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マイクロソフト、車載端末OS
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参考出品された三洋電機のポータブルナビ |
5月2日出荷開始
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マイクロソフト株式会社は車載情報端末用OS「Windows Automotive 4.2」を5月2日より、自動車メーカー、車載情報端末メーカー、車載情報端末向け開発者に出荷する。
同社は24日、Windows Automotive関連メーカーとサービス&コンテンツベンダー向けカンファレンス「Microsoft Automotive & Telematics Conference in Japan」を都内で開催し、Windows Automotive 4.2の概要を説明した。また、会場ではWindows Automotive搭載機器や関連機器、関連技術が展示された。
●車を.NET端末にするWindows Automotive
Windows AutomotiveはWindows CEをベースとした車載端末向け組込OS。'98年にWindows CE 2.0による「Auto PC」構想を発表し、「Windows CE for Automotive」「Windows Automotive」と改称されてきた。
カーナビゲーションシステム、カーオーディオといった従来の車載機器に、PIM機能や通信機能など、いわゆるカーテレマティクス機能を加えたもの。Windows CEベースだが、ユーザーインターフェイスはPCやPDAと大幅に異なり、特に車載用途のために音声インターフェイスが用意される。すでに、Windows CE for Automotiveを採用したクラリオン CADIASや、トヨタ G-BOOKなどの端末、BMW 745i、シトロエン Xsaraなどの搭載車らが市場に投入されている。
Windows Automotive 4.2に採用された機能は、Automotive UI Toolkit、.NET Compact Framework、オープンスタンダードな通信規格への対応、新コンポーネントなどがある。
Windows CE for Automotiveを採用した機器や車両。Volvoや三菱などの名前も見える | Windows Automotive 4.2の機能 |
「Automotive UI Toolkit」はユーザーインターフェイス(UI)をデザインするツール。車載機器では走行中の安全確保などのために独自のUIが必要なほか、多種多様な端末向けに多数のUIを作成しなければならないため、開発工数の多くをUIデザインが占める。Windows Automotiveでは車載用UIとして「Automotive UI(AUI)」を策定し、様々な種類の端末や用途にあわせたスキンの開発を容易にする。
「.NET Compact Framework」は、車載機器や携帯機器など、処理能力に制限のある機器向けに、.NET Frameworkをアレンジしたもの。.NET準拠のサービスなどを車載機器でもシームレスに利用できる。
このほか、通信機能を強化し、Bluetooth、IEEE 802.11、IEEE 802.1x、IEEE 1394、VoIP、リアルタイムメッセージング機能(RTC/SIP client)、IPv6、車載用光ネットワーク規格「MOST」など、オープンスタンダードに対応したほか、Internet Explorer 6.0相当のブラウザコンポーネントや、マルチメディアコンポーネントなどが搭載された。さらに、起動や地図描画の高速化といったチューニングも施されている。
一方、Windows Automotive用に開発された「SAPI」(音声認識合成インターフェイス)や「Transaction safe FAT」(ストレージへのデータ書き込みの信頼性向上技術)などはWindows CEコアに取り込まれ、Automotive以外のWindows CEでも利用できるようになった。
●車載用Messengerなどをデモ
Microsoft Automotive & Telematics Conference in Japanの基調講演では、Microsoft オートモーティブビジネスユニットのボブ・マッケンジー ゼネラルマネージャーや、マイクロソフト ITS統括部の平野元幹部長らが、同社のテレマティクス戦略と、Windows Automotive 4.2の概要を説明。Windows Automotiveが、同社の.NET構想の一翼を担い、「いつでもどこでも、どんな機器でも接続されるライフスタイル」を実現する機器の1つであることが強調された。
Microsoft オートモーティブビジネスユニットのボブ・マッケンジー ゼネラルマネージャー | マイクロソフト ITS統括部の平野元幹部長 | 「いつでもどこでも、どんな機器でも」 |
また、会場に設置された車載機とサーバー、携帯電話などで、Windows Automotiveの実際の利用シーンについて、いくつかのデモンストレーションを行なった。1つは車載機からレストランを予約するデモで、予約が取れると地図上にレストランの位置が表示され、ナビゲーションが開始される(はずだったが、デモではトラブルにより表示できなかった)というもの。
もう1つは、2台の車載機と携帯電話間でのリアルタイムメッセンジャーのデモ。車載機の画面にはメッセンジャーに参加しているユーザーの状態(乗車中かどうか、停止しているかどうかなど)が表示された。また、文字のほか、VoIPを使った音声によるメッセージ交換のデモや、ホームサーバーから無線LANによりマルチメディアファイルを車載機に転送、再生するデモも行なわれた。
●ポータブルナビ「GORILLA」のWindows CE版などを参考展示
このほか基調講演では、松下電器産業株式会社 パナソニック・オートモーティブ・システムズ社の安田威彦氏が、Windows CE for Automotiveを採用したトヨタ「G-BOOK」車載機の開発について講演。Windows CE for Automotiveのために同社が開発したツールが、Windows Automotive 4.2に取り込まれていることなどを明らかにした。
松下電器産業株式会社 パナソニック・オートモーティブ・システムズ社の安田威彦氏 | G-BOOK端末のブロック図。32bitのメインCPUのほかに、タッチパネルやナビゲーション機器用に16bit サブCPUを備える | Windows CEはプロセス毎にメモリ空間が独立しており、ほかのプロセスのメモリ空間を破壊しないようになっている |
基調講演やテクニカルセッションのほかに展示会場が設けられ、Windows CE搭載車載機や、プロセッサ、グラフィックチップ、音声合成/認識技術などが展示された。こちらは写真を中心にレポートする。
●普及の課題はインフラと用途
基調講演後に行なわれたプレスカンファレンスでは、Windows Automotiveによるカーテレマティクス戦略においては、日本企業のグローバル展開を支援する方針などを明らかにした。
本イベントで公開されたデモは具体的なサービスやコンテンツではなく、利用シーンを想定したものに終始し、展示内容も検討段階の参考展示や要素技術がほとんどで、製品の具体的なユーセージモデルやサービス内容が想像しにくかった。同社の平野部長は、カーテレマティクスの普及には、通信インフラの改善や、カーテレマティクスならではのサービスやコンテンツの登場が必要という認識を提示しており、同社のカーテレマティクス戦略の具体像を描くには、まだ時間がかかる模様だ。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases03/042403_WA42.asp
□Windows Automotiveのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/automotive/
□関連記事
【2002年11月28日】Windowsプラットフォームを採用した車載PC
クラリオン「Auto PC CADIAS」を試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1128/clarion.htm
【2002年10月16日】クラリオン、Windows CE搭載の車載PC「CADIAS」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1016/wpc02.htm
【'98年1月9日】【海外】あなたのクルマと手のひらにPCを--Microsoftの新戦略
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980109/kaigai01.htm
(2003年4月24日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]
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