Electronic Entertainment Expo(E3) レポート ハードウェア編
「スターウォーズのドロイドを再現できる新MindStormsキット」


展示会開催期間:'99年5月13日~5月15日(現地時間)
会場:米カリフォルニア州ロサンゼルス
   World Convention Center



■スターウォーズのドロイドを再現できる新MindStormsキットも登場

 MindStormsとは、LEGOブロックと、センサー、モーターを内蔵したユニットを組み合わせで、自分だけのロボットを作ることができる組立キット。日本ではまだ発売されていないものの、一部のマニアの間でブレイクしているLEGO MindStormsシリーズに新しいキットが登場。発売元のLEGOは、MindStorms専用ブースを設置し、精力的にデモを行なっていた。

 今回発表されたのは、従来より低年齢層をターゲットとした「Robotics Discovery Set」と、STARWARSのドロイドを再現できる「Droid Developer Kit」だ。

Droid Developer Kit
スターウォーズに登場するドロイドを作成可能。右奥は、Episode 1に登場するドロイド。中央R2-D2のおなかに見えるのがMicro-Scout。また、右端のR2-D2はRCXを使って作られている
Robotics Discovery Set
中心の青いユニットがScoutで、単体でロボットの操作をプログラムできる

 Robotics Discovery Setは、従来のMindStormsと違い、パソコンを必要としない点が大きな特徴だ。「Scout」という新しい制御ユニットが同梱されており、Scoutの液晶画面に表示されるアイコンを指定しながら動作をプログラムできるようになっているのである。これにより、パソコンを扱えない小さな子供でも遊ぶことができるわけだ。とはいっても、光センサーやタッチセンサーなど、センサー類は従来のMindStorms同様のものが利用でき、かなり高度な動作を制御できる点は従来通りだ。

 また、Droid Developer Kitは、STARWARSに登場するR2-D2などのドロイドを作ることができるキットだ。しかもアメリカで5月19日から公開される、STARWARS Episode 1に登場するドロイドも作ることができるそうで、マニアにはたまらないキットといっていいだろう。

 Droid Developer Kitには、Micro-Scoutという小型のユニットが付属しており、それを利用してドロイドを作ることができるようになっている。Micro-Scoutには光センサーとモーターが内蔵されており、あらかじめ7つの動きが登録されている。その7つの動きはMicro-Scoutに用意されているボタンを操作することで選択できるようになっている。ただし、動作をカスタマイズすることはできない。また、それら7つの動きやドロイドの組み立て方を解説するデモンストレーションCD-ROMが付属している。

 これらの製品は、その特徴からもおわかりのように、より簡単にロボットを作り楽しめるという意味合いが強く、従来とはやや違ったラインの製品といえる。もちろん、拡張キットとしても利用可能で、実際従来のMindStormsに付属しているコントロールユニット「RCX」を使って組み立てられたドロイドも展示されていた。そうすれば、動作を自由にカスタマイズして楽しむこともできる。

 これら新キットの発売時期は'99年夏で、価格はRobotics Discovery Setが149ドル、Droid Deveroper Kitが99ドルとなっている。ちなみに、従来のMindStorms Invention Systemの新バージョン1.5も展示されていたが、付属のソフトがマイナーチェンジしているだけで、キットの内容やプログラミング方法などは全く同じ。さらに価格も据え置きとなっている。

□MindStormのページ
http://www.legomindstorms.com/


■ビデオカードやサウンドカードなどPC関連デバイスに目新しいものは少ない

 E3はゲームやマルチメディア関連のショウということもありPCデバイス関連メーカーの出展はそれほど多くないが、ビデオカードメーカーやサウンドカードメーカーといったゲームやマルチメディアに密接した製品を扱っているメーカーはいくつか出展している。特に3dfxやCreative Labs.はかなり大きなブースを用意し、精力的に自社製品をアピールしていた。

 ただ、展示されている製品はどれも既に発表済みまたは発売済みのものが中心で、新しいものはほとんど見られない。3dfxは会場内に垂れ幕を多数用意したり、Voodoo3カラーの新ワーゲンビートルをプレゼント用として用意するなど、かなり力が入っている様子ではあるが、ブースでの展示はVoodoo3を使ったゲームのデモが中心で、登場が待たれているVoodoo3 3500など製品の展示は全くなかった。

