短期集中連載

矢作晃の iMacと暮らす5つのツボ

Part 1:増設メモリ購入のツボ

 2週間の短期集中連載として、話題のiMacのレビューを掲載します。メモリの増設から自宅の既存マシンとのネットワーク接続まで、5回にわたってお送りする予定です。ご期待ください。(編集部)


■ 豪雨の週末に発売されたiMac

 雨である。非公式ながら、アップルコンピュータの予測によれば発売当日の東京地方の天候は晴れとのことだったが、ときおりバケツをひっくりかえしたような豪雨に見舞われたわけだ。まぁ、気象予報士が社内にいるわけでもないだろうし、天気予測が業務ではないから責めるわけにもいかない。大きめの傘をもって部屋を出た。最寄り駅のひとつであるJR池袋駅に向かう途中、iMac販売提携店舗のひとつである「ビックパソコン館池袋本店」の前を通り過ぎる。午前11時を過ぎた店頭には、iMac本体がディスプレイされ、すでに30人余りの購入希望者が行列を作っていた。雨よけには同店のひさしが活用され、ビニールシートなども配布されていたようである。

 考えてみれば熱心なものだ。5月に行なわれたWWDCの席上でお披露目になって、国内での発売も待望される。これまでMacintoshを販売していた販売店は“売れる製品”の登場に事前予約の受付を開始した。そして、このスペックも価格すらも定かではない製品に対して、数千人ものユーザーが予約という形で購入の意志を示したわけだ。そこから先の経緯は、すでにさまざまなニュースで報じられたとおりである。

 この日、店頭に並んだユーザーのなかには、事前予約をしたはずの店舗での販売が見送られてしまった人もいるだろう。販売提携店舗であっても、予約が無効になってしまったユーザーも並んでいるはずだ。というよりも、かなりの確率でこれらの人々は共通であったと思う。とあるニュースサイトで報じられたインタビューで、「予約は販売店が独断でしていること」と語った同社の関係者がいる。確かに事実ではあるが、こう断ずる前に、発売前の製品に期待を込めて予約をしてくれたユーザーに対し、ひとことでも感謝や謝意があってもよかったのではないかと感じざるをえなかったのは、この雨の中で目を輝かせて販売開始を待つ人々を見たせいだけではないだろう。



■ 午後3時の販売開始はプラスに働いたのか?

 その後、すでにPC Watchで報じられている東京(ラフォーレミュージアム六本木)、札幌、大阪、福岡を結んで行なわれた発表会・発売記念イベントに出席して、そのまま秋葉原へと移動。実は発表会場へと向かう途中で、すでに秋葉原のT-ZONEアップル館に立ち寄って、販売整理券は入手していた。午後12時30分頃の店頭到着で252番。すでに行列はなかった。「おっと、4番ほど早かったな」などと業界ズレした考えが頭をよぎったが、あわてて、その考えはマジックで塗りつぶした。

 整理券によれば引き渡し時間は17時30分ということなので、秋葉原到着後は少々時間を調整した。そのとき街中を散策したが、カートに載せたり両手で抱えたりしてiMacを運ぶ姿は確かに目に付いた。しかし、これはこちらが意識して見ていることも多分に影響しており、週末の圧倒的な人出や他の製品を持ち帰る人々の全体から見れば、ポツリポツリといった感は否めない。賛否両論あるだろうが、Windows 95の発売以来定着した深夜0時の販売なら、そのとき持ち帰られる品物はiMacに限られるため、イメージ的には強かっただろうとも考える。特に前述した発売記念イベントが、各地を結んで行なったわりには盛り上がりやインパクトに欠けたため、それほど午後3時という販売開始時刻に意義を見いだせなかったことも、一因ではあるのだが。

 整理券の受け取り時に、メモリ構成の確認を受ける。増設のない標準仕様のものは当日持ち帰りが可能となるが、64MB×2というアップルコンピュータが現時点で確認している最大メモリ構成のものは配送になるという。やはり、発売当日に購入する以上は、当日から触っていたいということで、前者を選択した。さすがに一日で数百台も販売すれば、それぞれに販売店がメモリ増設を行なったうえ、即日渡しというのはかなりの無理があるだろう。午後3時からの販売開始なのだからなおさらだし、製品の店頭到着も前日ということだから、事前に準備しておくわけにもいかなかったのだろう。とはいえ、コンシューマ向けの製品でもあることだし、販売店でのメモリ増設が推奨されているのもまた事実。せめてもう一日余裕をもった流通で、大量販売が予想される発売当日ぐらいは販売店側に準備の時間を与えるとか工夫があってもよかったのではないかと思う(店舗によっては保管倉庫の問題はあるかも知れないが)。ただし、ショップによっては、メモリ増設のうえ即日渡しを行なったところもあるようだ。

 さて17時30分をむかえて、整理券を持って店頭へと向かう。もう一度メモリ構成の確認を受けたうえで、支払い、製品保証書への記入、引き渡しとなる。クレジットカードによる1回払いを選択して、178,000円。メーカー希望小売価格どおりである。そしてニュースリリースにもあった「iMac発売記念品」を受け取る。細長い筒のようなもの。「もしかして、ポスター!?」。



■ 発売記念品ってポスターなの?

