会見を行なった訴訟代理人の前田哲男弁護士、野村吉太郎弁護士、久保田裕ACCS専務理事(写真左から) |
これらのソフトウェアメーカーが会員として参加している社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は同日都内で記者会見を行ない、訴訟にいたる経過を説明した。
今回の被告は東京都内に本社を置く環境アセスメント、環境調査などを行なう株式上場企業で、被告人名は明らかにされていない(理由としては、今回の事件が公開されることで株価の変動などの影響が考えられるが、原告としてはそういった影響を与えることを意図していないためとしている)。原告は、被告の不正コピーソフトの破棄、使用中止と共に1,995万円の損害賠償を請求。今回のような企業内不正コピーを対象とした株式公開企業に対する損害賠償請求の提訴は「ACCS内で把握している範囲では日本初」という。
訴状によれば、被告は札幌にある同社の技術本部技術計算室において全社内のソフトウェアを一元管理。各部署の申請に応じオリジナルディスクの貸出を行ないインストール後、技術本部に返却されるという“独自の違法コピーシステム”を構築していた。これらの行為は違法と知りつつも推進されていたと言う。今回の行為は内部情報提供者の告発により発覚後、ACCSの調査により被告との交渉が行なわれたが、被告は著作権侵害行為は認めたものの、発覚後に正規製品を購入したので損害賠償を支払う義務はないと主張(不正コピー使用期間の遅延損害金の支払い意思は表明しているという)。原告の意見との食い違いは埋まらず、今回の提訴に至った。
損害賠償金額に関しては、コピーされたソフトが正規に購入されていた場合にかかった金額(今回のケースの場合1千万円程度)に加え、事件の発見や裁判費用などの予備的な諸経費などを含めた、正規購入金額のほぼ2倍の金額が請求されている。これに関して原告側の前田哲男弁護士は「(正規購入金額の)ほぼ2倍を請求することをルールとしていきたい」と発言した。なお、今回の請求額1,995万円は7社の合計であり、被告のコピー回数により各ソフトメーカーの請求額は違っている。
発表会に出席したソフトハウスは「不正コピーが発覚しなければソフトに対して金額を支払わなくてもよいという認識を改めるためにも今回の提訴に踏み切った(インターコム法務)」と発言。また、「企業内不正コピーは密室での行為で、どれだけコピーされたのかは不明」としており、今回提訴した企業は一様に「これからも不正コピー禁止を啓蒙していきたい」と語った。
□コンピュータソフトウェア著作権協会のホームページ
(12月2日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.accsjp.or.jp/
□関連記事
【'98年3月25日】コンピュータソフトウェア著作権協会、「企業内不正使用対策本部」を設置
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980325/accs.htm
('99年12月2日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]