期日:11月15日~11月19日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
Sands Expo and Convention Center
Las Vegas Hilton
毎年、COMDEX/Fallには台湾から多くのマザーボードベンダが参加している。今回もその例外ではなく、15日に発表されたばかりのIntel 820チップセットを搭載したマザーボードや、AMD-750チップセットを搭載した4層基板のAthlonマザーボードなど自作PCユーザーにとって多くの注目製品が発表されている。このレポートでは特にIntelのチップセットを搭載したマザーボード関連のレポートをお届けする。
●2RIMMないしは2DIMMという設計に変更されたIntel 820搭載マザーボード
今回のCOMDEX/Fallのマザーボード関連で最も大きな話題と言えば、9月に発表される予定だったのがDirect RDRAM関連のトラブルで出荷が遅れていたIntel 820チップセット(以下Intel 820)が正式に発表され、各社から対応したマザーボードが正式に発表された事だろう(Intel 820発表の詳細に関しては別記事を参照のこと)。 既に後藤氏のコラムでも触れられているように、IntelがIntel 820を9月に再度出荷延期したのはDirect RDRAM(Direct Rambus DRAM)関連の問題を抱えていたからだ。Intel 820は当初Intelがマザーボードメーカーに示していたガイドラインではメモリソケットが3つのRIMMソケットないしは2つのRIMMソケット+2つのDIMMソケットという構成になっていた(Intel 820は標準ではSDRAMをサポートしていないため、DIMMソケットを用意する場合にはDirect RDRAMのプロトコルをSDRAMに変更するMTH(Memory Translator Hub)を利用する)。しかし、この3RIMMないしは2RIMM+2DIMMという構成で、RIMMを3本挿した場合や、ある条件によっては2本挿した状況でさえ、問題が発生する場合があることがわかったため、9月の発表直前にリリースが延期されていた。
今回、IntelはIntel 820の仕様を若干変更することで発表にこぎ着けた。具体的にはIntel 820自体には何の改良も行なわず、マザーボード側でメモリソケットをRIMMソケットが2つ、ないしはDIMMソケットが2つという構成に制限することで前述の問題を解決することにして、Intel 820の出荷にこぎ着けた。なお、Intelもこうした状況が好ましいと考えている訳ではなく、当初の3RIMMあるいは2RIMM+2DIMMでも動作するようなIntel 820の新バージョンを出荷する意向は持っているようで、マザーボードメーカーの関係者によると可能であれば2000年第1四半期に出荷するべく現在開発が進められているということだ。
Intel 820チップセットのMCH(Memory Control Hub) | MSI MS-6187 | MSI MS-6302 |
ABIT Computer CX6 | DFI PC64 | GIGA-BYTE Technology GA-6CX |
SuperPower 6XC | FIC KC11+ |
●予想に反して3RIMMマザーボードや2RIMM+2DIMMマザーボードも登場
しかし、今回多くのマザーボードメーカーのブースには2RIMM、2DIMMのみのIntel 820マザーボードだけでなく、3RIMMのマザーボードや2RIMM+2DIMM、あるいは4DIMMといったIntelの仕様にはないマザーボードが多数登場している。
例えば、MSI(Micro-Star International)は実に6製品ものIntel 820マザーボードを展示している。その中には2RIMM+2DIMM、3DIMMといったIntelの仕様にはないマザーボードも含まれている。こうしたIntelの仕様にはないマザーボードが存在することについて同社のマーケティングディレクターであるビンセント・ライ氏は「確かにこの構成はIntelがマザーボードメーカーに提供している設計用のデータに基づいていない」と述べ、Intelがバリデーション(様々なパーツを組み合わせての動作確認)を行なっていない構成であることは認めつつも、「我々の独自の開発で2RIMM+2DIMMでも問題ないことが確認できた。Direct RDRAMが高価な現在、とりあえずSDRAMで利用できる2RIMM+2DIMMという構成には意味がある。Intelは我々がそうしたマザーボードを出すことを知っているし、むしろ歓迎しているほどだ」と述べ、特にIntelもマザーボードメーカー側でそうした動きを牽制するということはないようだ。
また、MTHは標準では4バンクのSDRAMしかサポートしていない。通常デュアルサイドのDIMM(モジュールの両側にメモリチップがついているタイプのDIMM、128MバイトのDIMMなど)は2バンクを使うため、MTHとデュアルサイドのDIMMを組み合わせて利用するとDIMMは最大で2本までしか使えないことになる(2バンク×2=4)。このため、多くのメーカーではMTHを搭載したIntel 820搭載マザーボードでは2つのDIMMソケットしか搭載していない。しかし、シングルサイドのDIMMは1バンク構成になっているため、シングルサイドのDIMMだけを利用している場合には4スロットまで利用できる計算になる(1バンク×4=4バンク)。このため、いくつかのマザーボードメーカーでは3つのDIMMソケットないしは4つのDIMMソケットを搭載しているのだ。
なお、マザーボードメーカーの中にはMSIのように積極的に2RIMM+2DIMMという構成をとっているところばかりでなく、単に2RIMMに設計変更している時間がなかっため、3RIMMのままのマザーボードを展示しているところもあった。そうした意味ではわずか2ヵ月少々でいきなり新しい基板をおこす必要に迫られた今回の騒動は、早急に対策を立てられたマザーボードメーカーとあまりすぐには対応できなかったマザーボードメーカーの差を明らかにしてしまったと言えるだろう。
MSI MS-6192。2RIMM+2DIMMという構成 | ABIT Computer CH8。3DIMMという構成 |
●GIGA-BYTEは謎のデュアルCPUアダプタを展示
GIGA-BYTE TechnologyのGA-6RD7は1つのCPUボードに2つのCPUを搭載可能。 |
GIGA-BYTE Technologyのブースにはユニークな製品が展示されていて来場者の注目を集めていた。その名も「GA-6RD7」という製品名で、「Single card supports Dual CPU」という説明がつけられていた。CPUはPPGAのCeleronとFC-PGAのPentium IIIをサポートしているのだが、なんと1枚のCPUボード上に2つのPGA370ソケットが搭載されているのだ。しかも、説明員によれば普通のSC242(Slot1)マザーボードで利用することができるとのことで、さらに驚きだ。
通常IntelのCPUをデュアルで動作させるためには、APICと呼ばれるチップがマザーボード側に搭載されている必要がある。しかし、本製品ではそれを搭載していない通常のSC242でも利用できるというのだからまさに驚きの製品と言っていいだろう。これまでのデュアルCeleronの経緯から考えて、この製品が新たなるデュアルCeleronブームの火付け役になる可能性は高く、今からでも予約に走りたい商品だ。ただ、現時点ではリビジョンも0.1とまだまだ初期の開発段階で、出荷時期は未定とのことだ。
□COMDEX/Fall '99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/
□関連記事
【11月16日】
Intel 820チップセットついに発表。搭載マザーボードも続々登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991116/intel1.htm
i820チップセット、i820搭載マザーボードリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991116/intel2.htm
【11月15日】COMDEX/Fall '99開幕前日レポート~ 着々と準備が進む展示会場 ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991115/comdex01.htm
('99年11月17日)
[Text by 笠原 一輝@ユービック・コンピューティング]