Electronic Entertainment Expo(E3) 会場レポート

~「Quake III」が、「FINAL FANTASY VIII PC」が! 大作ひしめくPCゲーム~


展示会開催期間:'99年5月13日~5月15日(現地時間)

会場:米カリフォルニア州ロサンゼルス
   World Convention Center



■大作が続々と登場した今年のE3

 ゲーム、マルチメディア関連の世界最大の展示会「The Electronic Entertainment Expo(E3)」が、米国時間の13日から本格的にスタートした。

 会場はコンシューマーメーカーが軒を並べる“WEST HALL”と、PC関連製品が中心となっている“SOUTH HALL”、周辺機器などのハードウェアなどの出品が目立つ“KENTIA HALL”の3つに分かれている。今回のE3では、話題性からいえば次世代PlayStationの出展が一番大きいが、集客力でいえばWEST HALLよりSOUTH HALLの方が上をいっており、米国内でのPCゲーム優位を目の当たりにした。

 あくまで所感だが、昨年のE3で一番勢いがあったのがEidos Interactiveだったが、今年はゲーム界の巨人“Electronic Arts”にその勢いを感じた。また、約束通り公開された「Quake III ARENA」には多くの人が群がり、人気のほどを見せつけていた。

 一方、映画公開で勢いづいているのがLucas Arts。「STARWARS Episode I:The Phantom Menace」の公開を前にして、発表会を大々的に開催。ブースも予約制にもかかわらずいつも人が満杯といった状況だった。強力なキャラクターと妥協しないゲーム作りが支持され、久々の新作映画を前に爆発した形だ。

Microsoftは表に「Age of Empire II」や「Flight Simulator 2000」などのソフト、後ろにハードウェアを展示。
 またMicrosoftも「Flight Simulator 2000」、「Age of Empire II」、「Starlancer」、「Links LS 2000」など大作をズラリと並べてきた。

天井からはリアルな竜がぶら下がっている「DRAKAN:Order of the Flame」。結構盛況だった。
 このほかにも、古いゲームファンには懐かしい響きに感じるかもしれない「DRAKAN(ドラッケン)」の新作「DRAKAN:Order of the Flame」が、なぜか今頃Psygnosisブースに登場。しかし、これがなかなか侮れない人気で、いつもプレーを希望する来場者が列をなしていた。本来なら同時に発表されたWIPEOUT3が一番人気となるはずだが(事実一番大きなスペースをとっていた)、逆転現象が起こっていた点がなかなか面白い。


■LucasArtsがSTARWARSの新作ゲームを発表

任天堂ではアナキン君が登場したが、今回はR2-D2。 発表会終了後は思わず記念撮影する人も。R2-D2はやはり人気者。
 開場してまもなく、LOS ANGELES CONVENTION CENTER WEST HALLのTHEATREにおいて世界の記者を招待したLucasArtsのプレミアム新作発表会が行なわれた。発表会はおなじみのSTARWARSのテーマが流れたあとR2-D2がいきなり登場し、来場を感謝するLucasArtsの広報部長Mary Bihr氏のスピーチによって始まった。

 最初にアメリカでは5月19日に公開される(日本の公開日は7月10日)映画STARWARS Episode I:The Phantom Menaceのハイライトシーンが上映され、そのプロデューサーRick McCallum氏とLucasArtsの社長であるJack Sorensen氏が拍手をもって迎えられた。2人は主に映画と今回発表されるゲームとの関連について語り、映画の企画段階から深く関わって作られたゲームであること、グラフィックスやサウンドに最新のゲームテクノロジを取り入れたこと、映画の素材を数多く取り入れたゲームとなっていることなどがうかがわれた。

 そしていよいよ、LucasArtsの新作発表だ。まず、最初に紹介されたのはPC版とPlayStation版が発売される「STARWARS Episode I:The Phantom Menace」。このゲームは映画のハイライト部分を、忠実にゲーム化したアクションアドベンチャーゲームで、プレーヤーはJedi KnightであるObi-Wan KenobiやQui-Gon Jinnとなってストーリーを進めていくというもの。惑星NabooやAmidala女王など今回の映画でポイントなる舞台やキャラクターがふんだんに登場し、このゲームを最後までプレーすれば、映画の内容が最後までわかってしまうという。画面は背中から見下ろす形で構成されており、実際に映画で使われたサウンドが多く取り入れられている。

