鈴木直美の「PC Watch最新記事キーワード」
第210回:6月17日~6月28日


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●キーワード


6月21日

■■ メルコ、「マッハSCSI40」対応Ultra SCSI外付け120GB HDD
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0621/melco.htm

●Windows 3.1/95/98/Me/NT 3.51/NT 4.0/2000/XP

 Microsoftが開発した、オペレーティングシステム。

 キャラクタベースのMS-DOS上にグラフィカルな操作環境を提供するシステムとして、'85年に最初の製品をリリースする。DOSをリプレイスする次世代OSとしては、'87年に初版をリリースしたOS/2が、その最有力候補と目されていたが、MicrosoftとIBMの蜜月が終焉し、MicrosoftはWindows路線に傾倒。Windows 3.xの大ヒット後、95からはシステムにDOSの機能を内包し、ハードウェア、ソフトウェア共に、DOSベースからWindwosベースへの移行が急加速する。

 DOSの上に構築するところから始まったWindowsファミリーは、9xを経てMeへと発展するが、これら一連の製品とは別に、同社はマルチスレッド対応の32bit OSを新規に設計。'93年にWindows NT 3.1(NTはNew Technologyからとる)としてリリースされ、3.xから4.0、2000を経て、XPへと発展して行く。システムには、デスクトップ用(Workstation、Professional)とサーバー用(Server、Advanced Server、Enterprise Edition、Datacenter Serverなど)が用意されており、XPからは、DOSの発展形であったコンシューマ向けのWindowsもNT系に統合。Meの後継としてHome Editionが追加されている。


【Windowsの系譜】

・Windows 1.x('85年~)

 '85年11月にリリースした1.01('85年)をベースに、マイナーな修正を加えた1.03('86年)、1.04('87年)をリリース。日本語版は、NECが1.03ベースのものを'87年にリリースしている。GUIを提供するMS-DOSの拡張機能として83年に発表以来、丸2年を経過してようやく製品化されたWindows。基本的なGUIは提供されたものの、現在のように複数のウィンドウを重ねて表示することはまだできず、いわゆる「並べて表示」状態のタイリング方式だった。16bitの普通のMS-DOS(Ver 2.0)上で動かすのが大前提であるため、必要なメモリも僅か256KBでスタート。がそれでも、ハードやソフトにとっては厳しい環境である。ちなみにGUIに必須のマウスも、当時はまだ珍しいデバイスだったのだが、こちらは'83年に、同社が最初のMicrosoft Mouseを発売。この年リリースした、Word for DOS 1.0でこれをサポートしている。

・Windows 2.x('87年~)

 2.03('87年)、2.10('88年)、2.11('89年)というマイナーバージョンがリリースされており、国内では2.0ベースの日本語版が'88年に。'89年には、2.10、2.11も日本語化されている。

 2.xでは、狭い画面を分け合うタイリングウィンドウから、重ねて表示できるオーバーラップウィンドウに移行。アプリケーション間通信のDDE(Dynamic Data Exchange)がサポートされ、複数のアプリケーションを連携できるようになっている。メモリ問題を解消するために、EMS(Expanded Memory Specification)やXMS(eXtended Memory Specification)も導入されている。2.11は、386 CPUが持つ仮想86モードを利用し、複数のDOSアプリケーションを同時に実行する機能が新たにサポートされており(従来のシステムでは、Windowsアプリケーションは複数実行できるが、DOSアプリケーションは1つだけ)、3.0の布石となる、386マシンに特化した製品は「Windows/386」と呼ばれていた。

・Windows 3.x('90年~)

 いわゆるOS戦争の火中にあったのが、'90年にリリースされた3.0/3.0aと、その後に続く3.10('92年)、3.11('93年)から成る3.xであり、Windowsへの移行を決定付けた存在でもある(3.0aは3.0の、3.11は3.1のメンテナンスバージョン)。

 日本語版は、'90年に3.0がリリース。この年の秋には、IBMがDOS/Vをリリースしており、やがて、これに牽引される形でPC/AT互換機が本格的な上陸を開始。OS戦争とオーバーラップして、国内のパソコン市場は、ハードもソフトも一変することになる。

