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すでにご存知のように先月まで下がる一方であったメモリは今月第2週に入った直後に、急激な値上がりを見せました。一時期、8,000円近くまで来ていたメモリの価格はたった2週間~3週間の間に30%前後の値上がりをしています。Micronの生産トラブル説が値上がりのきっかけと言われていますが、実際のところは原因がはっきりしていません。しかし、ショップとしては大慌てすると同時に、ちょっと「にっこり」という感じです。なぜかというと、値段が上がり始めると、急にメモリが売れ始めるからです。
価格が下がっているときは、どこまで値段が下がるのか様子を見ているユーザーが多いのですが、値段が上がり始めると底値になったと思い一気に買う人が増えます。筆者のショップでも値下がりしている時より、値段が上がり始めたときのほうがたくさんメモリが売れました。ショップとしては下がる一方ではなく、時には値段が上がったほうが良いかなと思います。もちろん一般ユーザーとしては値段が下がった方がうれしいですけどね。
□関連記事
【7月10日】Micron生産トラブル説でメモリ価格が一転して急上昇へ(AKIBA PC Hotline!)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/990710/etc_sdram.html
【7月13日】米Micron、メモリ生産トラブルを否定
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990713/micron.htm
■ 値段が上がりはじめた時の裏騒動
値段が上がり始めたときには、在庫をたくさん持っていたショップと、在庫を少なくして仕入れをこまめにしているショップとで大きな価格差が発生します。メモリは値下がりが早いので一般的に多くのショップは在庫を少なめに仕入れをしています。ですから、市場価格が上がると、秋葉原の店頭価格もそれを反映して変動します。在庫を多めに持っていた数少ないショップだけが、値上がり前の安い価格で販売できます。
ショップによっては値上がりしはじめたときに安いメモリを持っていても値段を高めに設定するところもあれば、そのまま安い価格で正直に販売するところもあります。ただし、正直な安い価格で販売しても別の問題が出てきます。業者による大量購入です。
今回の値上がり騒動でも、一部ショップに業者や同業他社が買いにくる事態が発生したようです。新しく仕入れをするより、秋葉原のショップで買うほうが圧倒的に安いこともあるのです。実際のところ、アメリカの市場価格と日本の秋葉原の店頭価格に時間差があり、秋葉原で買ってアメリカに輸出したり、国内の業者に売ったりするとかなり儲かるようです。お店にしてみれば、多くの一般ユーザーに安く提供したいところなのですが、業者にまとめ買いをされるのではショップも困ってしまいます。業者の購入を避けるためのメモリ販売個数制限を実施しているショップは、筆者が知っているだけでも秋葉原に10店舗以上あります。一般ユーザーの目にはあまり留まりませんが、販売個数の制限というのはこういう事情で実施されているのです。
■ 実は下がっている、注目のメモリ
一般的なPC-100 CL2メモリの値段が急激に上がっているのに反して、順調に値段が下がっているのが、133MHz対応のPC133メモリです。現在CL-3しかありませんが、PC-100の値下がりを気にせず、順調に値段が下がってきており、発売当初PC-100とかなり差があった価格差も縮まってきました。値段が下がってきたことやオーバークロック人気も重なって、秋葉原での人気も徐々に高まってきています。このまま人気が上昇するかどうかはマザーボードの動向次第ですが、着実にシェアを伸ばしてきているのは間違いありません。
また、値段が下がってきているもののひとつに256MBのメモリがあります。64Mbitチップを32枚使った256MBのメモリモジュールは動作が不安定になりやすいので人気があまりありませんが、128Mbitチップを16枚使った本当の(?)256MBメモリは人気が高くなってきています。今年の前半は8万円前後していましたが、今は5~6万円で手に入るということで、さらなる大容量メモリを求めるユーザーを中心に人気が出ています。128Mbitチップのメモリは今後も徐々にですが価格が下がりそうです。筆者としては3万円前後まで落ちてくると、一気に爆発的な人気になるのではないかと思っているのですが、いつごろにそのぐらいまで値段が落ちてくるかはわかりません。さらに今年の年末にかけては256Mbitチップを使用した512MBのメモリモジュールも登場してきそうですし、メモリの大容量化はさらに進みそうです。
■ CPUのフライング販売が公認される
昔から秋葉原ではよく行なわれていたフライング販売。先日秋葉原に登場したPentium III 600MHzとCeleron 500MHzやその前に発売されたPentium III 550MHzでは、そのフライング販売が公認事項となってしまいました。なぜフライング販売が公認されるような事態になったかといいますと、発表日と一番売れる週末との絡みが問題となっています。
最近のインテルは米国時間の日曜日の発表が多く、今回も米国時間の8月1日が発表日。日本時間では8月2日が発表日となっています。ところが秋葉原のショップをはじめとして、多くのパソコンショップが週末の土曜日/日曜日が一番売れる日なので、直前より販売したいと兼ねてから要望を代理店にあげていました。それが最近では認められ公認でフライング販売をしても良いこととなってきたのです。本来、NDA(秘密保持契約)で発表前に販売や商品に関しては口外してはいけないことになっているのですが、だんだんそれが崩れてきているようです。
なぜフライング販売が認められてきたのかというと、バルク品の最新製品がいち早く秋葉原に登場してしまうためです。大きなPCメーカーの一部がバルク品を横流しして、発表日よりかなり前に登場しまうのです。まじめに発表日を守っているショップにとってはたまったものじゃありません。そこでなんとか公認させて販売を行なうようになったわけです。今回も実際のところ、Pentium III 600MHzと、Celeron 500MHzのBOX版はかなり前から代理店には入荷していたようです。いくつかのショップもかなり前から手に入れていたようです。そして、「発表直前なんだから良いじゃん」みたいな感じでフライング販売を認めさせているようです。
今後もこのような直前のフライング販売はあたりまえのように行なわれそうです。また、今回は雑誌広告もフライング掲載が認められていて、7月28日前後に発売している雑誌にはPentium III 600MHzとCeleron 500MHzを搭載したパソコンの広告が各ショップ一斉に登場しています。だんだん、インテルの発表日/発売日の意味がなくなってきている気がします。 果たしてこのままフライング販売は市民権を取っていくのでしょうか? 今後のメーカー/代理店の動きに要注目です。
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【7月31日】Celeron 500/Pentium III 600の公認フライング販売開始(AKIBA PC Hotline!)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/990731/etc_c5p6.html
写真提供:AKIBA PC Hotline!
[Text by AMUAMU]