プロカメラマン山田久美夫の

200万画素3倍ズーム対決!
「COOLPIX950 V.S. C-2000ZOOM」


 ゴールデンウィークを機会に、各社から出揃い始めた200万画素のデジタルカメラを買いに出かける人や、それを持って行楽にという方も多いことだろう。

 とくに、この春人気の3倍ズームつき200万画素モデルである「ニコン COOLPIX950」「オリンパス CAMEDIA C-2000ZOOM」の2機種の中で、どちらにしようかと悩む人は多いのではないか。

 結論から言ってしまうと、この両モデルとも相当に完成度が高く、どちらを選んでも後悔するようなレベルのマシンではない。しかし、スペックやカテゴリーが似通っているものの、それぞれ目指している方向性やターゲットユーザーは微妙に異なる。そのため、自分の使用目的や重視するポイントが明確な人にとっては、このモデルでなければダメ!というケースが存在することも確かだ。そこで今回は、この両モデルの製品版での定点実写データを公開。さらに、ほとんど最終品といえるレベルの「C-2000ZOOM」で撮影した作品データも同時に公開するので、購入時の参考にしてほしい。

 また私自身、これら2機種でそれぞれ4,000枚近く撮影した経験から、各モデルの特徴や欠点なども簡単にお伝えする。



●デザイン:「親しみやすい C-2000ZOOM」、「好みが分かれる COOLPIX950」

デザインは対照的。質感の違いは大きく、COOLPIX950のほうが高級感がある。C-2000ZOOMも基本デザインは悪くないが、グリップ部がプラスチック然としている。
 この両機を購入候補として考えるときに、もっとも大きな相違点は、外観デザインだ。そして、そのデザインこそが、両モデルの性格を象徴的に物語っている点も実に興味深い。

 まず「C-2000ZOOM」は、いわゆる銀塩カメラ的なデザイン。といっても、「C-900ZOOM」のような最新コンパクト機のようなスタイリングではなく、ややクラシカルな雰囲気を備えたものとなっている。これは、本機が従来のC-900系ともC-1400系とも異なる、新シリーズであることを明確に物語っている。つまり、このモデルは、写真やカメラを趣味とする人をターゲットにしたカメラといえる。そのため、操作系もダイアル中心で、カメラのストラップも上級カメラ的な両吊りタイプを採用している。

 一方「COOLPIX950」は、先代モデルの基本デザインを踏襲したレンズ回転式の独特なスタイリングを採用している。これは高画質レンズをなるべく高精度のまま、小さなスペースに収めるために採用されたデザイン。また、液晶モニターが回転することで、デジタルカメラならではの自由なカメラアングルを駆使できるという点も、このデザインを採用した理由だ。ともすると、かなり奇抜なデザインと受け取られるかもしれないが、ニコンならではのこだわりであり、理想主義を貫いた同社としては必然性のあるデザインとなっている。そのため、このデザインを感覚的に捉えるか、機能的に捉えるかで、その評価は大きく分かれる。カメラというハードに対するユーザーの考え方が問われる点でもある。

 このように、両モデルはデザイン的に全く方向性の異なるものといえる。では、実際にどちらのほうが持ちやすく、使いやすいかという点でいえば、私自身は、従来のカメラの延長として扱える「C-2000ZOOM」のほうが有利だと考える。

 とくに、スナップ感覚で気軽に撮影するのであれば、C-2000ZOOMの“違和感のなさ”は、大きな魅力。操作性の面でも、アナログ的で直感的に操作できる点で、C-2000ZOOMの方が優れていると思う。

 COOLPIX950の場合、カメラの構え方自体が独特なものであり、自然に構えられるようになるまでに慣れを要する。しかし、慣れ親しんでしまえば、さほど違和感がなくなることも事実であり、液晶ファインダーを使った横位置撮影では、ハイアングルからローアングルまで自由自在な点も大きなメリットだ。

 もちろん、機能や画質といった違いはあるにせよ、このスタイリングの違いからくる使い勝手の違いは、かなり大きなものといえる。

 実際に私自身は、屋外での気軽なスナップは「C-2000ZOOM」を使うケースが多く、屋内での取材やじっくり慎重に撮影するシーンでは「COOLPIX950」を選んで撮影しているケースが多い。そして、この違いは購入時の機種選択にも、そのまま当てはまる大きなポイントとなる。

