ほぼ半年ぶりとなる、デジタルカメラランキング。まだまだ世代交代の激しいデジタルカメラの世界だけに、顔ぶれのほとんどが入れ替わっている。
今年は早春から、新世代といえる200万画素クラスのモデルが続々発表され、ゴールデンウィーク前後になって、ようやく市場に製品が出回り始めたモデルも多い。今回は、クラス分けも現状に即したものに変えた。
今回のメインはやはり200万画素クラスのモデルだ。200万画素クラスは、PCのディスプレイ上で利用するには、画素数的にオーバースペックな感じがある。だが、プリント時の画質を考えると200万画素クラスは最低ライン。また、もともとの情報量が多いため、縮小リサイズしたときの画質にも明らかな優位性がある。さらに、“カメラ”としての完成度も、従来の130~150万画素モデルよりも高い。
そのため、進化の激しいデジタルカメラでも、このクラスを選んでおけば、ある程度の期間、安心して使える点はメリットだ。
130万画素クラスにも新製品が登場し始めており、実販価格も十分に安価で入手しやすくなっている。とくに、画素数よりもズームを優先させたい人にとっては、とても魅力的な選択肢といえそうだ。
なお、本ランキングは、一般的なユーザーがデジタルカメラを購入する際のオススメ度を基準に、順位を決定している。しかも、筆者自身が実際に使い、実写した感想をベースに、機能やデザイン、画質のほか、更新時の実販価格も考慮したものとなっている。また、本ランキングは基本的に発売後の製品を対象としているが、発売前でも製品版相当のものが入手できた製品はランキングの対象としている。
注:各分野の得点はカメラの特徴を分かりやすくするために便宜的につけているものです。順位は製品の質とか使いやすさのような数字に表われないモノも含めて総合的に判断していますので、必ずしも合計点と順位は一致しません。
順位 | メーカー名 | 機種名 | 画質 | 機能 | 操作性 | 軽快感 | デザイン | 携帯性 | コストパフォーマンス |
1 | オリンパス | C-2000ZOOM | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★1/2 |
2 | ニコン | COOLPIX950 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ |
3 | リコー | RDC-5000 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 |
●200万画素級ズーム機
200万画素級のズーム機は、5月17日現在、まだ3機種しかない。そのため、今回はベスト3となった。
1位は「オリンパス C-2000ZOOM」とした。正直なところ、総合的な実力は2位の「COOLPIX950」とほぼ互角だ。しかし、本ランキングは一般的なユーザーを前提としているため、今回はあえて撮影のしやすさと軽快さを重視して、本機をトップとした。
2位は「ニコン COOLPIX950」。本機は画質面ではC-2000ZOOMを上回っており、カメラのカスタマイズ機能なども充実した高機能モデルだ。だが、スタイリングが特殊で慣れを必要とする点と、液晶モニターが暗く、日中屋外での視認性が低い点で2位とした。また、現在品切れになっている店が多く、容易に入手できない点も気になるところだ。
なお、この2機種の具体的な違いについては、比較レポートした「COOLPIX950 V.S. C-2000ZOOM」を参考にしてほしい。
3位は残る一機種である「リコー RDC-5000」とした。このモデルは、本格的な高機能機というよりも、シンプルで親しみやすい方向を目指している。ズーム比も上記の2機種が3倍なのに対し、2.3倍に止まっている。画質的には原色系CCDらしい派手めな色調で、C-2000ZOOMやCOOLPIX950とは方向が異なる。起動時間や記録待ち時間が長めで、軽快感に欠ける感じもあるが、ズーム機としては実販価格が手頃な点は魅力だ。
順位 | メーカー名 | 機種名 | 画質 | 機能 | 操作性 | 軽快感 | デザイン | 携帯性 | コストパフォーマンス |
1 | ニコン | COOLPIX700 | ★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ |
2 | エプソン | CP-800 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 |
3 | ソニー | DSC-F55K | ★★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★ |
4 | 東芝 | M4 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 |
5 | 富士フイルム | FinePix2700 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★ | ★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 |
●200万画素級単焦点モデル
200万画素級の単焦点タイプは各社のラインアップが揃い始めており、今回のランキングでは製品版相当の製品での実写ができたモデルを含め、5機種を対象とした。
このクラスはそれぞれ特徴があり、評価するポイントによっては、どの機種がトップになってもおかしくないほどの実力を備えている。
1位は「ニコン COOLPIX700」。このモデルはバランスが良く、どの側面から見ても欠点がなく、誰でも安心して撮影できる。機能も充実しており、凝った撮影も十分に楽しめることから今回は1位とした。以前レポートしたが、比較的暗めのシーンで若干フレアっぽくなる傾向がある点だけは気になる。価格も手頃な優れた実用機だ。
