元麻布春男の週刊PCホットライン

型落ちのノートPCを衝動買い



■型落ちのノートPCを衝動買い

 今回は、定例? のリビングルームPCはお休みして、急遽(というほど大したものでもないが)ノートPCを取り上げることにした。

 何のことはない、型落ちのノートPCを1台衝動買いしただけのことである。ノートPCを衝動買いなどというと、何10万円もするものを思いつきで購入したかのような誤解を与える恐れがあるので、言っておくが、そんな豪勢な話ではない。そもそも衝動買いするための最大の条件は、「消費税込みで10万円を切ること」なのである(10万円以下であれば経費として単年度で一括損金扱いできる)。景気対策の一環として、4月1日から1年間の時限措置として、100万円未満の情報機器は特例的に単年度での償却が認められる(複数年で減価償却しなくて済む)。それなのに3月に高価な買い物をするというのは、よほどの緊急性と必然性(たとえば仕事マシンのディスプレイが壊れたなど)がない限り、考えられない。まぁ税金の話がなくても、Pentium IIを搭載したバリバリ現行モデルのノートPCを衝動買いできるほど、裕福な身分でもないのだが(笑)。



■DVD搭載ノート購入までのつなぎとして

 それはともかく、つい衝動買いしてしまったのは、ThinkPad 560無印(つまりは初代)だ。正式なモデル名は2640-FFEで、英語キーボードモデル、というのがミソである。というより、もし日本語キーボードモデルだったら、英語キーボードを部品として取り寄せ、自分で交換する手間を考えながら、今も悩んでいたかもしれない。もちろん、ポインティングデバイスがTrackPoint IIIで、パッドでないことも、スティック好きの筆者にアピールしたことは言うまでもない。10万円を切る英語キーボードのノートPCというだけで、筆者にとっては一見の価値が生じるのである。

 こんなことを言うと、年初めにこのコラムで言ったこと(DVD-ROMドライブ内蔵で、XGA解像度をサポートした英語キーボードのノートPCが欲しい)と矛盾するように思う、記憶力の良い読者もいるだろう。改めて力説するが、DVD-ROMドライブを内蔵したノートPCは、今でも(つまり2640-FFEを購入した現時点でも)欲しい。そして、時限措置の終る来年3月までには、購入に踏み切らざるを得なくなるだろうとも思っている。2640-FFEを購入したことは、今年の夏くらいまで(要するに秋のIDFの前まで)にはDVD-ROMドライブ内蔵のノートPCを買わなければ、と思っていたスケジュールを、来年の3月ギリギリまで遅らせられるかもしれない、という程度の差を生んだに過ぎない。だからこそ、ちゃんとした購入ではなく、「衝動買い」なのである。



■ 長くお世話になったPORTAGE T3600CTだが、さすがに辛くなって

 東芝 T3600CTIBM ThinkPad 560 2640-FFE
CPUi486DX2-50Pentium 133
LCDTFT 8.4" VGATFT 12.1" SVGA
HDD250MB1GB
メモリ8MB(24MB Max)8MB(40MB Max)
SoundなしSB Pro互換
PCカードType2×1Type2×2
重量約2kg約1.9kg
 筆者を衝動買いに駆り立てた理由の1つは、今使っているノートPC、東芝のPORTEGE T3600CTが、あまりに非力であるからだ。新しく購入した2640-FFEも、すでに3年落ちであり、プロセッサはPentium 133MHzに過ぎない。だが、T3600CTは、それどころではないのである。2つのノートPCのスペックを比べてみた。恐ろしい?ことに、2640-FFEですら、T3600CTをすべての面で上回る(T3600CTの名誉? のために付け加えておくが、これでも発売当時は、ハイスペックのノートPCであり、単に古くなってしまっただけである。むしろこれだけ古くなるまで、故障もせず持ちこたえたことを賞賛したい)。

 たとえば、T3600CTでデジタルカメラで撮った写真を読み出して、それをZipファイルにまとめる、みたいな処理を行なうと、ハードディスクへのスワップが爆発し、10分以上かかってしまうこともザラである。また、ブラウザ(非力なCPUを考慮して、いまだにNetScape 3.0なのだが)が、Javaスクリプトを用いたページの表示にかかると、ちょっと自販機まで行ってコーラでも買ってこようか、というくらい待たされる。さすがに、これでは辛い。フルピッチの英語キーボードの魅力に負けて、つい衝動買いしてしまった、というわけだ。価格は本体79,800円に、7,400円のサードパーティ製32MB増設メモリ(非サポートで64MB SO DIMMも使えるらしいが、16MBのT3600CTを使っていた身には40MBでも上等に思えた)と消費税を加えても91,560円であった(価格は購入店であるT-Zoneミナミのもの)。



■ 英語版ThinkPad 560にWindows 98をインストール

 さて、購入した2640-FFEだが、当然のことながらインストールされているOSは英語版のWindows 95である。さすがにこのままでは出張の友として、原稿書きには使えない。日本語版のOSに変更する必要がある。以前にも書いたことがあるように、筆者は日本語版OS同士であっても、OSのアップグレードを好まない。つまり、Windows 95の上にWindows 98をアップグレードインストールするのは嫌いだ。問題は、どうやってインストールするか、である。

