第96回:使わなくなったノートPCの行方



 今週の話を進める前に、先週お伝えした内容の一部修正を記しておきたい。IEEE 1394をNICとして利用する機能は、Windows Meから導入されていたハズ、とのご指摘をいただいた。確認したところ、Windows NT/2000では初めての機能だが、Windows Meには導入されていた。マイクロソフトのナレッジベースで、NIC1394をキーワードに検索すると詳細が出てくる。

 また、本文全体にわたってTerminal Serviceという表現を用いたが、正しくは「Remote Desktop」という名称になる。プロトコルはTerminal Serviceと基本的に同じで、Terminal Serviceクライアントから接続することも可能だが、機能の名前としてはTeminal Seriviceではなかった。訂正してお詫びしたい。

 ついでにRemote Desktopの機能で、先週は気が付いていなかったことをいくつか紹介しよう。Remote Desktopの画面からファイルをローカルのフォルダやデスクトップにドラッグ&ドロップすると、簡単にファイルのコピーを行なえる(逆はダメ)。クリップボードも透過的に扱うことが可能で、こちらは双方向にコピー(カット)&ペーストを行なえる。この機能は西川和久氏に教えていただいた。


●我が家での旧型ノートPCの行方

 何年もPCを使い続けていると買い換えに伴い、使い古したPCが溜まってくる。いくつかは友人宅にもらわれていったりするのだが、ノートPCは(かつては特に)単価が高く、しかも手に馴染ませたものが多いだけに手放しにくい。すると、狭い我が家の中にあるノートPCの台数が増えてくる。

 こうしたノートPCは、いずれも旧式だから搭載メモリ量も上限が低く最新のOSを使うには少々貧弱。デスクトップPCなら比較的安価にパワーアップもできるが、どうにも使い道が限られてしまう。こうしたノートPCを我が家でどのように使っているかを紹介しよう。

 旧型といっても程度があるが、一番使いやすいのが0.25μmプロセスのMMX Pentium(Tillamook)を搭載したノートPCだ。Tillamookは発熱が少ないため、搭載機のほとんどに冷却ファンが付いていない。つまり動作音が小さく、連続して動作させたときの信頼性も高い。家庭内で使うちょっとしたサーバーにとても適しているのだ。しかも、内蔵バッテリがUPS代わりにもなってくれるし、専有面積も小さくて済む。

 この頃のTillamook搭載ノートPCは、メモリ増設の上限が64MB程度であることが多いため、Windows 2000を動かすには少々荷が重いが、Windows NT 4.0やWindows 9xなら大きなストレスを感じずに利用できる。ファイルサーバーやプリントサーバーにする程度なら、プロセッサパワーも十分。Windows NT 4.0なら、IISを動かしてちょっとしたWebアプリケーションを動作させることも可能だ。もちろん、UNIX系のOSを扱うスキルがあるならLinuxを使うのもいい。

 我が家の場合は、別マシンのハードディスクを増設するときに取り出した8GBの2.5インチハードディスクをサーバーにするノートPCに取り付け、音楽ファイルとプリンタのサーバーとして利用している。Tillamook程度のパワーがあれば音楽プレーヤーとしても利用することが可能だ。我が家の場合、テレビの脇の目立たない場所に、Tillamook搭載のサブノートPCを置いてある。

 サブノートPCはAT&T Laboratories Campridgeが配布しているフリーのリモートコントロールソフト「VNC(http://www.uk.research.att.com/vnc/)」をインストールしてあり、普段利用しているノートPCから音楽再生をリモートで指示できるようにした。普段利用しているノートPCは無線LANで家庭内のLANにつながっているため、ワイヤレスリモコン感覚で操作できる。VNCはLinux版もあるので、MP3環境が比較的整っているLinuxを利用すればWindowsよりも軽い動作になるだろう。


●常時接続ユーザーにお勧めしたいノートPCのサーバー活用

 もし常時接続の環境が整っているなら、外部からアクセス可能なサーバーとしてノートPCを利用する道を探ってみるのはいかがだろう。サーバーと言っても、パブリックに公開するWebサーバーやメールサーバーを構築しよう、と言っているのではない。もちろん、そうしたことをしてもいいが、もっと身近な例でも楽しめる。

 先ほど紹介したVNCはIPベースのプロトコルを使うため、会社や出張先などからもインターネットを通じてリモート操作を行なえる。VNCにはWebブラウザ上で動作するJavaベースのクライアントもあるため、VNCクライアントをいちいちインストールする必要がないのだ。出先のWebブラウザを使って自宅のPCにアクセスできるのは大変便利だ。

 もちろん、インターネットを通じてファイル共有を行なうこともできる。ただし、Windowsのファイル共有、特にWindows 9xのセキュリティはとても甘い。きちんとパスワードが設定されていればまだマシなのだが、Windowsのファイル共有に使われているTCPポートは、世界中のイタズラ好きから狙われる対象であるため、利用は避けた方がいい。

 僕はコンピュータセキュリティに関して自信があるわけではないので、本職の友人などに聞いてみたところ、WebDAVを使う方法がもっとも安全ではないか、と教えてもらった。WebDAVはWebサーバーとの間で双方向の通信を行なうための規格で、情報をダウンロードするだけでなくアップロードすることもできる。

 Windowsの場合はWindows NT/2000のIISか、Windows 9x系で利用可能なPWS(Personal Web Service)をインストールし、マイクロソフトのサイトからダウンロード可能な(もしくはFrontPageに添付されている)FrontPage Server Extentionをインストールすれば、手元のPCをWebDAVサーバーにできる。クライアント側は、Internet Explorer 5.0以降をインストールすると利用可能になり、Webフォルダ機能を用いてアクセス可能だ。通常のフォルダと同じ感覚で利用できるので誰にでも簡単に利用できるだろう。

 このほかにも、自宅のPCがサーバーになれることで楽しめることは少なくない。近く発売される予定のOffice XPには、一部のパッケージにSharePointという情報共有サイト構築モジュールが提供される。企業向けの機能ではあるが、実際に使ってみると仲間内でちょっとしたコミュニティサイトを作るのにちょうどいい機能が備わっている。

 パワーは低くとも省電力で場所も取らないノートPC。もし使わなくなるマシンがあるなら、サーバーとして生き残らせる道を探ってみてはいかがだろうか?

□間連記事
【4月2日】マイクロソフト、Office XPを国内発表。発売は第2四半期
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010402/office.htm

[Text by 本田雅一]


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