スタパ齋藤

ちょっと感動してしまいました
~ソニー VAIO Lシリーズ~



■ くわッ!! 余談ナシ!! 即本題!!

 今回は発売日にPC Watch編集部からお借りした、話題の新型VAIOことPCV-L500/BP(以下L500)について速攻いじくり報告をしてみたい!! いつもこの記事は最初に冗長な余談が来るが、今回は余談などナシだッ!! L500をいじくった瞬間、凄まじい衝撃を受けたっていうか物欲がすっげぇ刺激されたので余談ナシなのだーッ!! 余談などしている心の余裕がないのだーッ!! 余談するヒマがあったらまず銀行の預金残高とかクレジットカードの利用可能額とか手持ちの現金などを確認し、このL500を購入できるかどうか考えた方がいいと言えよう!! いやそういう額だけじゃなくて、とりあえず他のメーカーの液晶デスクトップ系マシンのコトなどを調べ、やはりこのL500はナイスであるということを自分に言い聞かせ、さらにいろんなコンピュータ野郎の人に電話して「あのーソニーのL500ってどう思いますかやっぱ気になってましたかアレってイイですよねそうですかイイですかガチャ」などと裏付けを取って、さあ俺は買うんだ買うぞ買うしかないという勢いでショップにゴー!! ってコレが余談だっつーんだよ>俺。

 で、L500。
 このマシンは、去年から今年にかけて各社ともよく売れているスタイルのパソコンである“液晶デスクトップ系”だと“思える”。モノとしては小型(ブックサイズ)デスクトップに液晶ディスプレイを組み合わせたスタイルになるが、少々使ってみると、コレはどうも液晶デスクトップマシンキラーとして開発されたパソコンに思えてくるのである。……まあ、それはともかく、まずこのマシンをザッと使ってみて言えることなどを。なお、マシンに関する詳細などは、例によってL500のカタログページを見ていただきたい。



■ ちょっと感動してしまいました

VAIO Lseries
VAIO Lシリーズ
オープンプライスだが、店頭価格はPCV-L300/BPが25万円前後、PCV-L500/BPが30万円前後。これまでとんがった味付けのマシンが多かったソニーだが、Lシリーズは「幅広いユーザーに使っていただきたい」とのことで、いよいよソニーがマスを取りにきた機種といえそう。とはいえ、ソニーらしい工夫が随所に見られ、ありきたりの液晶デスクトップというわけではない
VAIO Lseries
PCカードスロットはやはり前面にあってほしいもの。一方、メモリースティックのスロットは対応周辺機器がまだまだ少ない、と言うよりツァイスレンズ搭載のサイバーショット発売までひとつもないが、ソニーファンなら今後いろいろと使い道ができるはず、だろう(多分)
 まずL500を箱から出して感じたのは、本体のしっとりした感触。このマイクロタワー型のSシリーズとも、デスクトップ型のMシリーズとも違う、なんつーか家庭用ゲーム機みたいな筐体の作り。全面がプラスチック成形で、金属板がほとんど表面に出ていない。また、箱のエッジの部分がけっこうクッキリと面取りされていて、その平凡っぽいグレーから受けるのとは違う、シャープな印象があった。家庭用ゲーム機と書いたことで誤解を受けるかもしれないので、一応加えておくと、パソコンっぽくないプラスティックっぽさと、ワークステーションっぽいイメージを備えた、なんともパソコンらしからぬ雰囲気のパソコンだと感じたわけだ。

 L500をセットアップして感じたのは、まず、キーボードの意外なほどの良さ。L500のキーボードには、折り畳み可能なキーボードカバーを合体させられる。キーボードを使わない時はこの(お風呂のプラスチック蓋みたいな)カバーを展開させて乗せればホコリ避けや誤操作防止になる。カバーを手前に畳めばパームレストとなる。俺は「何このキーボード? 何のマネ!?」と思って鼻で笑おうと思って顔を薄ら笑いモードにして軽く息を吸い込んだ瞬間、これがなかなかのモンであることを知った。

