Text:石井英男
会場:台北世界貿易センター展示場
台北国際コンベンションセンター
主催:TCA(台北市電脳商業同業公会)
CETRA(中華民国対外貿易発展協会)
COMPUTEX TAIPEIといえば、マザーボードやケースといったPC/AT関連パーツばかりが注目されがちだが、会場をじっくり回れば、他にもいろいろ面白い製品が展示されていることに気づく。そこでここでは、モバイル関連の製品を中心に紹介していきたい。
■Pentium III搭載? KAPOKの大型ノートパソコン
KAPOKの8500P。「Pentium II/III」という文字が堂々と書かれている | テンキー付きのキーボードを搭載。IEEE-1394ポートも標準装備 |
一見、普通のフルサイズノートのように見えるが(液晶パネルは15.1インチと大きい)、説明パネルには、大きな文字で堂々と「Pentium II/III」と書かれているのだ。「Pentium III搭載? モバイルPentium IIIは発表されていないはずだが、ひょっとしてSECC2パッケージのPentium IIIを無理矢理載せたのか?」などと思って、勢い込んで説明員に尋ねたところ、何のことはない。展示されているのはモバイルPentium II搭載モデルだが、MMC2(Mobile Module Connector 2)に対応しているため、モバイルPentium IIIが発表されれば、モジュールを取り替えるだけで、すぐにモバイルPenitum III搭載モデルを出荷できるというのが真相であった。
ただし、エンジニアリングサンプルのモバイルPentium IIIで、動作テストは既に完了しているという。肝心のモバイルPentium IIIの出荷時期だが、説明員の1人は来月にも登場するといい、もう1人は'99年第3四半期としかいえないということであったが、どちらにせよそう遠くはないようだ。
8500Pは、なかなかユニークなマシンだ。キーボードにテンキーが付いているので、表計算ソフトや会計ソフトを利用するときなど、数値を頻繁に入力する場合に威力を発揮する。また、IEEE-1394ポートを備えていたり、SO-DIMMソケットを3つ備え、最大384MBのメモリを搭載できることなど、ハイエンドノートだけのことはある。価格もほぼ同じ仕様のDELLのノートより安いそうなので、コストパフォーマンスの面でも優秀だ。また、デスクトップ用のSocket 370版のCeleronを搭載した、2100C/2300Cシリーズも展示されていた。2100C/2300Cシリーズは、いわゆるベアボーンキットとしての発売も考えられているようなので、デスクトップをアップグレードして余ったCPUを利用して、ノートパソコンを組み立てるのも面白いだろう。
■幻のType2 HDDカードがついに出荷開始
DATAFAB SYSTEMSのブースで面白いものを見つけた。Calluna Technology製のPCカードType2 HDDカードである。PCカードType2 HDDカードは、ずいぶん昔にサンプルを見たことはあったが(3年くらい前で、当時の容量は80MBと記憶している)、結局量産されずに、幻の製品となっていた。機械的な強度や耐久性を確保するのが困難であったため、製品化が流れたという話だったが、ついに量産が開始されたようだ。
フラッシュディスクカードの大容量化/低価格化が進んだために、Type3 HDDカードを生産していたメーカーも次々撤退し、HDDカードを現在量産しているのは、Calluna Technologyの1社のみとなった。Calluna Technologyからは、最近Type3で1GBの容量を持つHDDカードが発表され、国内でもアイ・オー・データ機器から発売されている。Type2 HDDカードの国内での販売は未定とのことだが、スリムノートが流行している日本なら、価格次第だが、売れる可能性もあるだろう(スリムノートでは、筐体を薄くするために、Type2 PCカードしか利用できないのが一般的である)。容量は260MBだが、さらに大容量の製品も開発中だという。
手前が、Type2で260MBの容量を持つHDDカード。奥に展示されているのは、Type3で1GBの容量を持つHDDカードである | Type2 HDDカードを構成している部品も展示されていた。厚さ5mmの中にヘッドやモーターを収める技術は驚異的だ |
■MINI PCIに対応したモデムカードの展示も
ActionTecのブースでは、MINI PCIに対応したモデムカード(56kbps)がいくつか展示されていた。MINI PCIは、ノートパソコンの内部にモデムカードやLANカードといった拡張カードを装着するために考案された規格である。規格自体はまだドラフト段階だが、ThinkPad 570のように、MINI PCI規格を採用したノートパソコンも既に登場している。PCIスロットやAGPスロットのように、メーカーを問わずに標準的に使われるようになれば、パーツの共用化ができるのでコストダウンに繋がる。また、MINI PCI対応カードを交換することで、機能のアップグレードができることも利点である。MINI PCIは、そのサイズやコネクタの形状によって、Type1/Type2/Type3という3種類の規格があるが、ActionTecブースで展示されていたのは、Type1とType3に準拠したものであった(なお、ThinkPad 570では、Type3が採用されている)。
ActionTecブースで展示されていたMINI PCI Type3対応のモデムカード | 同じくこちらはMINI PCI Type1に対応したモデムカード |
■巻き取り君の新型がトランスルーセントになって登場
最後に、半分やじうま系ネタだが、モバイルの達人になるには欠かせないグッズを見つけたので紹介する。QUICK-SERVE COMPUTERブースに展示されていたREEL MATEがそれだ。古くからのモバイルユーザーならおなじみの「巻き取り君」(通称)が、夏らしいトランスルーセントボディで、装いも新たに登場していたのだ。
巻き取り君は、モジュラーケーブルをスマートに持ち歩きたいという要望に応えて登場したアイテムで、PCカードType3サイズの本体に1.5mほどのモジュラーケーブルを巻き取り式で収納できるものであった。ただし、初代の巻き取り君は、ケーブルの片側しか引き出せないので、結局全部引き出してから、反対側を引き出すようにしないと使いにくいことや、引き出したケーブルを手で巻くのが面倒だなどという欠点があった。そこで、両側から引き出せるように改良されたものなど、いくつか似た製品が登場したのだが、最近はあまり話題にのぼることもなくなっていた。
REEL MATEは、一見すると両側引き出しタイプの巻き取り君のように思えるが、実はなかなかの優れものである。引き出したモジュラーケーブルがボタンを押すだけで自動的に巻き取られる機構を装備しているのだ。掃除機の電源コードを思い浮かべてもらえばよいだろう。もちろん、モジュラーケーブルは必要な長さだけ引き出して使うことができる。筆者は、似たような機構を持つソニー製携帯モジュラーケーブルを愛用しているのだが、REEL MATEの使用感もなかなか快適であった。トランスルーセントボディも流行っていることだし、日本でもどこかが扱ってくれないだろうか。
iMacを連想させるトランスルーセントボディ。奥と右にあるのは、黒色のタイプだ | 引き出したモジュラーケーブルは、ボタンを押せば自動的に収納される |
□COMPUTEX TAIPEI '99のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/cpx99.asp
□TCAホームページ(和文)
http://www.ippc.com.tw/tca/tca.htm
□台北世界貿易センター展示場ホームページ(英文)
http://taipeitradeshows.cetra.org.tw/
□TAIPEI International Trade ShowsのCOMPUTEX TAIPEI '99ページ(英文)
http://taipeitradeshows.cetra.org.tw/computex/
('99年6月3日)
[Reported by 石井英男]