プロカメラマン山田久美夫のPMA99レポート第3弾

150万画素モデルが続々登場した海外モデル

PMA会場 '99年2月18日 開幕(現地時間)

会期:2月18~21日(4日間)
会場:Las Vegas コンベンションセンター


 今回のPMAでは、日本の大手メーカーが200万画素クラスのモデルを続々発表したわけだが、その一方では、台湾や韓国などのカメラメーカーからも続々と高画素モデルが登場してきた。

 高画素といっても、今春登場した海外モデルは1/2インチの150万画素モデルがメイン。そして、その下に85万画素クラスをラインナップするというスタイルが多くなっている。そこで今回は、PMAに出品された海外メーカーの主力機種についてレポートしよう。


●150万画素3倍ズーム機を出品した「SKANHEX TECHNOLOGY」

 数多くの150万画素モデルのなかでも、3倍ズームでしかもコンパクトカメラ的な仕上がりを見せていたのが、台湾メーカーである「Sinpo Optical」ブースに出展されていた「SKANHEX TECHNOLOGY」というメーカーの「SX-150Z」。このモデルは、1/2インチ150万画素CCD搭載の光学式3倍ズーム搭載機。画像サイズは1,360×1,024ピクセルで、レンズは7~21mm(35mmカメラ換算38~115mm相当)の光学式ズーム付き。液晶モニタは2インチTFTで、記録媒体はCFカードを採用している。またインターフェイスはシリアルのほか、USBにも対応しているという。価格はまだ未定ということだが、スペック的には日本の130~150万画素モデルに近いもので、なかなか完成度は高そうだ。



●499ドルの150万画素モデルを出展した「LARGON」

 台湾のLARGONも、150万画素と80万画素モデルを同時発表。150万画素モデルの「EASY1500」は、1/2インチの150万画素CCD搭載機で、レンズは6.5mm(35mmカメラ換算32mm相当)の単焦点タイプ。記録媒体はCFカードで、電源は単三4本となっている。デザイン的にはコンパクトカメラに比較的近いスタイリングで、サイズも117×70×49mmとまずまずの大きさで、80万画素の「EASY800」よりもむしろコンパクトに仕上がっている。液晶モニタは1.8インチで、光学ファインダーも備わっている。
 全体にオーソドックスな感じのモデルで、同社のVGA(640×480ピクセル)モデルのストロボ跳ね上げ機能のような個性が欲しいところ。画質は試作機で撮影した画像をモニタやA6の昇華型プリントで見てみると、仕上がりはさほど悪くないようだ。
 価格的には、以前は200ドル台といっていたが、実際に今回のPMAでは499ドルという高めの設定。もっとも、量産後には価格を再検討する予定という。これまでの常識では、499ドルの150万画素モデルなら、十分に安価な感じがするが、211万画素の単焦点タイプである「ニコン COOLPIX700」が実販599ドルという破格の価格設定をしたあとでは、150万画素で499ドルでも高く感じてしまうのだから、急速な進化と時代の移り変わの激しい世界というのは、恐ろしい。
 一方、80万画素タイプである「EASY800」はデザインがやや異なるものの、単焦点レンズの液晶モニタ搭載機で、CFカード対応と機能的にはほぼ同等。価格は349ドルとアナウンスされているが、米国では富士フイルムが85万画素モデル「MX-10」(日本名「Clip-it80」)を299ドルで投入していることを考えると、これでも割高感がある。価格の安さが大きなウリである台湾メーカーも、今後は必ずしも、日本の大手メーカーの戦略的な価格付けに十分対抗できないケースが増えていきそうだ。



