今週の記事を書こうと取材後にホットスポットらしき場所を探してみる。すると目の前にはマクドナルド。“できればマックよりモスがいい”と探してみたものの発見できず、仕方なく“悪い予感を感じつつ”マクドナルドに入店したのだが……。そう、お察しの通りホットスポットの導入されていないマクドナルドだった。実は隣に無線LANが使える喫茶ルノアールもあったのだが、昼飯抜きで腹が減っていたのが運の尽きだった。 今回に限ったことではない。最近は無線LANが使えるスポットが都内で急増しているから、「この場所は無線LAN使えるのかな?」と試してみると、意外なところで使えることも多い。しかしその反面「ここなら使えるハズ」と高をくくっていても使えなかったなんてこともやっぱり多い。たぶん、皆さんも同じじゃないだろうか? IEEE 802.11かどうかを確認する必要はないから、2.4GHz帯の電波が出ているかどうかだけを確認できるような、簡単なホットスポット検知グッズはないものだろうか? USBメモリキーと一体になっているとさらに良いのだけど。
などと、相変わらず与太話が多いが、なんと今回は連載開始から200回になるそうだ。実は僕自身も、担当も、まだ199回のつもりだったため、特別に何か意味を込めているわけではないが、連載を始めたのが4年ちょっと前。読み返してみると、今とやっていることは大して違いがない。とはいえ、200という数字は一般的には区切りになっても、僕らの業界では全く切りの悪い数字だ。次は11111111b回(256回)でも目指すかな?
●旧式になったノートPC、新たなる行方
440BX時代のメモリスロットが2個あるノートPC(コンパックEvo N400c)に、保証外ながら動作した512MBのSO-DIMMを2枚差し、アプリケーションテスト用のWindows Server 2003マシンとして立派に動作中だ。N400cはDynabook SS S5の直前に使っていたマシンだが、このクラスのマシンともなるとパワーを備えつつ、省電力機能も充実している(その上、停電対策もバッチリ)ため、個人が手軽に使うサーバとしてピッタリ。 もっとも、自宅にサーバなんかいらないという読者の方が多いのだろうが、PCをルータにしたり、VPNサーバにしてみたり、Webサーバにしてみたり。最近はWindows向けの手軽に使えるWebベースのアプリケーションも増えてきているから、ノートPCの買い換え時に少し勉強してサーバ構築に挑戦してみるのもいい。もちろん、ちょっとコンピュータの扱いに自信のある人ならば、Linuxサーバにするのも悪くない。X Windowを使わなければ、Pentiumクラスの旧式ノートPCでも十分に役立つハズ。 前回書いたのはそんな話だったが、もうひとつ有望な使い道を偶然発見した(といっても単に製品を見つけただけなのだが)。ある日秋葉原を歩いているとき、ある店でクラムワークスのMagic NC Plus(13,800円)という製品が目に入ったのだ。この製品は2.5インチHDDコネクタに接続すると、基板上のフラッシュメモリにインストールされたLinuxが起動し、ディスクレスのノートPCとして利用できるというものだ。 動作条件などはクラムワークスのホームページを参照していただきたいが、機能的にはMozillaブラウザを利用したインターネット端末としての使い方、rdesktopというWindowsのRDP互換ターミナルプログラムを利用したリモートデスクトップ端末としての使い方が主となる。基本的なunixutilsやkterm、viなどはインストールされており、Telnetで別の端末にログオンすることもできる。 Mozillaを動作させるためには、120MB以上のメモリとCeleron 333MHz以上のプロセッサが必要とのことだが、Crusoe TM5600 600MHzのLaVie MXで動作させても全く速度面での不満は持たない。またrdesktopなどでターミナルとしてサーバにアクセスするだけならば、Pentium 100MHz以上であれば十分に動作するという。ただしメインメモリは48MBが必要となる。なおグラフィックスはVESAのVBE 1.2に準拠したドライバが組み込まれるため、SVGA以上をサポートしたほとんどのノートPCで、問題なく動作するはずだ。
