会場:Las Vegas Convention Center
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先日新しいロードマップを公開したばかりのAMDだが、COMDEX/Fallの会場で、メディア向けに先日のロードマップなどを含めた今後の戦略や新しいCPUのデモンストレーションなどを公開した。今回はそうした説明の中から新たに明らかになった事実を中心にお伝えする。また、ついに明らかにされたVIAのプロセッサ戦略も紹介する
●Athlon/900MHzが衝撃のCOMDEXデビュー!
Athlon 900MHz搭載機 |
今回AMDは一般来場者向けにはブースを構えていないものの、メディアや顧客のみを対象にしたスイートを開設している。その部屋の中央で、AMDはCS50プロセス(アルミ配線技術を利用した0.18μm)のAthlonを900MHzで動作させて見せた(ただし実際の製品ではなく、あくまで技術デモ)。
先月20日にドイツのドレスデンで開催されたFab30の開所式典では同社のW.J.サンダース3世会長がHiP6Lプロセス(銅配線技術を利用した0.18μmプロセス)のAthlon/900MHzのテスト生産に成功したことを明らかしていたが、そのAthlon/900MHzはあくまで社内用のサンプルということで、実際に動作しているところが公開された訳ではない(Fab30開所式典に関しては関連記事参照)。
今回の900MHzはFab25(テキサス州オースチン)で作られたCS50プロセスで、ドレスデンで作られる予定のHiP6Lプロセスではないものの、初めて900MHzとして動作するAthlonが公開された意味は決して小さくないだろう。なお、この900MHzのAthlonは従来と同じようにL2キャッシュはCPUボード上に搭載されており、オンダイにはなっていないタイプのものだ。
Athlon 1GHz搭載機「SuperG」 |
この他、AMDのスイートにはKryotechが発表した、-40度の強制冷却によるAthlon/1GHzマシン「SuperG」が展示されていた。このマシンは前週に開催された証券アナリスト向けの説明会において公開されていたマシンで、価格は2,450ドルで販売されるという。販売はリテールチャネルの他、12月以降には直販でも販売される予定になっているという。同社のサイトではCPUmark99などのベンチマーク結果も掲載されており、Athlon/1GHzは実に80.5と80を越えるスコアを叩き出している(ちなみに先週筆者がAKIBA PC Hotline! HotHot REVIEW中で計測したAthlon 700MHzのCPUmark99のスコアは65.0)。
K6-2-533搭載機 |
残念ながら、K6-2+に関しては今回は特に搭載マシンやCPU自体の展示はなかった。しかし、533MHzという新しいクロックのK6-2を搭載したマシンが公開されていた。FSBのクロックは97MHz、クロック倍率は5.5倍となっている(97MHz×5.5≒533MHz)。現時点では97MHzというFSBを正式にサポートするSocket 7のマザーボードはほとんどないが、今後徐々に登場してくるだろうとのことで、マザーボードメーカー側でも今後発売するSocket 7マザーボードに関しては97MHzの設定を用意するところが多いようだ。K6-2+もこの533MHzからスタートすると言われており、K6ファミリーの今後にも注目が集まるところだ。
●AMDの次世代チップセットは「AMD-760」
AMDは10月3日から開催されていたMicroprocessor Forumで、2000年にリリースされるチップセットの概要を明らかにしていたが、今回そのチップセットが「AMD-760チップセット」という製品名になるということが明らかになった。念のためスペックを確認しておくと、2つのプロセッサまでをサポートし、メモリは266MHzのDDR SDRAM(PC-2100)、4X AGP-Pro、PCI33/66などというスペックになっている。
FSBは133MHzのDDRで266MHzで動作する。AMDによるとAMD-760は「サーバー/ワークステーション用のAthlon Ultra/Athlon Professinalとデスクトップ用のAthlonの両方に対応した製品になる」(コンピュテーションプロダクトグループディビジョンプランニングマネージャのブライヤン・ロングマイヤー氏)とのことで、デスクトップPC用のAthlonでも利用できるようになるということだ。こうしたハイスペックのチップセットがデスクトップPC用にも利用されるとはにわかには信じがたい話だが、そうなればAthlonはプラットフォームの総合能力という点でPentium IIIをリードできる可能性もあり、今後とも注目していきたい。
なお、VIA TechnologiesのブースではPC133 SDRAMをサポートしたAthlonチップセットであるApollo KX133を搭載した製品が公開されており、ALiのブースにはAladdin K7で呼ばれるAthlon用のチップセットが公開されている。Athlonのプラットフォームが徐々に整いつつあるのは、AMDにとってよいニュースだろう。
●VIAはCyrix/Centuarのコアを利用したCPUロードマップを顧客向けに公開
VIA TechnologiesとVIA-Cyrixの共同ブース | ブースに展示されていたJoshuaのサンプル |
Cyrix、Centaur Designと相次いでCPUメーカーを買収したVIA Technologiesは、長い間今後CPU事業をどうするのかを公開していなかったが、COMDEXの会場で顧客向けに同社のCPUロードマップを公開している(一般来場者およびメディア向けには公開していない)。なお、既にCyrixは社名も「VIA-Cyrix,Inc.」と名前が変更されており、今回のブースもVIAとVIA-Cyrixで1つのブースとなっている。
筆者がVIAに近い筋から入手した顧客向けに公開されているロードマップによると、現在ローエンド向けに販売されているMIIだが、これはPR433まで販売される。2000年の第1四半期(VIAによると2月ということだ)に9月に行われたVIAのセミナーで公開されたSocket 370用CPUであるJoshuaがPR433+として発売される。このJoshuaに関してサンプルがVIA-Cyrixのブースで展示されているほか、各マザーボードベンダでも見ることができる。VIA-CyrixによるとJoshuaはCeleronとピン互換で、64KバイトのL2キャッシュ、256KバイトのL2キャッシュがオンダイになっており、3DNow!にも対応しているという。ロードマップにはPR433+となっているのだが、VIA-Cyrixの関係者によると2月にリリースされる最初のCPUはおそらくPR500になるそうで、実際のクロックは400MHzになる可能性が高いということだ。
なお、VIAのロードマップにはJoshuaの次世代として「Samuel」というCPUが2000年の第3四半期のあたりに掲載されている。VIAに近い筋によると、SamuelはCentaur DesignでWinChip4として開発されていたCPUコアを利用して作られるCPUで、Socket 370に対応した製品になるという(ちなみにもともとのWinChip4はSocket 7用だった)。FSBのクロックは66/100/133MHzに対応しており、256KバイトのL2キャッシュがオンダイになるという。クロックは500MHz以上が予定されている。
なお、VIA Technologiesのマーケティングディレクターであるリチャード・ブラウン氏によると、「CyrixのCentaurは別々の開発チームとして存続していく」ということで、特に両方を合併する予定などはないようだ。いずれにせよ、これまで明確でなかったVIAのCPU戦略だが、最もローエンドなCPUとしてSocket 370のソリューションを展開していくという方針が明らかになった。今後は実際に製品がでてくるのがいつになるのかに焦点が移っていくだろう。
□COMDEX/Fall '99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/
□関連記事
【10月21日】900MHzの銅配線Athlonプロセッサのサンプル製造に成功!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991021/amd01.htm
('99年11月16日)
[Reported by 笠原一輝]