 そしてもうひとつ。両機の大きな違いに、カメラとしての質感が挙げられる。これはもう、一目瞭然でニコンの圧勝だ。もちろん、オリンパスも部分的にアルミ外装を採用するなど、健闘しているのだが、それでも最高級一眼レフを連想させるようなCOOLPIX950の質感には遠く及ばない。

 実販価格が10万円近いモデルであることを考えながら、両機を並べてみると、デザインや機能などの違いがあるとはいっても、質感の高いモデルのほうが、“満足感”が得られる。このあたりのモノとしての魅力では、ニコンに軍配が上がるだろう。

サイズの比較
C-2000ZOOMはCOOLPIX950の2/3程度の横幅しかない。収納時の厚みは、COOLPIX950のほうが薄く大きい割に携帯性はいい。

メディア
COOLPIX950 C-200ZOOM
COOLPIX950がCF、C-2000ZOOMがスマートメディア。両機とも、標準では8MBカードが付属。容量やメディアの信頼性の点ではCFカードに分がある。



●操作性:「機能設定が簡単なCOOLPIX950」、「アナログ的だが難点もあるC-2000ZOOM」

 この両モデルの操作性は大きく異なる。では、どちらが良いかといえば、これがなかなか優劣つけがたい。

 ごく一般的なシーンを想定し、フルオートで撮影すると想定してみよう。どちらのモデルも、メインスイッチを入れるだけで撮影可能になる。そのときの起動時間も、両機でさほど差はなく、いずれも約3秒といった感じだ。

 しかし、フルオートモード(ニコンでいうAモード、オリンパスではPモードになる)で起動したときには大きな違いがある。それはメインスイッチONと同時に、液晶モニターが点灯するかどうかという点だ。

 これは私のような液晶ファインダー派にとっては、きわめて重要なポイントとなる。結果だけを言うと、ニコンは同時点灯し、オリンパスは起動後にモニタースイッチを押さなければ液晶が点灯しない。これは大きな違い。

 もっともC-2000ZOOMでも、SモードやAモードにダイアルをセットしておけば、起動と同時に液晶モニターが点灯する仕様になっている。これは、これらのモードで絞りやシャッター速度を設定するには、モニター上の表示を見なければ操作できないため、必然的に点灯せざるを得ないわけだ。しかし、即写性という面で見ると、SやAモードの場合には、設定値によってAEの連動範囲を超えるケースがあり、必ずしも適正露出が得られるとは限らないという点が最大の欠点だ。

 また、オリンパスの場合、メインスイッチとシャッターボタンが隣接している上、同じような形状であることもあって、最初はシャッターボタンとメインスイッチを間違えて操作してしまうケースもある。これは慣れが解決する部分もあるが、とっさの操作ではミスを起こす可能性がゼロとはいえず、疑問を感じる。

 このほか細かな点だが、意外にカメラの印象を大きく左右するのが、起動時のレンズ位置。ニコンは必ず、ズームのもっとも望遠側の状態で起動する。それに対してオリンパスは、もっともワイド側で起動するという違いがある。通常の撮影では、最初から望遠側で撮影するケースは少なく、記念写真やスナップなどでもワイド側を使用する確率が高い。そのため、ニコンの場合、まず最初にズームをワイド側に動かすことが多く、度重なると面倒で、それが原因でシャッターチャンスを逃すケースもあった。

前面操作部
COOLPIX950 C-200ZOOM
シャッター周りは、COOLPIX950がメインスイッチ兼モードスイッチ、C-2000ZOOMはズームレバー。COOLPIX950にはシャッターボタン下前面に電子ダイアルがあり、露出補正や露出設定などの操作が容易にできる。

 さて、前記のモードダイアルとも関連することなのだが、この2機種では機能設定に対する考え方が、意外なほど大きく異なっている。

 オリンパスは大型のモードダイアルに、プログラムAE、絞り優先AE(Aモード)、シャッター速度優先AE(Sモード)が割り当てられている。本機の場合、これらのモードが大きなウリになっており、実際に絞り優先AEなどでは、ニコンが3段階しか設定できないのに対して、オリンパスは1/3段ステップで最大15段階と、一眼レフ並にキメ細かな絞り設定を実現している。そして、それをモードダイアルに割り当てることで、必要に応じてパッと切り替えて撮影できるように考えられているわけだ。