 武器としては、Blasterなどの飛び道具を使うこともできるが、敵の攻撃を跳ね返すことのできるLightsaberやForceを使え、それらの武器を切り換えながら敵を倒しゲームを進めていく。要所要所には映画で登場するキャラクターとの会話が入り、画面に表示されるいくつかのメッセージから1つを選ぶことでその後のストーリーが変化していくようになっている。気になる発売日だが、アメリカでは5月末、日本では映画の日本公開に先立つ7月2日にメッセージ部分のみ日本語化してエレクトロニック・アーツ・スクウェアより発売される予定だ。

 そして次に発表されたのが「STARWARS Episode I:Racer(以下Racer)」。このRacerは昨日の任天堂の発表会でN64版が公開されたが、PC版やMac版そしてゲームボーイカラー版も発売される。ゲームの内容はPodracerと呼ばれるツインエンジンを持ったホバーカーを使ったレーシングゲームで、各惑星にある総計20以上のコースでレースを行なって賞金を稼いでいく。稼いだ賞金は、Podracerのチューンナップに使え、エンジンのパワーアップやボディの強化を行なっていくことができる。もちろん、ネットワーク対戦にも対応しており、他のプレーヤーとレースを楽しむことも可能だ。

 地表すれすれを時速600マイル以上の速度で激走するPodracerのスピード感は抜群で、その美しいグラフィックスや映画の効果音を組み込んだ高音質なサウンドがその気分をさらに盛り上げてくれる。プレーヤーキャラクターも数多く用意されているが、やはりAnakin Skywalkerとなって賞金稼ぎを楽しみたいところだ。このRacerの発売はアメリカではN64版とPC版が5月末に、PlayStation版とMac版が夏、そしてゲームボーイカラー版が冬に予定されている。また、日本での発売はPC版がエレクトロニック・アーツ・スクウェアから7月2日に発売される。

 これらのタイトルはすでにLucasArtsのWeb(http://www.lucasarts.com/ )でも公開されているタイトルだが、世界初公開となるタイトルも発表された。それが「STARWARS Episode I:Obi-Wan(以下Obi-Wan)」だ。このObi-Wanはタイトルからもわかるとおり、プレーヤーがObi-Wan kenobiとなってさまざまな冒険を行なっていくアクションアドベンチャータイプのゲーム。キャラクターの動きはモーションキャプチャテクノロジを利用して作成されており、画面一杯に描画されたキャラクターが動き回るさまは凄いの一言。ゲームの詳しい内容は明らかにされなかったが、デモを見た限りでは従来のゲームとは一線を画したゲームとなっていた。気になる発売日はPC版とMac版が今年の夏とアナウンスされるにとどまった(日本での発売は現時点で未定)。  その後行なわれたLucasArtsの内覧会では、上記以外の開発中の未発売タイトルを見ることができた。昨年のE3で公開された「Indiana Jone's and the Infernal Machine」。このタイトルは'47年の冷戦下の時代を舞台にしたミステリータイプのアドベンチャーゲームで、プレーヤーはJone's博士となって数々の謎を解き明かしていくというもの。当初の予定ではすでに発売されているはずのゲームだが、開発が大幅に遅れており今年の秋に発売されるとのこと。

 もう1つはSTARWARS(Jedi三部作)の世界をテーマにしたリアルタイムストラテジゲーム「STARWARS:Force Commander」だ。こちらは昨年のE3で公開されたものと内容が大幅に変更されており、なんとフル3D画面となっていた。3Dで描かれたAT-ATなどのユニットをマウスでドラッグして決定し、さまざまな命令を与えてゲームを進めていく。フルに3D化されたリアルタイムストラテジタイプのゲームは初めてなだけにそのできが注目されるが、説明員のプレーを見ていた限りでは操作性に問題はないように見えた。リリースでは今年の秋発売となっていたが、すでに1年近く発売が遅れているタイトルだけに予定どおり発売されるか疑問が残が、STARWARSファンとしては期待のタイトルだ。

