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NEW PRODUCTS TESTREPORT |
高木産業 | ||
PNIV-PIII1260TRD | ||
Pentium III-S 1.26GHz搭載のハイスペックノート | ||
TEXT:橋本新義 Shingi Hashimoto |
ポインティングデバイスはタッチパッド。各キーはクリアタイプとなっており、ルックスにも気を配っている |
最大の特徴となるのはそのCPUで、サーバー向けのPentium III-S 1.26GHzを搭載している。サーバー用という言葉からは、通常のノートPCではとうてい得られないようなパフォーマンスを想像してしまいがちだが、実際のところほかのノートPCとの比較という意味では、あまりインパクトのある仕様ではない。と言うのも、Intelのモバイル向けCPUであるモバイルPentium III-Mは、1次、2次キャッシュメモリが、それぞれ32KB、512KBとPentium III-Sと同容量である上に、現状での最高クロックは1.2GHzにまで達しているためだ。しかし、Pentium III-M 1.2GHzと比較した場合、60MHz分パフォーマンスが高いことは事実で、現行のノートとしてはおそらく最高性能のCPUを搭載していることになる。
これまでの同社のデスクトップベースのノートPCは、「ノートでは不可能な性能とコストパフォーマンスを実現する」という意識が強かったように思えるが、今回はコストダウンを主眼としているようだ。そうした点で、本機は従来のシリーズとは設計思想がやや異なっているとも言える。
さて、そのほかのハードウェア的な特徴としては、チップセットにSiS630STを採用している点が挙げられる。SiS630STはチップセットとしての機能に加え、ビデオ、サウンド、ネットワークなどの機能をすべて1チップに集積したものだ。本機においてもチップセットとしての基本機能やビデオ機能は言うにおよばず、サウンドとネットワークもチップセット内蔵機能をベースとしている。
メインメモリは256MB。SO-DIMMスロットは2基用意されているが、そのうち1基に256MBのモジュールが装着されている。
ストレージ系に関しては、HDDは容量30GBの富士通MHH2300AT、光学ドライブには、九州松下電器製のDVD-ROM・CD-R/RWコンボドライブ、UJDA710が採用されている。これらはハイエンドノートとして十分な仕様と言えよう。
また、液晶ディスプレイは、14.1型でXGAの解像度に対応したものだ。コントラストは若干低く感じたが、視野角などは水準レベルだ。
本体前面部にはスピーカーとともに、OSが起動していない状態でも操作可能なMP3プレイヤーの操作部が存在する | 背面部にはUSB端子やパラレル端子のほかに、S-VIDEO OUT端子も備えている |
本体右側面には、デスクトップのみならずノートPCでも需要が高まってきたDVD-ROM・CD-R/RWコンボドライブを備えている |
個性的な機能として、OSに依存しないMP3再生機能を搭載している点が挙げられる。従来のノートPCには主電源をオンにしなくてもCD再生が可能な機種があったが、本機ではDドライブに収録されたMP3ファイルも再生できる。
このように、性能的、機能的にはほとんど問題はないのだが、やや不満の残る部分もある。本機のCPUファンはCPUの温度によって回転数が変化するタイプだが、筆者が試用した範囲ではスタンバイ時でも回転が停止するまでにはいたらなかった。このファンの稼働音は、ノートPC用としては比較的大きいので、後継機での改善を望みたい。また、個人により好みの分かれるところだが、キーボードはパンタグラフ式支持となっておらず、タッチが甘い点も気になった。
このほか、他社製品での採用が増えている高解像度液晶を採用していないなど、もの足りなさを感じる点もあるものの、ノートPCとして最高速となるCPU性能で238,000円という価格はやはり魅力的だ。CPUパワーとコストを重要と考えるユーザーであれば検討の価値は大いにある。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□高木産業のホームページ
http://www.purpose.co.jp/pc/
□製品情報
http://www.purpose.co.jp/pc/lineup/pn4-piii1260trd.htm