Click


プロカメラマン山田久美夫の

WORLD PC EXPO 99 展示会場レポート デジカメ周辺機器編

会期:9月7日~11日(7日は特別招待日)

会場:幕張メッセ HALL 1~8

 今回は、デジタルカメラ関連の周辺機器などを紹介する。



●日本HP:PCカード対応のインクジェットプリンタを参考出品

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は今回、2,400×1,200dpiの高解像度と両面印刷を実現した「DeskJet970xi」を大々的にアピール。そして「970xi」をベースにした、PCカード対応のフォトプリンタ「PhotoSmart P1100」を参考出品していた。このプリンタは、「エプソン プリントンPT-100」と同じコンセプトで、パソコンを介さずにメモリーカードからダイレクトにプリントアウトできる。

 この分野では後発だけに、プリントンにはない多くの特徴を備えている。代表的なものとしては、まず、スマートメディアとCFカードがアダプターなしに直接利用できる点があげられる。ただし、各専用スロットなので、Type2のPCカードやメモリースティックには対応できない。

 また、指定したコマだけを1枚のペーパーに分割してプリントする機能も搭載されている。さらに、フォトプリンタとして使用頻度の高い4×6インチ(ポストカード用)のペーパーをプリンタ内の専用トレイに約20枚収納できる。

 また、本機にはHPが推奨しているIrDAベースの赤外線転送規格「JetSend」を使ったワイヤレスプリントも可能だ。ただし、対応機種は日本国内で発売予定のない、HPの新機種のみという点が残念。

 このほか「自社の最新のエンジンを搭載している点も大きな特徴」と説明員は言っていたが、ブースで見る限り、印刷速度はプリントンよりも遅く、印刷品質もプリントンに一歩譲る感じ。また、操作性は好みが分かれるところだが、わかりやすさという点ではプリントンに軍配があがりそう。いずれにしても、この分野の製品はプリントンとレックスマーク 5770しかなかったわけで、新たにHPが参入することで、さらに活気のあるカテゴリーとして成長することを期待したい。

□関連記事
【9月10日】WORLD PC EXPO 99会場レポート 周辺機器編
折り畳んで持ち運べる光学式マウスなど
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990910/wpe22.htm


●LEXAR MEDIA:USB内蔵の高速CFカード

 米国のデジタルカメラ用CFカードの世界では、圧倒的なシェアを誇るLEXAR MEDIA。同社は今回、USB機能を内蔵したCFカードを出品した。
 このCFカードは、書き込み速度がきわめて速い「8倍速」タイプ。この8倍速というのは、CD-ROMドライブと同じ考え方の表記で、基準を150KB/秒において計算したもの。つまり、1.2MB/秒もの書き込み速度を実現した高速タイプというわけだ。ちなみに、現在市販されているポピュラーなCFカードが400~600KB程度なので、その2倍以上も高速なもので、しかも、その速度をきちんと保証している点が特徴だ。

 今回出展されたものは、CFカード自体にUSB回路が組み込まれている新しい製品だ。付属のUSB接続ケーブルを使って、カードから直接PCにUSB転送ができるのだ。つまり、カードリーダーを別途購入しなくてもUSB転送ができる。

 日本国内での自社ブランド展開は未定だが、オリンパスから64MBタイプ、三洋電機からは32MBタイプがカメラのオプションとして発売されるという。米国で実績のあるメーカーだけに、今後の日本国内での展開が期待される。



●IrDAパビリオン:16Mbitの高速転送を実現した「IrDA Ver.1.4」を公開

 今回のイベントでは、IrDA、IEEE-1394、USBといったキーテクノロジーに関連するメーカーがパビリオン形式で共同スペースを構えていた。なかでも、興味深かったのがIrDAパビリオンだ。ここでは、赤外線転送のIrDAをベースとした出展がなされており、IrDAに熱心なHPを中心に、さまざまなIrDA関連製品やデモを見ることができる。

 パビリオンでは、今年はじめに規格化された16Mbpsの高速通信が可能な「IrDA Ver.1.4」のデモが行なわれていた。IrDAにはいくつかのバージョンがあり、初期のVer.1.0の115Kbit仕様のものもあるが、現在で大半はVer.1.1準拠の1.15Mbpsと4Mbps仕様のものとなっている。そして、その上位に位置するのが、今回デモが行われた16Mbps仕様のVer.1.4だ。

 IrDAは初期の段階で注目度が高かったこともあって、Ver.1.0の遅いイメージがある人が多い。また、Ver.1.1も高速化されても、メーカーにより1.15Mbpsの機器と4Mbpsの機器が混在しており、実測では数値ほどの高速さは感じられない状況だ。だが、Ver.1.4では秒間16Mbpsの転送速度を実現しており、デモを見る限り、十分にスピーディーで魅力的だった。

 さらに、今回のパビリオンでは、HPが提唱するIrDAベースの転送方式である「JetSend」を積極的にアピール。これは静止画転送に特化した「IrTran-P」と違い、様々な用途に利用できるようにした規格であり、静止画の画像データだけではなく、あらゆる形式のファイル転送が可能になっている。

 パビリオンには、HPのJetSend対応機器が数多く出展されており、日本国内では未発表の小型ハンディスキャナー(米国では大人気で入手困難なもの)や、JetSend対応レーザープリンター。さらに、JetSendを活用したWindowsCE用のアプリケーションまで用意されており、“JetSend World”さながらの状態だった。興味のある人はこちらを見ると、JetSendの世界の広がりが理解いただけるだろう。

 このほか、Clarinetから、IrDAを使った赤外線WANシステムが出品されていた。最近は無線LAN(WAN)といえば、電波転送が中心になっているわけだが、このIrDAを使ったWANシステムの場合、ノートPCやPDAに標準搭載されているIrDA機能を使って通信ができる点が最大のメリット。つまり、対応ソフトをインストールするだけで利用でき、WANのために新規にハードを加える必要がない。

 そのため、現在ではホテルや会議室、空港のラウンジなどでの利用が検討されているという。とくに海外ではモジュラージャック付きの公衆電話がないため、外出先でのインターネット接続はきわめて不便。その点、このような赤外線での通信システムがあれば、専用ソフトをインストールすれば接続できる。また、特殊用途では、電波が悪影響を及ぼす可能性のある病院内などでのWAN用としての需要も考えられるという。

 なお、今回出品されているのは、赤外線LAN(WAN)と8ポートの10/100Mbps対応のもので21万円。赤外線転送用のビーム部分が9,800円と、それなりに高価。だが、ハードの追加なしにネットワークが実現できるため、ノートPC中心の社内LAN(WAN)には便利そう。もっとも、電波による無線方式と違い、見晴らしのいい環境が必要なのを忘れてはいけない。

□WORLD PC EXPO 99のホームページ
http://wpc99.nikkeibp.co.jp/

('99年9月10日)

[Reported by 山田久美夫]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp