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ニコン、自社製撮像素子を搭載したデジタル一眼レフ「D2H」
~デジタル専用レンズDXシリーズに2機種追加

10月下旬発売

標準価格:490,000円

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 株式会社ニコンは有効410万画素の自社製撮像素子「LBCAST」を搭載したデジタル一眼レフカメラ「D2H」を10月下旬より発売する。価格は490,000円。

 また、デジタル一眼レフ専用レンズ「DX」シリーズの新機種やスピードライトなどの関連製品も発表された。

●RAW形式で秒間8コマ、最大25コマの撮影が可能

 スポーツ報道などの用途のために連写性能を重視したデジタル一眼レフカメラ「D1H」の後継機種。撮像素子をはじめ、バッテリ、画像処理エンジン、本体形状など、さまざまな点が変更されている。

 発表会では同社映像カンパニー副プレジデント兼開発統括部長の富野直樹 取締役兼執行役員が「従来のデジカメは“綺麗/速い/使い易い”を目標に開発してきたが、D2Hは“速い/綺麗/使い易い”」とD2Hを紹介し、高速なレスポンスや連写機能に重点が置かれていることを強調した。

 撮像素子は同社がCMOSセンサーをベースとして開発したもので、「LBCAST」(エルビーキャスト)と呼ばれる。素子の大きさは23.3×15.5mmのいわゆるAPS-Cサイズを踏襲したが、有効画素数は410万画素になった(D1Hは有効266万画素)。フィルタは原色フィルタを搭載する。記録画素数は2,464×1,632/1,840×1,224ピクセル、記録形式はRAW、JPEG、TIFFで、RAWとJPEGの同時記録が可能になった。

D2Hを掲げる富野直樹 取締役兼執行役員。連写時のシャッター音を聴かせて、連写性能を強調

 秒間8コマの連写が可能で、RAW形式で最大25コマ、JPEG形式で最大40コマ連写できる。また、レリーズタイムラグは37msを実現、D1シリーズの58msより大幅に短縮された。シャッターの耐用回数は15万回。

 画像の再生用などに2.5型21万画素の低温ポリシリコンTFT液晶を搭載(D1Hは2型13万画素)。Type2 CFスロットを備える。PCとの接続ポートはUSB 2.0(Hi-Speed)のみとなり、IEEE 1394は廃止された。

 電源はリチウムイオンバッテリ「EN-EL4」で、撮影可能枚数は1,500枚程度としている。

 本体サイズは157.5×85.5×149.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1,070g。D1Hの約157×85×153mm(幅×奥行き×高さ)、重さ約1.1kgとほぼ同様となっている。レンズマウントはニコンFマウントで、マグネシウムボディは防塵・防滴構造。

 D1Hでは別売りだったバッテリとクイックチャージャーは、D2Hからは本体同梱となる。このほか、ビデオケーブル、USBケーブル、液晶ディスプレイカバーなどが付属する。

液晶ディスプレイが大型化/高精細化され、見やすくなった 上からAV出力、ACコネクタ、USB 2.0ポート レンズ取り外しボタン、フォーカスモードセレクトスイッチなどの形状が変更された。ペンタプリズム部上部の白い部分が環境光センサー
ペンタプリズム部上部の白い部分に環境光センサーを新設 D2Hの内部。LBCASTの下にAFセンサーなどがある 11点AFは、うち9点がクロスセンサー
D1(左)との比較。ボディのレンズから左の部分(銀塩フィルムカメラではパトローネが入る部分)が小さくなり、デジカメらしさを強めた バッテリーはD1のもの(向こう側)よりも小型化された

●オプションで無線LANユニットを用意

 このほかの新機能として、ペンタプリズム部上部に環境光センサーを新設、ホワイトバランスなどのコントロールがより的確になった。また、AFは測距点が11に増えた。

 さらに、オプションで「ワイヤレストランスミッターWT-1」が用意される。WT-1はIEEE 802.11b準拠の無線LANユニットで、撮影した画像をFTPサーバーに無線で転送する。WT-1はD2Hの底部に装着され、D2HとはUSB 2.0ケーブルで接続される。WT-1の設定はPC上から行なう。

