後藤弘茂のWeekly海外ニュース

Rambusの本格離陸は2000年へ? 相次ぐ次世代メモリ関連ニュース



●Rambusの離陸へ広がる不安

 1月後半から最近までの記事で目立ったのは、次世代メモリの動向だ。PCのメインメモリでは、Intelが次のチップセット(Intel 820)でDirect Rambus DRAM(RDRAM)をサポートするが、肝心のDirect RDRAMの供給に不安があるという記事だ。「PC makers may see sparse Rambus DRAMs supplies this year」(Electronic Engineering Times,'99/1/15)によると、当初はDRAMベンダーからの供給量が足りなくて、価格が高い状態になりそうだという。この記事は、Direct RDRAMはSDRAMより40~50%割高になりそうだと報じ、供給が改善されるのは2000年第2四半期ごろという声も紹介している。Direct RDRAMは、以前から技術面では優れていると評価する声は高いものの、新技術が多いため、移行には、Intelが言うより時間がかかるのではという声は多かった。また、DRAMベンダーの多くが、64/72Mビット世代のDRAMではDirect RDRAMを本格的に立ち上げず、128/144Mビット世代からにするようだという。

 そのため、「Rambus Sees Flat Quarters, But Analysts Say No Big Deal」(The Wall Street Journal,'99/1/15、 有料サイト、http://www.wsj.com/ から検索)が伝えるように、アナリストの多くも、Intel 820が出てもDirect RDRAMは急速には離陸しないと考えているようだ。Rambusのライセンス収入が急増しはじめるのは2000年頃だと見ているという。


●PC-133が浮上

 では、DRAMメーカーの戦略は? というと、それはPC-133だと伝えるのが「DRAM camps vie for PC-server space」(Electronic Buyer's News,'99/1/29)。サーバーメーカーを中心にPC-133へのシフトが進み、その次にはDDR SDRAMがサーバー市場に受け入れられるだろうという。もちろん、各社ともDirect RDRAMもやるわけだが、もう一方の足はPC-133/DDR SDRMに突っ込んでいるというわけだ。実際、Intel以外のデスクトップ用チップセットもPC-133サポートへと向かっている。そして、これまでDirect RDRAMに固執していたIntelも、中間解としてPC-133対応のチップセットバリエーションを出すかもしれないというウワサすらある。


●IntelのDRAMベンダーへの出資の理由

 ただ、Direct RDRAMにとって暗いニュースばかりではない。「Vendors scramble to keep pace with Rambus」(Electronic Engineering Times,1/27)によると、DRAMベンダー8社がサンプルを供給しており、DRAM全体に対するDirect RDRAMの比率は、'99年は10%程度のシェアにとどまるが、2000年には40%に達するだろうという。ただ、Direct RDRAMの生産には、設備投資が必要で、月産100万個の設備に対して7~800万ドルの新規投資が必要になるという。

 こうした背景を知ると、「Intel invests $100 million in Samsung to aid Rambus output」(Electronic Engineering Times,'99/1/21)で報じられたIntelのSamsungへの投資や、「Toshiba next possible recipient of Direct Rambus DRAM funding from Intel」(Electronic Buyer's News,'99/2/02、リンクはすでに消失)などで伝えられるNECや東芝への投資のウワサも理屈に合っているように見えてくる。「Direct RDRAMの量産準備が遅れているなら、援助しますからがんばって下さい」というわけだ。


●Windows 98カーネルは2003年まで続く?

 「Microsoft may extend Windows 98's life」(NEWS.COM,'99/2/2)などいくつかの記事で、“Windows 98カーネル”が2003年まで延命され、もう1回Windows 98カーネルのコンシューマOSがリリースされることになりそうだという記事が出ている。Microsoftは、'97年9月の「PDC(Professional Developers Conference)」で、Windows 98の次のコンシューマ用OSは、Windows NTベースに移ると発表した。これは「NTC(Windows NT Consumer)」というコードネームで呼ばれていたプロジェクトだと言われ、企業むけ「Windows 2000 Professional Edition」のリリース後の2001年頃に登場するとされていた。ところが、今週登場した記事によると、そのスケジュールが狂い、Windows 98カーネルでのアップグレードを1回程度行なうことをMicrosoftは考えているという。記事のMicrosoft側のコメントを見ると、Microsoftは『メジャーアップグレード』では、NTカーネルに移行するが、その時期は2003年ぐらいまでずれ込みそうだという。そうすると、Microsoftの開発サイクルでは、Windows 2000の次のバージョンでNTカーネルに統一されることになるのかも知れない。つまり、計画が1世代後ろへスライドするわけだ。


●Celeron 466MHzと500MHzも

 後ろへずれ込む製品がある一方、前倒しになる製品もある。先週は、「Intel To Drop Celeron Prices」(Computer Reseller News,'99/1/28)など、Celeron 433MHzが前倒しになり3月21日に登場するという記事が目立った。これは、Celeron 400MHzを前に持ってきた分、スケジュールがひとつずつ前にスライドしてきたことを意味する。では、433MHzのあとは? そう、実は466MHzがあるのだ。業界筋から手に入れた情報では、IntelはCeleron 466MHzも今年中盤に投入、今年後半にはCeleron 500MHzも投入する予定になったという。500MHzでもベースクロックは66MHzのままだという。


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('99年2月4日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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