 CD-ROM/DVD-ROMドライブを内蔵しないノートPCにWindows 98をインストールするには、外付けドライブが不可欠だ。一部のCD-ROM/DVD-ROMドライブ非内蔵ノートPCは、純正の外付けドライブに限り、PCカードインターフェイスを利用するにもかかわらず、CD-ROMからのシステム起動をサポートしているものがある。これを利用してOEM版Windows 98のインストールを行うわけだ(ThinkPadシリーズがこれに該当するかどうかは知らないのだが)。しかし、筆者の手元にあるのは、H45 Technologyという無名メーカーの2倍速PCカードCD-ROMドライブだけ。いまさら外付けのドライブを別に買うのは嫌(来年の3月までにはDVD-ROMドライブ内蔵ノートPCを買うつもりである)だから、手持ちの機材で何とかしなければならない。

 筆者がとった方法は次のような方法だ。まずプリインストールされている英語版のWindows 95を起動し、MS-DOSモードで再起動する。次に、付属のフロッピーディスクから、DOS用のカードサービスやソケットサービスといったPCカードスロットを利用するのに不可欠なリアルモードドライバ(PCカードドライバ)のインストールを行なう。さらに、CD-ROMドライブ用のデバイスドライバも同様にインストールする。ここまでの作業が終わったら、ハードディスクに展開されたDOS用のPCカードドライバとCD-ROMドライブ用ドライバ、さらにはそれぞれのインストーラが書き換えたCONFIG.SYSをフロッピーにコピーしておく。

 次にWindows 98のフルパッケージを用意する。安価でポピュラーなアップグレードパッケージと異なり、フルパッケージにはインストールフロッピーが付属している。ディスクコピーでインストールフロッピーの複製を作り、そこからデスクトップPC向けのCD-ROMドライバ等を全部消してしまう(これが複製を用意する理由だ)。そして、代わりにフロッピーにコピーしておいたカードサービスやPCカードCD-ROMドライブ用ドライバをコピーする。最後に、インストールフロッピー(複製)のCONFIG.SYSを、コピーしたドライバに合わせて書きかえる。Windows 3.x時代と異なり、Windows 9xのインストール時に必要なリアルモードドライバがハードディスク上にインストールされているとは限らないため、このような面倒な作業を行なったのである(CD-ROM/DVD-ROMドライブ内蔵PCなら、こんな面倒は不要だ)。

 以上で、ThinkPad 560用Windows 98インストールディスクの出来あがりである。このインストールディスク作成方式の良いところは、今後Windows 98の再インストールを行ないたくなった場合、作業がワンタッチで済むということだ。Windows 98が腐って? フレッシュインストールしたくなった場合、あるいは大容量のハードディスクに換装したくなったとしても、フロッピーディスクドライブに今回作成したインストールフロッピーを入れ、CD-ROMドライブにWindows 98のメディアを入れて電源を入れるだけで、何も考えずにまっさらな(パーティションさえ切っていない)ハードディスクに対しインストールプロセスが始まる。

 というわけで、日本語版Windows 98のインストールもできた。まだ出張にお供したことがないから(つまり、まだこのマシンで原稿を書いたことがないため)、使い勝手について、あれこれ言うことはできない。だが、ちょっと触っただけでも、フルピッチの英語キーボードが手に優しいことだけは確信している(それ以上に、キースイッチそのものの品質も優れていると思う)。このキーボード(含むTrackPoint III)だけで2万円、TFTの液晶ディスプレイで3万円と考えれば、バッテリ駆動可能なPentium 133MHz PCが2万9800円というのは、まぁ悪くない、というのが筆者の感想である。本命ノートPCの購入まで(この機会を逃すと当面ノートPCは買えそうにないので)、せいぜい活躍してもらうことにしよう。



■ 今回書き換えて作成したCONFIG.SYS

 ARICDI.EXEが、筆者が保有する2倍速PCカードCD-ROMドライブ用のデバイスドライバ。デバイス名をoemcd001(/D:oemcd001)とするのは、AUTOEXEC.BAT内のMSCDEX.EXEに合わせるため。

[menu]
menuitem=SETUP_CD, Start Windows 98 Setup from CD-ROM.
menuitem=CD, Start computer with CD-ROM support.
menuitem=NOCD, Start computer without CD-ROM support.
menudefault=SETUP_CD,30
menucolor=7,0

[SETUP_CD]
device=himem.sys /testmem:off
DEVICEHIGH=IBMDSS01.SYS
DEVICEHIGH=IBMDOSCS.SYS
DEVICEHIGH=DICRMU01.SYS /MA=C800-CFFF
DEVICEHIGH=$ICPMDOS.EXE
DEVICE=ARICDI.EXE /P:1 /I:15 /D:oemcd001

[CD]
device=himem.sys /testmem:off
DEVICEHIGH=IBMDSS01.SYS
DEVICEHIGH=IBMDOSCS.SYS
DEVICEHIGH=DICRMU01.SYS /MA=C800-CFFF
DEVICEHIGH=$ICPMDOS.EXE
DEVICE=ARICDI.EXE /P:1 /I:15 /D:oemcd001

[NOCD]
device=himem.sys /testmem:off

[COMMON]
DEVICEHigh=BILING.SYS
DEVICEHigh=JFONT.SYS /MSG=OFF
DEVICEHigh=JDISP.SYS /HS=LC
DEVICEHigh=JKEYB.SYS
files=60
buffers=20
dos=high,umb
stacks=9,256
lastdrive=z

[Text by 元麻布春男]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp