元麻布春男の週刊PCホットライン

近頃わが家で欲しいもの(後編)


■候補8機種をピックアップ

 前回で、おおよそ筆者が希望しているプリンタ像みたいなものは理解していただけたと思う。どのような機能が欲しいか、わかったところで今度はカタログ集めだ。確かに、今はInternetの普及により、オンラインでカタログを見ることができる。にもかかわらず、カタログをもらう意味は、複数を比べる際はやはり紙の方が便利なこと、紙の方が見落としが少ないこと、そして何よりカタログをもらうついでに実機を見ることができることだ。

 雑誌の評価記事を担当するのと異なり、店頭で実機を見ても、そこでテストプリントするわけでもなければ、中を開けて見るわけでもない。だが、実際に見なければわからないこともまたある。たとえば大きさだが、カタログに書かれている数字がどんなに正確でも、感覚的に大きさをつかむことは難しい。店頭で見れば一発でわかる。

 というわけで、スペック的に該当しそうなプリンタを抽出したのが表の8機種だ。この中には、どうしてもカタログが入手できず、Internetで調べたデータもある(別にInternetの効用を否定しているわけではない)。また、調べている時にわかったのは、筆者が希望しているプリンタは、どうやらオフィスプリンタの部類に入る、ということだ。前回も触れた通り、筆者はこのクラスをSOHO向けだと思っていたのだが、各社のカタログを見る限り、SOHO向けはもう1ランク下のようだ。

【候補8機種のおもな仕様】
メーカー名キヤノンキヤノンキヤノン京セラ
モデル名LBP-450 LBP-840 LBP-850 LS-1700
標準価格158,000円148,000円168,000円188,000円
最大用紙サイズA4A3A3A4
印刷速度(A4、コピー)12ppm16ppm16ppm12ppm
ネイティブ解像度600dpi1,200dpi1,200dpi600dpi
メモリ(標準/最大)4MB/36MB4MB/36MB4MB/36MB4MB/36MB
ランニングコスト(1枚あたり)4円4円0.6円
給紙方式(本体同梱標準品)250枚カセット250枚カセット250枚カセット250枚カセット
両面印刷オプションあり(5万円)あり(5万円)あり(5万円)あり(7.8万円)
ネットワークオプションあり(5.5万円)あり(5.5万円)あり(5.5万円)あり(8万円)
FAXオプションあり(31万円*1なしなしなし
PCL互換性(英語モード)なしなしなしあり(PCL5e)
消費電力(印刷/待機/スタンバイ時)299W/―/17.5W346W/30W/17W 350W/37W/22W310W/110W/18W
オプション非装着時サイズ(W×D×H)282×416×579mm490×610×300mm490×610×300mm373×383×310mm
容積(立法センチ)67,92489,67089,67044,286
*1 三菱電機製で、LBP-750などでも使える準汎用品

メーカー名エプソンエプソン日本HP富士ゼロックス
モデル名 LP-8300S LP-8400 LaserJet 4000 LaserWindOffice 204W
標準価格128,000円148,000円168,000円138,000円
最大用紙サイズA3A3A4A3
印刷速度(A4、コピー)12ppm16ppm16ppm12ppm
ネイティブ解像度600dpi600dpi1,200dpi600dpi
メモリ(標準/最大)4MB/36MB4MB/36MB4MB/100MB4MB/36MB
ランニングコスト(1枚あたり)4円2.5円
給紙方式(本体同梱標準品)250枚カセット250枚カセット500枚カセット250枚カセット
両面印刷オプションなしなしあり(6万円)なし
ネットワークオプションあり(5万円~)あり(5万円~)あり(4.3万円)あり(6万円)
FAXオプションなしなしなし *2あり(138,000円)*3
PCL互換性(英語モード)なしなしあり(PCL6)なし
消費電力(印刷/待機/スタンバイ時)340W/―/30W340W/―/30W330W/18W/16WN/A *4
オプション非装着時サイズ(W×D×H)471×487×346471×487×346390×493×343466×390×325
容積(立法センチ)79,36479,36465,94959,066
*2 米国にはFAX機能を持つオールインワンモデルとしてLaserJet 3100シリーズがある
*3 単なるFAXオプションではなく、スキャナ、コピーなどの機能を持つ複合機ユニット
*4 最大520W以下、スタンバイ時30W以下



■各機種の仕様を検討

 現在、インクジェットプリンタが好調なエプソンのラインナップ中、プリンタ選びの候補に入りそうなのは、LP-8300SとLP-8400の2機種だ。が、スペック的にはどうも「これ」という特徴に乏しい。値引き幅が比較的大きい傾向にあり、実売価格が安いこと、ほとんどの量販店が扱っているため、サプライ品の入手に不安を感じないこと、といったところが長所だと思うのだが、ハードとしてのスペックは魅力に欠ける。両面印刷オプションがないのも、イマイチである。自社技術によるインクジェットと異なり、レーザープリンタはエンジンを他社のOEMに頼っているからだろうか(コントローラは自社開発)。購入に踏み切るには今一つという感じだ。