インストールは簡単で、HDDの代わりに取り付け、起動したあと(ATAインターフェイスのBIOS設定でLBAモードが有効になっていると起動しない場合があるので、あらかじめLBAモードを無効にしておく必要がある)に現れるメニューで無線LAN、Ethernet、画面解像度などを指定。システムのスタートを選べばX Windowが立ち上がる。
●旧式サブノートPCをお手軽Web端末に Magic NC Plusの基板上には64MBのフラッシュメモリが実装され、そのうちの約半分をシステムが利用。残りのエリアにユーザーデータが保存される。つまり約32MBほどのユーザーエリアということになる。 フラッシュメモリをストレージに使うというと、書き換え寿命を気にする人もいるだろうが、Magic NC Plusではメインメモリ上にRAMディスクを設定し、その中にすべてのファイル(ユーザーデータを含む)をロードして動作している。保存しなければならないユーザーデータは、5分に1度、バックグラウンドでデーモンがフラッシュに書き戻す仕組み。ウィンドウマネージャのメニューから、ユーザーデータの同期を選ぶと手動でフラッシュメモリ上のデータへ書き戻すこともできる。 メモリ上で動作することを利用したKIOSKモードもある。起動時の構成メニューでKIOSKモードを選択しておくと、バックグラウンドでメモリ内容を書き戻すデーモンを起動しない。このため、電源を切るとユーザーデータが失われ初期設定に戻る。誰でも使える公衆端末のように動かすときに便利なモードだ。 すべてのプログラム、データがRAM上にあるため動作は非常に軽快。ただしストレージの容量はメモリサイズに依存することになる。Magic NC PlusではUSB接続のフラッシュメモリ(USBマスストレージクラスの製品に限る)も、ユーザーデータの保存に利用可能だが、たとえば256MBのフラッシュメモリを一杯に利用すると、動作時にはそれをRAM上に転送しなければならないため、メインメモリをその分多く消費し、ロード時間も長くなってしまう。 とはいえ、32MB程度のユーザーメモリでも、手軽なWeb端末としては十分。たとえば我が家ではバッテリ持続時間の長い反射型液晶パネル搭載のLaVie MXにインストールしてみたが、HDDが存在しないこともあってか、無線LANでつないだまま起動しっぱなしでも6時間以上使える。バッテリが少々へたり気味であることを考えると十分な持続時間だ。リビングから手軽にWebやメールにアクセスするだけなら、全く不満はない。 また、個人的にはrdesktopを利用して、Windows XP Professinalのリモートデスクトップ機能へアクセスする使い方が気に入っている。rdesktopはRDPというWindowsターミナルのプロトコルに対応したクライアントプログラムで、音が出ない、あるいは256色でしか利用できないといった制限があるものの、ネットワーク経由で書斎などにある別のWindows PCを操作できる。アプリケーションはすべてホスト側のWindows PCで動作するため、動作パフォーマンスもMagicNC plusをインストールしているPCの能力にはほとんど依存しない。 評価後、クラムワークスに問い合わせてみたが、今後もシステムソフトウェアを機能アップさせ、Webサイトを通じてユーザーに配布する予定だという。たとえば、ATA互換のPCカードやAirH"などの通信カードには、現在のところ対応していないが、将来的にはそれらにも対応していきたいとしている。 同社はCD-ROMでブートさせ、オンメモリでキャッシュプロクシサーバとして動作させるソフトウェア「Magic PROXY」など、ハードウェアスペックの低いコンピュータを再利用してみようという気になるユニークな製品をリリースしている。個人的には、今後はHDD無しでVPNサーバとしても動くレジデンシャルゲートウェイのような製品にも期待したい。
捨てるに捨てられず、誰かに使ってもらうにはパフォーマンスが低すぎる。売りに出すほど価値もない。そんなノートPCを持っているなら、Magic NC plusのような製品を検討してみてはいかがだろうか? なかなか、意外に使えるものになるかもしれない。
□クラムワークスのホームページ
(2003年4月23日) [Text by 本田雅一]
【PC Watchホームページ】
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