 そのようなPC関連デバイスメーカーの中で唯一動きがあったのはMatrox。3月に発表された最新チップMatrox G400搭載カード「Millennium G400」シリーズの製品ラインナップと出荷時期、価格を発表するとともに、リアルタイムレンダリングさせた画像を表示させ、その優位性をアピールしていた。実際に表示されていたQuake3 Arenaのデモ画像を見る限りでは、表示品質/スピードともに十分満足のいくものといえる。

 しかし、こちらもカードの展示はなく、写真もWebから落としてくれと言うばかりで、その画像が本当にリアルタイムレンダリングされて表示されているかどうかはかなり怪しかった。

 製品ラインナップは、「Matrox G400」を搭載する「Millennium G400」シリーズとしてビデオメモリが16MBと32MBの2製品に加え、Matrox G400よりパフォーマンスが30%高く、360MHzのRAMDACを内蔵する「Matrox G400 MAX」を搭載する「Millennium G400 MAX」(ビデオメモリ32MB)の計3製品で、価格はMillennium G400の16MBタイプが149ドル、32MBタイプが199ドル、Millennium G400 MAXが249ドル、出荷時期は全て6月中旬となっている(価格はMatroxホームページに掲載の数字よりも安くなっている)。

3dfxブースでは、Voodoo3カラーの新ワーゲンビートルを展示し、来場者の中から抽選でプレゼントしていた Matrox G400搭載カードで表示させたQuake III Arenaのデモ画像。ただ、本当にリアルタイムレンダリングかどうかは不明


■Microsoftは最新ゲームコントローラ「SideWinder Dual Strike」と光学式の「IntelliMouse Explorer」を展示

 Microsoftブースでは、「Age Of Empires II」や「Flight Simulator 2000」などの最新ゲームソフトを中心に展示がおこなわれていたが、ゲームコントローラのSideWinderシリーズも多数展示されていた。その中で、3月に発表された、独特のスタイルをしたゲームコントローラ、「SideWinder Dual Strike」は一般には初のお披露目となる。

 Dual Strikeは、USB接続用のパッド型ゲームコントローラだが、かなり特異な形状となっており、これまでのパッド型コントローラには不可能だった操作が可能となっている。

 本体はH型をしており、右手で握る部分が、中央部で左右上下4方向にひねることができるようになっている。これにより、3Dシューティングなどで求められる、上下や左右に素早く首を振って視点を変えるといった動作がやりやすくなり、Quakeなどの3Dシューティングがプレイしやすくなっているというわけだ。

 実際の操作性だが、はじめのうちは右手部分のひねり操作にやや戸惑ったものの、コツを掴めばかなり軽快な操作が可能であった。従来のように、右手にマウス、左手にキーボードといった3Dシューティングの標準プレイスタイルを変えてしまう実力を持っていると言っても過言ではなく、3Dシューティングのすそ野を広げる役割を果たせるかもしれない。ただ、左手部分の方向ボタンが、通常の十字キータイプではなく、スライド式のパッドになっているため、ゲームによっては使いづらい場合も考えられる。ちなみに発売時期は'99年秋が予定されており、価格はまだ未定となっている。

 また、IntelliMouseの新モデル「IntelliMouse Explorerも展示されていた。こちらは、従来のIntelliMouseシリーズと違い、マウスボールが取り付けられておらず、完全な光学式マウスとなっている。ただ、従来の光学式マウスと違い、専用のマウスパッドを必要としないところがおもしろい。

 光学式マウスは接触部分が一切ないため非常に軽快な操作が可能だが、従来のものは、センサーにマウスの移動を関知させるための、碁盤の目のような模様が書かれた専用マウスパッド上でしか利用できなかった。しかしIntelliMouse Explorerでは、高性能光センサーとDSPを搭載し、光センサーで床面を1秒間に1500回撮影させ、DSPでイメージごとの画像の違いを処理して移動方向と速度を関知するようになっている。これにより、光学式マウスにもかかわらず操作する場所を選ばず利用できるのである。

 通常のマウスパッドや机の上などはもちろんのこと、凹凸の激しい場所や布、果ては手のひらや頬など、従来のボール式マウスや光学式マウスでは考えられないような場所ででも非常にスムーズにカーソルを操作できる。実際、膝の上にIntelliMouse Explorerを置いて操作してみたが、カーソルが引っかかることもなく非常にスムーズな操作が可能であった。このIntelliMouse Explorerの発売時期は'99年9月で、価格は79.95ドルが予定されている。

