会場:Las Vegas Convention Center, Las Vegas Hilton, Sands Expo & Convention Center
今回のCOMDEXではCreative TechnologyがMP3プレーヤーを出展した。
DiamondのMP3プレーヤー発売については、全米レコード事業者協会(RIAA)が販売差し止めを求めて提訴。米連邦地方裁判所は審問開始までの販売仮差し止め命令を発行したが、審問の結果これを撤回。これによりMP3プレーヤーの発売は、法的にもGOサインが出た形となった。そこへ大手ベンダーのCreativeも参入するとなれば、MP3プレーヤーが一気に普及することも考えられる。
また、複数のブースでClik!、スマートメディアなどを採用したMP3プレーヤーが展示されている。小型のリムーバブルメディアを使用することで、ウォークマンと同じような使い方が可能になるわけだ。同時に、これまで実質的にはデジタルカメラ以外に使い道がなかったスマートメディアなどの小型メディアにも、新しい用途ができることになる。市場での相乗効果が期待される。
このほか、音関係のデバイスでは、ソニーのメモリースティック対応ウォークマン、三洋のデジタルオーディオ/USB変換アダプタなども注目される。これらについてもあわせてレポートする。
サウンドカードなどで有名なCreative Technologyは、スマートメディアを使用できる携帯型MP3プレーヤーを参考出品している。説明員によればまだ開発段階の製品ということで、発売時期や価格は聞くことができなかった。確認は取れなかったが、展示されている筐体のデザインは今回出展しているMPManの新製品とよく似ており、OEM供給を受けていると考えられる。
Saehan Information Systemsは、携帯型MP3プレーヤー「MPMan」の新モデルを展示。それぞれの製品はアクリルの中に入っているが、ヘッドホンが接続されており視聴できるようなっている。新モデルでも注目されるのが2.5インチHDDを内蔵した「MP-H10」と、Iomegaのリムーバブルメディア「Clik!」ドライブを搭載した「MP-CL10」、スマートメディアが使用できる「MP-F20」の3モデル。
発売時期はいずれも'99年とのことだが、'99年のいつ頃になるのか、また価格についても現時点では明らかにしていない。
Clik!ドライブ搭載 MP-CL10 | スマートメディア対応 MP-F20 | 2.5インチHDD内蔵 MP-H10 |
MultiMediaCard対応 MP3プレーヤー | MultiMediaCard |
SanDiskのブースでは、同社の新しいストレージ媒体「MultiMediaCard」に対応したMP3プレーヤーを、PONTISが展示している。MultiMediaCardの大きさは、スマートメディアよりさらに小さい24×32×1.4mm(幅×奥行き×高さ)。
PONTISのプレーヤーはこのメデイア用のスロットを2つ搭載し、デザインもきれいにまとまっている。展示を見る限りでは、製品としての完成度は高い印象だ。発売は12月が予定されており、同時に8MBのメディアがリリースされるとしている。また、16MBのメディアも'99年に発売が予定されている。価格はプレーヤーが157ドル、メディアについては「スマートメディアなど、対抗となる製品の価格状況を見て決めたい」という。日本での販売も同時期に可能であるとしている。
Varo Visionは、Clik!を採用した携帯型MP3プレーヤー「Clikman」を出品。実際に触れる製品を数台用意してIomegaブースで展示している。この製品はMP3再生のほか、メディア1枚につき10時間の録音も可能となっている。発売は12月で、価格は300ドル程度の見込みだという。
ハギワラシスコムは、スマートメディアを使用したMP3プレーヤー2モデルを参考出品。いずれのモデルも以前のイベントで参考出品されたものと同じく、モックアップの展示にとどまっている。しかし、ヘッドホン型の製品は以前に比べるとデザインがかなり改善されていた。
ソニーは、メモリーステイックに対応したウォークマンをアクリル越しに展示している(写真左)。まだコンセプト段階とのことで、メモリーステイックにどのような形式で音声データを収録するのかは不明。しかし、ウォークマン以外にも、メモリーステイックスロットを搭載したMDコンポなども展示しており、こうした機器とのやり取りが想定されている。
概念段階ではあるがソニーがこれらの製品群を展示したことで、これからのオーディオが「音楽を小型のリムバーブルメディアに入れて持ち歩く」という方向に向かうことが示唆される。
スケルトン筐体のTB-ASUB1 | アナログオーディオ入力を 装備したTB-ASUB2 |
三洋では「USB オーディオユニット」2モデルを参考出品。WAVEデータをオーディオ用の光デジタル出力に変換したり、オーディオ機器のデジタル出力をPCに取り込んだりできる。機能としては、カノープスが既に発売している製品とほぼ同じ。光デジタル入力/出力をそれぞれ2つ持つ「TB-AUSB1(25,000円程度)」のほか、アナログオーディオ入力を装備した「TB-ASUB2(3万円程度)」が用意される。TB-AUSB1は、緑色透明のスケルトン筐体が特徴。TB-ASUB2は、フロント部に10個のボタンがあり、それぞれに接続したPCのブラウザの起動といった機能を割り当てることもできる。いずれも、製品化は来春が予定されている。
('98年11月19日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]