CPUだけじゃない! あらゆる“速さ”をその身に宿す「dynabook VZ82/F」 モバイルPCに「必要なものとは何か」に気付かされる、2in1コンバーチブル

近頃PCを購入するにあたって、ハイエンドCPUを選ぶ風潮は以前ほど高くなっていないように思う。「とにかく速いPCが欲しい」と言ったとき、そこに「CPUが高速なもの」という意味合いが含まれる割合は、今やかなり減っているのではないか。

突き詰めれば、本当に求めているものは単純な計算処理速度とはもっと別のところにあり、それはユーザーの利用スタイルやPCの用途などに応じて異なってきている、と感じるのだ。

例えばモバイルPCに絞って考えたとき、そこに求められる「速さ」とはどんなものか想像してみたい。モバイルPCは一般的にデスクトップPCよりパフォーマンス面で不利とされ、あとからパーツ単位で交換して性能アップを図るのが難しい場合がある。

それだけに、最初の段階で「CPUの速さ」などを気にするケースはまだ多いかもしれない。とはいえ、持ち運んで使うことが前提のモバイルPCでは、CPUのほかに、デスクトップPCとは異なる種類の「速さ」も求められているように思える。軽く持ち運べて素早く動ける、というのもモバイルPCとしての「速さ」を表す要素の1つだろう。

長らくノートPCをメインに使い続けてきた筆者だが、今回東芝の2in1コンバーチブルPC「dynabook VZ82/F」(以下、VZ82/F)を試していくうちに、「そうだ、僕はこの“速さ”が欲しかったんだった」と何度も再確認させられた。VZ82/Fには、これからのモバイルPCに必要とされる「速さ」の答えがいくつもあるのだ。一体どんな「速さ」があるのか、紹介しよう。

dynabook VZ82/F

“待ち”のないスムーズな作業が可能な第8世代CPU搭載機

VZ82/Fは、dynabookの数あるラインアップのうち、より先進的なユーザーに向けた「Vシリーズ」のフラッグシップモデル。13インチクラス(12.5インチ)のタブレットとしても使える2in1コンバーチブルPCだ。

なお型番に「Z」が付くのは、メーカー直販サイトの東芝ダイレクトで取り扱っているモデル。店頭販売のカタログモデルは「V82/F」となる。ハードウェアスペックは同一だが、東芝ダイレクトモデルはメモリやSSDをカスタマイズできる。

サイズ感はモバイルPCとしてスタンダードな13インチクラス

今回のVZ82/Fは、個人的にはCPUの処理性能とは違う部分の「速さ」に注目したいのだけれど、そうはいってもCPUを含めたハードウェア構成がどうなっているかは押さえておきたいところ。

まずそのCPUはというと、1.8GHz(ターボ・ブースト時最大4.0GHz)駆動の最新第8世代インテル® Core™ i7-8550Uを搭載。メモリは8GB、ストレージは512GBのSSDで、ディスプレイはフルHD(1920×1080ドット)のノングレアタイプだ。

CPUは第8世代インテル® Core™ i7-8550Uを採用

CPUはノートPC向けの省電力バージョンながらも、この第8世代からコア数が4に、スレッド数が8にそれぞれ倍増している。キャッシュも前世代から倍増だ。基本性能は一段底上げされていると見て間違いないだろう。その差を簡単に確認するため、ベンチマークソフト「PCMark 10」を実行したときの様子を動画撮影してみた。

2017年発売の第7世代インテル® Core™ i7-7500U搭載モデル「V82/D」と比較しているので、どれくらいの違いがあるのか、参考までにご覧いただきたい。スコアとしてはVZ82/Fが「3741」、V82/Dが「3379」で、その差は約1割。1世代分の進化としては想像していたより大きい。