 このカバー、最初は単なるホコリ避け程度のものかと思っていたら、いろいろ便利なメリットがあった。ひとつは、キーボード上部のプログラマブルキーだけを操作したい(させたい?)場面での誤操作防止。例えば家族でL500を使った時、パソコンマニアのお兄ちゃんや何でも挑戦できちゃうお姉ちゃんはキーボードを使うが、メールだけしか必要なくてパソコンのことがよくわからねえパパや、インターネットだけ見たいけどキーボードとかが怖いママには、このカバーがとてもナイスに見えよう。このボタンだけ押せばメールが読めるんじゃな、このボタン押せばインターネットになるのね、と話が早いしわかりやすいし非パソコン世代な感じの人が抱きがちな“恐怖感”が消える。

 それから、最近ではデスクトップ機でもよく使われるようになったスタンバイ機能に対しても一役買っている。と言うのは、フツー、スタンバイ機能は、マシンをスタンバイ状態にした(なった)後、電源ボタンかキーボードをポンと押すと復帰する。が、けっこう“意図せず思わずキー押しちゃってスタンバイから復帰しちゃった状態”ってのがある。雑誌の背表紙がキーボードに当たって復帰、キーボードをどかそうと思ったらキーに触っちゃって復帰、ネコがキー操作しちゃって復帰、など。L500のキーボードカバーはこういう問題を完全になくしてくれる。まあ、些細な問題だが、この些細な問題を簡単なギミックで解消してくれたのはイイ感じだ。ついでに言うと、VAIOのMシリーズでは、マウスを動かしただけでスタンバイ状態から復帰した(ていうか復帰してしまう)が、L500はマウス操作でスタンバイからの復帰はしなくなっている。実用性が上がったと言えよう。

 キーボード自体は、クリック感のほとんどない、弱まったゴムみたいなフニョフニョタッチの日本語キーボードなので、俺としては最強にキライな内容なのだが、フルキーボードからテンキー部分だけを切り取ったカタチ(カーソルキーやDeleteキーやInsertキー等はフルキーボードと同じ配置)で、この配置がヒジョーに使いやすい。(ASkeyboardライクとも言える)。また、静粛性がすげえ高いような気がする。コレで原稿を書いていても「カサカサカサ」としか聞こえない感じだ。なお、音的な点で言うと、本体の排気音はけっこうフツー。Mシリーズは排気音レスだしHDDの駆動音もウルトラ静粛だったが、ああいったすげえ静粛さはない。

 それと、本体とキーボードとマウスがカスケード接続されるのもナイスだと言えよう。つまり、本体とキーボードを付属のPS/2ケーブルでつなぎ、マウスはキーボードと接続する。簡単なギミックだが、机上がスッキリするので非常にナイスだ。なお、キーボードには、キーボード上部左右の両側にPS/2コネクタがあり、どちらの側に本体やマウスをつないでもいいので、つまり、右利きの人でも左利きの人でもノープロブレムと言えよう。この機構は、MacintoshのADBポートのキーボードやマウスのそれとソックリであり、非常に便利であり、Macintoshを知るWindowsユーザーの多くが「Macみたいにすればいいのにな~」と思っていたことだけに、快挙っぽい痛快さが感じられた。

 もひとつ、L500は、本体と専用ディスプレイと専用キーボードの、空間的な親和性が非常に高い。配置の自由度が高く、言うなれば痒いところに手が届くような置き方ができる。例えば、本体は縦置きも横置きも可能で、ディスプレイの後ろに置いてもいいようにデザインされている。ディスプレイも、机上に置いても本体の上においてもいいように、高さが自由に変えられる。ディスプレイ前面左右にスピーカーが埋め込まれていて、コレがまたけっこうしっかり鳴ってくれるというのも便利。さらに、ディスプレイ下方の隙間にキーボードをスッと押し込める点もイイ。この“押し込める”に関しては、俺がやってみたらたまたま押し込めたのかなぁと思ったらそうではなくて、キーボード下面にディスプレイの足と同様な角度と幅のへこみが作ってあったので、“押し込める”ことを敢えてプロダクトデザインに盛り込んだのだろう。ちなみに、キーボードカバーをしたキーボードを、ディスプレイの下に押し込んでも、キーボードがすっきり全部隠れちゃうわけではないのだが、ネコや幼児がキーを押すことはまずない。うっかりレジューム復帰とかいうことは絶対にない設計になっている。

