バッテリコンプレックス
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きっとあのデジカメとあのサブノートがあれば俺のデジタルビジュアルライフはグレートかつジョイフルなフィーリングになるんだよなぁたまんねえよなぁ~、とニヤつく一方で、しかしあのサブノートだとストレージ小さいからデータちょっとしか入らないしフォトショップ動かすにはメモリも少ないしデジカメだってすぐメモリ一杯になっちゃうし両方ともバッテリー切れ起こして悲しむんだろうなぁ~、と眉間にシワを寄せてみたりするわけだ。
それって考え過ぎですよスタパさんネガティブですよダメですよ、などと言われもするが、デジタルハードウェア生活十数年、家が一軒建つほどの金をデジタルハードウェアに注ぎ込んだ俺的ミクロワールド見地から言えば、問題がないデジタルハードウェアなんざぁいまだかつてイッコたりともねえのである。全てのコンピュータは必ずハングアップするのであり、あらゆるソフトウェアにはデバッグ必須な箇所があり、回路という回路には最低1コの欠陥が潜んでいるのであり、カンペキだのバッチグーだのノープロブレムだのは我々ユーザーの妄想以外の何者でもないのだ、っていうかそんな大げさな話じゃないんですよ今回は。
我ながら大風呂敷を広げてしまって困惑しているので、速攻で大風呂敷をたたんでいきたい!! 大風呂敷を広げた瞬間たたむことにかけては、俺は日本でもかなり上位にランクインすると自負している!! ていうかどんどん話が逸れちまいますな。
で、何を言いたいかというと、俺はいつも最悪の状態を想像しつつハードウェアに接している。そしてその最悪の状態に陥った時、それを最良の最悪状態にもっていけるよう、準備する。例えば、核戦争が起きて人類が滅亡寸前まで追い込まれることを想像し、自家用シェルターを作ってその中に十年分くらいの食料を蓄えちゃう人のようにだ。
具体的には、大した話じゃないんですけど、懐中電灯を買ったら予備電池も買って予備電球も買ってそのついでに予備懐中電灯まで買っちゃうほど、念には念を入れたうえにさらなる念を入れたりしている。だからホレ、俺の部屋にはジェンダーチェンジャーが山ほど転がってるし、敷いてその上に寝られるほど生フロッピーディスクがあるし、SCSIケーブルとかシリアルケーブルとかパラレルケーブルなんざぁ売るほどあるし、プリンタ用紙及びインクなど掃いて捨てるほどあるし、その他いざという時あれば超助かっちゃうよーなモンが多量に用意されているのだ。緊急用備品だらけ。でもその“いざという時”がなかなか訪れないので、ジェンダーチェンジャーは錆びるわ生フロッピーディスクはホコリをかぶるわケーブル類は本来の柔軟さを失うわプリンタ用紙は反るわインクは中で固まってる可能性があるわで、なんつーか、シェルター内の非常食を賞味期限1カ月前に嫌々食うハメになった核戦争妄想野郎の気分である。
携帯電話用チャージャー3種。このほかに太陽充電タイプなども販売されているらしい。左から、『ぐるでん』、『アラジンパワー』、『でんちDEチャージ』 |
最近特に買いがちなのが、携帯電話用のバッテリパックだ。端末を買うごとに必ず1コは予備バッテリパックを買っている。電池が切れた時の悲しさ度合いで言えば、携帯電話はかなりポイントの高い悲しさを提供しやがるからだ。
そんな俺が最近非常に注目しているのが、携帯電話用の緊急用バッテリチャージャーの類。バッテリが切れた携帯電話を、乾電池もしくはハンドパワー(握力とか腕力ですな:念力充電可能な製品はまだないし)で充電できるというアレ。
そんなバッテリーチャージャーを3機種ほどゲットしたのでレポートしてみたい。製品は、多摩電子工業株式会社の『でんちDEチャージ』(スケルトンタイプ)、株式会社日省エンジニアリングの『アラジンパワー』、株式会社アスキーの『ぐるでん』の3つ。
でんちDEチャージ 標準価格2,900円。006Pアルカリ電池を使って携帯電話のバッテリに充電する。充電中は赤いLEDが点灯する |
最大の魅力はそのサイズと簡単さ。携帯電話のバッテリが切れたら、このアダプタを携帯電話のコネクタにつなぎ、006Pアルカリ電池をつければ、即通話できるようになる。しかもこのアダプタと電池を合わせて持っても、スッポリてのひらに収まる程度のサイズ。容積的には頼りなさそーなアイテムなのだが、携帯電話のヘビーユーザーにはホントに頼りになるアイテムだ。
で、使用感を書きたいところだが、俺は元々バッテリコンプレックス野郎なので、携帯電話のバッテリは常にフル充電で、しかも予備バッテリを2本くらい持っているので、このアイテムが役立ってくれたことはまだない。でもきっといつか最悪の日が訪れた時に、コレが役立ってくれそうな気がする。ちなみに、公称データでは、『でんちDEチャージ』と006Pアルカリ電池1本で、DoCoMoのP203なら約60分、J-PHONEのDP142なら約25分の連続通話ができるそうだ。また、充電時間(006P内の電気が携帯電話のバッテリ内に移行する時間)は60~90分となっている。
ただし、電気発生の原動力がハンドパワーなので、安楽に充電できるという感じではない。1秒間に1~2回程度の割合でパワーハンドルを握るべしとあり、これを数分続けないと通話可能な容量の電気がバッテリにたまらない。でもまあ、人力だけでいつでもどこでもバッテリチャージができるという最強に強まった魅力があるので、疲れるとか面倒とかいうデメリットなど些細なことのような気がする。
アラジンパワー 標準価格9,800円。専用の携帯電話接続ケーブルは別売りで3,000円。かなり強気な価格づけといえる。使い方は、ご覧のようにガシガシレバーを握る。握力養成にも役立つと思われる |
電池を使って携帯電話のバッテリをチャージする場合は、本体に単3アルカリ電池を2本入れて、ケーブルで携帯電話と接続する。で、5分程度充電すれば通話可能になる。
ハンドパワーで携帯電話のバッテリをチャージする場合は、本体から乾電池を抜いた状態で、ケーブルで携帯電話と接続し、本体にある手回しレバーを回転させる。1秒間に2回りさせる程度のスピードでハンドパワーを込めると、3分程度で通話可能になる。ちなみに、それ以上早く手回しレバーを回すとイカンらしい。
ハンドパワーでニッカド電池をチャージする場合は、本体にニッカド電池を入れ、手回しレバーをやはり1秒間に2回りさせる程度のスピードで回す。この調子で3分ほど充電すると、ヘッドホンステレオなら15~30分、懐中電灯なら3~5分、小型ラジオなら20~40分使用可能になるとある。
この『ぐるでん』、理にかなった多機能さがあると同時に、使い勝手もいい。『アラジンパワー』のようにニギニギするタイプはけっこう疲れる(というか握力がもたなかったりする)のだが、手回しレバーなのでそういう疲れがあまりない。それと『でんちDEチャージ』の場合は、けっこう手に入りにくい006P電池を使っていたが、『ぐるでん』はどこでもたいてい手に入る単3アルカリ電池。実用性がしっかり考えられているこなれた製品だと思う。また、デザインもキレイ。これまでになかった性能とキレイなデザインで、衝動買いしがちなハードウェアである。
ぐるでん 実売価格5,980円。色はブルーグリーン、ガンメタ、シトラスイエローの3色から選べる。 単3アルカリ乾電池で充電できるほか、手回し充電も可能。また、単3Ni-Cd(ニッカド)電池を充電することもできる。回すだけなので、アラジンパワーよりラク |
ていうか、俺としては、バッテリとか携帯電話のコネクタの規格とかを、ビシッと統一していただきたいと思う。リチウムは大切な資源なので回収がどうこうと言う前に、バッテリパックのカタチというものを統一して欲しい。猛スピードで変化するこのデジタルハードウェアの世界で、機種ごとにバッテリ形状が違うとかいうことこそ、資源のムダだ。あ、もしかしたら、そーゆーコト言いつつバッテリパック買いまくりな俺こそ資源のムダ野郎!? ともあれ、業界全体でそういった“必須パーツ”の規格統一に力を入れれば、サードパーティーもユーザーも助かる。コネクタ形状も同じ。ムダに違うモン作ったり違う規格にしたりしてムダな労力とムダなコストとムダな面倒くささを生み出さないで、ひとつに統一して欲しいと思う。
まあ、統一したらしたで、性能とかハードウェアの独自性とかに多少のシワヨセが行くのだろうが、それでも、バッテリやコネクタの世界にコンセントのような汎用性が生まれるのなら、俺はそっちの方が嬉しい。
あら、また話が逸れてしまったが、ともあれ、携帯電話用緊急時バッテリチャージャーというのは、どれもけっこう役立ってくれそうな感じだ。これらの製品をマジメに使えば、もしかしたら俺のバッテリコンプレックスが治癒されるかもしれない。
[Text by スタパ齋藤]