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「Turok2 - SEEDS OF EVIL -」、そのタイトル通りシリーズ2作目にあたる3Dアクションアドベンチャーだ。その前作「Turok」だが、実は筆者、NINTENDO64版を少し遊んだことはあるのだけれど、ゲームシステムと3Dスティックの相性が悪く、即座に挫折。とても「やった」というレベルではなかったのだ。この独特のシステムは、アメリカでは大ウケだったようだが、日本では惨敗状態だった。難易度もメチャクチャ高かったしね。
で、この「Turok」シリーズ。前作のパッケージには、斧を手に恐竜と対峙した筋肉ムキムキのヒーローが描かれていたしストーリーもそういうゲームだった。だが、この「Turok2」の写真を見ると、敵は恐竜というよりも宇宙人。ウロコがあったり牙がはえてたりはするけれど、あんまり恐竜っていう感じではない。はて、いったい「Turok」ってどんなゲームなんだろう? さまざまな疑問がうずまきつつ、とりあえずプレイをはじめてみることにした。
●20種類以上の武器を駆使して敵をなぎ倒していく
弓矢が突き刺さったところ。ちなみに写真のタイプはまだ威力の弱いもので、着弾すると爆発する強力な弓矢も後々登場する |
武器の持ちかえといえば、このゲームの大きな特色として使用できる武器の種類の多さが挙げられる。なにせシングルプレイ用の武器だけで20種類以上。これにマルチプレイ専用の武器も加わるのだから、全体では相当な種類になる。フルキーボードの“1”~“0”ぐらいまでを武器の切り換えに使うゲームは珍しくないけれど、この「Turok2」では数字の段と、その下の“Q”~“P”の段までも全て武器の選択に使用するという豪快さ。これだけのキーを武器選択にあてたゲームは、おそらくこれが始めてじゃなかろうか。メニューから武器を選択することもできるので、実際のプレイは移動に使うカーソルキーやマップのon/offに使うCAPSキー、攻撃用のCTRLキー(または左クリック)程度を覚えておけば問題なく楽しむことができるだろう。多くのキーが使用に割り当てられているにもかかわらず、煩雑な感じがしない操作スタイルには好感が持てる。
「Turok2」に登場する敵キャラクタは、恐竜人とでも呼ぶのが最も近い存在。見た目や行動もまんま恐竜というキャラクタや、銃や爆弾で攻撃してくる知能の高いものがいたりと種類はさまざまだけれど、恐竜そのものというわけではないようだ。一方、主人公のテュロックも決して蛮人というわけではない。接近戦用の鉤爪や弓だけでなく、ピストルやライフル、ショットガンなどの銃器を多彩に操ることからもうかがい知ることができる。ついでにいうと本作の主人公は2代目テュロックということになっている。オープニングデモシーンに登場する主人公は、確かに前作の筋骨逞しいパワフルタイプというよりは、少し頼りない頭脳派という感じを受ける。ストーリーを見ると前作の最後で初代テュロックは破界神“キャンペイナー”の野望を打破したものの、その衝撃で新たな敵“プライマゲン”を覚醒させてしまった。なんだかお約束な展開のような気もするけれど、海外テイストなゲームの続編のストーリーとしてはこれが正しいのかもしれない。そして、光の語り手“エイドン”から真実を聞かされた2代目テュロックこと“ジョシュア・ファイヤーシード”は全宇宙の知的生命体の存在を脅かすプライマゲンを倒すことを誓い、6つの世界へと旅立って行く。ものすごく古臭い、50年代的総天然色エスエフ的な物語だが、まあゲーム自体は撃って撃って撃つゲームなので、あまり気にする必要はないと思う。
●独自のおもしろいシステムも搭載
システム面で面白かったのは、普通この種のゲームは敵の攻撃で体力が“0”になったり、高いところから落ちるとゲームオーバーになってしまうものが多いのだけれど、この「Turok2」の場合はプレーヤー数がストック制で、一度死んでもある程度の場所から再プレイすることができること。さらにマップのあちこちに落ちているコインならぬ「Life Fource」を集めると、プレーヤー数のストックも増えていく。黄色のLife Fourceは1ポイント、赤は10ポイントで、100ポイントたまるごとに1人増える。この種のゲームが得意でない方でも、これならある程度は先に進むことができるだろう。よりゲームであることを意識し、プレイを楽しむことを意識したシステムだといえるのではないだろうか。
