米HPは、ニューヨークで開幕したCeBIT Americaの会場において、Pentium Mを搭載した1スピンドルノートPCを発表した。公開された「HP Compaq nc4000」は、CPUにIntelのPentium Mプロセッサ、チップセットにはMOBILITY RADEON相当のグラフィックスを内蔵したATI TechnologiesのRADEON IGP 350M、12.1型のTFT液晶ディスプレイ(1,024×768ドット)、IEEE 802.11a/b/gのデュアルバンド無線LANを搭載可能というスペックで、サイズは279.4×233.7×27.9mm、重さ1.58kgを実現している。 ●CentrinoではなくPentium M+ATI RADEON IGPの組み合わせをチョイス
HP Compaq nc4000の特徴は、チップセットにIntel 855ファミリーを採用するのではなく、ATI TechnologiesのRADEON IGP 350Mを採用していることだ。 RADEON IGP 350Mとは、3月にドイツのCeBITで発表されたMOBILITY RADEON 7000 IGPのことで、RADEON IGP 340MにDDR333とシステムバス533MHzの機能を追加したチップセットだ。ただし、nc4000ではCPUはPentium Mであるためシステムバス400MHzで、DDR SDRAMも消費電力のことを考えてかDDR266となっている。内蔵されているグラフィックスコアは、MOBILITY RADEON相当で、ハードウェアT&Lはなし、レンダリングエンジンは1パイプライン3テクスチャユニット相当となる。 CPUはBTOでユーザーが決定することが可能で、Pentium Mの1.60GHz、1.50GHz、1.40GHz、1.30GHzの中から選択することが可能。メモリは標準で256MBで、標準でSO-DIMMスロットが1スロットがあいている。HDDは30GB(4,200rpm)、40GB/60GB(5,400rpm)から選択することができる。なお、HDDはネジ1つで交換することが可能になっており、将来HDDの容量に困った場合でも(保証はなくなるが)HDDの交換は容易だろう。 なお、光学ドライブは内蔵していないが、Evo Notebookなどと共通のUSB接続マルチベイが用意されており、DVD-ROM/CD-RWコンボドライブないしはCD-ROMドライブをオプションで選択できる。
●無線LANはIEEE 802.11a/b/gかIEEE 802.11b/gを選択可能
無線LANは、IEEE 802.11a/b/gに対応したデュアルバンド版ないしはIEEE 802.11b/gに対応したシングルバンド版から選択することができる。なお、無線LANのセキュリティ機能としてはIEEE 802.1XやCISCOのLEAPに対応しているほか、WPA(Wi-Fi Protected Access)に対応しており、現時点での無線LANのフル機能を備えていると言っていいだろう。 また、オプションでBluetoothモジュールを内蔵することも可能になっている。Ethernetは標準でBroadcomのGigabit Ethernetチップが搭載されており、現時点で考えられる限りの通信機能が搭載されていると言ってよい。 また、インターフェイス周りが充実しているのも特徴の1つで、左側面にはType2のPCカードスロットのほか、SDカードスロットが標準で用意されている。後面にはSビデオ出力、アナログRGB、USB(2.0対応)×2、Ethernet、モデムが用意されており、右側面には特にポート類は用意されていない。なお、サウスブリッジにはUSB 2.0には対応していないALiのチップを採用しているため、USB 2.0コントローラとして別途NECの単体コントローラを搭載している。
●フルピッチのキーボードとデュアルポインティングデバイスを装備
nc4000のキーボードはフルピッチの19mmで、このサイズのPCとしてはかなりゆったりしており余裕がある。というのも、横幅が279.4mmとやや大きめなためだろう。ストロークもこのクラスとしては十分確保されており、筆者は快適に入力することができた。キーボードの上には複数の機能ボタンが用意されており、ワンタッチで無線やボリュームなどをオフにすることが可能だ。 ポインティングデバイスだが、タッチパッドとスティックの両方が装着されており、ユーザーは好きな方を選んで利用することができる。 標準で6セルのバッテリが内蔵されており、オプションでセカンドバッテリを取り付けることができる。HPによると、プライマリのバッテリ3.5時間~5時間、セカンドバッテリを取り付けた状態で6~8時間駆動することが可能であるという。
●ThinkPad X31シリーズの対抗機種として注目したい製品
このように、nc4000はA4サイズにかなり近いサイズと、サブノートPCとしてはやや大きめだが、Pentium Mを、チップセットにATIのRADEON IGP 350Mを採用し、無線LANは11a/b/gを選択することができるなど、これまでのPentium M搭載ノートと比べて、個性的なスペックになっており、そうした点でも注目に値する。 仕様やスペックという点では、明らかにIBMのThinkPad X31の対抗機種となる製品だろう。nc4000は279.4×233.7×27.9mmで重さ1.58kgと、ThinkPad X31は273×223×24.9~30.2mm、重さ1.64kgと大きさ、重さの点でもかなり近いスペックとなっている。 また、Gigabit Ethernet、デュアルバンド無線LAN、ATIのグラフィックスチップ(X31はMOBILITY RADEONの単体)というスペックでも似通っている。 nc4000は、とりあえず米国で発表されたが、日本を含めたワールドワイドで販売されるとアナウンスされており、今後日本でも発売される可能性が高い。価格は、Pentium M 1.4GHz、30GB HDD、256MBメモリで1,650ドルとなっており、1ドル120円換算で約198,000円となる。すでに米国では販売が開始されており、HPのオンライン販売サイトでも申し込み可能となっている。 □HPのホームページ(英文)
(2003年6月19日) [Reported by 笠原一輝]
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