発売記念品
iMac購入記念品のはずのポスター。あなたはこれを貼りますか?
 誤解を恐れず言わせてもらえば、ポスターって記念品になるものなのだろうか? つまり、すでにiMacを購入し本体を所有するユーザーが、iMac本体と“Think different.”のフレーズが入ったポスターを、嬉々として貼るものだろうかという疑問だ。ワタシの部屋は賃貸マンションだから、もともとカベにピンなどは打てないのだが、かりに打ててもiMac本体が手元にある以上、きっと貼らない。貼るなら上原多香子チャンのポスターが先だ。ソロのポスターが存在するかどうかは知らないけど。

 貧困な発想ではあるが、記念品のイメージは例えばキーホルダーや湯飲み。裏や底に日付と新社屋落成記念などと書いてある。記念品である以上、品物をみてその時の記憶や日付が明確に蘇ってこないものはだめだ。また、その記念品を持つもの同士でその時を共感できることも重要だし、あとはそれを持ってない人に「自慢できるもの」ってのも大切だと思う。例えば、白地にボンダイブルーのアップルロゴの入ったキーホルダーとか(裏には1998.8.29)、同様なデザインのマグカップとか、ペーパーウェイトとか、ひとめ見てiMacをイメージし、そして「発売日当日に買ったんだなぁ」と振り返ることができるグッズなどは、いくらでも候補があるはずだ。ひねったところでは、その二色に塗り分けられたモジュラコネクタ分配器なんかもいい(iMac内蔵のモデムを直接壁面のモジュラコネクタに繋ぐときにね)。もちろん、コストの問題は無視するわけにはいかないのだが「iMac発売記念品」と銘打った以上、ワタシ的にポスターはちょっと寂しかったのである。ちなみに、当日品切れで購入予約を行なったユーザーには、Tシャツが配布された店舗もあるということだ。ほかに、その店独自のプレミアム品や持ち帰り用のカートを用意したところもあるらしい。



■ それぞれのメモリを効率的に増設するには?

 iMac発売当日に、本体と一緒に購入できる周辺機器はきわめて限られている。アップルコンピュータのリリースによる周辺機器リスト(http://imac.apple.co.jp/peripheral/index.html)に掲載されている製品のほとんどが、9月以降に出荷を予定しているものだ。そんななか当日買える、そして本体と同時に買っておきたいものはなんといってもメモリである。

 iMacに内蔵されているモニタは、640×480、800×600、1,024×768ドットの3つの解像度をもっている。標準で搭載されているビデオメモリでも、640×480、800×600での1,670万色、1,024×768での32,000色表示がサポートされるが、さらにビデオメモリを追加することで1,024×768での1,670色表示と、3Dアクセラレーションが可能になる。このビデオメモリはSGRAMを使用。標準搭載の2MBに、2MBまたは4MBを追加することになるのだが、価格的には4MBを追加しても5,000円から7,000円弱。ここはためらわずに4MBを追加して、ビデオメモリは一気にフル実装しておくことをオススメする。

【解像度ごとの表示可能色/3Dアクセラレーション】
総メモリ追加分(SGRAM)640×480800×6001,024×768
2MBなし1,670万色/○1,670万色32,000色
4MB2MB1,670万色/○1,670万色/○1,670万色
6MB4MB1,670万色/○1,670万色/○1,670万色/○

 iMacにおけるメインメモリのスロットは全部で2つ。ここにSO-DIMMを装着してメモリの増設は行なわれる。メモリスロットはCPUが搭載されたドーターボードの表と裏にひとつずつ用意され、出荷時には裏面(マザーボードとドーターボードに挟まれる位置)に32MBのSO-DIMMが搭載されている。それぞれのスロットで搭載可能なメモリの大きさは異なっており、この裏面のほうは1.5インチまでとサイズの制限がある。

 アップルコンピュータでは、現時点で動作確認が取れているものとして64MB×2の構成による128MBを最大搭載メモリとしているが、各メモリメーカーは独自に検証したものとして128MBのSO-DIMMも出荷している。この128MBのSO-DIMMを上手に利用すれば、効率的なメモリ増設が可能になるので下表を参考に検討してほしい。ワタシとしては、2インチサイズの128MBを一枚追加して、とりあえず160MBにする方法がコストパフォーマンスと応用の効きやすさでは一番だと思っている。ちなみに、128MBメモリの価格は2インチサイズのもので30,000円から35,000円程度。これが1.5インチサイズだと、4万円程度の価格設定がされているようだ。64MBのメモリはすべて1.5インチサイズで、15,000円から18,000円といったところである。なお、メモリの形状はPowerBook G3で使われているものと同一であるが、流用ではなくきちんとiMac対応がパッケージに書いてあるものを選択するのが望ましい。特に大容量の128MB SO-DIMMは、PLL機能搭載を確認したうえで購入するのがいいだろう。

【解像度ごとの表示可能色/3Dアクセラレーション】
総メモリCPUカード裏(1.5inch)CPUカード表(2inch)予算
32MB32MB ※2なし0円
64MB32MB ※232MB10,000円程度
96MB32MB ※264MB15,000円~
128MB64MB64MB30,000円~
160MB ※132MB ※2128MB30,000円~
192MB ※164MB128MB45,000円~
256MB ※1128MB128MB70,000円~

※1 現時点で、128MB(64MB×2)を超えるメモリの搭載は、アップルコンピュータによる動作の確認が行なわれているわけではない。メモリメーカー各社が、独自に動作を確認して出荷しているものだ。
※2 iMacに標準搭載されているメモリをそのまま利用する。

 次回は、このビデオメモリとメインメモリの増設作業を中心に報告しよう。


[[Reported by 矢作 晃(akira-y@st.rim.or.jp)]


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