●コンパクトで個性的な150万画素と80万画素モデルを公開した「MINTON」

 台湾のデジタルカメラ系メーカーのなかでも、急速に力を付けているのが「MINTON」だ。同社はすでに、キヤノン PowerShot A5に似た雰囲気のスタイリッシュなボディーを備えた150万画素モデルを、昨年秋のフォトキナで参考出品していたもの(詳細は http://www.minton.com.tw/2_products/3_electronics/index.htm
)。
 そして今回発表されたのは、1/2インチ150万画素の単焦点モデル「S-CAM A1」と、スクエアなスタイリングの80万画素モデル「S-CAM F1」の2機種だが、ブースを訪れたときには、後者の80万画素モデルの姿しかなく、150万画素モデルは資料による発表のみだった可能性もある。
 これらのモデルは、いずれも単焦点レンズ搭載機で、もちろん液晶モニタ付き。記録媒体はスマートメディアを採用している。インターフェイスは150万画素モデルのみがUSB対応。電源は80万画素モデルが単三型2本。150万画素モデルは充電式のリチウムイオンバッテリを採用している。サイズはそれぞれ80×84×32mm(S-CAM F1)と、99×68×30mm(S-CAM A1)と、いずれもコンパクトだ。

 もっとも、80万画素モデルの「S-CAM F1」と同じ形状のモデルは、韓国の大手メーカーである「SAMSUNG」からも「DigiMax80」として発表されており、それと同時に150万画素モデルである「DigiMax150」も発表されていることを考えると、同一モデルである可能性もある。価格はそれぞれ、199ドルと399ドル。
 これらの2モデルも、今回は商談用のみのアンダーテーブル的なものだったのか、残念ながら同社ブースでその姿を見ることはできなかった。


●CFカード採用の150万画素モデルを出品した「PREMIER」

 このほか、「PREMIER」からも150万画素の単焦点モデル「DC-1501」が発表されていた。このモデルは詳細なスペックは不明だが、記録媒体にCFカードを採用したもので、デザインもコンパクトカメラ的なものだ。また、同時に縦型の80万画素単焦点モデルも発表していた。
 どうやら、今年の台湾・韓国勢は、各社とも150万画素モデルをトップに、80万画素クラスとの組み合わせでラインナップを組む戦略のようだ。



●縦型XGAモデルを発表したポラロイド

 自社開発ではなくOEM製品ながらも、低価格帯のデジタルカメラをはじめとしたデジタル機器を積極的に展開しているポラロイド。同社は今回、縦型のXGA(1,024×768ピクセル)モデルである「PDC-700」を前面にアピール。
 外観から分かるように、前記の「PREMIER」の80万画素モデルと同一のもので、どことなく「FinePix700」を連想させるデザインといえる。価格は、ACアダプタやポラロイド社オリジナルの画像処理ソフトまで付属して、349ドルと実に安価なものとなっている。

 また、今回のPMAでは、業務ユースを意識した4,000dpiと高解像度の35mmとAPS兼用フィルムスキャナ「SplintScan4000」を発表。こちらはリストプライスが2,490ドル、実売では2,000ドルを切るという。



●130万画素3倍ズーム機を発表し、ラインナップの充実を図った「AGFA」

 前日レポートで紹介したように、アグフアは今回、新製品として130万画素3倍ズーム搭載機「ePhoto CL-50」を発表した。このモデルは1月に同会場で開催されたCESで先行発表された「CL-30」の上級機であり、CLの名称からもわかるように従来機よりもローコスト化を重視したモデルといえる。
 採光式液晶モニタやレンズ周り、PhotoGenieの採用などからも想像がつくように、国産某機種の姉妹機的なモデルといえる。
 米国と同社の地元であるヨーロッパ市場で積極的な展開をはかっている同社。しかも、今回の「CL-50」の登場で、コンシューマー向けデジタルカメラだけでも、すでに5機種ものラインナップが揃ったわけで、いつの間にか多くの日本メーカーよりも豊富なシリーズ展開を実現している。200万画素クラスのモデルも、今年半ば頃にはラインナップに加わりそうな雰囲気すらあり、今後の展開が注目される。


□PMA99のホームページ(英文)
http://www.pmai.org/
□関連記事
【2月18日】プロカメラマン山田久美夫のPMA99前日レポート
米東芝の超小型214万画素単焦点機など新製品が早くも登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990218/pma1.htm

('99年2月23日)

[Reported by 山田久美夫]


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