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由緒正しいアクションゲームの最新作
写真左がオープニングムービーから。写真右はゲーム内で流れるムービーでクリーチャーも登場する。とってもアラビアンナイト的。 |
国内ではステータスシンボルと呼ばれながらも、英語の壁の問題などから普及しなかったApple IIにかわり、このタイトルを国内に知らしめたのは、やはり国産機のPC-9801シリーズや家庭用ゲーム機だった。豊富に用意されたアニメーションパターンはディズニーなどで使用されているフルアニメーションを意識させ、国内のリミテッドアニメに慣らされていた目には、かなりクネクネした動きに見えたようだ。そのため、ゲームそのものよりも動きの点に終始していた記事が多かったように記憶している。この動きはロトスコープと呼ばれる、アニメ製作において用いられる技法で、実際に人間が動いているところを撮影し、それをアニメーションパターンに描き起こすという手順が取られている。3Dでいうところのモーションキャプチャに近い手法ではあるけれど、1コマ1コマ、パターンを描くのは人間の手によるものなので、モーションキャプチャよりはるかに多くの工数がかかる手法といえるだろう。
そして、5年前の'94年には続編「プリンス・オブ・ペルシャ2」が登場し、さらに5年が経過した今年、最新作である「プリンス・オブ・ペルシャ3D」のリリースとなったわけだ。シリーズ最新作にして、初の3Dグラフィックで再現されたペルシャの王子様は、どんな冒険を見せてくれるのだろう?
薬を一気に飲み干すのも前作のまま。ちょっと体のそらし方が足りないかな | 落とし穴の下には無数の針。落ちれば即死。おなじみのトラップです |
最初に印象を払拭させるゲーム性
水中では体力の隣に空気ゲージも出ます。おぼれないように注意 |
ゲーム開始直後、プリンス(プレーヤー)はいきなり牢屋に放り込まれてしまう。もちろん武器の携行など許されるはずもなく、丸腰の状態だ。牢から脱出するために周囲を見回すと、1カ所だけ色の違う壁がある。これを押すと脱出口が開けるのだが、この辺はまさに「トゥームレイダー」のノリだ。「あーあ、やっぱりか」そんな失望にも似た感覚のままプレイを進めていたのだけれど、やがてその先入観は大きな間違いだったことを思い知らされる。
「トゥームレイダー」は、アドベンチャー要素こそ持っているものの、根本はタイミング勝負のアクションゲームだといえる。一方、この「プリンス・オブ・ペルシャ3D」は、戦闘やジャンプなどのアクション性も要求されるが、根本にあるのは謎解きを主体としたアドベンチャーゲームなのだ。微妙な違いではあるけれど、この差は大きい。そのプレイ感覚は、どちらかといえば「アローン・イン・ザ・ダーク」や「バイオハザード」に近いと言っていいと思う。もっとも、広い年齢層にアピールするために「鍵を探して先に進む」タイプの「バイオハザード」と比較すると、その難易度は格段に高いように思うが。
前作までが、ほとんど純粋なアクションゲームだったことを考えると、本当はこの質の変化は歓迎しかねるのかもしれないが、先行してリリースされている同ジャンルのゲームとの差別化を図るためには、こうした手段をとらざるをえなかったのかもしれない。「懐かしさと違和感が同時に存在するゲーム」。前作に思い入れのあるプレイヤーほど、そんな感覚にとらわれるのではないかと思う。
多彩な武器を駆使してプリンセスを助け出そう
他の虜囚との会話。有効なヒントもあるので聞き漏らさないように |
武器には、剣のほかに槍や弓などがある。また、ステージが進むとアサシン(暗殺者)が使用するダブルブレードも使用できるようになる。これは両手に1本ずつ短剣を持つタイプの武器で、刃が1本の他の武器とは趣の違う攻撃方法を楽しむことができるだろう。武器はそれぞれに有効範囲などの特徴があるので、状況に応じて使い分けていくのが攻略のための第一歩ということになりそうだ。
このシリーズは一貫して「プリンセスを助けに行く」という基本ストーリーを踏襲している。これまでの活躍によりプリンセスとの婚姻を認められたプリンスだが、元の婚約者であった半人半虎のラグナーと、その父であり国王サルタンの弟でもあるアサンがこれを快く思うはずもなく、彼らの謀略によりプリンスは幽閉、プリンセスも囚われの身となってしまうというのが、今回のストーリーの流れだ。
ところで、この種の洋モノゲームのレビューするとき、幾度となく書いているのだけれど、この作品でも書かなければならない。「プリンセスがかわいくない」。オープニングのムービーで剣舞を披露しているお姉さん(実はアサシン)は色っぽくてイイ感じなのだが、プリンセスは吊り目でこわい。あんまり書くとセクハラになってしまいそうだが、まあ人の好みも千差万別ということなのだろう。
戦闘シーン。光の処理も施され迫力あるものとなっている | 槍や弓矢などの武器も今回登場する。その時々で最善の武器を選択しよう | これが暗殺者が使っているダブルブレード |
待ち受ける罠・罠・罠。引っかかるのもまた一興?
壁面にあるアサンのレリーフ。見張りが口の中に手を入れて、左の格子を開けていたのでマネしてみたら…… |
ところでこのゲーム、罠はマップ中に仕掛けられているものばかりではない。プレーヤーにとって最大の敵である「ハマり」が存在するのだ。マップ中を進んでいくと、突然扉や柵が閉まって退路を断たれることがあるのだが、実はその先に進む前にやっておかないとクリアが不可能になってしまうことがある。トラップ回避のためには、こまめなセーブが必須だけれど、クイックセーブに頼りきりだったり、同じファイルに何度も上書きしていると、こうしてハマってしまった時に最初からやり直さなければいけなくなってしまう。クイックセーブで進みつつ、折をみながら新規ファイルにセーブして、いつでも戻れるような環境を作っておくこと。これが「プリンス・オブ・ペルシャ3D」を快適にプレイする秘訣といえるだろう。
ストーリー的には続編だが、もちろん前作を知らなくても十二分に楽しむことはできる。国産のゲームに比べると、かなりプレーヤーを突き放したところがあって「マップ上に存在するものが全て。あとは自分で考えるべし」というスタンスがうかがえる。噛み応えは十分なので、秋の夜長にじっくり楽しむには最適といえそうだ。
Pentium IIIにも対応しており、炎の揺らめきや水面の表現などがより美しく効果的に楽しめる。速度だけでいえば、通常のプレイにおいてPentium IIの400MHzでも不満を感じることはほとんどないけれど、こういう話を聞くとCPUの乗せ換えもしてみたいなあ、と思う。ああ、でもこの段階ですでに術中にはまっているのかもしれないなぁ。
壁に設置してあるブレードはこうやってよけます。ジャンプでもいいけど難しいかも | 釘に串刺し。もちろん即死です。何度経験したことやら…… |
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