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OLYMPUS Technology Fair 80、通信デジタルカメラからウェアラブルまで

会期:12月1日(水)~12月3日(金)

会場:東京国際フォーラム 展示ホール
入場無料(招待状必須)


 オリンパス光学工業株式会社は同社が開発中の新技術や製品、ソフト、サービスなどを展示するプライベートショウ「OLYMPUS Technology Fair 80」を12月1日から3日間開催する。この展示会は同社が配布した招待状がなければ入場することはできない。
 また、この展示会に合わせオリンパスグループの中長期経営計画や、新技術、サービスの発表が行なわれた。


■デジカメなどの映像情報分野が伸びる

同社の経営計画に関する発表を行なった岸本正壽代表取締役社長(写真左)。右は講演中にサービスの一案としてスライドで発表された「オリンパスWEBサービス」
 発表会ではオリンパス光学工業の代表取締役社長を務める岸本正壽氏が壇上に立ち、同社の中長期経営計画を発表した。これによれば成熟した技術(光学関係)と先進技術(デジタル関係)を両輪に顧客の求める価値の創造を追求していくという(Opto-Digital Technology)。具体的にはこれまで光学技術中心の経営体制だったが、デジタルカメラの好調な販売が経営に大きく貢献しているため、映像情報分野を見直しより重要視していくという。
 このほかにも、デジタルカメラで撮った写真データのScanTalkデータへの変換をオリンパスのWEB上で申し込むなどのWEBを使ったサービス案も公表された。このWEBを使ったサービスは現在検討中だが、将来的には取り組んでいきたいとしている。

 このほかに、色再現性を高めたディスプレイ(eコマースなどで利用)、高精細ディスプレイ技術など、2年から3年先に実現されるであろう開発中の次世代技術の一端が公開された。


■通信デジタルカメラを参考出展

 プライベートショウ「OLYMPUS Technology Fair 80」の展示会場では同社の中心事業となる医療機器に混じってデジタルカメラ関連製品の展示もみられた。

 そのほとんどが現在発売中のものや、既に展示会場などで公開されたものばかりだが、参考出品として通信デジタルカメラ「コミュニケーション・カメラ」が初めて展示されていた。これは、三洋のようにPHSにデジタルカメラ機能を加えたものではなく、デジタルカメラと携帯電話やPHSをケーブルで接続しデータを送信するタイプのもの。展示されていたデジタルカメラは、現在同社が発売している214万画素デジタルカメラ「C-21」と同じだが、ボディカラーはシルバーではなくブラック。機能的には変わりない。

 撮影した画像をそのまま送信することはもちろん、トリミングや画像圧縮などの加工を加え複数画像を選択し送信することになる。送信にあたって電話帳などはあらかじめパソコンの専用ソフトで登録し、スマートメディアにダウンロードしデジタルカメラにセットしなければならない。E-mailとして送信した場合、添付画像として認識されるほか、電話の接続されたパソコンにダイレクトに送ることもできる。

 このほか、逆にパソコン側からデジタルカメラをコントロールすることも可能。携帯電話などと接続されたこのデジタルカメラを離れたところに設置し、電話をかけるとデジタルカメラと接続され、撮影を命じると自動的に撮影を行なってくれると言う(遠隔制御機能)。

 このデジタルカメラの商品化に関しては未定。担当者によれば「今回はあくまでも参考出品であり、新しいデジタルカメラの使用方法の提案にすぎない」という。ただ、「これからいろいろと意見を採り入れていきたい」ということなので、今後商品化される可能性も高いのではないだろうか。

参考出展された「コミュニケーション・カメラ」の外観は同社のコンパクトデジタルカメラ「C-21」と同じだが、ボディカラーは黒 デジタルカメラ側の下面。この端子と携帯電話、PHSを接続しデータを送る 電話番号帳を表示したところ。この設定は事前にPCの専用ソフトで登録しスマートメディアにセーブしておかなければならない


■ウェアラブル関連技術が多数出展

【QuickTimeムービー(4.2MB)】MOVIE align=left

ウェアラブルパソコンの操作をより直感的に行なうためのインターフェイス技術。ムービーでは小さいが、手を動かすことでブラウザの操作を行なっているのがわかる
 展示会場でもっとも注目を浴びていたのが、11月25日に日本IBMと共同で発表されたウェアラブルパソコンの展示と、手の動きやジェスチャでウェアラブルパソコンを操作することのできる次世代のインターフェイス技術の2つだ。

 日本IBMのウェアラブルパソコンは今回が初めての一般公開となる。厚みがあり思っていたより若干大きめに感じたがそれでも十分小さく、担当者に寄れば「あくまでも試作機である」と強調されたが、完成度はかなり高まってきている印象をうけた。また、オリンパスの開発した単眼式のフェイスマウントディスプレイ「PC Eye-Trek」はスマートな仕上がり。Eye-Trekに関しては会場のあちらこちらでデモを行なっており、同社の意気込みが伝わってくるようだった。

 一方、ウェアラブル機器などをより直感的に操作するためのグローブ型の入力機器「ウェアラブル操作インターフェイス技術」も常に人だかりができるほどの注目を集めた。指の先や手の甲などにセンサーなどの装置を取り付け、手の操作の動きを単純データ化しPC本体に伝達する。デモではブラウザの操作を手の動きで行なっていた。手を上下にすることでブラウザを上下スクロールさせ、ボタンを押すような動作でクリック。展示されたものは試作機で基板がむき出しだったが、将来的には手袋や皮膚と同じようになり、一般にも浸透するだろうとしている。

単眼式のフェイスマウントディスプレイ「PC Eye-Trek」。同社はEye-Trekにかなり力を入れている 今回初めての一般公開となった日本IBMのウェアラブルパソコン試作機。正面には放熱のための穴があいている。正面から向かって左側面にはCFカードスロットが、下面にはUSBインターフェイスを装備している

□関連記事
【11月25日】日本IBM、ウェアラブルパソコン製品化に向け一歩前進
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991125/ibm.htm


■このほかの注目される展示物

画像合成技術を使い従来の画像より美しい撮影画像が得られると言う「スーパーラチチュード技術」のデモ C-2020ZOOMをまっぷたつにしたところ。なかなか見ることのできないカメラの断面をじっくり観察することができる Eye-Trekのコンセプトモデル。より小さくより軽く
音の出る新聞広告で一躍有名になったScanTalkを元に、より使用範囲を広めた「ScanTalk-Data」。写真データやURLなどを記録しておき、eコマースなどに応用することを考えているという 新コンセプトのデジタル顕微鏡。覗くのではなくディスプレイに表示される

□オリンパスのホームページ
(12月1日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.olympus.co.jp/

('99年12月1日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp