★ ゲームソフトインプレッション ★

アクション要素の濃い、新しいリアルタイムシミュレーション
Microsoft Urban Assault

タイトル

  • ジャンル:リアルタイムシミュレーション
  • 発売メーカー:マイクロソフト株式会社
  • 価格:オープンプライス<>
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:10月9日
 
【ゲームの内容】
     核戦争後の荒れ果てた地球を舞台に、敵対する勢力や地球外生命体と戦う、リアルタイム戦闘シミュレーションゲーム。部隊単位で指揮できるほか、プレーヤーが直接戦闘機や戦車を操縦して戦うこともできる。
【動作環境】
  • CPU:Pentium 133MHz以上(166MHz以上推奨)
  • RAM:16MB以上(32MB以上推奨、Windows 98の場合32MB以上必要、48MB以上を推奨)
  • HDD:140MB以上(実行時に必要な空き容量 50MB)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上のCD-ROMドライブ(8倍速以上推奨)
  • ディスプレイ:解像度640×480、256色以上(Direct3Dと互換性のある3Dアクセラレータ カードを推奨)

マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
マイクロソフトのゲーム製品に関するページ
http://www.microsoft.com/japan/games/
「Microsoft Urban Assault」のホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/uassault/
「Microsoft Urban Assault」のホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/games/urbanassault/
「Microsoft Urban Assault」の英語版デモ [12.9MB]
http://www.microsoft.com/japan/games/uassault/download.htm#DOWNLOAD

【関連記事】
Microsoft Gamestock '98 レポート「Urban Assault」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980224/msgame01.htm


 かつてこれほどまでに激しく、これほどまでにリアルな戦闘シミュレーションがあっただろうか。マイクロソフトの「Urban Assult」は、戦略戦からリアルタイムバトルまでを網羅する、まったく新しいタイプの戦闘シミュレーションゲームだ。


●あるときは司令官として、またあるときは操縦者として

ムービー マップ画面 ミッション画面
かなり強烈に作り込まれたオープニングムービー イギリスを起点に始まる。次にどのマップに進むかは、プレーヤー次第だ 戦闘前のブリーフィング。敵に関する情報が、少しずつ明らかにされていく
 
 これまで「戦争モノ」シミュレーションゲームは、そのスタイルの違いから戦略級と戦術級、そしてリアルタイムシミュレーションの3種類に分けられるのが普通だった。たとえば「信長の野望」や「シヴィライゼーション」のように、国家単位で覇権を争うのが「戦略級」。プレーヤーは元首としてすべての決定権を持ち、富国強兵に努める。ゲームの勝敗は国力の育成や外交でその大半が決まり、軍隊はあくまでも二次的な存在にすぎない。これに対して「大戦略シリーズ」や「ネクタリス」のように、部隊単位・小隊単位でユニットを動かすのが、いわゆる「戦術級」のシミュレーションゲームだ。プレーヤーは将軍、もしくは戦闘指揮官として部隊を動かし、与えられた任務を全うするのが目的である。持てる戦力を最大限に活用し、いかにうまく敵を叩くかが勝敗の分かれ目となるだろう。そして「STARCRAFT」や「Command & Conquer」のように、リアルタイムで部隊を動かしていくのが「リアルタイムシミュレーション」。シミュレーションゲーム独自のルールであるターン制を廃し、敵味方が入り乱れて戦うことになる。早い者勝ちといった要素もあるので、アクション的な側面もある。

 こんな具合に、ひとことで「戦闘シミュレーション」といっても、その戦い方や作戦の規模はずいぶん違っていた。当然プレーヤーに求められる戦い方も異なり、戦略級では大局観や先見性、戦術級では武器についての知識や機転、リアルタイムシミュレーションではタイミングが勝敗のカギとなる。