 これら、L500本体などのカタチに関して、俺はちょっと感動した。ていうか、どちらかと言えば、感心、かもしれない。どちらにせよ、ともかく、久々に機能美ってのを感じたのだと思う。特に、メーカーの独りよがりでない、ユーザー寄りの機能美だと感じた。もしかしたらソニーの独りよがりと俺の嗜好がたまたまマッチしただけかもしれないが、正直なところ俺はこのマシンをセットアップしてほんの数分触ったところで欲しくなってしまった。



■ コンピュータとしての魅力

VAIO Lseries
i.LINK端子を持つVAIO同士を直結できる「Smart Connect」にも対応(L300/BPは非対応、L500/BPのみ)。VAIOノートのユーザーには便利
 俺がL500を買いたくなる強い理由のひとつとして、PCカードスロットがあるということ。液晶デスクトップ系は、デスクトップマシンの流れに沿ってだかなんだか、PCカードスロットを持つ機種が少ない。あってもPCカードスロットはお座なりに扱われていたりして、L500のように本体正面に堂々と配置されている機種は、俺の知る限りない。デスクトップマシンにPCカードスロット増設した時の便利さを知る人は多いし、増設したい人も多いハズなのに、どーしてメーカーはデスクトップってぇとPCカードのコトを忘れちゃうのだろうか!! と思う昨今なのであった。

 でもL500にはPCカードスロットが!! しかもその隣にはメモリスティックスロットまで(やや強引という気もするが)。ついでに、その左右にはマイクジャック、ヘッドフォンジャック、USBコネクタ、iLINKコネクタ!! L500はこれら端子へのアクセスが全部本体前面からできる。本体背面に回り込まなくても周辺機器を接続できるっつーコトで、これはかなり楽勝感の高いマシンだと感じた。

 ただ、L500にはもうPCIスロットの空きがなく、俺としては今のところなーんかそれほど必要に迫られないiLINK×2コネクタ(背面)のために、PCIスロットが消費されているのは残念だ。iLINKよりEtherとかSCSIの方が……という気がする。本体前面のメモリスティックとこの無理やりなiLINK×2のPCカードについて、まあこれから流行るような気がするので便利かもってのがあるが、んもぅ~ソニーさんたら強引なのねっやるときゃやるのね~なんて思った。

 それから、ディスプレイは14.1型の専用TFT液晶ディスプレイで、ビデオ信号はデジタル。つまりRAMDACを介さないデジタル接続っていうか要するに、ノートパソコンなどと同様、1ドット1ドットがクッキリハッキリシャッキリ表示される鮮明さ。アナログ接続のジラついた液晶ディスプレイを買うくらいなら安価な15インチCRTを買った方がいいと思うのだが、そーゆーコトを気にする人ってそんなにいないのね~って状況であるなぁと思っていたら、L500は正真正銘のデジタル接続!! 液晶ディスプレイはデジタル接続してこそその真価が発揮されるのだッ!! と思い続けて止まない俺にとって、この素晴らしく鮮明な表示はやはり気持ちよく、納得できるものだ。あと、ディスプレイにはステレオスピーカーが内蔵されているのだが、別途スピーカー用のケーブルを接続する必要がなく、本体とディスプレイの接続はディスプレイケーブルのみでOK。スッキリ。ディスプレイケーブルも(デジタル接続ってことで)かなり柔らかくてナイス!! ディスプレイケーブルのおかげでフスマが閉まりにくくなるなんてこともナシ!!

 あとはまあ、iLINKで他のVAIOシリーズパソコンとデータ交換できるとか、DV静止画キャプチャーや動画(DVフォーマットじゃない)キャプチャーできるとか、ソニー独自のソフトウェアと絡んだメリットがあるが、その辺はカタログページを参考に。

