後藤弘茂のWeekly海外ニュース

IDF速報:Katmaiの概要、Cascades、Coppermine、McKinleyの計画を発表!


開催地:カリフォルニア州 Palm Springs Convention Center
開催期間:9月15~17日(現地時間)


●'99年、Intelの新MPU津波が押し寄せる

スピーチするクレイグ・バレット社長兼CEO
クレイグ・バレット社長兼CEO
 「'99年は、たぶん、もっとも集中的(intensive)に製品を発表する年になるだろう」

 米Intelのクレイグ・バレット社長兼CEOは、15日(現地時間)から始まった同社の開発者向けカンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」の冒頭のキーノートスピーチで、'99年の展開をこのように総括した。しかし、Intelが来年投入するMPUの陣容を見れば、この言葉が誇張でないことがよくわかる。バレット氏は、来年投入する新MPUとして、パフォーマンスデスクトップ向けの「Katmai(カトマイ)」と「Coppermine(カッパーマイン)」、サーバーとワークステーション向けの「Tanner(タナー)」「Cascades(カスケイド)」、それにモバイル向けの「Mobile Coppermine」などの名前を挙げ、おおまかな内容を説明した。これらのMPUは、Katmai以外は、Intelがこれまで公には言及してこなかった将来製品だ。

 また、Intelは、Katmai/Tanner以降のMPUに搭載される新命令群「Katmai New Instructions(KNI)」の概要と、KNIと同時に導入される新フィーチャについて概要を説明。さらに、IA-64アーキテクチャのMPUでは、「Merced(マーセド)」の後継として「McKinley(マッキンリー)」が2001年後半に投入されることも、公式に認めた。


●0.18ミクロンでは積極的に2次キャッシュを統合へ

サーバー/WSロードマップ セグメント別ロードマップ Pentium IIを800MHzで動かすデモ
サーバー/WSロードマップ セグメント別ロードマップ Pentium IIを800MHzで動かすデモ

 '99年には、前半にまずKatmaiが450MHzと500MHzで登場。また、Katmaiのサーバー/ワークステーション版であるTannerが、500MHzで登場する。これはどちらも現行のPentium IIと同じ0.25ミクロンの製造プロセスで作られる。ただし、Katmaiのパッケージには、SECC2と呼ばれるローコスト版カートリッジも登場する。

 しかし、Katmaiの時代はそう長く続かない。'99年の中盤には、後継のCoppermineが登場するからだ。これは、0.18ミクロン製造プロセスで作られるチップで、2次キャッシュがMPUと同じダイ(半導体本体)に統合される。500MHzより高い周波数となり、SECC2になる。Coppermineと同世代のワークステーション版はCascadesで、こちらも0.18ミクロンで2次キャッシュが統合される。動作周波数ももちろん上がる。ちなみに、アルバート・ユーIntel上級副社長のキーノートスピーチでは、Pentium IIを800MHzで走らせるデモを公開。性能向上にはまだ余裕があると主張した。

 モバイルでは、'99年の前半に333MHzのMobile Pentium IIが登場、'99年後半にはKatmaiをスキップしてCoppermineがこのフィールドに登場する。Celeron系は来年前半に366MHzが登場、後半に関しては明確なアナウンスがされなかった。また、Intelは、今回からStrongARMも、プロセッサロードマップのなかに入れてきた。それによると、'99年前半までにはMPUコアにメディアプロセッサを加えた統合チップのSA-1500も市場に出ているようだ。さらに、'99年後半にはこのSA-1500の後継と、現在の携帯機器向け製品SA-1100の後継が登場する。

 一方、IA-64に関しては、遅れていることもあってか、今回はそれほど新しい発表をしなかった。Mercedでは、物理的な回路の設計であるフロアプランの写真を公開、論理設計が終わって物理設計に入っていることをアピールしたにとどまった。Merced後継のMcKinleyに関しても、「Mercedの2倍の性能」とだけしかアナウンスしなかったが、そのコード名を公式に認めた。また、Cascadesの後継のIA-32ファミリのMPUが、このMcKinleyと同時期、つまり2001年の後半に登場することも発表した。


●Katmaiの概要を発表

500MHzのKatmaiを搭載したレガシーフリーPC
500MHzのKatmaiを搭載した
レガシーフリーPC
 Intelは、10月13日に開催されるMPU関連カンファレンス「Microprocessor Forum」で、Katmaiの概要を発表することになっていた。そのため、今回のIDFでは、Katmaiに関しては突っ込んだ発表がないのではという観測もあったが、その見方は裏切られた。

 Intelは、今回、Katmaiに搭載するKNIなどの新フィーチャの概要を解説。パフォーマンスPCのグラフィックスシステムは、Katmaiにオプティマイズするように呼びかけた。

 KatmaiではすでにIntelがアナウンスしている通り、浮動小数点演算で、「SIMD(Single Instruction Multiple Data)」技法により、ひとつの命令で複数のパック化されたデータに対して同じ処理が同時に実行する並列処理を行なえるようにする。そのため、KNIでは、128ビットのレジスタを8本新設、“32ビット単精度”の浮動小数点データを4つパック化できるようにした。また、メモリのレイテンシを隠蔽する「Memory Streaming Architecture」や、従来のMMX命令の拡張も発表。これらの新フィーチャにより、Katmai以降のMPUでは、3Dグラフィックス性能の大幅な向上やMPEG-2のデコードだけでなく、MPEG-2のエンコードや自然音声認識などのアプリケーションも視野に入れることを明らかにした。

 バレット氏のスピーチでは、このKatmaiの実物を積んだIntelのリファレンスPCも登場した。ピラミッド型のこのPCは、ISAバスだけでなく、あらゆるレガシー(過去の遺産)インターフェイスを除いた「レガシーフリーPC」となっている。このリファレンスに象徴されるように、今回のIDFのテーマのひとつは、このレガシーデバイスやインターフェイスを、具体的にどのように取り除いて行くかという点にあるのは間違いない。しかし、レガシーを取り除くことをテーマにしたセッションでは、リスナーの開発者から「なぜIntelは、それを強制するのか」といった辛辣な質問が飛ぶなど、Intelの思惑に反発する空気があることもうかがわせた。


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('98年9月16日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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