画面 8:振り分け機能だけでなく、振り分けたメールの処理を指定できるようになった |
画面 9:アドレス帳では、ニックネームの利用ができる |
画面 10:アドレス検索では、ローカルのアドレス帳も含め、様々な情報ソースを利用できる |
処理としては、ステータスの変更や前述のラベルの設定、メッセージの移動やコピー、転送や自動返送に加え、メッセージボックスによる通知やサウンドの再生、プログラムの起動などが行なえる。また、「以後のフィルタを無視」といった指定もあり(この指定がないと、1つのメッセージに対して全てのフィルターの条件が検査される)、複数のフィルターを組み合わせた複雑な処理も可能だ。
こうしたフィルターではその数が多くなると、思わぬフィルターに先に引っかかってしまうなど動作チェックが難しくなる。しかし、Eudora40では、フィルターの動作結果を、別途フィルターレポートとして記録することができるため、フィッターのデバッグなども容易である。
また、フィルターは、フィルター設定のダイアローグボックスで、作成する以外に、受信メッセージを元に条件指定を行なうことも可能だ。この場合、宛先や題名、差出人の3つの条件に、メッセージのヘッダ項目が自動的に入力されるため、定型的なメール(たとえばメーリングリストからのメッセージなど)は、簡単にフィルターを作成可能。
アドレス帳は、ユーザーに対して、ニックネームを付け、それを使って送信ウィンドウなどで指定が可能(画面 9)。また、アドレス帳から、直接TOやCC、Bccフィールドへの入力ボタンがあり、すでに開かれているメッセージ作成ウィンドウへ入力が可能だ。新規メールウィンドウがない場合には、自動的にメッセージ作成ウィンドウが開かれる。このあたりも、メッセージ作成の手順を考えたもので、キーボードでニックネームを直接打ち込んでもいいし、アドレス帳から入力してもいいし、アドレスを捜してからメッセージ作成ウィンドウを開かせてもいい。自分のこのみのやり方が選べ、ふだん行なわない手順の場合でもすんなりと作業できる。
このほか、Eudoraで昔から使われていたPh(イリノイ大学で開発された人物データベースCCSO Nameserverのアクセスクライアント。おそらくこれを使うのはいまでもEudoraぐらいなのでは?)によるアドレス検索に加え、LDAP(インターネット内の著名サイトが登録済み)やfinger(Unixのユーザーアカウント表示プログラム)なども選択可能。また、検索時には、ローカルのアドレス帳を加え、その中から任意のものを指定しての検索ができる(画面 10)。
なお、Eudora40の設定をサーバーに置き、各ユーザーの設定を簡単にするACAP(Application Configuration Access Protocol RFC 2244)機能などがある。なお、ACAPに関しては、設定データを供給するACAPサーバーを準備できなかったため、今回は評価できなかった。
また、IMAP4フォルダ名の多国語機能にも対応しており、他のクライアントで作成した日本語名のフォルダも化けることなく利用可能である。
フォルダを開くときには、新規取得したメッセージなどの状態表示ウィンドウが表示されるが、やはり待ち時間は気になる(サーバーが486マシンなので遅いせいもあるのだが)。いちおう、ローカルでメッセージリストのキャッシング程度は行なっているようなので、いちいち全部のメッセージを読むわけではないようだ。メッセージ自体も、表示させるまでは、サーバーから読み出さない。読み出すとメッセージリストのサーバーステータスが変化するので、一度読んだものはキャッシュしているようだ。なお、IMAP4では、サーバー側でMIMEの構造を解析して、部分ごとに読み出す機能があり、これにより巨大な添付ファイルのついたメールも、本文だけを素早く読み出せるようになっている(ただし、複雑なMIME構造を持つメールは、サーバー側での解析に時間が必要で、これはサーバーの能力次第である)。
Eudora40は、この機能に対応しており、添付ファイルは、開いた時点で始めてサーバーから読み出される。開かれる添付ファイルは、Eudora40の標準の添付ファイルフォルダ(標準ではインストールフォルダの下のAttachフォルダ)に置かれる。元メッセージに対して、返信を行なった場合にフラグが付くが、これもIMAP4の機能を使って行なわれているようだ。
削除も、IMAP4のやり方(削除フラグを付けておいて、セッションが終了したときに削除する方法が使われている。このため、削除したメッセージは、そのままメッセージリストに残る(ログアウトするまで)が、サーバーステータスとして削除マークが表示される。
IMAP4を使っていても、キャッシュをローカルに持つため、メッセージリストの情報がハードディスクに残る。
また、以前はあったEudora.iniファイルの解説がなくなっている。このファイに設定することで、返信や転送のさいの書き出しや引用形式、表示しないヘッダなどを指定できるが、その解説がみあたらなくなってしまった(以前はヘルプファイルに記述があった)。旧バージョンで使っていたファイルを持ってきたところ、動作はするようなので、仕様的には大きく変わっていないと思われる。できることならば、このあたりの説明の充実を望みたい。
EudoraPro 4.0-J 価格:オープンプライス 問い合わせ先:クニリサーチインターナショナル Tel.06-411-0234 (写真はWindows版、Mac版も発売中) 【今回の製品評価】 | ★★★☆☆ |
評価については、同種の他のソフトとの比較とか、一般的なソフトと比較した出来ぐあい、その環境内での習慣(たとえばWindowsであれば、GUI操作の方法が一般的なものかどうかなど)や平均的なレベル――たとえば、現在のWindows 95/98のソフトでファイルパスを入力させるのに参照ボタンがなく、直接入力させるものなど言語同断といえるだろう。このようなソフトは、たとえ便利な機能があっても評価は低い――を考慮することになる。ただ、この評価については、どうしても「オススメ度」として受け止められることがほとんどであるので、このさいばっさりと以下の星の数で表現することにした。
☆☆☆☆☆ | たとえ家族が人質に取られても使うな |
★☆☆☆☆ | 使わねぇほうがいいんじゃないかなー |
★★☆☆☆ | 悪くもないが良くもない。個人の好みで決めて欲しい |
★★★☆☆ | 悪くはない |
★★★★☆ | いいと思うよ |
★★★★★ | 使わないやつは死刑なのだ |
たかだか、星の数での評価ではあるが、一応背後には、それなりの評価があるとご理解いただきたい。該当のソフトウェアに関わった方には、ご気分を害される方もあるかもしれないが、やはり、この評価を元に、読者の方々がお金を払ってソフトを買うことを考えると、こちらも、気軽にはオススメできないということをご理解いたただければ幸いである。
ただ、おそらく「なし」については、ここに登場することはないとおもう。なぜなら、貴重な電話代や電気代を払ってまで、そのソフトについて知る、知らせる必要はないからだ。もし、ここに「なし」のソフトが登場したようなら、きっと、家族を人質に取られて、記事を掲載することを強要されたと思っていただきたい。また、この記事に登場しないソフトは必ずしも星なしという評価とは限らないのでご注意いただきたい。
[Text by 塩田紳二]
【プレゼントのお知らせ】 今回ご紹介したEudoraPro4.0-JのWindows版を2名様、Mac版を1名様にプレゼントいたします(提供:株式会社クニリサーチインターナショナル)。詳しくは、プレゼントコーナーをご覧ください。 |