それまではOEMオンリーだったOSもリテール版が加わり、'93年には、マイクロソフトブランドのDOSやWindowsが店頭に並ぶようになる。発売された日本語版は、Windowsが3.10、DOSがMS-DOS 6.2/Vである。

 3.xは、Windows/386の機能に磨きをかけたシステムで、複数のアプリケーションを快適に動かすために、CPUのプロテクトモードを積極的に利用。大量のメモリが利用できるようになり(3.0では16MBまでだったが3.1で制限撤廃)、仮想メモリの機能も導入。Windows/386と同様に、複数のDOSアプリケーションをフルスクリーンでもウィンドウでも実行することができる。ただし、全機能を利用できるのは386マシンのみ。互換性の問題からシステムには当初、「リアルモード」、「スタンダードモード」、「386エンハンスドモード」の3つの実行モードが備わっているが、基本的には386マシン向けであり、TrueTypeフォントやOLEの機能がサポートされる3.1からはリアルモードを切り捨て、日本語版においては、当初から386マシンのみのサポートとなっていた。

 3.x時代のもう1つの特徴は、システムのマルチメディア化である。Microsoftは'91年、386ベースのWindowsマシンに、マルチメディア機能を拡張するMME(Microsoft Multimedia Extensions)をOEMリリース。翌年には、3.1で同等の機能をシステムに内包し、デスクトップビデオ機能を付加するVideo for Windowsもリリースしている。

・Windows for Workgroups 3.x('92年~)

 Windows 3.xに、ファイルやプリンタの共有を実現するネットワーク機能を追加したのがWindows for Workgroups(WFW)である。3.1('92年)と3.11('93年)がリリースされたが、日本語版はリリースされていないため、国内でのネットワークサポートOSは、次のWindows 95からとなる。ノーマルの3.xと同様、こちらも、拡張されたネットワーク機能をフルに利用するためには、386マシンが前提。3.11では、プロテクトモードから直接ファイルI/Oを行なうVFAT(Virtual File Allocation Table)やプロテクトモードのディスクキャッシュVCACHEといった、ネットワーク以外の新機能(これらはWindows 95でサポート)が、ノーマルWindowsに先駆けて盛り込まれている。

・Windows 95('95年~)

 その後のWindows Meに至るまでの、コンシューマ向けWindowsのベースとなるバージョンで、システムは32bitマシンに特化されている。国内では、ネットワーク機能がサポートされた初のコンシューマWindowsであり、GUIの一新、プリエンプティブなマルチタスクや8.3に制限されない長いファイル名のサポートといった新機能を追加。OEM向けの製品では、'96年にリリースのOSR2(OEM Service Release 2)から、大容量ディスクをサポートするFAT32が、'97年リリースのOSR2.1からはUSB(Universal Serial Bus)のサポートと、リテール版にない大きな機能追加も行なわれている。

 Windows 95からは、製品名からバージョン番号が消えているが、3.xのメジャーバージョンアップ版であり、内部バージョンは4.00。バージョンには、「4.00.950」というにビルド番号もあり、通常サービスパックを当ててアップデートするとビルド番号が変わる。例えば、「950A(あるいは95A)」と呼ばれるバージョンは、SP1(Service Pack)の修正が入った版である(OSR1相当)。ほかには、OSR2/2.1の「950B」やOSR2.5の「950C」がある。

・Windows 98('98年~)

 Windows 95をベースに、OSRでのみで提供されていたFAT32や、WDM(Windows Driver Model)のサポートといった諸機能をまとめ、Internet Explorerをシステムに統合した製品版である。もちろん、細かな改良は施されているが、3.x→95のような大きなシステムの変更は無く、内部バージョンは4.10。翌'99年には、さらにそのマイナーバージョンアップ版としてWindows 98 Second Edition(SE)をリリース。USBやIEEE 1394のサポートデバイスが充実し、マルチモニタやインターネット接続共有(ICS~Internet Connection Sharing)などの新機能が追加された。

・Windows Me(2000年~)

 Millennium editionことWindows Meは、当初、ユーザーインターフェイスの大幅な改良が予定されていた。が、最終的には、WIA(Windows Image Acquisition)やUSBマスストレージクラスのサポートといった小さな機能追加を中心とした、98SEのマイナーチューンに留まっている。内部バージョンは一気に4.90まで上がっているが、バージョン5(5.xはNT系の内部バージョン)の一歩手前で、もはや打ち止め…… 的なニュアンスが強い。


【NT系Windowsの系譜】

・Windows NT 3.x('93年~)

 Windows NTは、16bitの世界を引きずるWindowsとは別に、制約の一切無いところから新規にスタートしたプロジェクトで、'93年に、当時の16bit Windowsとバージョンを合わせた3.1でスタート。初版はあまりよい評価を得られなかったが、3.5('94年)、3.51('95年)と上がるにつれて、順調にシェアを伸ばしていく。日本語版は、'94年に3.1、'94年に3.5、'96年に3.51がリリース。当初から、国際化を前提としたシステム設計であったため、いずれも半年前後のタイムラグでリリースされている。

 Windows NTは、主にシステムが動作するカーネルモードとアプリケーションが動作するユーザーモードを分離し、高い堅牢性を確保しているのが大きな特徴で、セキュリティ管理やロールバック機能を有する、NTFSと呼ばれるファイルシステムも新規に開発された。アプリケーションの実行環境である上層のサブシステムを変えることによって、OS/2やPOSIXなどの互換環境を提供。最下層のHAL(Hardware Abstraction Layer)を変えることによって、MIPSやAlpha、Power PCなどの様々なプラットホームにも対応でき(結局はx86用のWindowsシステムに落ちついてしまうのだが)、マルチプロセッサもサポートする柔軟な設計になっている。ネットワーク機能やセキュリティ機能も当初から標準で搭載しており、デスクトップ向けのNT Workstationとサーバー向けのNT Serverが当初ラインアップされた。

 3.5は、3.1をチューンアップして高速化と軽量化を実現したバージョンで、この版からは、FATファイルシステムでも長い名前が利用できるようになっている。最初から長い名前が利用できるNTFSの方には、3.51でファイル圧縮機能を追加。

・Windows NT 4.0('96年~)

 前年にリリースされたWindows 95に合わせ、GUIを一新したバージョンで、4カ月遅れで日本語版も登場。世の中がインターネット一色に傾倒して行く時期であり、ブラウザはもちろん、Webサーバーなどのサーバーサービスも同梱。その後のサービスパックなどで、インターネット系のオプションコンポーネントは次々に強化されて行く。

・Windows 2000(2000年~)

 Windows 98の1カ月遅れをさらに縮め、初の日米同時発売(同時発売は日本語版だけではないが)となったバージョンで、コンシューマ製品と同様に、製品名からバージョン表記が消えている(内部バージョンは5.00)。システム的には、Windows 98のルック&フィールと機能を持ったNT OSでACPI(Advanced Configuration And Power Interface)ベースの電源管理をはじめ、USBやIEEE 1394などの新しいインターフェイスも一通りサポート。NTFSには、暗号化の機能も追加された。

・Windows XP(2001年~)

 eXPerienceからその名を採ったWindows XPは、2001年に主要各国で同時に発売。GUIが変更されているため(旧スタイルにも変更可能)、Windows 2000とは違った印象を受けるが、システム的には、2000のマイナーバージョンアップ版である(内部バージョンは5.1)。この版から、16bitベースでスタートしたコンシューマWindowsをNTカーネルに統合。良くも悪くもユーザビリティが向上しており、Windows Meの後継として、新たにHome Editionがラインアップされている。長年懸案だったカーネルの一本化を計り、16bit Windows(Meでもまだ内部には16bitコードが残っていた)に引導を渡すのが、このXPの主たる目的といってもよく、過渡的なこのバージョンには、サーバー製品は用意されない(次バージョンのWindows .NETまではWindows 2000が続投)。

□Microsoft Windows
http://www.microsoft.com/japan/windows/
【参考】
□MS-DOS
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/2002/0204/key195.htm#DOS
□DOS/V
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990304/key67.htm#DOSV
□FAT16、FAT32
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980610/key33.htm#FAT16
□VFAT(Virtual File Allocation Table)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991007/key93.htm#VFAT
□USB(Universal Serial Bus)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971014/key2.htm#usb
□USB 2.0
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000706/key126.htm#USB2
□IEEE 1394
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#ieee1394
□WDM(Windows Driver Model)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980917/key46.htm#WDM
□マルチモニタ(デュアルディスプレイ)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000803/key130.htm#dd
□WIA(Windows Image Acquisition)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0118/key193.htm#WIA
□USBマスストレージクラス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0322/key201.htm#US


6月24日

■■ カシオ、シャッターへの反応が速い小型デジタルカメラ
   ~ペンタックス製光学3倍ズームレンズ搭載
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0624/casio.htm

●総画素数
   そうがそすう
●有効画素数
   ゆうこうがそすう

 デジタルスチルカメラなどに使われる、画素数を表す値。

 デジタルカメラなどのイメージデバイスでは、光学像を電気信号に変換するためにCCD(Charge Coupled Device)撮像素子と呼ばれるデバイスを使用している。CCD撮像素子は、受光した光の強弱に応じて電荷を発生する、フォトダイオードと呼ばれる半導体を格子状に並べたデバイスで、撮像素子そのものの仕様上では、その総数を「総画素数」。画像の取り込みに使われない、周囲の無効な領域(オプティカルブラック)を除いた画素数を「有効画素数」と呼んでいる。

 デジタルカメラでの表記は、JCIA(Japan Camera Industry Association~日本写真機工業会)のデジタルカメラ委員会が、2001年にリリースした「デジタルカメラのカタログなど表記に関するガイドライン」に従っており(※1)、「総画素数」は、撮像素子のデバイス上の仕様と同様、撮像素子自身が持つ全画素数を表す。

 「有効画素数」の方は、デバイスの物理的な有効画素数とは定義が異なり、カメラが実際に画像の取り込みに使用する、撮像素子上の領域の画素数を表す。ガイドラインをそのまま引用すると、『その出力情報が最終的に静止画像として出力されるデータに有効に反映される画素の数』とされており、フィルタリングのための領域(※2)を含んでもよいが、手ブレ補正に使う領域は含まない。

 ガイドラインではこのほかに、カメラがメディアに記録する画像の構成画素数を「記録画素」。通信手段を使ってカメラから出力される画像の構成画素数を「出力画素数」と定義。カタログなどの画素数表記には、有効画素数を優先的に表記するよう指示している。

※1 このようなガイドラインが設けられた背景には、富士写真フイルムが2000年にリリースした、スーパーCCDハニカムを搭載したカメラの登場によるところが大きい。同社は当初、現在の有効画素数に相当する数値を公表せず、現在の記録画素数に相当する数値を画素数としてアピール。他メーカーの反発や市場の混乱を招いた。

※2 フォトダイオードは、光の強弱に反応するだけで、それ自身には色を識別する能力がない。そこで、一般に使われている単板式のカラー撮像素子では、フォトダイオードの上に3~4色のカラーフィルタを配置。個々のフォトダイオードを使って個別の色情報を取り込み、周囲の画素を演算して1画素分のフルカラー情報を生成している。イメージエリアの内部と外周を同じ条件で演算するためには、外周に演算用の余分な画素が必要であり、そのためのエリアをリングピクセルと呼んでいる。

□JCIA(Japan Camera Industry Association~日本写真機工業会)
http://www.photo-jcia.gr.jp/
□デジタルカメラの新基準(JCIA)
http://www.photo-jcia.gr.jp/newdigital/index.html
【参考】
□フォトダイオード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010802/key176.htm#PHOTODIODE
□CCD撮像素子
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980324/key23.htm#CCD
□CMOS撮像素子
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000120/key104.htm#CMOS
□Foveon X3(単画素で色分解が可能な撮像素子)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0222/key198.htm#FOVEON
□原色カラーフィルタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990701/key82.htm#RGB
□補色カラーフィルタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0118/key193.htm#HOKAN
□手ブレ補正
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010125/key150.htm#stabilization
□スーパーCCDハニカム
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000511/key118.htm#honeycomb

[Text by 鈴木直美]

(2002年7月5日)


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