 そのほか、映画STARWARS:Episode I The Phantom Menaceの登場人物や惑星のデータなどを収めたマルチメディアデータ集「STARWARS Epsode 1:Inside's Guide」も展示されていた。十数年振りの新作の公開を前にすでに多数の徹夜組が現われているSTARWARS:Episode I The Phantom Menace。今年はそんなSTARWARS関連ゲームにどっぷり漬かってみるのはいかがだろうか。

STARWARS Episode I
Racer
STARWARS Episode I
The Phantom Menace
STARWARS
Force Commander


■「Quake III」はやはり一番の注目作

 多くの亜流を生みだし、「Unreal」や「Half-Life」、「Daikatana」など強力なライバルがひしめく3Dアクションシューティングだが、今年はやはり本家本元の「Quake III」が一番注目を集めているように感じた。フロアより一段高くなった円形の展示台にはいつも人がひしめいており、説明を求める人ですし詰め状態。

 ACTIVISONのブースではフルバージョンが展示されていたが、3Dfxのブースでは先日公開されたデモ版が稼働中で、さらにApple Computerブースでも展示されていた。会場のあちこちで目にすると言うことはそれだけ注目されているということの証でもある。

 注目のグラフィックはかなりの進化を見せている。ネットワーク対戦が行なわれていたが、フレーム落ちは見られず、背景の滑らかな動きはQuake IIをかなり上回っている。また、数多くのテクスチャを使っており、石の壁の質感などがかなり増していた。そして、武器を使用したときの特殊効果もただ派手なだけでなく、より洗練されたように感じた。

 動作画面を見た瞬間、気になったのはマシンスペック。中心はPentium III 500MHz搭載マシンだったが、それ以外のマシンでも遜色なく稼働していた。3DグラフィックスチップはNVIDIAと書かれており、担当に聞いてみたところRIVA TNT 2とのこと。マシンによってはRIVA TNTのものもあったのだが、その差は判別がつかなかった。今回から3Dグラフィックスアクセラレータ必須になるが、その敷居はあまり高くは設定されないようだ。もちろん「Quake III」の発売と同時に、ファンは最も速い3Dアクセラレータを買いにショップに走ることになると思うが……。

 全体的に本命にふさわしい仕上がりを見せており、早く完成品を遊んでみたいと感じた。

ちょっと高いところに設置されたステージ。その上はいつも人でいっぱい。 こちらはRIVA TNT搭載マシン。画面にCAPCOMとあるのは向かいのブースがCAPCOMのため。 こちらはRIVA TNT2搭載マシンでの画面。写真ではわかりにくいかもしれないが、実際の印象もほぼ同じ


■SQUARE SOFTが「FINAL FANTASY VIII」を展示、日本での発売は?

写真ではわかりづらいが、ゲームが日本語仕様となっている。日本での発売を強く希望!
 E3開催直前にSQUARE SOFTは「FINAL FANTASY VIII」のPCへの移植を発表した。E3での展示が注目されていたが、今回の展示はEidos Interactiveではなく、またElectronic Arts Squareでもなく、SQUARE SOFT自らが行なった(FINAL FANTASY VIIはEidos Interactiveが販売を担当した)。

 今回展示されたバージョンのおもしろいところは、日本語で表示されているということ。当然口をついてでた質問は「日本での発売は?」。PCへの移植担当者によれば「前向きに検討中」という。前作「FINAL FANTASY VII」では「発売はしない」とハッキリとした意思表示があったことを考えるとかなりの進歩といえる。

 具体的には、この冬に北米と欧州でいわゆる世界同時発売を目指しているという。また、CD-ROMでの発売となり、何枚組になるか不明という(理由はムービーデータの圧縮に関する問題で、CD-ROM間のプログラムの接合なども関係してくるため、移植が困難なものになるという)。現在、マイクロソフトとも話し合いを進めているということで思ったより開発が進んでいると考えられる。


□E3ホームページ
http://www.e3expo.com/

('99年5月14日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp/tanigawa]]


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