会期:3月2日~5日(現地時間) 写真に関する分野を幅広くカバーするトレードショーである「PMA」は、カメラだけではなく、ソフトやメモリを始めとしたデジタルフォトに関係するメーカーも数多く出展している。
今回はそんな中から注目されるものをピックアップしよう。 ●Adobe、画像整理ソフト「Photoshop Album」を大々的にアピール
イメージングソフトウェア界の“巨人”、Adobe。同社は数年前からPMAに出展しており、会場での人気も高い。 今回のPMAはCOMDEXやCESで有名なラスベガスコンベンションセンターで開催されたが、展示会場は近年建設されたばかりの2階建ての新ホールとなっている。そして、一階は従来からの写真業界系メーカー、2階は家電やPC系メーカーのブースが中心となっている。 このAdobeのブースは2階で、HPやエプソンのブースが立ち並ぶエリアにある。ブースではソフトウェアをデモとともに体験できるよう、PCをずらりと並べたハンズオンエリアが設けられていた。 今回のメインは、今年1月に発表され、米国では発売が始まっている画像整理ソフト「Photoshop Album」。このソフトは、なるべく簡単な操作で、デジタルカメラなどで撮影した大量の画像データを管理するもの。 操作は簡単。このソフトにデジタルカメラの画像を読み込むと、Exifの撮影日情報をもとに、自動的に時系列で画像を管理することができる。また、簡単に各画像にコメントを付加することができるため、画像の検索も容易だ。 さらに、このソフトだけで画像の簡単な補正もできるうえ、フォトカードの作成や指定サイズでのプリントも可能。簡単操作で保存画像を一括してCDに書き込む機能や、PDFアルバムと呼ばれるPDF形式で配布できるスライドショー機能付きファイルを作成することまでできるなど、実に多機能なソフトウェアだ。 同社ブースでは、簡単な登録だけで同ソフトのCD-ROMを配布し、ハンズオン形式のデモも行なうなど、かなり積極的なアピールを展開していた。
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●PRETEC、世界最大容量の6GB CFカードを参考出品
デジタル一眼レフの台頭とRAWデータの普及により、ますます要求が高まりつつある大容量CFカード。 昨年11月のCOMDEX/FALLでは台湾のPRETECが3GBのCFカードを発表し話題になったが、今回のPMAでは、開催直前にLexar Mediaが世界最大級の4GB CFカードを発表し、世界最大容量の記録を更新した。 だが、PRETECは、次なる隠し球として、またまた世界最大容量となる「6GB」のCFカード(正確にはCF Type2)を参考出品していた。 このカードは、正式発表ではなく、あくまでも参考出品という形で、特別なプレスリリースもない。だが、ブースで聞いてみると、具体的な仕様や日程は未定だが、近日発売予定で、価格はかなり高価になるということだった。 また、Lexar Mediaが高速性をウリにしている点について聞いてみると、同社のカードは速度表示こそしていないが、かなり高速なコントローラーを搭載しているので、速度には自信があるという。 もっとも、現在のデジタルカメラはその大半がFAT(FAT16)しかサポートしておらず、最大でも2GBのカードまでしか対応できない。現在、FAT32対応を明確に謳っているのは、キヤノンの「EOS-1D」「EOS-1Ds」「EOS 10D」、コダックの「DCS Pro14n」など、ごく限られたハイエンド寄りのモデルのみ。
そのため、メモリカードメーカーとしても、2GB以上のカードを発売しても、ごく限られた機種のユーザーしか使えないという、大きなジレンマがある。しかも価格はLexar Mediaの4GBカードで1,500ドル、PRETECの3GBカードで約2,500ドルと、高級機が楽に買えてしまうほど高価な点もネックだ。 今回のPMAでは日立の4GB Microdriveも参考出品されており、両社とも、4GB Microdriveの発売より前に、それを超える大容量化を目標としたことは容易に想像される。もちろん、大容量化も歓迎したいが、むしろ1GBクラスのカード価格が大幅に下がることを期待したいところだ。
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●Nixvue、カードからCD-Rへの直接記録と画像閲覧ができるストレージを発表
Nixvueといっても知っている人は少ないと思うが、高機能で手頃な価格のデジタルカメラ用データストレージとして海外で人気のあるメーカーだ。 同社は今回、メモリカードからPCなしにCD-R書き込みが可能なストレージ「VIZOR」を発表した。 通常、この手のストレージは記録媒体として2.5型HDDを採用しているのに対して、本機はCD-R/RWドライブを採用しているのが最大の特徴だ。価格も299ドルとなかなかリーズナブルなものとなっている。 このストレージは、デジタルカメラに特化したもので、ビデオケーブルでテレビに接続したり、オプションの2.5型カラー液晶(99ドル程度)を装着することで、メモリカードやCD-R内の画像データの閲覧ができる。 しかも、JPEGやTIFFだけではなく、主要メーカーのCCD RAWデータにも対応しているのが同社の大きな特徴。そのため、他の携帯型ストレージでは、RAWデータは単なるファイルコピーだけしかできないが、本機なら簡単な画像のチェックができるため、とても安心感がある。 なお、本機で再生可能なRAWデータは、ニコン、キヤノン、富士フイルム、ミノルタなど、主要メーカーのものに対応している。 