 一方のニコンも、同じように絞りやシャッター速度優先機能があるが、絞りは開放と中間値と最小値の3段階という割り切ったものになっている。実際、汎用の外部ストロボでの撮影をするとき以外は、この3段階で十分なので、使っていてさほど不便さを感じることはない。しかも、これらの機能は、明確な撮影意図がある時に、適時切り替えて利用するため、不用意に切り替わらないようにボタンと電子ダイアルとの組み合わせでの設定となっている。

 このあたりの操作感は好みが分かれるが、操作する楽しさを味わいたいならオリンパス、実用性を重視するならニコンが正解のような気がする。



●カスタイマイズ機能:「設定内容が保持されるCOOLPIX950」、「その都度設定が必要なC-2000ZOOM」

 実は上記の操作感以上に、両機を選ぶときの重要なポイントとなるのがカスタマイズ機能。特に、カスタマイズの内容と、それを保持しているかどうかが重要だ。

 両機はいずれも、カメラの機能をかなり細かなレベルでカスタマイズすることができる。その点では明確な差はほとんどない。

 しかし最大の違いは、ニコンの場合、カスタマイズした内容は一度メインスイッチを切っても保持されるのに対して、オリンパスは画質モードとストロボモード以外はすべて初期設定に戻ってしまう。この違いは想像以上に大きい。

 つまり、撮影中に、ホワイトバランスをデーライト、ピントはマクロモード(両機ともマクロモードでは無限遠からマクロ域まで切り替えなしに撮影できる点が大きな特徴だ)という具合に設定しておいても、オリンパスではメインスイッチを切るたびに、いちいち設定しなおす必要があり、きわめて面倒。これを避けるためには、撮影後も電源を切らずに、オートパワーオフ機能を使って、スリープ状態にして持ち歩くという裏技もあるが、レンズが繰り出された状態になっているので、レンズ精度の点で不安が残る。こういった設計は、コンパクトカメラ的な使い方を前提として、カスタマイズ機能を、一時的な機能設定としてしか考えていない点に起因すると考えられる。実際には、撮影していて苛立ちを覚えるケースが多く、ユーザーによっては、この点だけで、ニコンを選ぶという人が居てもおかしくないほどの重要なポイントだ。

背面操作部
COOLPIX950 C-200ZOOM
C-2000ZOOMは、上面後ろ側に大型のモードダイアルがあり、中央がメインスイッチだが、シャッターボタンと間違えやすい。手前下にある十字パッドもクリック感がない。COOLPIX950はボタン数は多いが、ストロボモードやマクロ切り替え、感度セットの使用頻度の高い機能が割り当てられ使いやすい。

 また、細かな点ではあるが、オリンパスが採用している十字パッドの操作性にも疑問が残る。このパッドは、上下左右の各方向に傾けることで、機能設定を行なうもの。だが、上下方向の操作をしたつもりでも、実際には上下と同時に左右方向の信号も送られ、結果的に斜め方向の信号としてカメラに伝わるケースが稀にある。これはベータ版では著しく見られた現象だが、製品版になっても時折そのような挙動を示し、不安を感じる。もちろん、個体差もあるが、購入時にはなるべくこの十字パッドの操作感を確認されることをおすすめしたい。

 なお、再生時の操作性に関しては、オリンパスのほうが圧倒的に優れている。再生モードにすると、最後に撮影したコマが表示される。これは両機とも同様だ。ここからインデックス表示にしたいときには、ニコンは専用ボタンを押すことになる。また、拡大表示をする場合にも、ニコンは別のボタンを押すスタイルをとっている。

 しかし、オリンパスの場合、シャッターボタン周辺にあるズームレバーをレンズ側に一度倒すだけでインデックス表示になり、逆方向に倒すことで、簡単に拡大表示をすることができる。しかも、拡大率もズームレバーを倒すごとに大きくなるため、実に使いやすく、ピントやブレのチェックが容易にできる点が好ましい。



●レンズ:「大口径が魅力のC-2000ZOOM」、「描写力と安定度のCOOLPIX950」

 レンズは、いずれも3倍ズームで、オリンパスが6.5~18.5mm、ニコンが7~21mmとなっている。これを35mmカメラに換算すると、それぞれ35~105mm、38~110mm相当となり、オリンパスのほうがややワイド寄りになっている。屋内撮影など狭い場所での撮影では、やや広めのオリンパスのほうが若干有利だ。

 さらに、レンズの明るさはオリンパスがF2.0~2.8、ニコンはF2.6~4.0となっている。レンズのF値の場合、数値が約1.4倍(正確にはルート2倍)大きくなると、明るさは1/2になる。つまり、オリンパスのほうが、ニコンよりも、約2倍も明るいレンズを搭載しているわけだ。