もうひとつ楽しかったのが弓。弓は引き絞る時間によって飛ぶ距離が変わるのだ。引く時間を短くすれば、連射は効くかわりに距離が短くなり、長く引き絞れば遠くまで飛ぶけれど連射が効かなくなる。TPOに応じて使い分けることができるので、慣れるとこれだけで結構進めるようになるはずだ。また、射た矢は、敵や壁に刺さるとそこに残る。爆発に巻き込まれたり、硬い床に当たると折れてなくなってしまうようだが、射たあとで敵の死体に刺さった矢を回収したり、外れて遠くに飛んでいってしまった矢を回収に行ったりするのがまた楽しい。矢は最大で20本しか持てないけれど、うまく使えば数百回の攻撃に使用できる便利な武器だといえるだろう。連射速度ではピストルに勝てないし、攻撃力ではショットガンなどの方がはるかに高いけれど、銃の発射音は近くにいる敵を呼び寄せてしまうので、音を出さずに遠距離攻撃できる弓はおすすめの逸品。
これが噂の“怖い子供”。海外でしか販売されていないNintendo64版では目のところが落ちくぼみ真っ暗になっているのでさらに恐ろしい形相で、ギャーって感じ |
難易度でいえば、このゲームは非常に簡単な部類に入るだろう。前作が悪名高いほどの難易度で日本のプレーヤーを苦しませたとは思えないほどだ。このコーナーでも何度も書いているけれど、この種のゲームの難易度は、このところ極めて高くなってきている。それだけプレーヤーのスキルが上がっているということなのだけれど、初心者の入りづらい土壌ができてしまうことに不安を抱いていたところで、このゲームが登場してくれたのは本当にうれしく思う。ゲーム難易度をESAYに設定すれば、初心者でもかなり進めることだろう。扉を開けるためのスイッチや、前述の子供の監禁されている場所が多少わかりづらい部分もあるけれど、根気よく探していけば必ず見つかるようになっている。ヘビーユーザー向けにはハードモードや、ネットワーク経由のマルチプレイをおすすめできるので、かなり広いユーザー層にアピールできるタイトルだといえるだろう。マルチプレイモードでは、Microsoft社の「Text-To-Speech」に対応し、文字で入力したメッセージを音声で相手に送ることができる(英語のみ)。今までの、文字でのみ相手とコミュニケーションを取っていたシステムとは大きく変わっているといえるだろう。
●洋ゲーはまだまだ敷居が高いのか?
こちら恐竜戦車。これに乗って敵の近くに行くと敵は逃げまどう。これをさらに追っかけていくと踏みつぶすことも可能。敵とはいえちょっぴり残酷 |
まず、インストール後にゲームを起動しようとすると、しばらくCD-ROMをアクセスした後なにごともなかったかのように終了してしまうことがある。これはかなりの確率で発生し、起動までに10回以上アイコンを叩かなければならないこともあった。感覚的には、不正コピー防止の為にCD-ROMを厳密にチェックしているのではないかという気がする。実際のところはどうかわからないけれど、マスターディスクで起動しているのに快適にゲームを始めることができないのはどうかと思う。
もう1つは、おそらくキーボードとマウスの関係だと思うのだけれど、視点を変えるつもりでマウスを動かすと、武器変更のメニューが出てしまうという問題が発生した。多分、使用している106キーボードのアサインと、マウスの移動のアサインが競合しているのだと思うのだけれど、本当の原因は不明のまま。結局、今回のレビューではキーボードのみでのプレイという形におちついてしまった。日本語キーボードの特殊な配列が引き起こすトラブルだとは思うのだけれど、同様の環境でプレイする方は注意されたほうがいいだろう。
はしごの上り下りや高低差のあるジャンプ、乗用の恐竜に乗って敵を蹴散らしたりといった、このゲームならではの要素も多く、楽しいゲームなだけに、それを阻害する不都合が出るのは残念でならない。アップデートパッチも公開されているけれど、マルチプレイ部分の修正にとどまっているようだ(日本語マニュアル付属版は、このパッチを反映した最新版1.04が収録されている)。他のソフトについてもいえることなのだけれど、国内で発売するからには、せめてその国独自のデバイスには対応してほしいと思う。パソコンは汎用機というだけあり、メーカー製から自作機まで数多くのハードの集合体であるだけにすべてをチェックすることは不可能だが、なるべく数多くのハードでの動作可能なレベルまで高めて欲しいものだ。
最後は苦言になってしまったけれど、1ユーザーとしては当然出るであろう意見を書かせて頂いたつもりだ。手軽になったとはいえ、まだまだコンシューマー機に比べれば敷居の高いPCゲームなのだから、せめてプレイ中ぐらいはゲームに没頭したいと思う。
ワープゲート。これを使って、いくつかに分かれているフィールドを行き来する。ちなみにワープゲートを移動した時点で、前のフィールドの敵は数匹復活するので注意 | 所々に透明なマークがありあからさまに仕掛けがあるところが登場する。ステージをクリアしていくことで明らかになっていく謎もある。一度でクリアできない奥深さなのだ | ENERGY TOTEM。本当に敵はワラワラと出てくる |
【筆者紹介】
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