 ともあれ、1日ちょっと使ってみて、L500に関して結論を出せば、今までのVAIOシリーズのようなずば抜けた個性はないが、毎日使う道具としてはかなりソソられる。コレで仕事したりメールしたりWebしたりすんのは快適だろうなぁ、と。長く使っていないので、安定性にかんしてはどうとも言えないが、PCカードスロットあるし速いしデジタル接続の液晶だしキーボードの横幅を含めて設置場所取らないし、機能・性能・使い勝手(設置含めて)において、バランスがいいマシンだと感じた。注目すべきは、個々の作りやギミックへのこだわりだろう。サイズにこだわる人、接続性にこだわる人、表示にこだわる人、いろんな人の目を引くマシンでである。そういう意味で“お座なりな感じ”がほとんど感じられなかったL500だ。



■ 話は逸れるが……

 そうそう、L500のプレインストールソフトウェアでちょっと気になったというか気づいたというか。このページにあるように、L500には、いわゆるMicrosoftのオフィス系アプリが入っている。まあコレは使う人は使うし使わない人は使わないのでそーんなには気にならないのだが、ふ~んL500って従来のVAIOのホビー色とはちょっと変わってきたマシンなのね~と思いつつ、別のことを思った。かれこれ7台もVAIOを買ってきたVAIO野郎の俺としては、なーんか最近のVAIOはソフト入れすぎ!? ハードも入れすぎ!? とか。

 ソフトの入れすぎやハードの入れすぎは、俺思うにマシン自体を脆弱にする、と。まあ当たり障りのないハード・ソフトならいいのだが、当たり障りのあるものが多いと、えっこんなトコロで固まっちゃった!! なんて自体も増えてくる。ハードに関してはマシンの個性を左右する重要なギミックにもなりがちなので、邪魔だから入れないでなんて言えないが、でも最低限取り外せるかBIOSレベルで殺せるよーにしといてくれたりすると、何かと(増設時のコンフリクト回避とか)に便利と言えよう。ソフトに関しては、VAIOシリーズはそれほどでもないのだが、ビジネス系マシンで売ってる多くのメーカーが見直した方がいいような気がしなくもない。

 と言うのは、プレインストールソフトをアンインストールするのが面倒だというユーザーの話をよく聞くから。
 例えば何らかのトラブルがあって、リカバリCDを使ってマシンを工場出荷状態に戻す。リカバリCDがあるのは有り難いが、その後不要なソフトを削除するのがまた一苦労だという声も多い。まあ俺もその“一苦労だ”のクチなのだが、どうなんだろうか。リカバリCDと付属アプリ・ユーティリティCDに分けるとかいうコトはできないのだろうか? ん~なんか版権的問題がありそうな気もするけど、入れとけばユーザーが使うとかって時代じゃなくなってきたような気がする。好みに応じてインストールできて、不要なソフトにストレージ容量や安定性を持って行かれないようにする方法はないものか。

 それと、マシンにバンドルされているソフトを見て、そのソフトを単体で(高価に)買った人のグチをよく聞くから。あのマシンにプレインストールされてるソフト、ボク全部買ったんだよね~合計15万円なんだよね~その金額引くとあのマシンって2万円なんだよね~ムカムカムカーッ!! とか怒っている人は少なくない。同時に、そんなソフト入れないでマシンの値段安くしろとか思うユーザーも多いようだ。そしてソフトを入れても入れなくてもそーんなにマシンの価格が変わらないという現実もあるらしい。なーんか変な矛盾ですな。

 さらに話が逸れるが、最悪なバンドルソフトは、何らかのハードウェアをインストールしたとき、ドライバと共に絶対にインストールされちゃうオマケソフト。そーゆーソフトに限ってマトモにアンインストールできなかったりするから大変だ。俺はそーゆーオマケソフトで何度か痛い目を見たことがある。オマケソフトのおかげでWindowsが起動しなくなったなんてこともある。もはやウィルスに近いと言えよう。アレってナンなんですか?

 Webページのバナー広告みたいなモンなんですか? 絶対にインストールするようにしときますから○○円くださいって商売ですか? あと最初はほとんど無料だけど短期間で何回も高価なバージョンアップサービスをやるソフトハウスもけっこうあるなぁと思った。高利貸しみたいだなぁと思った。

□VAIO Lシリーズの製品情報
http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Consumer/PCOM/PCV-L500/index.html
□関連記事
【2/18】ソニー、メモリースティックスロットを備えた液晶PC「VAIO L」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990218/sony1.htm

[Text by スタパ齋藤]


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