 実際にレンズが2倍明るいと、同じ明るさでも、2倍高速のシャッターがきれる。ブレる確率も減るし、より速い動きに対応できるというメリットがある。さらに、絞り値が小さくなるほど、ピントの合う範囲が狭くなるため、35mm一眼レフのようにピントの合った部分の前後をきれいにボカしたカットを撮影しやすくなるという作画上のメリットもある。

 日中の明るいシーンなど光量が豊富な条件下では、さほど大きな違いは感じられないが、暗いシーンやボケ味を生かした撮影をしたいケースでは、このレンズの明るさの違いはかなり大きなものといえる。

C-2000ZOOM 実写例

 一方、レンズ単体での描写性能という点では、僅差ではあるがニコンのほうが有利。これは明るさよりも画質重視の設計である点と、高精度を維持しやすい固定鏡胴である点が大きく貢献している印象だ。もちろん、オリンパスもかなりのレンズ性能を備えているのだが、沈胴式のため、レンズ鏡胴に微妙な遊びが生じる可能性もあり、撮影時にレンズに衝撃が加わりやすい点も心配だ。

 なお、マクロ機能はニコンが最短2cm、オリンパスはズーム全域で20cmと大きな違いがある。そのため、マクロ撮影を重視するならニコンのほうが有利だ。しかし、オリンパスもほぼ名刺大までの接写ができるため、実用上は十分なレベルといえる。

COOLPIX950 実写例

 また、レンズとは直接関係はないが、オリンパスの場合、カメラの実効感度がISO100相当と、ニコンよりも若干高めの設定となっている(ニコンはISO80相当)。さらに両機とも、ゲインアップにより、その2倍と4倍の感度にマニュアルセットできる機能を備えている。

 しかも、オリンパスの場合、Pモードでは自動的にゲインアップする機能がある。つまり、暗くてブレが心配なシーンでは、カメラ側が自動的にISO100~400までの間で感度アップして、なるべくノイズ成分を抑えながら、ブレを最小限に止めてくれるわけだ。

 この自動ゲインアップ機能と、大口径レンズ(写真の世界では明るいレンズをこのように呼ぶ)との組み合わせは、実に効果的で、慎重に撮影すれば、暗い屋内や夜間でもフルオートのまま、ストロボなしに撮影することができる。

 一方、ニコンにはBSS機能と呼ばれる、連続撮影とブレ検出によるブレ軽減機能がある。かなり効果的なものだが、オリンパスのようなフルオート感覚のものではない。ある程度カメラに対する知識のある人が、使いこなすべき機能といえる。



●ファインダー:「明るい液晶モニター C-2000ZOOM」、「大サイズと自由なアングル COOLPIX950」

ファインダー周辺
COOLPIX950 C-200ZOOM
液晶モニターは、COOLPIX950が2インチ、C-2000ZOOMは1.8インチ。C-2000ZOOMは明るく、屋外での視認性も良好。メニューや表記のわかりやすさは、COOLPIX950のほうが優れている。

 ファインダーは、いずれのモデルも光学式と液晶モニターの両方を備えている。

 光学式ファインダーは、いずれも明るくクリアで見やすさという点では、甲乙つけがたい。また、細かな点だが、オリンパスはメインスイッチがOFFになっていると、光学ファインダーの像がボケて見えるようになっている。そのため、光学ファインダーメインで撮影していても、メインスイッチを入れ忘れるというミスが未然に防げる、なかなか親切な機能だ。

 一方、液晶ファインダーはサイズ、見え味ともに、かなり大きく違う。サイズはニコンが2インチの低温ポリシリコンTFT。オリンパスはひと回り小さな1.8インチTFT液晶だ。スペックの点では、ニコンのほうがやや有利に感じられる。

 だが、液晶の見え味という点で見ると、軍敗はオリンパスにあがる。日中屋外で比較した場合、液晶モニターの視認性は、明らかにオリンパスのほうが有利。実際にニコンの場合は、サイズは大きいものの、炎天下では手で影を作らないと、液晶表示を確認することができないケースが多い。それに対して、オリンパスはサイズこそ小さいが、バックライトが明るいせいか、炎天下でも画像を十分確認することができる。そのため、日中でも液晶ファインダーを使って撮影したい人には、オリンパスの方が断然有利といっても過言ではない。私の場合も、先だっての個展の撮影では、このメリットを高く評価し、結局C-2000ZOOMをメインカメラとして採用した。

 もっとも、ニコンの場合でも、日陰や屋内撮影ならば、液晶モニターでの撮影も、慣れてしまえばさほど苦にならない。とはいえ、私の場合には「富士フイルム DS-330用液晶ビューファインダー」を汎用の取り付けステーと変換アダプターを介して装着して撮影するケースが多い。3月のCeBIT取材では、会場内はCOOLPIX950を標準状態で使用し、その後の個展用の撮影では上記の液晶ファインダーを併用して撮影した。



●画質:「自然で情報量が豊富なCOOLPIX950」、「見栄え重視のC-2000ZOOM」

COOLPIX950 定点撮影データ
エコノミーモード ノーマルモード
ファインモード

C-2000ZOOM 定点撮影データ
HQモード SHQモード

 もっとも気になる画質だが、この2機種に関しては、同一条件で同じシーンを比較撮影しない限り、明確な違いを見出すことは難しい。ただし、比較すれば絵作りの点で、大きな違いがあるのも確かだ。

 解像力という点でみると、本当にごくわずかな違いが見られる。ズームのワイド側では、ニコンのほうがシャープな印象がある。一方、望遠側ではオリンパスのほうが解像度が勝っている感じだ。また、オリンパスはソフトウェアによる輪郭強調処理が強めに感じられるケースがあり、被写体の輪郭に輪郭強調による“白ふち”が明確に見られる。一方、ニコンも輪郭強調処理はあるが、“白ふち”が見られるケースは少なく、比較的自然なシャープネスを実現している。

 色の傾向は、意外に似通った感じだ。これは、両機ともおそらく同じCCDを採用しているからかもしれない。もっとも、細部を見てみると、木々のグリーンの色再現性は、ニコンのほうが明るく明快な印象がある。青空の色はオリンパスのほうがやや彩度が高めな感じ。とはいえ、いずれも微妙な違いだ。

 コントラストは、明らかにオリンパスのほうが硬め。つまり、コントラストが高めに設定されている感じだ。もちろん、コントラストは単純に高ければいいというものではない。ハイライトからシャドー部までのグラデーションもきわめて重要なポイントだ。

 一見してオリンパスは、シャドーが暗めで、ハイライトが明るい、メリハリ重視型の階調性となっている。そのため、パッと見たときの印象は強いが、階調の滑らかさという点では、やや不満が残る。

 ニコンは、適度で自然なコントラスト設定となっており、写真的なきれいさを重視した絵作りとなっている。そのため、第一印象はやや弱い感じもあるが、シャドーからハイライトまできちんと階調が整った、破綻のない、やや玄人好みの仕上がりとなっている。

 全体の絵作りという点では、より情報量が多く、欠点の少ない、ニコンのほうが“好み”ではある。実際に同じシーンを撮影してみると、このあたりのデータの素性のよさという“底力”は、後処理ではカバーしきれない部分があるのも事実。もっとも、一般受けする写りという点では、オリンパスの絵作りも、これはこれで正解といえそうだ。



●結論:「撮りやすさのC-2000ZOOM」、「基本性能のCOOLPIX950」

 この春、人気を二分している「COOLPIX950」、「C-2000ZOOM」の両モデル。冒頭にも書いたとおり、この2機種の実力は、まさに伯仲している。そのため具体的には、今回記したような各ポイントのどの点を自分が重視するかで、購入機種を選ぶしかないだろう。

 そして、これらのさまざまな要素をかいつまんで、各機種の特徴を一言でいえば、撮りやすさの「C-2000ZOOM」、基本性能の「COOLPIX950」となる。

 自分の使用目的に、どちらのほうが適しているかは、ケースバイケースともいえるので、無責任なようだが、あとは皆さん自身が判断するしかない。もちろん、どちらも完成度の高いモデルであり、きちんと使いこなせば、いい写真が撮れるカメラなのでご安心を。

 結局の、私自身は両方のモデルを目的に応じて使い分けているわけだ。だが、撮りやすさという点で勝るオリンパスC-2000ZOOMのほうが使用頻度がやや高いということはお知らせしておこう。

□関連記事
【3月19日】「ニコン COOLPIX950」試用レポート
http://www0.watch.impress.co.jp/docs/article/990319/nikon.htm


■注意■

('99年4月28日)

[Reported by 山田久美夫]


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