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第13回:読者からの手紙



 デスクトップPCが余っているという人は結構いるものだが、ノートPCが余っている人はあまりいないものだ。単価が高いからという理由もあるだろうが、ここ数年の進化の速度が速く、しかも大幅なアップグレードもできないために、余っていても使いものにならない(数のうちに入らない)からなのかもしれない。

 物好きな僕とは違って、普通は余っているわけでもないノートPCにWindows 2000β3なんていう危険なものをインストールする人はいないだろう、などと思っていたのだが、読者の反応を見ているとそうでもないらしい。

 ここで前回と重なる部分もあるが、再度注意していただきたいのは、Windows 2000をAPMモードで動かしても、電源管理に関して完全な機能性を得られないということだ。これはACPIモードでも同じようなものだが、ACPIモードであれば、少なくともサスペンド/レジュームに関して非常に高速に動作し、設定も比較的細かく行なうことができる。

 筆者はThinkPad 570にWindows 2000をインストールしてみたが、先週の月曜日に西川氏が報告しているようにIBMはWindows 2000β3を利用するためのソフトウェアモジュールやBIOSアップデートなどを提供しているため、Windows 98を利用している場合とほとんど変わらない環境を構築することができた。たとえば、ウルトラベースの取り外しに関しても、Windows 98と同じようにボタン一つで電源オンのままで行なうことができる。

 β版をサポートする責任はPCベンダーにはないため、他のベンダーを責めることはできない(そもそも日本IBMがこれらモジュールの日本語版を提供するかどうかもわからない)が、こうしたちょっとした対応(当然、無保証でもかまわないと思う)がユーザーの心を動かすものではないだろうか。一般向けに日本語Windows 2000β3が出荷されるのは9月以降になるだろう。PCベンダーがどれほど身軽な対応を行なえるのか注目したい。



■ 読者からの手紙

 この連載はモバイル相談コーナーというわけではないのだが、毎週続けていると色々な電子メールが舞い込んでくる。僕のささやかな楽しみなのだが、今回はいくつかの質問に答えながら話を進めることにしたい。


 
 海外取材に行かれると記事にありましたが、外国のホテルの設備ではインターネットに接続するハードウエアは、どのようになっているのでしょう。日本のホテルではビジネスセンターがあるのですが非常に使いにくいと思います。部屋にあるモジュラージャックからアナログモデム経由でプロバイダーに接続するときも回線状態が悪く28.8kbpsぐらいになってしまいます。
 

 僕の場合、逆に国内のホテルの経験の方が少ないのだが、米国に関してだけ言えば、日本のほとんどのビジネスホテルよりも、仕事の環境は充実していると思う。ただし、例外もある。

 日本からツアーで観光に行く場合、自分で予約する場合は高くて泊まれないようなホテルに泊まれたりする。残念ながら、そうしたホテルは仕事をするのではなく、くつろぐために装備を充実させているため、机の高さから椅子の構造に至るまで、実にPCが使いにくくなっている。

 これがヒルトンやマリオット、シェラトン、ウェスティン程度のホテルになれば、ほとんどの場合、仕事に支障はない程度の普通の机と椅子になるのだ。また、滞在地やホテルが建設、改装された年によっては、電話が2回線ある場合さえある。

 もっとも、本当に仕事用なのであれば、もっとビジネスワーカー向けのホテルを選ぶほうがいいだろう。僕は個人的にマリオット系列のコートヤード(COURTYARD、http://www.courtyard.com/ )というホテルを利用することが多い。このホテルはハッキリ言って殺風景でリゾートとは無縁の存在なのだが、机にも椅子にも機能的なものを使っていることが多く、PCを利用するには最適な環境を提供してくれる。残念なことに、電話が2回線あることは少ないのだが、豪華さよりも機能性を重視したい人にはおすすめだ。インターネットからも予約を行なうことができる。

 と、ご質問の内容とは大分外れてしまったが、僕はそうした環境を選ぶほうが回線の品質よりも重要だと思う。というのも、ホテルから28.8kbps以上で接続できたことなど、これまでに数えるくらいしかないからだ。28.8kbpsで接続できたらラッキーな方だ。

 残念ながら私は通信回線設備のことには詳しくないのだが、ホテル内に置かれているPBXの性能によって帯域が制限され、高速な通信ができない場合が多いのだという。また、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなどは、ホテルの建物や設備が古くなっていることが多く、混信ぎみに大量のノイズが入る場合がある。そんな場合には接続できても数分で切れてしまうことが多いが、何度か接続しなおしたり、夜中にかけなおしてみると直る場合が多いように思う。

 また、高速に通信できなくてもインターネットにつなぎっ放ししておけば、それなりに遅さをカバーできないだろうか。すべてのホテルではない(高級ホテルほどホテル内の回線使用料を徴収する傾向がある)が、ほとんどの場合、市内通話は無料もしくは75セント程度の固定料金で利用することができる。つまり、接続プロバイダーの料金を考慮しなければ、こまめに電話を切断するほど金がかかってしまうのだ。

 問題は接続プロバイダーだが、僕はAT&TのWorldNet Service( http://www.att.ne.jp/ )を使っている。国内一次プロバイダでもありながら、月2,000円の固定料金は魅力だ。欠点はアクセスポイントが少ないことだから、国内出張の多い人や地方在住の人には勧められない。しかし、米国でAT&Tのインターネット接続インフラを利用できるため、海外ではとても使いやすい。1-800コール(日本の0120と同じ、無料通話番号)からインターネットに接続すれば、日本で支払っている月々2,000円の料金だけで米国での接続料もカバーできてしまう。米国のホテルでつなぎっ放しにしても、追加料金は一切ない。

 上記のようなことも考慮すると、速度こそ遅いものの専用線感覚(?)でインター ネットを使える米国のホテルの方が、ずっと充実していると思うのだがいかがだろう か。  なお、ヨーロッパのホテルには、この図式は必ずしも当てはまらないので注意して欲しい。あまりヨーロッパでインターネット接続することはないのだが、少ない経験の中から言えば、通信環境に多くを望まないほうがいい。特に観光地に多いこじんまりとした家族経営のホテル(ヨーロッパにはこのタイプの宿が多い)では、モジュラージャックも存在しないことがある。


 
 電車に乗るときや公園でもモバイルコンピューティングをする人がいる件ですが、日中太陽の日差しのなかで液晶がよく見えて、バッテリーの容量がそれなりにあって、重さも軽く使いやすいノートパソコンはどのような機種なのでしょうか。
 

 残念ながらお望みのノートPCはないと思う。ノートPCほどの汎用性がなくてもかまわないのであれば、NEC モバイルギアIIの中でもモノクロ版のR320をおすすめする。すでにデスクトップPCを使っていて、補助的に外出先でコンピュータを利用するならば、H/PCでも満足できることが多い。また、反射型液晶のため屋外でも非常に見やすい。

 しかしH/PCにノートPCのような多機能を求めると、残念な結果になるかもしれない。自分が何を求めるかによって、ある部分は割り切り、ある部分は譲らない。そういった選び方が現実的だ。

 各社からモバイル向けにH/PC Proの新機種が多数登場している。この話はいずれ日を改めて詳しく書いてみることにしたい。

[Text by 本田雅一]


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