この比較動画の編集には、VZ82/Fにプリインストールされている「CyberLink PowerDirector 15 DVD for TOSHIBA」を使用している。作業効率を高めるため、付属のUSB Type-Cアダプターを介してデュアルディスプレイ環境で作業したが、複数のフルHD解像度の映像を多用していても、クリップに対するあらゆる操作にタイムラグみたいなものは一切なく、プレビュー時のコマ落ちもないので、思い通りに扱える。

動画編集中の様子。デュアルディスプレイで作業を行なった

テロップやエフェクトを挿入してもその快適さは変わらないので、あれこれ試行錯誤しながらの調整し直しが苦にならない。こういった映像編集では、たいてい何か操作するたびに処理待ちが発生し、それが完了するまで何もできない状態になったりもする。そうすると思考が中断されてしまい思ったように作業がはかどらなかったりするものだ。

ところがVZ82/Fでは、そのインターバルがゼロか、最小限に抑えられている。作業や思考が不意に中断されず、効率的に操作していけるのが、なおのこと快適に感じる理由かもしれない。

軽快に編集できるようにする“シャドウファイル”を使うPowerDirectorの仕組みのおかげもありそうだが、動画編集はやはり快適だ

高速充電、複数の入力・認証で仕事のペースと密度が上がる

次なるVZ82/Fの「速さ」は、モバイルPCとして最重要とも言える充電速度。最大45W出力のコンパクトなACアダプターを使い、わずか30分の充電で約6.5時間稼働できるようになる「お急ぎ30分チャージ(*1)」と呼ばれる機能だ。

最大45W出力のACアダプター。たった30分で約6.5時間稼働するぶんの充電が可能

もともと満充電状態なら最大約16.5時間動作するVZ82/F。標準的な労働時間で例えると丸2日間、そうでない場合でも……おそらく1日半はもつスタミナを備えている。よほど“出づっぱり”状態が続くのでない限りバッテリー切れに遭遇することは少なそうだ。

それに、最近ではカフェやレストラン、空港といった施設で、Wi-Fiスポットとともに電源スポットが用意されているところも増えてきたから、なおさらバッテリー切れの心配は減ってきている。

ただ、充電できない状態が続いてバッテリーが切れそうになっているときに限って、次のミーティングの約束がすぐ後に控えていたりとか、飛行機の搭乗時間が迫っているとか、その場に留まってじっくり充電する時間が取れなかったりするもの。

そこで30分とは言わずとも、せめて15分や20分だけでも充電できれば、というときに、この「お急ぎ30分チャージ(*1)」は本領を発揮する。言い換えれば、30分を待たずして、すぐに次の行動に移れる、ということ。充電の速さは仕事のペースを上げ、その密度を高めることにもつながるのだ。

仕事のペースという面では、スタイラスペンが付属しているのも実作業において大きなスピード・効率アップにつながっている。例えば資料に手書きでコメントを入れたり、簡単な図を挿入したりするような場面では、タッチパッドやマウス、あるいは指先のタッチ操作だと、きれいに仕上げるのはどうしても難しい。

それが、先端が極細のスタイラスペンだと、ペン先の動きに対する描画の追従性も良く、細かい文字も簡単に書ける。2048段階の筆圧検知機能も活かして薄くマーキングしたり、くっきりと目立たせたりするのも自由自在だ。

  • 付属のスタイラスは2048段階の筆圧検知に対応

  • 追従性が良く、書類データへの細かい文字の書き込みもOK

また、Windowsのログオンをよりセキュアに、より素早くパスすることが可能なWindows Helloにも対応している。タッチパッド上に設けられた指紋センサーによる指紋認証か、もしくはディスプレイ上部にある独自のカメラセンサーを使った顔認証の2パターンを利用可能だ。

ユーザーが自分の使いやすい、好みの認証方法を選ぶことで、電源オンから流れるように仕事を再開できる。PCにおいてログオンは普段から頻繁に発生するイベントでもあり、それを効率化できるだけでも体感の「速さ」は大きくアップするに違いない。

  • 独自の顔認証センサーを搭載。通常のWebカメラと並んでいる

  • タッチパッド部分に指紋センサー。どちらもWindows Helloに対応

数は少ないが拡張性・将来性の高いType-C/Thunderbolt™ 3ポート

続いての「速さ」のポイントは、外部インターフェースとしてThunderbolt™ 3ポートを採用していること。USB 3.1 Type-C(Gen.2)と、給電を兼用しているポートで、Type-Cとして使う場合は最大10Gbps、Thunderbolt™ 3として使うときは最大40Gbpsという圧倒的な速度での通信が可能だ。現在多くのPCが対応しているUSB 3.0が最大5Gbpsなので、実にその8倍もの速度でデータをやり取りできることになる。

  • 左側面に用意されているThunderbolt™ 3兼USB 3.1 Type-Cポートとイヤフォン端子

  • 右側面にはUSB 3.0ポートを装備する

とはいえ、現時点でThunderbolt™ 3接続に対応する外部機器は豊富とは言えないことも確か。今すぐ40Gbpsの恩恵を受けることは難しいかもしれない。が、増え始めているType-C接続の周辺機器をGen.2の10Gbpsというフルスピードで活用できることは大きなアドバンテージだ。動画やRAW写真のデータをはじめ、大容量のファイルを外部ストレージにバックアップしたり、ほかの人と受け渡しする際、10Gbpsという速度は間違いなく力になる。

いずれThunderbolt™ 3対応周辺機器を導入したときには、データ転送速度に加えて、Thunderbolt™ 3のもう1つの特徴であるデイジーチェーン接続による拡張性の高さもメリットとなるだろう。外付けGPUを活用するのもアリだし、複数の外部4Kディスプレイや、大容量ストレージ、ギガビットLANなど、広帯域を必要とする多数のデバイスを同時に、余裕をもって扱うこともできる。

本体にはThunderbolt™ 3ポートとUSB 3.0ポートが1つずつ備えられているというシンプルな構成だが、付属しているUSB Type-Cアダプターで外部ディスプレイ出力(HDMI/RGB)とギガビットLAN、USB 3.0ポートを増設できるので、標準ですぐに実用可能な拡張性を確保している。

  • 付属するUSB Type-Cアダプター

  • HDMI/VGA出力とギガビットLAN、USB 3.0ポートを利用できる

見方を変えれば、Type-Cポートを分散せず1つにしているおかげで、Thunderbolt™ 3として全力の40Gbpsをここに注ぎ込み、将来的な拡張性の高さにまでつなげている。今も今後も、変わることのないデータ転送の「速さ」と拡張性を実現できるわけだ。

ただ堅牢にするのではなく、実用性にも配慮

旧モデルから定評のあった本体重量約1,099g、薄さ約15.4mmの軽量・薄型の筐体は、性能が高まった今回のVZ82/Fでも維持している。米国国防総省の物資調達基準であるMIL規格のうち、「落下」「振動」「衝撃」「粉塵」「高温・低温」などの項目に準拠するテストをクリアした高い耐久性能をもつところも変わらない。天板に対する面加圧については、従来の2倍となる200kgfに耐える性能を達成しており、堅牢さをさらに増している。(*2)

これらの耐久性については、通り一遍の試験内容をクリアしているだけでなく、全体や外装の部分ごとにも加重をかけて変形やダメージの度合いを解析し、設計通りの範囲内に収まっていることを確認するという手の込みようだ。

タブレットPCとしても使える2in1タイプということで、通常のノートPCより機械的に可動する範囲が広く、しかも多様な使い方が考えられるから、負荷のかかり方も通常とは異なるはず。それでも、あらゆるシチュエーションを想定した耐久性が確保されているため、VZ82/Fはさまざまな用途に安心して使えるわけだ。