 WT-1は10月下旬発売で、価格は70,000円。「通信距離延伸アンテナ WA-E1」も15,000円で用意される。WA-E1使用時の通信距離は150m。

ワイヤレストランスミッターは底部に付く。D2HとはUSB 2.0で接続

●自社開発の撮像素子「LBCAST」

ニコンが開発した撮像素子「LBCAST」

 LBCAST(Lateral Buried Charge Accumulator and Sensing Transistor array:横型埋め込み式電荷蓄積部を有する増幅型撮像センサー)は高速撮影を実現するために、同社製レンズ群とのマッチングを考慮して、同社により開発されたもの。CMOSセンサーの回路を簡略化して配線構造を3層メタルから2層メタルとした。

 構造が簡略化されたことで歩留まりが上がり、コストを下げることができたほか、フォトダイオードとその上のマイクロレンズの距離が短くなったことから、新開発の薄型ローパスフィルタとあわせてモアレ、偽色の発生も抑えることができた。さらに、高感度、低ノイズを実現できたほか、消費電力も低くなった。

 またLBCASTは2つの出力端子を備え、1つからG画素、もう1つからR画素とB画素を同時に出力する「2チャンネル読み出し」を行なうことで、高速なデータ出力を実現している。

 LBCASTの製造は、ウェハへの露光までは外部のFabに委託するが、以降の工程はニコン社内で行なう。製造プロセスルールは非公開。従来は撮像素子を外部からの調達に頼っていたため、素子が調達できずに販売機会を逃すこともあったが、内製により安定供給を図れるようになったという。

 今後はコンパクト機への展開や、外販も考えられるとしている。

□ニュースリリース(D2H)
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2003/d2h_03.htm
□製品情報(D2H)
http://www.nikon-image.com/jpn/products/digital/d2h.htm

LBCASTはCMOSと同様の撮像素子として分類される CCDは画素の列ごとにデータを読み出すが、CMOSやLBCASTは個々の画素を指定して読み出す(XYアドレス方式)ことができる。高速2チャンネル読み出しはCMOSのこの特性を利用したもの
LBCASTはCMOSの複数のトランジスタを1つのJFETにまとめ、構造を簡略化した LBCASTはノイズでCMOSより有利 レンズとローパスフィルタ、マイクロレンズ、カラーフィルタなどを総合してマッチングを図った

●フィッシュアイなどのDXレンズを拡充、いずれは低価格モデルも

 D2Hと同時に、同社製デジタル一眼レフ専用レンズ「DX」シリーズ2機種が発表された。

 APS-Cサイズの撮像素子を搭載したデジタルカメラでは、35mmフィルムカメラ用レンズの焦点距離が1.5倍になり、広角レンズの選択肢が35mmフィルムカメラよりも限られる。DXレンズはAPS-Cサイズ撮像素子を搭載したデジタルカメラ専用設計とし、デジタルカメラにおける広角レンズの選択肢を広げるもの。D1シリーズ、D100、D2Hで利用できる。

 発表されたDXレンズは「AF-S DX ズームニッコール ED 17~55mm F2.8G(IF)」と「AF DX フィッシュアイニッコール ED 10.5mm F2.8G」。

 17~55mm F2.8Gは35mmフィルム換算で25.5~82.5mmの焦点距離となるズームレンズ。色収差を抑えるEDレンズを3枚、非球面レンズを3枚含む、10群14枚のレンズで構成される。絞りは9枚羽根で、最短撮影距離は0.36m。AF用に超音波モーターを搭載する。本体サイズは約85.5×110.5mm(最大径×長さ)、重量は約755g。フィルター径は77mm。フードとケースが付属する。価格は220,000円で、発売日は未定。