 Microsoft以外のゲームコントロールデバイスとしては、アメリカのゲーム事情を反映してか、フォースフィードバック対応のハンドルコントローラが多数目に付いた。中には、8段シフト付きというものもあり、かなり多様化してきているようだ。また、重低音を発生して臨場感を高めたり、戦闘機のコックピットを再現した椅子など、お約束のものも多数展示されていた。

□Microsoftのページ
http://www.microsoft.com/

Dual Strikeは、両手で握り、右手で持った部分をひねって操作する。Quake系の3Dシューティングで使うとその本領を発揮できる ハンドルコントローラとペダル、8段シフトコントローラがセットになったACT-LABSのRS Shifter。これ以外にも多数のハンドルコントローラが展示されていた
IntelliMouse Explorer。ホイールボタンと2つのクリックボタンに加え、機能をカスタマイズできる2つのファンクションボタンを備える。手前の赤い部分は常時光っている IntelliMouse Explorerの裏面。中央部が光センサーで、側に赤いランプが明るく点灯している


■PlayStation、Nintendo64用のインターネット接続ツール

 最後に家庭用ゲーム機ネタをひとつ。SEGAのDreamcastは、標準でモデムを内蔵し、手軽にインターネットを楽しめるということをひとつの“売り”にしているが、それに対抗するためかどうかわからないが、PlayStationやNintendo64を利用してインターネットを楽しめるようにするという、かなり怪しげな製品が発表されていた。

 この製品は、PlayStationやNintendo64などのオリジナルコントローラやセーブデータ吸い出しツールなどを発売している、InterActいうメーカーが発表した「SharkWire Online」というものだ。

 この製品には、PlayStation用とNintendo64用が用意されており、それぞれのゲーム機に取り付けることで、メール送受信やインターネットアクセスなどができるようになる。しかし、PlayStationを発売するSONYやNintendo64を発売する任天堂は全く関わっていない。これが、この製品を怪しげな雰囲気にさせている一番の理由だろう。

 ゲーム機でのメール送受信やインターネットアクセスは、入力デバイスが限られるため、特に文字入力が問題となることが多い。しかしSharkWire OnlineではPC用のキーボードを接続できるようになっており、そういった心配はないと考えていいだろう。ゲーム機のコントローラはマウス代わりに使う。

 Webブラウザには、SpyglassのDevice Mosaicが採用されている。また、InterActが用意する、アメリカの大手電話会社GTEのインターネット接続サービス「GTE Internetworking」がバックボーンの「SharkWire Online service」というネットワークサービスに接続して、メール送受信やインターネットアクセスなどが行なえる。さらに、メーカーの特長を生かした、ゲームのセーブデータやチートコードなどのダウンロードサービスもおこなわれるようだ。

 ただ、内蔵モデムの速度が14.4kbpsと非常に遅い。メールの送受信はなんとか我慢できても、インターネットアクセスは満足できるとは言い難い。

 ブースでのデモは、実機を使ったものではなく、ムービーを利用しておこなわれていた。子供がPlayStationに取り付けられたSharkWire Onlineからのびるキーボードを使って文字を入力しながらメールの送受信をおこなったり、インターネットアクセスをおこなったりする様子が映し出されていたが、個人的にはかなり怪しげな印象を受けた。ちなみに出荷時期は'99年9月で、価格は79.95ドル、ネットワークサービスの利用料は月9ドル95セントだそうだ。

 ちなみに、これを日本で利用できるかどうかという点に関してだが、日本語フォントは含まれるはずもなく、アクセスポイントもないため、事実上利用できないだろう。しかし、モデム速度はともかく、多数普及しているゲーム機を利用してE-mail送受信やインターネットアクセスが可能であるという点は魅力で、日本で同様の製品が登場すれば、喜ぶ人も多いのではないだろうか。

□InterActのページ
http://www.interact-acc.com

PlayStation用のSharkWire Online。PlayStation本体後部の拡張コネクタに接続して使う。Nintendo64用はカセットになっており、Nintendo64本体のスロットに取り付けて利用する デモでは、子供がPlayStationを使ってメール送受信やインターネットアクセスなどをおこなうムービーが流されていた

□E3ホームページ
http://www.e3expo.com/

('99年5月17日)

[Reported by 平澤寿康]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp