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ナナオ15型液晶ディスプレイ「L365-A」を試す


●値下がりを始めた液晶ディスプレイ市場

ナナオ「FlexScan L365-A」

 市場規模が大きく、規格化の進んだPC関連デバイスの価格は、多くの場合市場で決まる。その端的な例がDRAMで、製造コストや性能とは無関係に、ほとんど需給関係(これに対する「思惑」もまま含まれるが)だけで価格が決定される。世代の切り替わりに伴い製造量が減ることで、一世代前の(すなわち性能面では時代遅れになった)DRAMが、新しい世代のDRAMより高い値段で販売されたり、わずかな期間でメモリモジュールの価格が上がったり下がったりする(短期間に製造コストが上がったり下がったりすることは普通ない)ことを考えれば、これは明らかだ。

 DRAMほど極端ではないにせよ、液晶パネルとそれを用いた液晶ディスプレイの価格も今ではもっぱら市場で決まる。今年に入って、一時期液晶パネルの価格が上がり、液晶ディスプレイ単体、あるいは液晶ディスプレイをセットにしたPCの価格が上昇してしまった(これがPCの販売不振を加速させたとさえ言われている)。最も安い時には、3万円台の製品を見つけることが難しくなかった15インチパネルを用いたXGA解像度(1,024×768ドット)の液晶ディスプレイが、5万円台が普通になるほどである。しかし、ここにきて液晶パネルの価格が再び軟化傾向に転じ、液晶ディスプレイの価格も下がり始めた。

 9月2日、液晶パネルと液晶ディスプレイ両方で大手であるSamsungの日本法人(日本サムスン)は、15インチの液晶ディスプレイ3種と、液晶テレビ3種の直販価格を引き下げると発表した。量販店の店頭でも、5万円を切る15インチクラスの液晶ディスプレイが珍しくなくなり始めている。この秋から年末にかけて、液晶ディスプレイを購入するのにいい時期がやってきそうな雰囲気だ。というわけかどうかは別にして、今回はナナオの液晶ディスプレイL365-Aを取り上げることにしたい。


●アナログ/デジタルの2系統入力を備えたL365-A

 EIZOブランドでディスプレイを展開するナナオには、XGA解像度の15インチ液晶ディスプレイだけで3種類ある。下から順にL355、L365-A、L375の3機種で、L365-Aは真ん中のスタンダードモデルという位置づけ。このスタンダードモデルをナナオではMultiEdgeシリーズと呼んでおり、ほかに18.1インチのL665、17インチのL565-A、16インチのL465がラインナップされている(上位シリーズはSlimEdgeシリーズ)。

 15インチ液晶ディスプレイの3機種について、主な仕様については表にまとめておいたが、採用している液晶パネルのスペックが、ローエンドモデルのL355だけ違うことが分かる。3モデルのランク付けが最も端的に現れているのが入力端子の構成で、L355がアナログRGBに対応したD-Sub15ピンコネクタ1系統のみであるのに対し、L365-Aはアナログ(D-Sub15ピン)1系統、デジタル(DVI-D)1系統の計2系統になっている。最上位のL375は、アナログとデジタルの両方に対応したDVI-Iコネクタを2系統備えており、L365-Aと同じデジタル+アナログの構成以外に、デジタル×2やアナログ×2といった構成でも利用可能だ。

 L355L365-AL375
最大輝度250cd/平方m300cd/平方m300cd/平方m
コントラスト比350対1450対1450対1
応答速度未公表25ms25ms
水平視野角150度160度160度
垂直視野角120度150度150度
入力端子D-sub15ピン×1D-sub15ピン+ DVI-DDVI-I×2
USBハブなしなしあり(USB 1.1)
スピーカー内蔵内蔵別売オプション

 また、表にはないが、L375に付属するスタンドが高さ調節可能なもの(別売標準価格12,000円相当)であるのに対し、L355やL365-Aに付属のスタンドは高さ調節機能がないという違いもある。さらに、L355とL365-Aに付属するケーブルが両端にD-Sub15ピンコネクタを持つアナログ接続用ケーブル(ナナオの標準価格で5,000円)のみであるのに対し、L375にはD-Sub15ピンとDVI-Iコネクタを備えたアナログ接続ケーブル(同6,000円)と、両端にDVI-Dコネクタを備えたデジタル接続ケーブル(同6,000円)の2本が添付される。こうした付属品の価格差を考えれば、L375もそう割高ではない(付属品すべてを有効活用するということが前提条件になるが)。何にせよ、いずれのモデルも、ナナオ製液晶ディスプレイの例に漏れず電源内蔵型で、ACアダプタが不要な点は好ましい。


●デュアルディスプレイ環境などをテスト

 今回L365-Aに、ATI TechnologiesのRADEON 8500(TMDSトランスミッタ内蔵)、同RADEON 9000 PRO(TMDSトランスミッタ内蔵)、Apollo Xabre 400(TMDSトランスミッタはSiS301)の3枚のグラフィックスカードを組み合わせた。いずれのカードも、DVI-IコネクタとD-Sub15ピンコネクタの両方を備え、デュアルディスプレイに対応したもの。それぞれ、D-Sub15ピンコネクタ同士を用いたアナログ接続、カード側のDVI-IコネクタとL365-AのD-Sub16ピンコネクタを用いたアナログ接続、カード側のDVI-IコネクタとL365-AのDVI-Dコネクタを用いたデジタル接続(ケーブルはDVI-D <-> DVI-D)の3通りすべてを試してみた。

 結論からいえば、どの組み合わせであろうと、BIOS Setupを含め、すべて問題なく表示が可能だった。画質の点では、アナログ入力は工場出荷(リセット)状態では若干フェーズがズレ気味で、調整する必要があったが、調整さえ済ませれば問題はない。その点、DVI-Dコネクタを用いたデジタル接続は、一切調整が要らない(明るさやコントラストは除く)ため、やはりラクだ。デジタル接続は、UXGAなど解像度が高くなると帯域の確保が問題となるが、このクラスの解像度であれば、その問題もなく使いやすいように思う。

 L365-Aが採用する液晶パネルは、輝度、コントラスト比、反応速度のいずれもが、このクラスとしては最高レベル。文句はないところだが、逆に工場出荷状態では筆者にとっては明るすぎて、調整する必要があった。視野角についても十分確保されていると思うが、低色度変位タイプのパネルではないため、斜めから見ると色温度が低くなってしまう。これはやむをえないところだろうか。

 さて、今回用いたグラフィックスカードのうち、RADEON 9000 ProとXabre 400は、今年登場したグラフィックスチップを用いたメインストリーム向けの製品。1万円弱〜1万円台半ばで販売されている。ともにこのコラムでも取り上げたことがあるが、デュアルディスプレイ構成ではテストしていなかったため、この機会に試してみた。Xabre 400には、RADEON 9000に添付されているHydraVisionのようなユーティリティこそ付属していないものの、2台のディスプレイそれぞれに独立した解像度、リフレッシュレートを設定し、独立したデスクトップとして利用することができる(もちろん同じものを表示するミラーも可)。気になったのは、デュアルディスプレイ構成にすると、オーバーレイサーフェイスの設定ができなくなることで、たとえばソフトウェアDVDプレイヤーが利用できなくなったり、利用できてもフレーム落ちが生じたり、といった問題が出てくる。

 一方のRADEON 9000 PROは、デュアルディスプレイ構成時でもプライマリディスプレイ側でオーバーレイサーフェイスを利用可能だ。ただ、2台のディスプレイそれぞれに独立した解像度、リフレッシュレートを設定可能なものの、リブートすると解像度の低い方のディスプレイに強制的に揃えられてしまう(たとえば、21インチCRTを1,600×1,200ドット、液晶ディスプレイを1,024×768ドットに設定していても、リブートすると両方が1,024×768ドットになってしまう)。これが、以前から変わらないところを見ると、何か理由があっての仕様なのかもしれないが、理由についてはよく分からない。このあたりについては、現時点ではNVIDIAのnVIEWが一番使いやすいように思う。

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【4月22日】ナナオ、15インチ液晶ディスプレイを実質5千円値上げ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0422/nanao.htm

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(2002年9月5日)

[Text by 元麻布春男]


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