17~55mm F2.8G D2Hに取り付けたところ

 10.5mm F2.8GはDXレンズ初の魚眼レンズ。焦点距離は35mmフィルム換算で15.75mm。EDレンズ1枚を含む7群10枚のレンズで構成される。絞りは7枚羽根で、最短撮影距離は0.14m。本体サイズは約63×62.5mm(最大径×長さ)、重量は約305g。フィルターはゼラチンフィルター。ケースが付属する。価格は98,000円で、発売日は未定。

フィッシュアイ 10.5mm F2.8G D2Hに取り付けたところ

 すでに発売されている「AF-S DXズームニッコール ED 12~24mm F4G(IF)」を含め、DXレンズが10万円台の高価格な製品になっていることについて同社関係者は「DXレンズはデジタル一眼レフカメラのために企画されたレンズであり、現在ではデジタル一眼レフがプロやハイアマチュア向けの高級機となっているため、高価格/高機能なラインナップとなっている。DXで低価格な製品を出さないわけではない」と述べている。

□ニュースリリース(17~55mm F2.8G)
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2003/afsdx1755_03.htm
□ニュースリリース(10.5mm F2.8G)
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2003/afsdx105_03.htm

●VR搭載望遠レンズと新スピードライトなども

 このほか、手ぶれ補正機構(VR)を搭載した望遠レンズ、新しいスピードライト(外部フラッシュ)、画像処理ソフトも発表された。

 「AF-S VR ズームニッコール ED 200~400mm F4G(IF)」はVR機構を搭載した望遠レンズ。DXレンズと違い、35mm銀塩フィルムカメラでも利用できる。同社製デジタル一眼レフカメラに装着した場合、35mmフィルム換算の焦点距離は300~600mmとなる。EDレンズ4枚を含む17群24枚のレンズで構成される。絞りは9枚羽根で、最短撮影距離は2m。本体サイズは約124×365mm(最大径×長さ)、重量は約3,275g。フィルターは後部差込式。フードとケースが付属する。価格は980,000円で、発売日は未定。

 「SB-800」はD2Hとの組み合わせを考慮したスピードライト。従来のD-TTL調光が「i-TTL調光」となった。また、色温度情報をSB-800からD2Hに伝え、ホワイトバランスを調整できるほか、他のSB-800をワイヤレスで制御できる。価格は60,000円で、10月下旬発売。

 「Nikon Capture 4」は高度なRAW現像機能などを持つ画像処理ソフト。新たに撮像素子上のホコリなどを低減する機能や、魚眼レンズで撮影した画像を超広角画像に変換する機能などが搭載された。

□ニュースリリース(200~400mm F4G)
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2003/afs200400_03.htm

VR 200~400mm F4G SB-800

●ニコンのデジタルカメラビジネスは順調、今後もラインナップを拡充

 発表会には同社映像カンパニープレジデントの木村眞琴 常務取締役兼上席執行役員が出席。同社のデジタルカメラ出荷台数、台数シェア、金額シェア、売上高、営業利益率のすべてが伸びていることをグラフで示し、同社のデジタルカメラビジネスが順調であることを強調した。

 また、2003年のデジタルカメラ市場全体の出荷台数を4,000万台、2003年のデジタル一眼レフの市場規模を50~60万台とし、今後も伸びるとの推測を提示。「高成長に見合う商品を拡充していく」とした。

木村眞琴 常務取締役兼上席執行役員 デジタルカメラの市場規模 デジタル一眼レフカメラの市場規模
ニコンのデジタルカメラ出荷台数とシェア 売上高と営業利益率

□ニコンのホームページ
http://www.nikon.co.jp/
□関連記事
【2001年2月5日】ニコン、547万画素CCD搭載の「D1X」と秒5コマ撮影可能な「D1H」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010205/nikon.htm
【2月18日】ニコン、デジタル一眼専用レンズ「DX Nikkor」の価格発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0218/nikon3.htm

(2003年7月22日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]


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