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DVD-ROMのフェーズ2ドライブの変更点


■フェーズ2ドライブの変更点

 昨年末のこのコラムで、DVD-ROMドライブが間もなく変わることについて触れた。すなわち、ドライブ側に地域コード情報を持たないフェーズ1ドライブから、ドライブ側に地域コード情報を持つフェーズ2ドライブへの切り替えである。実は、フェーズ2ドライブへの切り替えは、昨年の秋あたりから始まっており、すでに製品が入手可能な状態にある。今回は、このフェーズ2ドライブの実際について、簡単に紹介することにしたい。

 現在市販されているDVD-ROMドライブは、各社ともおおよそ第3世代に入っている。下表に示すように、初代のドライブがCD-RやCD-RWとの互換性を持たず、データ転送速度も低かったのに対し、第2世代ではCD-R/RW互換性を得ると同時に、再生速度の引き上げが行なわれ、一気に使いやすさを増している。第3世代になると、この表を見る限りでは、性能の量的な拡大が行なわれているだけで、特に新たなフィーチャーは加わっていないように見える。が、実際には冒頭に記した通り、フェーズ2ドライブへの移行がこの世代から始まるとみて良さそうだ。

DVD-ROMドライブの世代によるスペックの向上
 第1世代第2世代第3世代
CD-R互換性なしありあり
DVD-ROM再生速度等倍2倍4~6倍
CD-ROM再生速度6~8倍20倍32倍

■第3世代DVD-ROMドライブ=フェーズ2ドライブではない

 ただし、すべての第3世代DVD-ROMドライブがフェーズ2ドライブというわけではない。たとえば筆者の手元にあるドライブのうち、東芝のドライブ(SD-M1202)は、ドライブ側に地域コードを持たないフェーズ1ドライブだが、クリエイティブメディアのPC-DVD 5x(DVD5240E)は、ドライブ側に地域コードを持つフェーズ2ドライブである(実際には、このPC-DVD 5xは松下電器産業のSR-8583のOEMである)。このことを実際に、Drive Region Info( http://www.eurosat.com/visualdomain/ から入手可能)というユーティリティで確かめてみよう。

 図1に示したのは、SD-M1202に対してDrive Region Infoを実行したところだ。SD-M1202が地域コード情報を持たないことがわかる。一方、図2は、購入したばかりの(初めてシステムに接続した)DVD5240Eに対してDrive Region Infoを実行したところである。つまり、販売時には、地域コードは設定されていないものの、ドライブ側に地域コードを設定する機能を持つこと、ユーザーが5回まで地域コードの変更が可能なこと、どうやらメーカーは4回それをリセット可能であること、といったことがわかる。この初期状態(DVD5240Eに地域コードを設定していない状態)では、地域コードがALLになっているタイトル以外の再生ができないので注意が必要だ。

図1:SD-M1202は地域コード情報を持たない 図2:DVD5240Eの初期状態。地域コードが設定されていない 図3:専用ユーティリティを使ってDVD5240Eの地域コードを設定した後

 そこで、地域コードの設定を行なうわけだが、このDVD5240Eでは付属のドライバディ スクに納められた専用ユーティリティを用いる。Windows 98には汎用のATAPI CD-ROM ドライバ(もちろんDVD-ROMドライブにも使える)が付属するため、こうしたドライ バディスクをおろそかにしがちだが、決して粗末に扱ってはならない、というわけだ。 図4が、その専用ユーティリティ(Creative User Region Code Setting Program)を 起動したところである。Current Settings(現在の設定)の項がRegion code not set yetになっているのがわかる。このユーティリティで日本の地域コードである2を 設定し、再びDrive Region Infoを実行したのが図3だ。地域コードが2に設定された のが確認できると同時に、ユーザーが変更可能な回数が4に減っている。

図4:DVD5240Eの専用ユーティリティを起動したところ。初期状態では地域コードが設定されていないのがわかる

■ドライブが地域コードを持つということは

 では、このドライブ側の地域コードは、実際にどのような影響を与えるのだろう。これまでのフェーズ1ドライブ(ドライブ側に地域コードを持たない)では、地域コードにより保護されたタイトルは、DVD-Videoタイトルの地域コードとDVD-Videoデコーダ(ソフトウェアDVDプレーヤーあるいはDVDデコーダカード)の地域コードが一致しない限り、再生することができなかった。しかし、フェーズ2ドライブでは、DVD-Videoタイトル、DVD-ROMドライブ、DVD-Videoデコーダの3つの地域コードが一致しない限り、再生することができなくなる。