180度、もしくは山形になるように開くと、ミーティングなどで相手に資料を見せるときなどに便利

360度まで完全に折りたたんだ状態。スタイラスペンで絵を描いたりするのに都合が良い

身近な例でいうと、満員電車での通勤・通学から、自転車かごに入れての持ち運び、あるいは手で持ち運ぶ普段の扱いかたに至るまで、あまり慎重になり過ぎなくていいのは気が楽だ。

だからといって乱暴に扱ってもOKというわけではないが、どこへ持って行くにも慎重に、丁寧にしまって、使うときもそっと取り出して……みたいな気の遣い方が不要になるだけで、使い勝手は大きく変わってくる。気楽に、小回りをきかせて使える、という意味での「速さ」も備えていると言っていいだろう。

また、ただやみくもに耐久性を増しているのではなく、VZ82/Fはデザイン性や実用性にも気を配りながら作り込まれているのもポイントだ。

例えばキーボード周りは、わずかに削り込まれた“盆地”状の部分にキートップが配置されている。この削り込みと、周囲の4カ所に設けられた突起は、ディスプレイを360度開いてキーボード側を下にして使うタブレットモードのときに、キートップに余計な力が加わらない仕掛けとしても働くものとなっている。

  • キーがある部分だけ他より少し削り込まれたようになっている

  • キーボード面の4カ所に設けられた突起。このおかげで360度開いてキーボード側を下にして置いたときでも、キーに負担がかからない

これは、ある意味耐久性を保つ仕掛けと言えなくもない。が、それとは別に、削り込みのおかげでパームレストとの間で高さに違いができ、ごくわずかではあるものの、まっすぐ打ち下ろすように打鍵する理想に近いキーボード操作が可能になっているのがうれしい。

キーボードを真上から見たところ

この原稿もVZ82/Fで執筆しているが、キータッチがやや押し込むようなソフトなフィーリングで、疲れが少ない。慣れてくると打鍵音は静かなまま、高速なタッチタイプが可能になる。VZ82/Fはその構造の工夫から、タイピングにおいても「速さ」を狙える1台だろう。

高い効率と幅広い選択肢があらゆる「速さ」を生み出す

ここまでVZ82/Fの多岐にわたるメリットを紹介してきたが、「高い効率」と「幅広い選択肢」という2つの要素が、さまざまな場面での「速さ」につながっていると感じる。

重量級ソフトでもユーザーの作業を中断させない馬力のあるCPU、ごく短い時間で実用域までバッテリーを回復させる急速充電は、VZ82/Fを利用する際の「効率」向上にそれぞれ一役買っていて、引いては「速さ」につながっている。

もちろん、約1,099gで約15.4mmという軽さ・薄さにも関わらず高い堅牢性を誇る点も、取り回しと持ち運びの「効率」「速さ」に直接的に関わっている。

一方、ノートPCにもタブレットPCにもなる2in1コンバーチブルで、Thunderbolt™ 3による高い拡張性と将来性をもち、スタイラスペンでの操作も可能。そして、指紋認証と顔認証を利用できるという「選択肢」の多さも、「速さ」へとつながる要素になっている。

「速いPC」は、もはや「効率良く使える選択肢の多いPC」と言い換えても、あながち間違いではないかもしれない。これからのモバイルPCに求められるものは、そういった高い効率と選択肢の多さではないか、と思った次第だ。

その意味で、モバイルPCにおける最良の候補の1つは、やはり2in1コンバーチブルだろうし、なかでもさまざまな面においての「速さ」を網羅したVZ82/Fは、ユーザーや利用シーンを問わない、極めて汎用的で魅力的なモバイルPCとして挙げられるのではないかと思うのだ。

*1 PCが電源OFFまたはスリープ時に、バッテリ残量が0%の状態から30分充電した場合
*2 無破損、無故障を保証するものではありません

(Reported by 日沼諭史)

インテル® Core™ プロセッサー搭載。

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