Electronic Entertainment Expo(E3) 会場レポート

多彩なゲームを一挙に出展! Sierra On-Line


展示会開催期間:'99年5月13日~5月15日(現地時間)

会場:米カリフォルニア州ロサンゼルス
   World Convention Center



■「Diablo II」は10月リリース

今年も出展されていた「Diablo II」。やはり人垣ができていた。ちなみに発売は10月とのこと
 数多くの新作を精力的に発表し、躍進を続けるSierraには現在Sierra Attractions、Sierra FX、SierraHome、Sierra Sports、Sierra Sudios、Dynamixなど計6個ものブランドが存在する。E3でも多くの出展作品があり、隣にあるBlizzard(Sierra、Blizzardは共にHavoc Interactiveの傘下)のブースとともに、大勢の人が訪れて賑わっていた。
 Sierra及び関連開発会社には有名なゲームデザイナーが多数在籍している。Roberta Williams(Mystery House、King's Quest)、David Laster(Lords of the Realm、Caesar)、Jane Jensen(Gabriel Knight)、David Kaemmer(Indy Car、NASCAR Racing)、Jeff Tunnell(Starsiege)などなど、そうそうたる顔ぶれ。各ブランドとこれらデザイナーが個性を前面に打ち出した作品をだしているため、Sierra On-Lineのラインナップは、途切れることなく人気作を抱えていられるのである。

 今回のE3では各ブランドの新作が所狭しと展示され、なかでも「Team Fortress2」や「SWAT 3:Close Quarters Battle」、「Starsiege TRIBES II」、「Half-Life:Opposing Force(エキスパンションセット)」などの3Dアクション系に人々の注目が集まっていた。

 ただし、Sierra FXの期待作、J.R.R.Tolkien原作の指輪物語シリーズに題材をとったネットワークRPG「Middle Earth」の出展はなく、かわりにやはり指輪物語がモチーフのOrcの育成/戦闘ゲーム「Orcs:Revenge of the Ancient」が展示されていた。また、一応モニターは設けられていたものの、SierraHomeからの目新しい発表はなかった。


□Blizzard Entertainmentホームページ
http://www.blizzard.com/


■ローマの次はエジプトで都市育成~「Pharaoh(ファラオ)」

 日本語化もされた都市育成ストラテジーの「Caesar(シーザー)」シリーズ。その流れを汲んで、同作品を作ったチームが今回はがらりと舞台を変え、エジプトでの都市育成ゲームを制作している。その名も「Pharaoh(ファラオ)」。ナイル河畔を開拓して豊かな都市を作り、自らの栄光を示すためピラミッドやルクソール神殿などの巨大建造物を建てるのだ。ゲームに登場する経済や建造物はCaesarシリーズ同様に、すべて実際の古代エジプトに題材をとっている。

インターフェイスまわりのデザインもすべてエジプト風。どれがなにのアイコンだかわかりずらいが、このゲームを極めればエジプト通になれるかも? 舞台となるのは紀元前2900年から紀元前700年ごろ。人々の職業もミイラ職人やダンサー、パピルス職人など一風変わっているが多彩だ


■チームでの戦いが熱い、3Dコンバットシミュレーション

 「Team Fortress2」は「RAINBOW SIX」などの成功により、一般ゲーマーにも広がりつつある、リアルタイムコンバットシミュレーションだ。このゲームでは指揮官、衛生兵、偵察兵や狙撃兵といった役割分担のはっきりしたチームで戦闘を行ない、ミッションを遂行していくというもの。もちろんマルチプレイ対応だ。Half-Lifeエンジンを使用している。

臨場感溢れるアクションが魅力。キャラクタたちの装備する武器は、世界中の軍隊で実際に使用されているものがもとになっている 衛生兵が手当てしているところ。クラスは9種用意されており、それぞれの特徴を生かした行動がミッションの成功につながる


■Gabriel Knightが3Dフルポリゴンに

 ミステリーを題材にした人気アドベンチャーシリーズの最新作、「Gabriel Knight III:Blood of Sacred, Blood of Damned」がかなり出来上がっていた。作者のJane Jensen自らが展示モニタの前で解説員を努め、3Dポリゴン、パズル的要素など、今まで同シリーズになかった要素を実演も交えて熱心に説明していた。

 フルポリゴン、アイコンによるインターフェイスのほか、ゲームのグラフィックはキャラクタ以外のカメラ視点でもぐりぐり動かせ、単にポリゴンにしましたという安易なものでないことを見せつけていた。また、各キャラクタにはAIシステムが採用され、これらの登場人物はプレーヤーの操るキャラクタとは関係なく、独自にゲーム世界を動き回っているという。

雑誌社の記者からの質問を受けるJane Jensen。ファンからのサインにも気軽に応じていた キャラクタの行動はすべてアイコンで指示。プレーヤーは前作同様、時にはGabriel、時にはGraceとなって謎を追う


■Sierra Sportsはロデオで決まりか?

釣り自体のシミュレートもよりシビアに。実際にバスフィッシングを趣味としている人々がターゲットになっている
 待望のTrophy Bassシリーズ新作はなんと3D。前作までの実写タイプのほうがスマートに思えたが、衛星写真を多用してリアリティあふれる空間を演出しているフライトシミュレーションなどのように、ゆくゆくは実在の湖で釣りをしているかのように思わせるグラフィックを目指しているようだ。

 今回、Sports部門のブースで目立っていたのが「Professional Bull Rider」というロデオゲーム。ジョイスティックを牛の背にある鞍の握りに見立て、前後左右に動かしてバランスをとるという、なんともアメリカンなゲームだ。米国では「Deer Hunter」などの一連のネイチャーゲームブームがあったため、それほど新味はないのだが、アクション性の高いところはアメリカ人に受けそう。また、こういうジャンルでも全力投球するのが洋ゲーの魅力で、ゲームのアドバイザーにはロデオの世界チャンピオンなどがついているという。

 特に面白いのは、プレーヤーが乗るほうのカウボーイだけでなく、乗られるほうの牛にもなれること。2,000ポンドのバーチャル牛となって、背に乗る人を振り落とせるのだ。日本人にはあまりなじみのないスポーツだが、牛、もしくはカウボーイとなって賞金稼ぎをするこのゲーム、結構楽しめるかもしれない。

ロデオの実物アトラクションが設置されているのがE3らしい。希望者は初心者向けのロデオ体験ができ、それを写した画像をもらえた 牛の動きが多少不自然だったものの、グラフィックは迫力満点。ちょっとプレイしてみたくなる気軽さもある

□Sierraのホームページ
http://www.sierra.com/

□E3ホームページ
http://www.e3expo.com/

('99年5月18日)

[Reported by 西尾ゆき]


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