 PCではDVD-Videoデコーダによっては、ユーザーによる地域コードの設定を許すものもあり、たとえばブートマネージャのようなユーティリティを併用することで、1つのハードディスク上に複数のWinodws 98をインストールし、それぞれに異なる地域コードのDVD-Videoデコーダをインストールする、といった地域コード破り?を行なうことが容易だった。しかし、ドライブ側に地域コードが設定され、書き換え回数を制限することで、そのようなことは難しくなる(もちろん、地域コードの異なる複数台のドライブを用意すれば同じことだが、それは居住地の地域コードと異なる民生用のDVD-Videoプレーヤーを個人輸入するのと同じことであり、PCだけの問題ではなくなる)。

 今回、例として取り上げたのは、クリエイティブメディアのPC-DVD 5xだが、今年から量産するドライブ(DVD-ROMのみならず、DVD-RAMドライブも含め)は原則的にフェーズ2ドライブに移行することになっている。地域コードの設定方法に専用ユーティリティを用いるかどうかは別にして、各社ともこのような仕様になるわけだ。ユーザーの自由度が減るという点で、このような仕様変更が望ましいわけではないが、興行権の問題(現在ロードショー中のアルマゲドンも、米国ではすでにDVDがリリースされているなど、映画の公開時期は国によって大きく異なる)もあり、ある程度やむを得ないものと理解できる。

■メーカー側はユーザーに対して説明を

 むしろ問題にしたいのは、今回のフェーズ1からフェーズ2の切り替えについて、メーカーからほとんど情報が提供されないことである。たとえば、SR-8583のプレスリリースには、このドライブが地域コード設定を持つことなど一切触れられていない。実製品(エンドユーザー向けの化粧箱入りの製品で、決してバルク扱いの部品ではないという意味で)のPC-DVD 5xにしても、パッケージはもちろん、マニュアルにもドライブ側に地域コードを書きこまねばならないことが一言も触れられていない。これでは、購入者の中には困ってしまう人も出てくるだろう。

 松下電器産業/クリエイティブメディア以外のベンダには、今後フェーズ2への切り替えが待っている。変わった以上(変える以上)は、そのことをユーザーに明示する必要がある。ユーザーに知られないよう、こそこそやるというのは、最低の対応であること(同時に極めて日本的な対応とも言えるが)を自覚しておいていただきたい。


■番外編:Visioのうずまきツール

 昨年の11月、筆者はこのコラムで、日常の作図に主にVisioを使っていること、そしてVisioでは厄介な渦巻きを描くために、花子を使ってみたといったことを書いた。これに対し、Visio Japanから連絡があり、本社(シアトル)の開発チームがVBAを駆使して、渦巻きを描くためのアドオンを開発したとのこと。そして、わざわざこのアドオンを使うためのプラットフォームであるVisio 5.0+と共に、送っていただいた。まずは、この場を借りてお礼を申し上げたい。

 図5に示したのが、VBAで開発された渦巻き作成ツール(Spiral.vss)をVisio Standard 5.0+で開いたところだ。黒っぽい鉛筆状の図の先端を中心に、指定した数の巻数で、渦巻きを描くことができる(描いた後は鉛筆状のガイドは消去できる)。巻数のコントロールができる点で芸が細かいし、書いた渦巻きは他のVisioのパーツ(シェイプ)と同じように、拡大や変形が可能だ。筆者には過ぎたツールであり、このようなご厚意に深く感謝したい。なお、この渦巻き作成ツールは、現在 http://www.visio.com/support/downloads/dev_download.html からダウンロードすることが可能だ(間もなく、日本サイトからもダウンロード可能になる予定)。筆者と同様?渦巻きの作成に悩んでいる人は、ぜひ試してみて欲しい。

図5:VBAで開発された渦巻き作成ツールをVisio Standard 5.0+で開いたところ

[Text by 元麻布春男]


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