対応するメモリカードは、CF、SD、メモリースティックで、各専用スロットを備えている。さらに、CFカード変換アダプターを併用すればxD-Picture Cardでの利用も可能だ。 使用されているCD-Rユニットは、CD-R時で40倍速、CD-RW時で12倍速書き込みと高速。そのため、遅いカードではCDへのデータ書き込みが、メモリカードから読み出しより勝るため、記録時間はカードの速度に依存するという。 もちろん、CD-Rのため、ディスク側の容量は650MB前後という制限があるが、それより大きな容量のメモリカードの場合には、本機が自動的に判断し、2枚のディスクに分割して書き込むといった機能を備えている。 残念ながら、CD-R書き込み時の安全性を考慮した結果、本機はバッテリ駆動に対応しておらず、AC電源かオプションの自動車用ケーブルを使ってシガライターソケットの12V電源を使って駆動する方式を採用している。 その意味では、携帯用ストレージというわけではないが、RAWデータを含めた画像確認が液晶モニターやテレビ画面でできるうえ、必要に応じて複数のCD-RディスクにデータをバックアップするといったHDD方式にはないメリットがある、なかなか魅力的な多機能ストレージといえる。 同社はこのほかにも、ユーザーがHDDユニットを簡単に交換できるUSB2.0対応の携帯型HDDストレージ「DA Lite」(データ保存機能のみ・ベーシックなHDDなしタイプで200ドル。大容量HDD版もあり)や、同機にテレビ出力機能を追加した「DA2」(ベーシックな20GB HDDモデルで399ドルから。大容量HDD版あり)なども同時発表していた。もちろん、後者はRAWデータ表示に対応しているため、RAWデータユーザーにとっても、なかなか魅力的な存在だ。 なお、本機の日本国内向け代理店は、日本ポラデジタルが行なっている。PMA取材の現時点では、日本市場への導入の可否もわからないが、いずれもなかなか魅力的なモデルだけに、ぜひとも手頃な価格での国内導入を期待したい。
□関連記事 ●DURACELL、デジタルカメラ用充電式バッテリ互換の角形一次電池「DURACELL CP1」を開発
このところ、薄型デジタルカメラが主流になり、各機種とも専用形状の充電池を採用しているものが主流になっていた。 確かにコンパクトで携帯性もよく、バッテリの持ちも以前に比べて格段に向上したが、それでも出先でバッテリがなくなったら、という不安感はつきまとう。 そこで大手バッテリメーカーのDURACELLは今回、薄型充電池との互換性を考慮に入れた、角形の一次電池を開発した。 今回公開されたものは「富士フイルム NP-60」(FinePix F401などが採用)や「ペンタックス D-L12」(Optio 430などに採用)と、接点を含めた互換性のある角形形状のもの。サイズは53×35×7mmとなっている。 電圧は3.0V。容量は2,300mAhとなっている。実質的なバッテリ寿命は、互換形状の充電式バッテリに比べ、約35%増になるという。 ただ、電圧などの関係で、形状的に互換性を持っていても、現行機種でこのバッテリをそのまま使うことはできない。 そのため、カメラ側がこの一次電池に対応する必要があるので、カメラメーカー側が早期に対応したとしても、この「CP1」が利用できるのは次世代の新機種になる。 もちろん、ユーザーにとってはとてもメリットが大きい。つまり、普段は付属の充電池を使って撮影し、出先で電池切れになったときや、充電器を持って行きたくないときなどは、近くのお店でこの一次電池を購入して撮影できるようになる。これなら、コンパクトなデジタルカメラを持って、旅行に出かけたり、充電し忘れて外出しても安心だ。 この「CP1」の発売は、2003年中を予定しており、日本国内での発売も予定されている。価格は現在検討中だが、8~12ドル程度を想定しているという。できれば、もう少し安価で、コンビニなどで気軽に購入できるようになれば、デジタルカメラユーザーにとってとても魅力的な製品になりそうだ。
●IC MEDIA、1/1.8インチ300万画素CMOSセンサーを開発
CMOSセンサーを得意とし、豊富なラインナップを誇るIC MEDIAは今回、デジタルスチルカメラ用撮像素子として、1/1.8インチで300万画素のCMOSセンサーを発表した。 これまでCMOSセンサーというと、35~130万画素クラスが主流であり、この春には200万画素タイプのものも登場してきたが、いよいよ300万画素の時代に突入するわけだ。 とはいえ、サイズが1/1.8インチと大きいこともあって、これまでのCMOSセンサーのようにカメラ付き携帯電話やトイカメラのようなものではなく、現在CCDを搭載している中堅デジタルカメラをCMOSセンサーに置き換えるという用途がメインになる。 画質は未知数だが、同社の1/2インチ200万画素CMOSを搭載したモデルで撮影したサンプルプリントを見る限り、なかなかの実力のため、300万画素タイプでも必要十分な画質を実現できそう。 また、CMOSセンサーは構造上、消費電力も少なく、高速なデータ読み出しができるので、バッテリー駆動時のロングライフ化や動画撮影への対応といった面でのメリットが生まれる可能性は十分にありそう。 出荷時期は2003年の第1四半期を予定しているため、早ければ今年後半には300万画素CMOS搭載機が登場する可能性もありそうだ。
□PMA 2003のホームページ(英文) (2003年3月8日) [Reported by 山田久美夫]
【PC Watchホームページ】
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