キヤノン
LBP-840
 キヤノンは、レーザープリンタメーカーとしては草分けで、他社に対するエンジンの供給も含め、このジャンルに関してはトップシェアを誇る。それだけに、筆者の希望を満たせそうなプリンタが3機種も見つかった。中でも、最も注目されるのは、発表されたばかりのLBP-840だ。16ppmの印刷速度、1,200dpiの実解像度、低消費電力など、プリンタエンジンが新しいことによる魅力が、148,000円というリーズナブルな価格に凝縮されている。もちろん両面印刷オプションもあり、しかも最安値である。新製品だけに、まだ店頭には展示されていないが、トップシェアベンダの製品だけに、いずれ潤沢に商品が出てくるだろうし、サプライ品の供給にも問題はないだろう。このLBP-840の最大の問題は、大きさである。表の容積のところに注目して欲しいが、他を圧するボリュームだ(京セラLS-1700の2倍以上)。さすがに、これは耐えられないかもしれない。

 同じキヤノンのLBP-850は、LBP-840の上位モデルだが、筐体やエンジンは同一である。エミュレーション可能なプリンタが多いなど、さまざまなクライアントが共存する環境向けかもしれないが、PCしかない筆者の環境向きではない。価格も高いことから、必然的に候補から外れる(LBP-850を選ぶくらいならLBP-840を選ぶということ)。これに対しA4専用機のLBP-450は、A4機の割には小さくないが、少なくとも筆者の仕事部屋にも置けそうな大きさ。両面印刷もサポートしている。だが、LBP-840を見た後では、エンジンの古さが気になってくる。サポートする解像度、印刷速度、消費電力といったスペックに、それが顕著だ。LBP-840のエンジンと同じテクノロジを投入したモデルチェンジを期待したいところである。


 京セラのLS-1700もA4専用機だが、こちらはかなり小型で、A3やB4の出力をあきらめた甲斐があるサイズだ。著しくランニングコストが低いのは、ドラム交換をせず、トナー補給のみを行なう同社のエコシスのおかげ。PCL5eのエミュレーションが可能なのも筆者には好都合だ。難点は、本体のみならず、両面印刷オプションやネットワークオプションなど、価格が高いこと。しかも、筆者の自宅から近い新宿エリアの量販店ではあまり見かけないことを考えると、大きな値引きの期待できない取り寄せ扱いになりそうだ。本体に両面印刷オプションを加えた価格は266,000円で、実売で20万円を上回ってしまう可能性が高い。これでは、候補から除外せざるを得ない。

日本ヒューレット・パッカード
LaserJet 4000
 次のLaserJet 4000も、新宿エリアの量販店で見かけないという点ではLS-1700同様。ただ、本体と両面印刷オプションを加えた価格が228,000円のため、取り寄せ扱いでも20万円を切れるかもしれない。本機で魅力的なのは、A4専用機(スタンバイ時の消費電力は最も小さい)で16ppm、1,200dpiというスペックだ。標準カセットが500枚収納なのもグッドである。もちろん本家ゆえ、PCL互換性もバッチリ。さすがにFAXオプションはないものの、かなり筆者の希望に近い(米国ではFAX機能を持つLaserJet 3100シリーズが売られているが、国内販売はない。またLaserJet 3100シリーズは、プリンタとしてはあまり高速ではない)。難点は、すでに述べた入手性と、A4専用機にしては大きいことだろうか。トナー補給のたびに、トナー/ドラムユニットを取り寄せ、というのは、大手企業と異なり出入りの業者のいない筆者にはちょっと辛い。また、このプリンタのエンジンはおそらくキヤノン製だと思うのだが、まだキヤノンには、このエンジンを用いたプリンタがないようだ。このエンジンでLBP-450をモデルチェンジして欲しいところなのだが。


富士ゼロックス
LaserWindOffice 204W
 富士ゼロックスのLaserWindOffice 204Wは、A3機でありながら、非常にコンパクトなのが特徴である。12ppmとそれほど高速ではないが、価格が安いことも考えれば、うなずけるところだ。本機で注目したいのは、複合機ユニットと呼ばれるオプションが用意されており、これを装着することで、イメージスキャナ、FAX、コピー機といった機能が利用可能になることだ。コピーのたびにコンビニに走る筆者にとって、コピー機能はあったら便利なことは間違いないのだが、本体と合わせて276,000円では、予算オーバー。3つの機能を持つことで省資源を実現している(環境に優しい)のだから、税制上の優遇を望みたいのだが、まぁ期待するだけ無駄だろう。不思議なのは、本機には両面印刷のオプションが用意されていない点だ。


■消去法的に残ったのはLaserJet 4000

 以上、8機種を調べてみたが、この中で比較的魅力があったのは、LBP-840、LS-1700、LaserJet 4000、LaserWindOffice 204Wの4機種である。が、LS-1700は明らかに予算オーバー、LaserWindOffice 204Wも複合機ユニットを加えれば予算オーバーで、加えなければ魅力に欠ける。LBP-840は、あまりにも巨大で置き場に困る。消去法的に残ったのがLaserJet 4000だ。もし、買うならこの機種だが、果たして両面印刷オプションを加えて20万円を切ることが可能なのか。どうも、日本HPはLaserJet 4000を量販店ルートで売ることに熱心ではなさそうなのが気になる。まぁ一度、値段の交渉でもしに出かけてみよう。

[Text by 元麻布春男]


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