 しかしこの「Urban Assult」は、戦略級でも戦術級でも、リアルタイムシミュレーションでもない。……というより、これらすべての側面を兼ね備えている。プレーヤーは軍の全権を掌握する総司令官として戦う場所や相手を選ぶことができるが、ひとたび戦闘の火蓋が切って落とされた後は、戦闘指揮官として部隊の編制や移動、攻撃、撤退命令などをすべて行なわなくてはならない。そしていざ敵に遭遇すると、今度は戦車や戦闘機のコックピットに視点を移してリアルタイムバトルに突入する。目的を達成するためには、戦略的にも戦術的にもリアルタイムバトルも完璧にこなさなくてはならない、新しいタイプのシミュレーションゲームなのだ。


●人類滅亡の危機を打破せよ!!

 それではまず、ゲームの背景から説明しよう。
 舞台となるのは、核戦争後の荒れ果てた地球。もはや地上に国家や文明はなく、完全な無政府状態だ。人類はいくつかの集団に別れて、互いに殺し合いを続けている。これに追い打ちを掛けるように襲い掛かったのが、複数の地球外生命体(早い話が宇宙人)。中でも兇悪なのが「マイコニア」と呼ばれる連中で、彼ら(?)は自分たちの活動エネルギーを得るための装置「パラサイト」を設置し、地球の核から熱エネルギーを取り出し始めた。「パラサイト」によって地球は内部から冷えはじめ、人類の滅亡はもはや時間の問題である……と、「Urban Assult」の設定はいきなり暗い。オープニングのムービーを見ているだけで、すっかり負けた気分になってしまうほど絶望的な状態だ。追い詰められ、退廃した未来のイメージは、映画「ターミネーター」のそれに似ている。

 プレーヤーは「レジスタンス」と呼ばれる地球人勢力の一員として、このゲームに参加する。強力な武器を持たない「レジスタンス」は、これまで長い間劣勢を強いられてきたが、ついに戦闘の切り札となる画期的なシステム「ヒューマンインターフェース」の開発に成功。プレーヤーは「ヒューマンインターフェース」の頭脳中枢としてコンピュータに組み込まれ、遠隔地からすべての兵器を操ることができる。これを使って敵対する勢力を地上から駆逐し、滅亡の崖っぷちにある人類を守るのが目的だ。

 とはいっても、「レジスタンス」には強力な兵器が無いし、敵に関する情報も乏しい。ゲーム開始時は、敵がどこにどの程度の規模で存在するのかすらわからないという、困った状態である。したがって、プレーヤーは戦いの中から敵の科学技術を奪い取って自軍の兵器をアップグレードし、それと同時に敵対勢力の本拠地を探り出さなくてはならない。これが各局面での中期的な目的となるだろう。


●全部隊を指揮しつつ、最前線で撃ちまくれ!!

オンライン画面
オンライン画面
LAN経由、そしてインターネット経由でマルチプレイに対応。1マップ最大4人まで同時参加が可能だ
 プレイを開始すると、「レジスタンス」の本拠地であるイギリス北部のマップから戦いが始まる。ここを振り出しにヨーロッパ大陸に侵出し、その後地中海沿岸、アフリカ、スカンジナビア半島と各方面で戦いを続けていく。戦闘に勝てばその地域が自分たちの支配下となり、さらに隣接した地域に侵出できるようになる。つまり戦線が広がれば広がるほど、次に戦う場所の選択肢も増えていくというわけだ。
 ここでちょっと、敵と味方について解説しておきたい。

 最初の敵は、ヨーロッパ西部を支配する「ゴアカフ」だ。ゲーム序盤は軽戦車しか使うことができないので、敵の技術ステーション(テクノロジ・アップ・ステーション)を占領し、生産できる兵器の種類や装甲・攻撃力をアップするところから始めなくてはならない。用意されている兵器の種類はとても豊富で、対空車両、軽戦車、中戦車、重戦車、攻撃ヘリ、飛行船、戦闘機、偵察衛星など、面が進むごとに増えていく。装甲やミサイルのアップグレードもあるので、これらの組み合わせは膨大な数になる。戦うマップによって得られる技術が違うので、どの順番で進撃するかも重要だ。たとえばあるマップでは装甲の厚い重戦車が待ち構えており、先に他のマップで攻撃ヘリの生産技術を手に入れてからでなければ、まず勝ち目はない。戦線が拡大するにつれて次の選択肢が増えるので、どの勢力とどのマップで戦うかを、綿密に検討する必要があるだろう。

 戦闘画面は、現在プレーヤーが直接操縦している兵器のコックピットから見た3D画面の上に、マップの全体図が重ねて表示される。マウスを使って部隊を選択し、移動目標や攻撃相手を指定。各部隊は敵と遭遇すると勝手に戦闘を開始するが、AI任せの戦闘では十分に兵器の性能を発揮することはできないので、マップの全体図を見ながらすべての部隊に指示を与えつつ、自分自身は次々と兵器を乗り換えて撃ちまくるという、えらく慌ただしい戦闘が続く。マップひとつの攻略に要する時間は、短いもので10分、長いと1時間超。この間キーボード、マウス、ジョイスティックを持ち替えながらの戦闘は、かなり体力を消耗する。おもしろいが、「息をつく間もない」とはこのことだ。

 西ヨーロッパを占領した後は、北に進めば「マイコニア」との戦闘、南に進めば「ターカスト」との戦闘に突入し、その後には「スルゴガー」や「ブラックセット」が控えている。現在約30時間ほどプレイを続けたところだが、ようやく西ヨーロッパの制圧に手が届いた段階で、今後アフリカ大陸や西アジアを舞台にどれだけ戦わなくてはならないのか、まるで見当がつかない状態だ。敵はますます強力になり、一筋縄では歯が立たなくなりつつある。

戦闘画面
画面写真1 画面写真2 画面写真3 画面写真4
マップのどこかにある敵のホストステーションを破壊すれば制圧完了。逆にこちらのホストステーションが破壊されれば負けだ こちらは攻撃ヘリのコックピットから見た画面。戦闘機や飛行船など、様々なユニットが登場する 軽戦車のコックピットから見た画面。次々に武器を乗り換えながら、最前線でリアルバトル 3D画面の上にマップがオーバーラップで表示される。マウスを使って各部隊に指示を与えていく

●難易度は高いが、抜群のおもしろさ

Help画面
オンラインヘルプはWebブラウザを使って表示。各ユニットの性能や特徴も、ひと目でわかる
 「Urban Assult」の難易度は、かなり高い。いろいろな意味で妥協や手加減のない、辛口のシミュレーションゲームだと思う。同じマップで何度も全滅させられたこともあるし、いまだにどうやって戦えばよいのか見当すらつかないところもある。すべてのマップを攻略するには、相当な根気と時間が必要になるだろう。

 しかし、それでもおもしろい。……いや、妥協のない辛口のシミュレーションゲームだからこそ、おもしろいのかもしれない。絶妙なゲームバランスと練られたマップ。惨敗の悔しさを噛み締めながら何度かトライしていくうちに、ようやく突破口を見つけることができたときの喜び。簡単に勝てないからこそ、勝利の味もまた格別なのだと思う。

 BGMやムービーの映像もすばらしい。海外からの移植ゲームは、どこか本質的な部分で日本人の肌に合わないところがあるものだが、不思議とこのゲームには洋ゲー的バタくささを感じなかった。聞けば、「Urban Assult」はマイクロソフトのドイツ人スタッフが手がけた作品とのこと。どよどよした暗い雰囲気、そして兵器や武器の細かさの理由が、なんとなく理解できたような気がする。

 今回は正式発売前の評価版ということで、マルチプレイモードを試すことはできなかったが、10月9日の発売以降はLAN環境やインターネット経由で他のプレーヤーと戦うことも可能になる。ストーリーを追って遊ぶのも楽しいが、見知らぬ相手と容赦ないバトルを行なうのもおもしろそうだ。

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【筆者紹介】 【総プレイ時間・ハード環境】


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