プロカメラマン山田久美夫の2002 PMA 2日目レポート

新時代を迎えたデジタル一眼レフ

2月24~27日(現地時間)開催



 今回のPMAの大きな目玉となったのが、各社から続々登場した中堅デジタル一眼レフカメラだ。もちろん、米国ではいまや、コンパクトタイプのデジタルカメラがかなりの勢いで普及し始めており、不景気や政情不安のなかでも、その勢いはなおも続いている状態だ。

 そして今回のPMAでは、各社から一斉に600万画素級一眼レフが続々登場してきた。PCやコンシューマー機の世界では新型のCPUやCCDといったキーデバイスが変われば、各社が一斉に新製品を投入するわけだが、今回は各社とも全く異なる撮像素子を採用しているにも関わらず、同じ時期に、同クラスの画素数のものが登場してきている点は実に興味深いものがあり、今回のPMAはまさにデジタル一眼レフの時代が変わる瞬間に立ち会ったような感じすらあった。

 先に記しておきたいが、昨年、オリンパスは今回のPMAで、4/3インチCCDをベースとしたレンズ交換式一眼レフを発表すると明言していた。だが、今回会場に行ってみると、そのような発表はなかった。もちろん、中止になったわけではなく、発表時期をやや後ろにずらしたようだ。


●キヤノン、「EOS D60」を全面に打ち出した展開に

 キヤノンは今回、コンパクト系を含めて新製品がきわめて多く、ブースは終始賑わっていたが、なかでも今回のメインは、PMA直前に正式発表された600万画素デジタル一眼レフ「EOS D60」だ。

 ブースでは入り口にもっとも近い場所にデジタル一眼レフの展示スペースを設置してアピール。もちろん、発売間近ということもあって、実機も用意されており、手にすることもできた。だが、とにかく人気が高く、初日などはかなりの待ち時間を必要としたほどだ。

 また、仮設スタジオで「D60」によるポートレート撮影のデモも行なわれており、同社の大判インクジェットプリンターを使って、すぐにプリントアウトし、その迫力をアピールしていた。

 実際にその場でD60で撮影されたデータを、A0サイズ前後にプリントしているのだが、そのサイズでも十分実用に耐えるほどの高解像度を実現している点は驚くばかりだ。

 米国ではまだ価格が公表されていなかったため、600万画素化による高価格化を懸念する声もあったようだが、日本国内では「D30」と同じ価格となっており一安心。しかも、ボディ単体では実売30万円以下になることは確実であり、これだけの高画質モデルがこの価格帯で入手できるようになると、35mm一眼レフからデジタル一眼レフに乗り換える人が増えることは確実だ。


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●ニコン、APSサイズの600万画素CCD搭載機「D100」を出品


 ニコンは今回、先行発表された600万画素デジタル一眼レフ「Nikon D100」と、レンズ回転式の「COOLPIX2500」をメインに展開していた。

 今回、「D100」はまだ開発発表ということで、意外に大人しいブース展開であり、展示スペースも比較的狭めだった。だが、ブースでの人気はきわめて高く、実機を手にするのに一苦労するほどの状態だった。

左から「D30」、「D100」、「D1x」
 実機を見ると、数値以上に軽量かつコンパクト。「D1」系と比較すると、その小ささや軽さの点で全く別物という印象だ。また、「EOS D30」と並べてみても、「D100」の方がよりコンパクトだ。

 ボディは一見、「F80」に似ており、機能面でも同機のものを踏襲している部分もあるが、実機に触れてみると、プラスチック外装ながらも仕上げがよく、「D100」というネーミングも納得できるデキだった。

 残念ながら、今回は開発発表という段階のため、ブースには本格的なカタログもなく、価格や発売時期も未定だ。

 もちろん、実際に撮影されたプリントもない状態で、実力は未知数のまま。だが、ソニーが開発したといわれる新型APSサイズCCDを搭載しているだけに、かなり期待できる仕上がりになることが予想される。

「D100」その1 「D100」その2 「D100」その3

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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000811/yamada.htm


●シグマ、Foveon X3の搭載で注目を浴びる「SD9」を出展


 今回のPMAのなかでも、もっとも関心が高かったのが、米国のFoveonというメーカーが開発した「X3」というCMOSセンサーだ。これは1画素でRGBの信号が得られるという、実に画期的なもので、ある意味で理想的な次世代のカラーセンサーといえる。

 このFoveon X3を世界で初めて搭載するモデルが、先だってシグマから開発発表されたデジタル一眼レフ「SD9」だ。

 もちろん、ブースには「SD9」の実機が展示されており、開発発表段階のため、一般来場者は触れることができないが、実際に稼働するレベルのボディも持ち込まれていた。

「SD9」その1 「SD9」その2

 注目の画質だが、ブース内には、Foveonの試作機で撮影された画像のほか、実際に「SD9」で撮影されたサンプルプリントも展示されており、その実力には目を見張るものがある。プリントを見る限り、その実力はかなりのもので、実際の画素数は300万画素級ではあるが、解像度は原理的にその約2倍あり、しかも、偽色が発生しないため、ローパスフィルターも省いており、その切れ味のいい画像には感心した。

 なお本機も開発発表であり、価格や発売時期は未定という。

「SD9」撮影画像

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【キーワード】Foveon X3
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●富士フイルム、「FinePix S2Pro」を出展

 富士フイルムは、ハニカムCCD搭載の600万画素機「FinePix S2Pro」を出展。しかし今回は、開発中ということで、実機に触れることはできず、アクリル越しに試作機が展示されているだけという状態。

 また、実写画像もないため、こちらも実力は未知数のまま。価格も未定だった。



●京セラ、「CONTAX N DIGITAL」を出展

 京セラは「CONTAX N DIGITAL」を出展。発売間近にもかかわらず、実機は少なく、実際に撮影されたプリントもない状態だった。

 ブースでは撮影デモも行なわれていたが、撮影画像を見ることはできず、こちらもどれくらい完成度の高い画像に仕上がっているのか、知ることはできなかった。

 ブースで発売時期について尋ねたところ、すでに告知されており、3月12日発売(日本国内)を予定しているというとのことであった。

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□2002 PMAのホームページ
http://pma2002.pmai.org/

(2002年2月28日)

[Reported by 山田久美夫]


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