●CPUロードマップを一気に変えるIntel Intelが2003年のロードマップを一新した。来年第2四半期には、Pentium 4の全価格帯でHyper-Threadingを“オン”にする。また、Hyper-Threading対応版のPentium 4のFSB(フロントサイドバス)は一気に800MHzに引き上げる。FSB 800MHzに対応するチップセットとして、「Canterwood(キャンターウッド)」「Springdale-PE(スプリングデールPE)」「Springdale-G」を投入、DDR400をサポートする。つまり、Intelは2003年第2四半期には、下の3つをセットとして一気に投入するつもりだ。 ◎Hyper-Threading CPUロードマップの変化は劇的だ。Q2でPentium 4はHTテクノロジPentium 4(Hyper-ThreadingオンのPentium 4とプラットフォームの組み合わせはHTテクノロジPentium 4となる)へと一新されると言ってもいい。 HTテクノロジPentium 4は、2.40/2.60/2.80/3/3.20GHzの価格帯で提供される。ローエンドの2.40GHzは170ドル台になる見込みだ。しかも、Intelは今回Hyper-ThreadingとFSB 800MHzにプレミアをつけない。ノンHyper-ThreadingでFSB 533MHz版Pentium 4との価格差は、わずか15ドル程度に過ぎない。つまり、Intelは『15ドル』で、Hyper-ThreadingとFSB 800MHzを提供するつもりなのだ。 先月までIntelの2003年デスクトップは大人しい戦略だった。Hyper-Threadingテクノロジは、3GHz以上のPentium 4にのみ提供し、3.06GHz以上のCPUの価格が安くなるに従ってHyper-Threadingが普及して行くという戦略だった。また、デスクトップのメモリの主力はDDR333で、SpringdaleはデュアルチャネルDDR333+FSB 667MHzだった。Canterwoodはワークステーション用チップセットだった。Hyper-ThreadingとFSB 667MHzはそもそもPrescottのフィーチャだった。それが、一変してしまった。 ●HTテクノロジPentium 4はFSB 800MHzに 新ロードマップでは、HTテクノロジPentium 4は、FSB 800MHzとなる。FSB 667MHzは飛ばされた格好だ。FSB 800MHzは、来年第4四半期に登場する、90nm版の次世代CPU「Prescott(プレスコット)」でも引き継がれる見込みだ。
ノンHyper-Threading Pentium 4はFSB 533MHzに留まるため、Hyper-Threadingのオンオフは、FSBでも明確に分けられることになる。唯一の例外は先週発表したばかりの、FSB 533MHzのHTテクノロジPentium 4 3.06GHzだ。ノンHyper-ThreadingのFSB 533MHz版Pentium 4は、新規のクロックは発表されないものの、FSB 800MHz版と平行して少なくとも来年一杯は売られ続ける。一方、FSB 400MHzのPentium 4は、2002年一杯で消える。 IntelがFSBを当初の予定の667MHzではなく800MHzに引き上げたのは、間違いなくメモリのためだ。FSB 800MHzはクアッドパンプ(4倍速)なので、ベースクロックは200MHzとなる。そのため、同じくベースクロック200MHzのDDR400と同期性がいい。帯域もデュアルチャネルDDR400は6.4GB/secとなるので、完全にマッチする。 実際、IntelのWilliam M. Siu(ウィリアム・スー)副社長兼事業本部長(Vice President & General Manager, Desktop Platforms Group)は「メモリ帯域が広げればそれだけ広いFSBが必要となる。メモリがアベイラブルになる時期を見ながらFSBも引き上げて行く」と語っている。ちなみに、FSB 800MHzに対しては、DDR333は同期性が悪くなる。IntelはOEMメーカーに、FSB 800MHz時のDDR333は、320MHz動作になると説明しているという。 IntelがDDR400のサポートを検討しているというのは、今年春頃からDRAM業界関係者の間での常識だった。その背景には、DDR IIの立ち上げを早めたくないDRAMベンダーの思惑があったと言われている。いずれにせよ、この変化で、DDR IIへの移行はさらにハードルが高くなった。400MHzの世代のDRAM技術をDDR Iベースにするとなると、IntelはDDR IIをDDR533中心に立ち上げるつもりだと推測される。そうすると、2004年のCPU「Tejas」のFSBは、1,066MHzになる可能性が高い。 ●FSB 800MHzをサポートする新チップセット群 Intelは現行の845/850系チップセットでは、FSB 800MHzをサポートしない。つまり、新HTテクノロジPentium 4は、全て新チップセットとの組み合わせとなる。プラットフォームをまるごと一新しようと考えているようだ。
FSB 800MHzをサポートするのはCanterwoodとSpringdaleファミリ。このうち、Canterwoodは、もともとシングルプロセッサワークステーション用として開発されたチップセットだった。Intelは、このCanterwoodをハイエンドデスクトップにもプロモートする。Canterwoodは、FSB 800MHzとデュアルチャネルDDR400/333をサポートし、FSB 800MHz+DDR400の性能を最大に引き出す“ターボモード”を備えるとOEMに説明しているという。 SpringdaleはもともとデスクトップのPentium 4/Prescott用に開発された、デュアルチャネルDDRチップセットだ。Intelは、Springdaleに単体版の「Springdale-P」とグラフィックス内蔵の「Springdale-G」の2種類を用意していたが、これらのスペックを変更、さらに「Springdale-PE」を加えた。Springdale-GとSpringdale-PEは、いずれもFSB 800MHzとDDR400をサポートする。Canterwoodのすぐ下に来る。一方、Springdale-PはFSB 533MHzとDDR333までのサポートで、既存のPentium 4のためのプラットフォームとなる。Springdaleの仕様変更についても、まだ明確になっていないことが多い。チップセットの詳細は、わかり次第、またレポートしたい。 ◎各チップセットの現在判明している概要は以下の通り
(2002年11月19日) [Reported by 後藤 弘茂]
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