2位は「エプソン CP-800」。このモデルの最大の特徴は、単三電池を使いながら薄型で携帯性がいい点だ。さらに、機能面では高級ズーム機に匹敵するレベルで、操作性もよく練られており使いやすい。もちろん、単三電池2本という仕様のため、電池の持ち時間は短いが、ニッケル水素電池が予備を含めて4本付属しているので問題ではない。実力的にはCOOLPIX700とほぼ同等で、実販価格によっては、次回はトップに躍り出る可能性もある。
3位は「ソニー Cyber-shot DSC-F55K」。デジタルカメラならではの楽しさを感じさせる、数少ない200万画素モデル。画質もなかなか良好で、原色系CCDらしいクリアでヌケのいい色調は魅力。起動時間や記録待ちも早くて軽快。MPEG-1での動画撮影も便利で、透過/反射両用の液晶パネルの使い勝手もいい。本当は2位のつもりだったのだが、暗いシーンでゲインアップのためノイズっぽくなる点と、絞り羽根の形状がいびつで点像のボケが四角くなる点、単焦点機としては価格が高めな点、メモリースティックが16MBまでしかない点などを考慮して3位とした。
4位は「東芝 Allegretto M4」。このモデルは、東芝オリジナル設計のコンパクトな214万画素モデルで、現行機で最速の軽快さを誇る。液晶モニター使用時でも撮影後のプレビューをOFFにすれば、たった1秒で次のシャッターが切れるほどだ。操作性もよく考えられており、使い勝手もいい。画質面では、解像度が高く、色調も適度に鮮やかだ。実力的には「COOLPIX700」、「CP-800」と並ぶレベルだが、実効感度が低めでブレやすい点と電源が特殊形状の充電池である点を考えて、今回は4位とした。
5位は「富士フイルム FinePix2700」。このモデルは評価が分かれるところ。携帯性もよく、画質面でも色調や階調性はトップレベル。解像感は明らかにもの足りないが、サービス判程度のプリントなら十分だ。起動は速いのだが、記録待ちには約7秒もかかり、再生時のコマ送りも遅いため、5位とした。実販価格は大幅に下がりつつあるので、欠点が気にならない人にはお買い得だ。
順位 | メーカー名 | 機種名 | 画質 | 機能 | 操作性 | 軽快感 | デザイン | 携帯性 | コストパフォーマンス |
1 | キヤノン | PowerShot A50 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★ |
2 | コダック | DC240 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★1/2 |
3 | 三洋電機 | DSC-X110 | ★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★1/2 |
4 | オリンパス | C-900ZOOM | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★ |
5 | ソニー | DSC-D700 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★1/2 |
●200万画素級未満
昨年主流だった200万画素未満のクラス。だが、高性能で軽快な200万画素級クラスがこれだけ台頭してきた現在、このクラスを積極的に選ぶ理由はあまり見当たらない。
しかし、機能やサイズ、デザイン、コストパフォーマンスといった各要素を見ると、200万画素モデルを上回る魅力を備えたモデルも多い。また、使用目的がテレビ画面やPCのディスプレイでの利用、比較的小さなサイズのプリントなどの場合には、必要十分なレベルの実力ともいえる。
今春は130万画素クラスで手頃な価格のズーム機が登場するなど、このクラスは高機能や高画質よりも、低価格化を目指す方向に進んでいくと思われる。今回のランキングでは、最近登場した低価格志向のモデルと昨年秋のモデルが混在している。
1位は「キヤノン PowerShot A50」。このモデルはA5 ZOOMの130万画素版モデルで、今春登場した130万画素クラスのなかでも、ひときわスタイリッシュだ。価格的にも接続キット込みで6万円前後と、かなりお買い得。A5 ZOOMに比べると記録待ち時間も短くなり、画質的にも向上している。おとなしい色調は従来のままだが、全体に完成度の高いモデルに仕上がっている。
2位は「コダック DC240」。このモデルも今春登場した新世代130万画素ズーム機で、店頭でも6万円前後とお手頃だ。しかも、従来の同社モデルとは比較にならないほどの高速化が図られており、軽快で気持ちよく撮影することができる。画質面で若干の問題はあるが、6月にはファームウェアのアップデートにより解消されると聞いている。
3位は「三洋電機 DSC-X110」。85万画素モデルではあるが、ほとんど瞬間記録といえるほどの軽快さと本格的な動画対応、さらにポケットサイズのコンパクトさなど、他機種にない魅力を備えたモデルだ。
なお、店頭ではファームが一世代前の「DSC-X100」の価格が下がっているため、場合によっては、旧モデルを購入し、5,000円のファームのアップグレードサービスを受けた方がお買い得な場合もある。ハードウエアは共通なので、ボディカラーで選んでもいいだろう。
4位は「オリンパス C-900ZOOM」。昨年後半の大ヒット作、やや大きめではあるが完成度の高いモデルだ。最新のこのクラスの機種と比べると、遅さを感じる部分もあるが、デザインや親しみやすさといった点では現行機でもトップレベルの実力だ。
5位は「ソニー Cyber-shot PRO DSC-D700」。このモデルは、最新の200万画素モデルをも越える本格派で、一眼レフファインダー、光学式5倍ズーム、フルマニュアル機能など、他機種では得られない世界を備えたモデルだ。その意味では、200万画素未満の機種の中では数少ない、積極的に選ぶ理由のあるモデルだ。また、今春、ファームの無償バージョンアップが実施され、画質の向上やAFレスポンスなどもかなり改善されている点も魅力だ。
■注意■