現在市販されているDVD-ROMドライブは、各社ともおおよそ第3世代に入っている。下表に示すように、初代のドライブがCD-RやCD-RWとの互換性を持たず、データ転送速度も低かったのに対し、第2世代ではCD-R/RW互換性を得ると同時に、再生速度の引き上げが行なわれ、一気に使いやすさを増している。第3世代になると、この表を見る限りでは、性能の量的な拡大が行なわれているだけで、特に新たなフィーチャーは加わっていないように見える。が、実際には冒頭に記した通り、フェーズ2ドライブへの移行がこの世代から始まるとみて良さそうだ。
DVD-ROMドライブの世代によるスペックの向上
第1世代 | 第2世代 | 第3世代 | |
CD-R互換性 | なし | あり | あり |
DVD-ROM再生速度 | 等倍 | 2倍 | 4~6倍 |
CD-ROM再生速度 | 6~8倍 | 20倍 | 32倍 |
図1に示したのは、SD-M1202に対してDrive Region Infoを実行したところだ。SD-M1202が地域コード情報を持たないことがわかる。一方、図2は、購入したばかりの(初めてシステムに接続した)DVD5240Eに対してDrive Region Infoを実行したところである。つまり、販売時には、地域コードは設定されていないものの、ドライブ側に地域コードを設定する機能を持つこと、ユーザーが5回まで地域コードの変更が可能なこと、どうやらメーカーは4回それをリセット可能であること、といったことがわかる。この初期状態(DVD5240Eに地域コードを設定していない状態)では、地域コードがALLになっているタイトル以外の再生ができないので注意が必要だ。
図1:SD-M1202は地域コード情報を持たない | 図2:DVD5240Eの初期状態。地域コードが設定されていない | 図3:専用ユーティリティを使ってDVD5240Eの地域コードを設定した後 |
そこで、地域コードの設定を行なうわけだが、このDVD5240Eでは付属のドライバディ スクに納められた専用ユーティリティを用いる。Windows 98には汎用のATAPI CD-ROM ドライバ(もちろんDVD-ROMドライブにも使える)が付属するため、こうしたドライ バディスクをおろそかにしがちだが、決して粗末に扱ってはならない、というわけだ。 図4が、その専用ユーティリティ(Creative User Region Code Setting Program)を 起動したところである。Current Settings(現在の設定)の項がRegion code not set yetになっているのがわかる。このユーティリティで日本の地域コードである2を 設定し、再びDrive Region Infoを実行したのが図3だ。地域コードが2に設定された のが確認できると同時に、ユーザーが変更可能な回数が4に減っている。
図4:DVD5240Eの専用ユーティリティを起動したところ。初期状態では地域コードが設定されていないのがわかる |
PCではDVD-Videoデコーダによっては、ユーザーによる地域コードの設定を許すものもあり、たとえばブートマネージャのようなユーティリティを併用することで、1つのハードディスク上に複数のWinodws 98をインストールし、それぞれに異なる地域コードのDVD-Videoデコーダをインストールする、といった地域コード破り?を行なうことが容易だった。しかし、ドライブ側に地域コードが設定され、書き換え回数を制限することで、そのようなことは難しくなる(もちろん、地域コードの異なる複数台のドライブを用意すれば同じことだが、それは居住地の地域コードと異なる民生用のDVD-Videoプレーヤーを個人輸入するのと同じことであり、PCだけの問題ではなくなる)。
今回、例として取り上げたのは、クリエイティブメディアのPC-DVD 5xだが、今年から量産するドライブ(DVD-ROMのみならず、DVD-RAMドライブも含め)は原則的にフェーズ2ドライブに移行することになっている。地域コードの設定方法に専用ユーティリティを用いるかどうかは別にして、各社ともこのような仕様になるわけだ。ユーザーの自由度が減るという点で、このような仕様変更が望ましいわけではないが、興行権の問題(現在ロードショー中のアルマゲドンも、米国ではすでにDVDがリリースされているなど、映画の公開時期は国によって大きく異なる)もあり、ある程度やむを得ないものと理解できる。
松下電器産業/クリエイティブメディア以外のベンダには、今後フェーズ2への切り替えが待っている。変わった以上(変える以上)は、そのことをユーザーに明示する必要がある。ユーザーに知られないよう、こそこそやるというのは、最低の対応であること(同時に極めて日本的な対応とも言えるが)を自覚しておいていただきたい。
図5に示したのが、VBAで開発された渦巻き作成ツール(Spiral.vss)をVisio Standard 5.0+で開いたところだ。黒っぽい鉛筆状の図の先端を中心に、指定した数の巻数で、渦巻きを描くことができる(描いた後は鉛筆状のガイドは消去できる)。巻数のコントロールができる点で芸が細かいし、書いた渦巻きは他のVisioのパーツ(シェイプ)と同じように、拡大や変形が可能だ。筆者には過ぎたツールであり、このようなご厚意に深く感謝したい。なお、この渦巻き作成ツールは、現在 http://www.visio.com/support/downloads/dev_download.html からダウンロードすることが可能だ(間もなく、日本サイトからもダウンロード可能になる予定)。筆者と同様?渦巻きの作成に悩んでいる人は、ぜひ試してみて欲しい。
図5:VBAで開発された渦巻き作成ツールをVisio Standard 5.0+で開いたところ |
[Text by 元麻布春男]