズ)も補正(ピクセル置換)されて目立たなくなっている【写真C】。ノイズリダクションがこれだけ効いていれば、夜景も安心して撮影できる。もちろん、A3以上に引き伸ばして、細かく見るとノイズ補正のあとがわかるが、一般的にはまったく問題がない。

 次のチェックはこのA1最大のポイントである、CCDシフトによる手ブレ補正だ。200mm側で超接写を、人工照明の下でやるという無茶をしてみた。シャッター速度は1/40secで、ふつうならブレブレになるはずだ。手ブレを防ぐには焦点距離分の1秒以上、つまり200mmなら1/250secで写さなければならないからだ。ところが、驚いたことに手ブレがまったくなく、ピントぴったりで写った【写真D】。これは脱帽もので、もしかすると一般的なレンズ側での手ブレ補正よりも効果があるかも知れない。また、AWBで撮ったが、これも正確に作動している。

【写真C】 夜景の定点観測。15secの露出時間だが、ノイズリダクションが効いていて、A3以上にしなければまったくわからない。50mm相当、絞りF11、15sec、AWB、ISO100 【写真D】 手ブレ防止機能をチェックするためのかなりなイジワル撮影。人工照明下で、望遠側で超接写。しかしブレなかった。これはすごい機能だ。200mm相当、マクロモード、絞りF4、絞り優先AE(1/40sec)、AWB、ISO125

●EVFは不満だが、コストパフォーマンスは高い

【写真E】 三脚にカメラをセットして、被写体を端に置いて撮影したい場合、A1の「どこでもAF」は非常にありがたい。50mm相当、絞りF3.5、絞り優先AE、AWB、ISO200

 もうひとつのポイントは画面内「どこでもAF」、つまりAFの測距点を任意に動かせるFFP機能だ。これは十字キーの中央のボタンを押し、あとは十字キーで選べばいい。被写体を画面端に置きたい場合、とくに三脚を使っている場合にありがたい機能だ【写真E】。三脚を使ってAFロックというのがいかに不便かを知っている人には実感してもらえるだろう。

 このタイプとしては最速で、しかも前後左右の動きに追従するという3DAFは、7Hiが3点だったのに対し、A1では11点測距となり、動体予測性能もアップしたという。これは特急電車を撮ってみて、その追従性の良さに感心した【写真F】。ただし、EVFで見ていると、動体にピントが合っていないように見える。シャッターを切る瞬間に合っているのだが、EVFでもそこまでは確認できない。そのため、撮影時にはちょっと不安も感じた。また、このEVFは7Hiよりは良くなっているが、やっぱりマニュアルフォーカスはむずかしい。なお、バッファメモリの関係で連続撮影枚数は最大8コマだが、もう少し欲しいところだ。


【写真F】 特急電車で3DAFと動体予測をテスト。追従性はよいが、EVFではピントがあっていることがわからない
【画面1】 専用ソフトのDiMAGEビューワーでRAW現像をしている画面。設定パラメータはもう少し多いほうがいい

 彩度は高く、きれいな絵作りをする。いままでの7シリーズがやや地味な表現だったが、このA1になってそのままプリントアウトしても問題ない色になっている【写真G】。ただ、レタッチ派にはRAWで撮って、十分に補正をすることをおすすめする。なお、RAW現像の操作はわかりやすいが、補正できるパラメータはもっと多い方がいい【画面1】。

 ダイナミックレンジは7シリーズよりも改良され、階調が豊富になった。コントラストの強い被写体を写してみたが、ハイライト(明るい部分)の飛びもなく、シャドー(暗い部分)のつぶれもなかった【写真H】。

 このA1のもうひとつの特徴である、ワイヤレスフラッシュを使ってみた。フィルム一眼レフでは先駆者のミノルタだが、デジカメでも初めてだろう。内蔵ストロボだと反射がきつくなるので、外付けストロボを左上からワイヤレスで発光。また、背景はAEロックで出るようにしてある【写真I】。こういう撮影が簡単にできるのもこのカメラの特徴だ。

 結論として、EVFの見え方などにはまだ不満がある。しかし、さすがに7シリーズを続けてきただけあって、完成度が高い。価格を考えると、コストパフォーマンスも高く、お買い得なデジカメである。

【写真G】 彩度は従来のDiMAGE 7シリーズより上がった。このようにそのままでかなりきれいな絵作りとなっている。ただ、AFがわずかに後ピンになった。200mm相当、絞りF3.5、絞り優先AE、AWB、ISO100 【写真H】 コントラストの強い被写体を撮影してみたが、ハイライトが飛ばず、シャドーがつぶれず、ダイナミックレンジの広さを感じさせる。約40mm相当、プログラムAE、AWB、ISO100 【写真I】 ミノルタがフィルム一眼レフで導入したワイヤレスフラッシュがこのA1にも搭載された。左上から外付けストロボを発光させた。28mm相当、プログラムAE、AEロック併用、プログラムフラッシュ5600HS(D)使用、AWB、ISO200

□ミノルタのホームページ
http://www.minolta.com/
□製品情報
http://www.dimage.minolta.co.jp/a1/flash.html
□関連記事
【8月7日】ミノルタ、光学7倍ズーム機「DiMAGE A1」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0807/minolta1.htm

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(2003年9月2日)

[Text by 那和秀峻]


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