DDR2 256MBを搭載した最強の
「RADEON 9800 PRO」を試す



256MBのビデオメモリを搭載したRADEON 9800 PRO

 ATI TechnologiesのRADEON 9800ファミリーは、同社のRADEONシリーズの最新製品としてすでに販売されてから2カ月が経過しているが、先月あたりから256MBのビデオメモリを搭載した製品が登場している。

 今回は、256MBのビデオメモリを搭載したRADEON 9800 PRO搭載ビデオカードを入手したので、その描画性能などをお伝えしていきたい。



●ビデオメモリの容量を倍に、クロックを向上させた256MB版

 今回取り上げた256MB版RADEON 9800 PROは、ATI Technologiesのリテール製品で、基本的にはバルク版として販売されている製品と同じになっている。128MB版との違いは、ビデオメモリの容量が異なることだが、ビデオメモリのデバイスがDDR2チップへと変更され、動作クロックも異なっている。128MB版のメモリクロックが680MHz(340MHzのDDR)であるのに対して、256MB版は700MHz(350MHzのDDR)となっており、帯域幅も21.8GB/secから22.4GB/secへと引き上げられている。これにより、若干の性能向上が期待できるはずだ。

 基板のデザインは、メモリチップの数が倍になったため、基板のサイズがやや大きくなった点を除けば、ほぼ128MB版との違いはない。搭載しているコネクタも、アナログRGB、Sビデオ出力、DVI-Iの3つの端子が用意されており、HydraVisionの機能を利用したデュアルディスプレイ出力が可能である点なども同様だ。


●128MB版に比べて高い性能を発揮する256MB版

 それでは、256MB版のRADEON 9800 PRO搭載ビデオカードの性能をチェックしていこう。テスト環境は、128MB版のRADEON 9800 PROとGeForce FX 5900 Ultraを比較した記事と同等で、ドライバはどちらもテスト時点での最新バージョンを利用している。テスト環境は以下の通りで、テスト結果はグラフ1~グラフ6の通りだ。なお、今回は3DMark03の詳細結果を別ページに掲載しておくので、興味があるユーザーは参照して欲しい。

【テスト環境】
 GeForce FX 5900 UltraGeForce FX 5800 UltraRADEON 9700 PRORADEON 9800 PRORADEON 9800 PRO-256MB
ビデオチップGeForce FX 5900 UltraGeForce FX 5800 UltraATI RADEON 9700 PROATI RADEON 9800 PROATI RADEON 9800 PRO
ビデオメモリ256MB(DDR SDRAM)128MB(DDR SDRAM)128MB(DDR SDRAM)128MB(DDR SDRAM)256MB(DDR SDRAM)
CPUPentium 4 3.06GHz
チップセットIntel 865G
マザーボードIntel D865GBF
チップセットドライバIntel 5.00.1012
メモリDDR333/2ch
メモリモジュールPC2700(2.5-3-3)
容量512MB
AGP Apature Size256MB
ビデオドライバDetonator FX V44.03ATI CATALYST 3.4 6.14.01.6343
標準解像度1,024×768ドット/32bitカラー/85Hz
サウンドYMF-754R
EthernetIntel PRO/1000 MT Desktop Adapter
HDDIBM IC35L040AVVN07-0(40GB)
光学ドライブTEAC DV-516E
フォーマットNTFS
OSWindows XP(英語版、SP1、DX9)

■ベンチマーク結果

■3DMark03全結果
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0627/bench.xls

【グラフ1】3DMark03 【グラフ2】3DMark2001 Second Edition(Build330)

【グラフ3】CodeCreatures Benchmark Pro 【グラフ4】Unreal Tournament 2003(flyby)

【グラフ5】FINAL FANTASY XI Official Benchmark 【グラフ6】Quake III Arena

 グラフ1は3DMark03の結果だが、Patch330を当てる前のGeForce FX 5900 Ultraの結果を別とすれば、FSAAを有効にしない通常環境においてはATIのRADEON 9800 PROがGeForce FX 5900/5800ファミリーを圧倒した。もちろん、256MB版は、128MB版を上回っている。ただし、FSAAの4Sampleをオンにした場合には、GeForce FX 5900 Ultraがすべての解像度においてRADEON 9800 PROを上回っている。

 この理由は、GeForce FX 5900 Ultraが850MHzという高いメモリクロックを実現しているためで、メモリ帯域幅は27.2GB/secと256MB版RADEON 9800 PROの22.4GB/secを大きく上回っているためだ。

 FSAAや異方性フィルタリングなどをオンにする環境ではGPUそのものの出来よりも、ビデオメモリの帯域幅がものをいってくる。このように、非常に膨大なデータ量をメモリに展開する処理では、ビデオメモリがボトルネックになってしまうからだ。

 そういう意味では、256MB版RADEON 9800 PROももう少しメモリのクロックを上げてきてもよかったのではないだろうか。ビデオメモリには高価なDDR2を搭載しているのだが、700MHz駆動ではそのメリットはあまり感じられないと言ってよい。ぜひ、より高クロックのビデオメモリを搭載したバージョンのリリースを期待したいところだ。

 グラフ2~グラフ6はDirectX 7/8ベースあるいは、OpenGLベースのベンチマークプログラムないしは3Dゲームによる結果だ。グラフ2は3DMark2001 Second Edition(Build330)の結果だが、ここでも傾向としては同じように解像度が低かったり、FSAAがオフになっている場合にはATIのRADEON 9800 PROがNVIDIAのGeForce FX 5900を上回っているのだが、逆にFSAAが有効になっている環境ではGeForce FX 5900が上回っている。この傾向はグラフ3、4、6でも同等で、低解像度やFSAA、異方性フィルタリングを有効にした場合には、GeForce FX 5900 UltraがRADEON 9800 PROを上回っている。

 グラフ5はFINAL FANTASY XI Official Benchmarkの結果だが、ここではFSSAや異方性フィルタリングによる結果をとらなかったため、RADEON 9800 PROがGeForce FX 5900 Ultraを上回る結果になっている。


●DirectX 9ベースのアプリケーションでは高い描画性能を発揮するRADEONシリーズ

 このように、比較的解像度が低い場合やFSAA/異方性フィルタリングオフなど、負荷が低く、ビデオメモリがボトルネックとならないような場合には、RADEON 9800 PROがGeForce FX 5900 Ultraを上回っているという傾向を見て取ることができる。

 特にDirectX 9のベンチマークではGeForce FXシリーズに圧倒的な差をつけている。だが逆に、ビデオメモリがボトルネックとなるような高解像度やFSAA有効の環境では、ビデオメモリの帯域幅に余裕があるGeForce FX 5900 Ultraにやや遅れをとっているというのも事実だ。

 従って、何を優先するかで選択は変わってくると言えるだろう。現在リリースされているような3DゲームでFSAAや異方性フィルタリングなどをオンにするというヘビーゲーマーであればGeForce FX 5900シリーズがお奨めということになるし、今後登場するであろうDirectX 9のゲームに備えた投資がしたいと考えるユーザーであればATIのRADEON 9800シリーズという選択がお奨めと言えるだろう。

□関連記事
【5月27日】【Hothot】NVIDIA GeForce FX 5900 Ultraの描画性能をチェックする
~FutureMarkの“Cheatドライバ”対策パッチの影響は?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0527/hotrev215.htm

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(2003年6月27日)

[Reported by 笠原一輝]


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