~DVカメラユーザー待望のIEEE-1394搭載マザーボードがASUSTeKからデビュー! |
IEEE-1394は、最大400Mbpsのデータ転送速度を持つ次世代シリアルインタフェース規格であり、PCと家電を結ぶ橋渡しとしての役目が期待されていた。Intelがチップセットレベルでのサポートを取りやめたことなど、当初の目論見通りには進んでいない面もあるが、身近なところではDV方式のデジタルビデオカメラのデジタル出力端子(DV端子)としてIEEE-1394が採用されている。PCがIEEE-1394端子を備えていれば、デジタルビデオカメラで撮影した動画をそのままのクオリティで取り込むことができるわけだ。ソニーのVAIOシリーズなど、標準でIEEE-1394端子を備えたPCもあるが、まだまだ少数派だ。
IEEE-1394端子を備えたマザーボードの登場も以前から噂されていたが、ようやくその最初の製品がASUSTeKから登場したので、早速レビューしてみることにしたい。
■TI製のIEEE-1394コントローラチップとAureal製のサウンドチップを搭載
microATXフォームファクターを採用したP3B-1394 |
オンボードで搭載されているサウンドチップ(Vortex2) |
P3B-1394の最大の目玉であるIEEE-1394インタフェース機能は、TI製のIEEEコントローラチップをマザーボード上に搭載することで実現されている。IEEE-1394コントローラチップは、物理層(Physical Layer)とリンク層(Link Layer)を担当する2つのチップから構成されている。TIは、IEEE-1394コントローラチップを広く供給しているベンダーであり、最近発表されたメルコのIEEE-1394カード(IFC-ILP/DV:定価24,800円)でもTI製コントローラチップが採用されている。
IEEE-1394インタフェースでは、DV端子(i.LINK端子)と同じ形状の小型の4ピン端子と、それよりも一回り大きな6ピン端子が使われている。P3B-1394では、シリアル端子の代わりに6ピン端子が1つATXのI/Oパネル部分に装備されているほか、4ピン端子と6ピン端子が1つずつ用意されたI/Oブラケットが付属している。つまり、本来なら同時に3つのIEEE-1394端子を使えることになるが、今回購入した製品には、I/Oブラケットとマザーボードを接続するケーブルが1本しか付属していなかった(マザーボードとI/Oブラケットにはそれぞれ2個ずつコネクタがあるので、同じケーブルが2本あれば、同時に全ての端子を利用できるはず)。
TI製IEEE-1394コントローラチップを搭載(物理層チップ) | TI製IEEE-1394コントローラチップを搭載(リンク層チップ) |
ATXのI/Oパネル部分に装備されているIEEE-1394端子(6ピン) | I/Oブラケットには、4ピン端子と6ピン端子がそれぞれ1個ずつ用意されている |
■通常のWindows 98でも問題なく動作
DVカメラをIEEE-1394端子に接続すると、システムのデバイスマネージャでは、1394 DV Camcorderと表示される |
通常にWindows 98をセットアップしただけでは、内蔵のIEEE-1394コントローラは認識されないが、デバイスドライバ類が収録されている付属のCD-ROMから、IEEE-1394Host Controller Driverをインストールすることで、IEEE-1394コントローラがWindows 98上で正しく認識されるようになる。また、サウンドチップ(Vortex2:Vortex AU8830)も標準では認識されないので、ドライバをインストールする必要がある。
【テスト環境】
CPU:Pentium III 600MHz
マザーボード:ASUSTeK P3B-1394
メモリ:128MB(PC-100 SDRAM CL=2)
ビデオカード:カノープス SPECTRA 3200 R2(RIVA TNT:16MB)
HDD:Quantum Fireball EX6.4A
■添付のビデオ編集ソフト「Ulead VideoStudio SE DV Version」の出来も秀逸
添付のビデオ編集ソフト「Ulead VideoStudio SE DV Version」。本格的なビデオ編集がおこなえる高機能ソフトである |
IEEE-1394コントローラが正しく動作していても、対応アプリケーションがないとあまり意味がないが、P3B-1394には、機能と使い勝手に定評のあるUlead製のビデオ編集ソフト「Ulead VideoStudio SE DV Version」(以下、VideoStudio SE)が添付されている(ドライバ類が収録されているCD-ROMとは別のCD-ROMで提供)。P3B-1394に添付されているVideoStudio SEは、6カ国語(日本語、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語)に対応したバージョンである。インストーラからヘルプまですべて日本語化されているので、非常にありがたい。
VideoStudio SEは、ビデオソースの取り込みから、ストーリーボードを使った切り貼り編集、エフェクト処理、タイトルの追加、音声や音楽の追加まで、本格的なノンリニア編集がおこなえる高機能ソフトだ。シーン同士の切り替え時のエフェクトも豊富に揃っているので、初心者でも本格的な作品を制作することが可能だ。完成したビデオは、AVIファイルやQuick Timeムービーとして保存することができるほか、DVテープに再び書き戻す事もできる。また、VideoStudio SE側から、DVカメラのコントロール(再生/一時停止/早送り/巻き戻しなど)を自由におこなうことができるので、編集も非常にやりやすい。また、通常のAVIファイルは、1ファイルあたり2GB(DVフォーマットなら約9分30秒)までという制限があるが、その制限を超える長時間の取り込みが可能になっている。
少し前までは、一般ユーザーがデジタルビデオのノンリニア編集をおこなうのは、ほとんど夢物語であったが、DVカメラの普及とP3B-1394のような製品の登場によって、一般ユーザーにも可能になったことは、まことに喜ばしいことだ。
今回は、Pentium III 600MHzというかなりハイエンドな環境で試用したが、ビデオキャプチャ自体は、CPUパワーがそれほど高くなくとも、フレーム落ちすることはないようだ(試しに、Celeron 333MHzに換えてみたが、キャプチャに関しての問題はなかった)。ただし、ビデオ編集作業では、CPUによるレンダリング処理が多用されるので、CPUの演算能力は高ければ高いほど、快適に作業がおこなえる。また、HDDのデータ転送速度も重要であろう。P3B-1394は、Intel440BXチップセットのサウスブリッジを採用しているため、Ultra ATA/33にしか対応していない。今回は、5,400回転/分の通常のHDDを使ったが、本格的に編集作業をおこなうのなら、7,200回転/分以上の高速HDDを使うことをおすすめしたい。
■DVカメラのユーザーには文句なしにおすすめ
P3B-1394は、IEEE-1394インタフェースを搭載しながら、実売25,000円~28,000円程度で販売されている。アイ・オー・データ機器のIEEE-1394カード「GV-DVC/PCI」(定価34,800円)が実売27,000円~29,000円程度で売られていることを考えると、P3B-1394のコストパフォーマンスは非常に高い。もちろん、IEEE-1394インタフェースに魅力を感じないユーザーもいるだろうが、DVカメラを使っていて、撮影した動画をキャプチャして編集したいと思っているユーザーには、強くおすすめできる。
WORLD PC EXPO 99のGIGABYTEブースで展示されていたGA-6VX1394 |
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【9月4日号】ASUSからIEEE1394搭載のmicroATXマザー登場
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/990904/etc_p3b1394.html
[Text by 石井英男@ユービック・コンピューティング]